リーメンシュナイダーを歩く 

ドイツ後期ゴシックの彫刻家リーメンシュナイダーたちの作品を訪ねて歩いた記録をドイツの友人との交流を交えて書いていく。

235. リーメンシュナイダー写真集 第四巻の色校正に行ってきました。

2020年10月17日 | 日記

▶第四巻『完・祈りの彫刻 リーメンシュナイダーと同時代の作家たち』に載せなかった画像から。

 


ウルム大聖堂 聖堂内陣席の彫刻より 
  ミヒェル・エーアハルト 1469~1474

 

▶第四巻『完・祈りの彫刻 リーメンシュナイダーと同時代の作家たち』の色校正に行ってきました。

 10月13日の火曜日に丸善プラネットの白石好男さんと富士美術印刷さんに出向き、色校正をしてきました。加藤陽子さん、大塚欣也さんとの話しあいも絵葉書作成時を含めて5~6回になるでしょうか。大分私のことばで意図するところを理解していただけるようになったので、家に届いた校正紙に書き込んだメモに対応してくださった結果のプルーフを拝見しても、「ここはちょっと変えて欲しい」と思ったのは2箇所だけでした。文言の修正箇所も打ち出してくださっていたので、白石さんは全体構成を重点的に、私は前回送ったときのメモを重点的にチェックし、記憶している限りでは全部修正されていることがわかりました。ただ、修正箇所が多かった作品一覧等は全部覚えてはいなかったので、PDFを家に送ってもらうようお願いして帰宅しました。帰り道、この半年間の重く、しんどかった気分が晴れた空に溶けていくような開放感を味わいました。コロナにかかったら、そして重症になって命を落とすことになったら、この本はどうなるのだろうと思うと、校正が済むまでは何とか踏ん張らなければと感じていました。でも、コロナに対応する医療も進みましたし、もう何があってもイメージしたような本ができあがるという確信が持てて肩の荷が下りました。

 帰宅後、送っていただいたPDFと自分のファイルとを全部つき合わせて修正されていることが確認できました。あとは印刷、製本が終わってできあがった本が届くのを待つばかりです。念のため11月15日まで発行日を遅らせましたが、もしかしたら今月末には予定通りにできあがるのかもしれません。届きましたらまた皆さまにご報告します。

 


市内の畑で咲いていたコスモス。

※このブログに掲載したすべての写真のコピーをお断りします。© 2015-2020  Midori FUKUDA

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235. リーメンシュナイダー写真集 第四巻の色校正に入りました。

2020年10月07日 | 日記

▶第四巻『完・祈りの彫刻 リーメンシュナイダーと同時代の作家たち』に載せなかった画像から。

 

 


ウルム大聖堂 聖堂内陣席の彫刻より 
  ミヒェル・エーアハルト 1469~1474

 

▶第四巻『完・祈りの彫刻 リーメンシュナイダーと同時代の作家たち』の色校正

 いよいよ最終段階です。本に使う用紙で画像をプリントアウトしたプルーフ色校正が届いたのは先週の10月2日(金曜日)のことでした。この日は幸い良い天気。雨の日や曇りでは色の見え方が違うことを今まで嫌というほど体験してきました。夜の灯りでも違いますし、各ご家庭での照明によっても違います。でも最近はずっとお天気の良い昼間の時間帯に見較べることにしているので金曜日の午後、光のある間に色を確かめ終えました。

 色校正では色合いだけでなく、ここをクリアに見て欲しいのに少しぼやけてしまっていたりすると残念なので「ここをもう少しはっきり出して欲しい」とか、「ここの部分はもう少し明るさが欲しい」とか、「全体が明るすぎるからもう少し暗くして欲しい」など、私のオリジナルの画像を見ながら細かいことを注文していきます。私が富士美術印刷の担当者だったら「またうるさいことをいろいろ言われちゃったなぁ」と絶対おもうだろうなと思いながらも、でも書く手は止まりません。私のパソコンでの色合いよりは全体が明るいけど、でも見て欲しい内容はきちんと出ていると思うものはそれで「OK」としていますが、宗教彫刻には時を経た重みというものがあるのですよね。多くの人の願いや祈りがこもっているというのでしょうか。それが軽くなりすぎるときには、全体の明るさをもう少し落としてもらいたいと思ってしまうのです。かといって眠る聖人の顔が暗くなりすぎても表情がわからなくなりますので、その塩梅が難しいところです。

 こうして注文する側は半日で作業を終えられますが、応じる側は大変です。そのため急いで送り返さなければと、残る文章のチェックも大急ぎで行いました。もう文言の直しはわずかなのですが、それでもまだ「あ、ここが違っていた!」などと、この期に及んでも気づいたりする箇所があり、私が2箇所気づいてファイルで先に送り返すと、校正の公文理子さんから、その周りにも残っていたミスが改めてチェックされてきたり、整合性がとれなくなるその他の場所の修正箇所まで戻ってきます。冷や汗の連続です。なかなか「修正無し!」ということにはならないものですね。校正者の「整合性」をとる能力には頭が下がります。こちらを直したのならこっちも直さなければおかしいとパッと頭が回るのですね。本の内容の隅から隅まで知り尽くしているからできることです。私以上によくわかっていらっしゃる。このやりとりを一緒に見ながらデザイナーの石井眞知子さんが即修正してくださっているようです。お二人の連携も素晴らしいスピードです。


 そんな次第で、3日の土曜日には校正紙を送り返す手続きをし、ホッとしたところです。今週に入って富士美術印刷さんが大忙しで注文に応じた手直しをしてくださっています。そして、来週にはその直した箇所を実際に見に富士美術印刷さんまで出掛けて最終チェックをしてくる予定です。それでも「こことここだけは…」という箇所が出てくるかもしれません。いえ、「福田さんのことだから必ず出てくる」
とチームリーダーの白石好男さんも富士美術印刷の担当者加藤陽子さんも大塚欣一さんも思っているに違いありません。そんなことから10月末発行と今までお知らせしてきましたが、そのために急いでしまうということがないように、少しゆとりをもって11月15日発行とするよう、丸善プラネットで取り計らってくれました。従って第四巻は11月になってから本屋さんに並びますのでよろしくお願いいたします。

 まだ本ができ上がっていないのに、すでにAmazonでも楽天でも本書が既に紹介されているのは大変ありがたいことです。

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234. リーメンシュナイダー写真集 第四巻 いよいよ最終段階に近づきました

2020年09月27日 | 日記

▶第四巻『完・祈りの彫刻 リーメンシュナイダーと同時代の作家たち』に載せなかった画像から。

 



聖血の祭壇より 聖血が入った十字架を支える天使
 ティルマン・リーメンシュナイダー 1501.04.15~1504/1505
 聖ヤコブ ルター派教区教会  ローテンブルク・オプ・デア・タウバー

 

▶第四巻『完・祈りの彫刻 リーメンシュナイダーと同時代の作家たち』の進捗状況

 現在、三校校正紙は校正の公文さんの元で最終的なチェックを受けています。もしかしたらもうデザイナーの石井さんの手に渡っているのかもしれません。あとわずかではありますが、見直す度に何かしらスペルミスや文言の手直しが入ります。私の入力段階で防げれば良いのですが、なかなかミス無しでは打ち込めず、ドイツ語講師のバールケ先生にも丁寧に見なおしをしていただきました。校正の公文さんには日本語の使い方も含めて詳しく見ていただき、ようやくほぼ校正の段階は終了に近づいています。これが終わったら富士美術印刷の試し刷りを見ながら色の打ち合わせをして私の仕事は終了! その日が待ち遠しいです。

 この半年間、ほとんど都心に出掛けることはせず、途中少しコロナ感染が下火になってきた谷間で急ぎ用を足しに2回ほど出掛けただけですが、今はまた感染者数が増えていて気がかりです。でも印刷会社までは極力日中の空いた時間を見計らって行ってきたいと思います。

 

▶ちょっと不思議なことがありました。

 前々回で紹介した表紙のデザインが決まるまでいろいろとやりとりがあったのですが、これで行きましょうと決めたのは9月15日でした。その翌日か翌々日、三津夫がツイッターのウェブサイトに『完・祈りの彫刻 リーメンシュナイダーと同時代の作家たち』が画像付きで紹介されていると教えてくれたのでした。一目見て「え~~~!?」と思わず叫んでしまいました。決まったばかりの表紙の画像がちゃんと出ていたからです。「猫の泉」さんという方のツイッターでした。第四巻の頁数まで出ているので余計「???」でした。今、その方のツイッターを辿って確かめてみたら紹介されていた日付は8月19日でした。表紙についてはアイデアを出してはあったものの、相談もきちんとしていない頃のものです。う~~~む。どうしてこんな内容までわかったのかしら? 恐らく丸善出版が宣伝のために情報だけは出してあったらしく(私は知りませんでしたが)、表紙のデータが出た後で画像だけ入れ直したのではないかと思われますが、どうなのでしょうね? それにしても何とも素早いこと。ツイッターってまだ恐れ多くてやったことがないのですが、すごいスピードで動いていくものなんだなと目が点になった体験でした。
 でもその猫の泉さん、どこのどなたなのかと不思議に思っています。

 では、また状況が動いたら書くことにします。いつも読んでくださってありがとうございます。

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229. ベルリンの新たな魅力 『鴎外の恋』のご紹介

2020年08月28日 | 日記

▶次回ベルリンに行ったら是非歩いてみたい…

 


六草いちかさんのご著書2冊

 

▶ひょんな出会いから「舞姫」へ

 何とか16回目のドイツへの旅をブログで書き終えようとしていた頃、わが家では鴎外の恋人とベルリンに関わる会話が頻繁に交わされました。それは、連れ合いの三津夫が「舞姫」フィーバーで大盛り上がりだったからです。彼のブログにも2回にわたって関係記事が書かれているほどです。
(三津夫のブログ 293, 295  https://blog.goo.ne.jp/engekikyoikuron


 私の方は旅のブログと併行して写真集Ⅳ『完・祈りの彫刻 リーメンシュナイダーと中世ドイツの作家たち』(10月末に丸善プラネットから刊行予定)の再校校正紙を確認するという大事な仕事があったため、三津夫より一足遅れてやっと『鴎外の恋』を読むことができたのでした。読み始めたら止まらないというのはこういう本のことを言うのですね。なぜこの本を手に取ることになったのかと言いますと、それはひょんな出会いからなのです。

 昨年11月に開催した「祈りの彫刻 リーメンシュナイダーを歩く」写真展でのことでした(ブログ194~200参照)。第22回日本自費出版文化賞の特別賞受賞のおかげで、12月になって日経新聞に私の記事が掲載され、写真展についても紹介されました。このあと日に日に訪ねてきてくださる方が増え、次第に何枚かパネルを買いたいという方も出てきました。その中のお一人がUさんでした。彼女はピアノの上に置いたアムステルダムの「受胎告知」を求められたのでした。これはリーメンシュナイダーが25歳頃の作品で、恐らく一番初期の作品といっていいでしょう。とても清楚なマリアと少年のような天使の表情には多くの方が目を留めてくださいました。このパネルをUさんにお送りしてからメールでのやりとりが始まり、彼女が支援している若いチェンバロ奏者、中川岳さんのコンサートをご紹介いただいてまたお目にかかるようになりました。私も中世の音楽の響きには憧れがあり、チェンバロの演奏を生で聴いてみたいと思って1月にコンサートに行ってみたのです。それは想像以上に素晴らしい音色で、このような音楽を写真展のバックミュージックに使いたいものだと感動しました。そして、東大在学中にヴュルツブルク大学にチェンバロを学ぶために留学したという中川さんの経歴にも興味を持ちました。Uさんのご紹介でこの日、コンサートが終わってから中川さんともお話を交わし、私の写真展動画にも中川さんが音楽を提供してくださるという幸運に恵まれました。ただ、残念なことに私のパソコンではボリュームを相当大きくしないとよく聞こえません。入れ方が悪かったのでしょうか。中川さん、ごめんなさい。

福田緑写真展「祈りの彫刻 リーメンシュナイダーを歩く」日本語版

リーメンシュナイダーの追いかけ人(びと)福田 緑です。 2019年11月23日から12月7日まで、おそらく日本で初めての“リーメンシュナイダ...

youtube#video

 


 そのUさんは私の写真展をお住まいの国分寺でも開きたいとあれこれ調べてくださって、3月には国分寺駅ビル内にある便利な会場で10月末~11月には開催する予定まで立てたのでした。ところが皆さまご存じのように日ごとにコロナの感染者が増えてきて、とうとうそうした催し物をすること自体が難しくなってしまいました。そのため、今は延期という状態です。Uさんと会う機会が増えて一緒にあれこれお話しするうちにお
友だちの六草いちかさんのことも折に触れて出てきていたのでした。そんな経過で、この『鴎外の恋』はいつか読んでみようと思っていた本だったわけです。Uさんとの出会いも、中川さんとの出会いも、また六草いちかさんとの出会い(まだ本の上でだけですが)も、リーメンシュナイダーが紡いでくれたご縁ですね。

 

 トップに載せた写真は、ベルリン在住の六草いちかさんが鴎外の恋人を追って2011年と2013年に書かれたご著書です。右の文庫本『鴎外の恋 舞姫エリスの真実』は今年文庫本になったそうで、こちらをまず購入しました。でも、あまりにも感動してその続きがどうしても読みたくなって、左側の単行本『それからのエリス』を図書館から借りたのです。近々返さなければなりませんので記念撮影をしました。

 

▶ベルリンの新たな魅力が見えてきました。

 ベルリンは私と三津夫にとってはまず「ボーデ博物館」なのです。
 ヴュルツブルクのフランケン ヴュルツブルク美術・文化史州立博物館(旧マインフランケン博物館)は世界一のリーメンシュナイダー所蔵館です。ヴュルツブルクはリーメンシュナイダーの工房があった町で、博物館には常時80体ほどのよりすぐりの彫刻が展示されていますが、恐らく世界で2番目(あるいは3番目? 収納庫にあと何体あるのかまではわからないので)の所蔵を誇るのがここボーデ博物館なのです。そのため10回近く訪れている博物館で、館長のジュリアン・シャプイさんには写真集第Ⅲ巻のご挨拶を書いていただきました。また、博物館島には超有名な博物館が目白押しで、毎回どこかに寄っています。同じベルリンにはケーテ・コルヴィッツの美術館もあり、ナチス時代のユダヤ人迫害に関する場所、例えばグリューネヴァルト駅のマーンマル17番線、ヴァンゼー会議記念館、プレッツェンゼー記念館、虐殺されたユダヤ人のための記念碑なども訪ねました。さらにナチスによるユダヤ人への差別プレートがあるBayerischer Platzにも行ってみました。80枚全部は見ることができませんでしたが、こうした加害の歴史をきちんと残すドイツの姿勢に敬服しています。

 でも、なぜか今までは森鴎外の記念館があることは知っていても行ってみようという気持ちにならなかったのです。興味の対象外だったということですね。それがUさんの引き合わせのおかげで、六草いちかさんのご本を読み、森鴎外も恋人エリーゼも私たちにとって一気に身近な人物となりました。六草さんがこのベルリンの町を駆け回って様々な資料を調査したエネルギーと時間は膨大なものだったはず。私などには想像できないほど偉大なお仕事です。ご自身のお仕事もありながら、そしてご家族もいながらのこのご研究はただただ「すごい!!」と言うしかありません。

 さらに驚いたのは、窮地に立たされたときに不思議と出会うという「墓地の彼女」の存在、またどん詰まりになったときの自分に問うことばの鋭さ、その結果得られたインスピレーションのすごさ、インスピレーションに突き動かされての行動力…。もう、ため息をつきながら頁をめくる手が止められませんでした。これはまさに映画になっても良い探求の記録だと思います。

 私も「リーメンシュナイダーの追いかけ人」は天から与えられた仕事という感じがしたことが何度かありますが、六草さんの偉業はまさにそれです。ここで詳細は述べません。関心を持たれた方は是非この本を実際に手に取ってみてください。ベルリンの地理にも詳しくなり、明治の時代の一端がわかり、それでも純愛を保ち続けた鴎外とエリーゼに拍手を送りたくなるのではないでしょうか。私たちも次の17回目ドイツの旅では必ずや二人の面影を追いかけながらベルリンの町歩きをしてみたいと思ってわくわくしています。

 そのためにも今のコロナ感染が落ちつき、遠距離への移動も許されるようになり、安心して旅に出掛けられる世界を一日も早く取り戻したいものですね。



友人宅の庭先の花 追記:名前を調べたところ、アストランチア「スノースター」とわかりました。

※このブログに掲載したすべての写真のコピーをお断りします。© 2015 Midori FUKUDA

 

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199. 日本自費出版文化賞 授賞式

2019年12月16日 | 日記

▶日本自費出版文化賞の授賞式に出席してきました。

 

◆12月15日は、ふた月遅れの日本自費出版文化賞 授賞式でした。

 私は今年、「祈りの彫刻 リーメンシュナイダー三部作」でグラフィック部門特別賞をいただき、昨日、授賞式に行ってきました。
  もともとこの授賞式は10月13日に行われる予定でしたが、大型台風で参加が難しい方も多く出たため延期となっていたのです。12月15日はリーメンシュナイダー写真展を終えたあとですので体調が気掛かりではありましたが、せっかくの機会なので参加することに決め、5分間スピーチにも挑戦してきました。

 今年はスクリーンに画像を出していただけるという連絡がありましたので、「祈りの彫刻シリーズ」の表紙を3冊分、表と裏と30秒ずつ出していただくようにお願いしました。これで3分間。続いてアムステルダムの「受胎告知」、クリーヴランドの「ヒエロニムスとライオン」を出していただき、合計4分。その中でアマチュア写真家のヨハネス・ペッチュからいただいた写真、クレークリンゲンのヘルゴット教会のマリア祭壇の話、写真集1冊目はヨハネスと娘の奈々子が写した写真で、当時日本にはなかった初めてのリーメンシュナイダー写真集を作ったこと、2、3冊目は自分で撮りためた写真を載せたこと、この20年間で自分で調査したドイツ国内406点の作品中約95%を見て回ったこと、3冊目にはリーメンシュナイダーと同時代の作家たちの写真も載せたことなど話していたら終了のベルが鳴りました。最後に「同時代の作家たちのもっと面白い写真も溜まっているので来年4冊目の写真集を作ります。自費出版で!」と締めくくりました。数秒オーバーだったでしょうか。席に戻ってしばらくは汗が止まりませんでした。


 他の方々のお話もどれも興味深かったのですが、特に大賞を受賞された写真集「NO NUKES ビキニの海は忘れない」の著者、岡村啓佐さんの話には深く共感しました。第五福竜丸以外の漁船も1000隻近く被ばくしていたこと、それを政府が長いこと隠していたこと、秘密条約で被ばくの補償額が大きく削られたこと、現在被ばくした方々の裁判支援をしながら撮影を続けておられることなどのあとに、日本政府が核兵器禁止条約を批准するまでがんばりたいと話されました。こうした社会的意義の大きな作品が大賞を受けることに自費出版文化賞の意味があると思いました。

※メモもせずに記憶した範囲で書きましたが、もしかしたら記憶違いがあるかもしれないことをお断りしておきます。

 

 自費出版文化賞の審査員には以前出版社で「売れる本」の編集を長年やっていた方々がいらっしゃいますが、揃って「売れる本を作らなければならないというのがストレスだった」と語られ、自費出版の一番の目的は「語りたいこと、訴えたいことがあって自腹を切ってでも作る本なのであり、売れるかどうかではない」ことが大変「気持ちが良い」とのことでした。そうだろうなぁと思いました。私も数社に掛け合って、どこも出してくれないのでリーメンシュナイダーの魅力を少しでも日本に広めたい、そのためには自分で写真集を作るしかないと思い定め、3冊も出してしまったのですから、老後の資金は相当減り続けています。でも、後悔はしていません。私の後半生はリーメンシュナイダーに捧げてできるところまで追いかけ続けますが、そうした道程の中でも同時代の彫刻家たちの魅力にも目覚め、取材を助けてくれる多くの友人、知人ができて彼らとの交流も人生をとても豊にしてくれていると実感しているからです。そんなことを振り返る良い機会となりました。

 

 ◆リーメンシュナイダー仲間を一人発見

  最初に授賞式があり、スピーチが始まる前に10分強の休憩があったのですが、何とお隣に座っていた瀧沢敬三さんから声をかけられ、彼もドイツを旅した記録を「西方見聞録 ー西ドイツ一周研究旅行・全記録1964.2.24-10.9」として自費出版、今回入選していたのでした。その旅で多くのリーメンシュナイダーをご覧になったそうです。リーメンシュナイダーの作品は遠くから呼びかけてくると仰っていて、これは先週終わったリーメンシュナイダー写真展に見えた方と合わせても、最長のリーメンシュナイダーファンのお一人と見受けられました。計算すると今現在でファン歴55年!? 20年の私から見たら大先輩ですね。私のスピーチ場面もスマホをお渡しして写していただいたのですが、どうしてもスマホから写真を取り出すことができず(^_^;)、ここにアップできません。でも瀧沢さんのスマホでも写してくださっていてご自身の見聞録と写真も送ってくださると仰っていたので、届いたらアップさせていただきます。集合写真はNPO日本自費出版ネットワークに近々アップされると思いますのでご覧ください。

ようやくアップできました。授賞式のスピーチをしている写真です。2枚とも瀧沢敬三さん撮影。

 

 最後に、富士フイルムグローバルグラフィックシステムズ株式会社からいただいた特別賞の記念品は、蒔絵のボールペンでした。美しい蒔絵が入った赤・黒・シャープペンシルの3本立てという機能的なペンです。大事に使わせていただきたいと思っています。ありがとうございました。

すてきな記念品でした。

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187. 写真展を開きます (4)チラシができました

2019年07月13日 | 日記

▶ようやくチラシができ上がりました。



◆6月26日の打ち合わせ
 この日はキックオフプラスのデザイナーさん、小松りょうさんから送られていたチラシ原案をプリントアウトし、皆で検討しました。AとBの二つの案が出されていましたが、トップに載せたようにクレークリンゲンのマリア祭壇をメインに入れたA案が好評でそちらを取りました。裏面はAとBの折衷案で工夫していただきました。細かな情報までしっかり入れていただき、私には到底できない色の配置と色使いで良いチラシが出来上がりました。印刷が思いの外早くできあがって、今日、7月13日に届きました。チラシの原稿が私のパソコンでは読み取れず、ようやくチラシそのものをスキャンして載せることができます。どうぞ、いち早くご覧ください。

 ギャラリートークは3回予定していますが、各回とも参加人数は40人となります。ご予約はメールでもギャラリーへの電話でも受け付けますので、よろしくお願いいたします。

※画像の大きさに制限があるようで、大きくしてもクリアに写りません。あしからず。詳細をお読みになりたい方は、メールをいただければお知らせいたします。

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186.写真展を開きます (3)ギャラリートーク

2019年06月17日 | 日記

▶︎写真展のギャラリートークにお2人のゲスト


2. Arnsteinのバス停


写真展のアクセントにギャラリートーク

 写真展は15日間の長丁場となります。私は原則毎日在廊する予定ですが、ここに素敵なゲストをお迎えすることで大きなアクセントになります。お一人目のゲストは185で書いたように武蔵大学教授の永田浩三先生です。「ドイツに行ってリーメンシュナイダーを直接見たい」と強く思っていらっしゃる永田先生。もしかしたら11月23日(土曜日)のギャラリートークまでにはご覧になっているかもしれません。

 そしてお二人目が若手の彫刻家、棚田康司さんです。彫刻家から見たリーメンシュナイダーについてお話が伺えたらと皆で盛り上がったのが4月の末。直ぐに私は心を込めてギャラリートークをお願いするお手紙を書き、メールに添付して田島和夫さんのお知り合いで棚田康司さんと連絡の取れる方に転送していただきました。すると、棚田さんから「感動しました。」という嬉しい承諾のお返事が届いたのです。棚田さんと、ギャラリートークの日程をご相談して、2週目に入る11月30日(土曜日)においでいただけることとなりました。

 そして最終日の前日、12月6日(金曜日)には、共同開催者でもある夫、福田三津夫(私とほぼ一緒に旅していますので)がその様々な思い出の中からあれこれおしゃべりをしてリーメンシュナイダーの魅力や旅の楽しさを語り合うというギャラリートークをもうけることにしました。


写真展のための次の大仕事
 さて、概略を相談して決めてきましたので、次の大仕事はチラシの作成です。自分なりにイメージはあるのですが、なかなかそれを表現しようとすると思うようにはいきません。どうしても長ったらしい文章になってしまったり、写真展のメインとしたいクレークリンゲンのマリア祭壇の写真は画素数が不十分でキリッとしないのです。大きめに拡大すればするほどぼやけてしまいます。何とかおよそのイメージを2~3まとめてからプリンターで打ち出して5月22日の打ち合わせに臨むことにしました。

 そしてもう一つ悩んだのは、自分の肩書きをどうしても「写真家」とは名乗れないことでした。写真展の案内を書くにも肩書きが必要となってきます。でも胸を張って名乗れるのは、やはり「リーメンシュナイダーの追いかけ人(びと)」だけなのです。

 こうして悶々とした挙げ句、打ち合わせでは、チラシはとても大切なものだからプロに任せてはどうか、写真家と無理に名乗らなくても追いかけ人でいいのではないかという結論になりました。夫とも相談をしてプロに任せてみることに決まり、チラシの構成はキックオフプラスの小松りょうさんというデザイナーさんにおまかせすることになりました。次のブログでは、できあがったチラシをご紹介したいと思います。

※このブログに掲載したすべての写真のコピーをお断りします。 2015 Midori FUKUDA©

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185. 写真展を開きます(2)写真展ができるものなのかしら

2019年06月03日 | 日記

▶︎私に写真展ができるものなのかしら


1. Annaberg-Buchholz St.-Annenkirche(ドイツ)



一体、私の写真展ができるものなのかどうか不安でした。

 とは言え、ギャラリー古藤でこんな素人の私が、まだまだ世に知られていないリーメンシュナイダーの写真展を開けるものなのかどうかととても不安でした。そこで、まずは面接という気持ちで12月中に一度ギャラリーで話し合いをすることになりました。取りあえず私の3冊のリーメンシュナイダー写真集を2部ずつ小さなキャリーバッグに入れ、伺いたいことをメモしてドキドキしながらギャラリー古藤に出向きました。来てくださったのは推薦人の木村まきさん、ギャラリー古藤のオーナーご夫妻、田島和夫さんと大﨑文子さん、そしてギャラリーの目の前にある武蔵大学で社会学部の教授をしていらっしゃる永田浩三さんの4人でした。田島さんも大崎さんもリーメンシュナイダーはご存じないとのことで、まずは写真集を見ていただき、一体こんなマイナーな彫刻家の写真展を開くことが可能なのかどうかとハラハラしながら反応を見ていました。永田先生は、リーメンシュナイダーのことは聞いたことはあるけれどあまりよくはご存じないようで、写真集を「いやぁ、面白いなぁ」とおっしゃりながらご覧になっていました。その永田先生の様子をご覧になって大崎さんも田島さんも表情が柔らかくなり、後半は具体的にいつなら写真展を開くことができるかという話し合いになったのです。
 ギャラリーは毎年のように定期的に入る催しも多く、空きがあるところは私の方にも様々な都合があり、ゆっくり準備する余裕をとって、このときには2019年の11月23日から12月1日までの9日間ということになったのでした。そこで1月にきちんとした打ち合わせをしましょうということになって、このときは解散しました。

 ところが、1月になって第1回目の打ち合わせの時に永田先生がますますリーメンシュナイダーにのめり込み、あれこれ本を持っていらしてから雰囲気が変わってきました。まず、23日の初日に永田先生がギャラリートークをしてくださるということになり、他にももう一度ギャラリートークを予定。2月、3月は忙しいので4月に第2回目の打ち合わせをしたときには、メディアにも紹介したいから展示期間を2週間に延ばしましょうということになりました。従って11月23日(土)~12月7日(土)の15日間と会期が変更になったのです。そしてさらに、棚田康司さんという彫刻家が「影響を受けたとするとリーメンシュナイダーだ」と言われたことが『私の美術漫歩』(若林覚著、生活の友社)に書かれていることがわかり、棚田さんにもギャラリートークをやっていただけないだろうかと話が盛り上がったのです。(続く)
※このブログに掲載したすべての写真のコピーをお断りします。© 2015 Midori FUKUDA

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184. 写真展を開きます(1)まきさんに勧められて

2019年05月21日 | 日記

▶︎まきさんに勧められて


1. Annaberg-Buchholzのマルクト広場(ドイツ)

*ご無沙汰していました。今後しばらくの間、記事に付ける写真は私がこの20年間に訪ねてきたリーメンシュナイダーや弟子たちの作品を歩いた<町、または村>と訪ねた<施設>をアルファベット順に紹介していきたいと思います。今までに載せた写真も場合によっては重複するかもしれません。

まきさんとは…

 昨年8月にリーメンシュナイダーを歩くシリーズの第三巻『新・祈りの彫刻 リーメンシュナイダーと同時代の作家たち』を出版してすぐに木村まきさんから「写真展をした方が良いと思います」と強く薦められました。木村まきさんとは、戦時下最大の言論弾圧とされる「横浜事件」の元被告人二人のうちのお一人、故木村亨さんのお連れ合いです。現在も木村亨さんの遺族として元被告の名誉を取り戻すべく国家賠償訴訟に奮闘しているパワフルな人なのです。


ギャラリー古藤(ふるとう)のオーナーに紹介されて…

 6年ほど前から清瀬・憲法九条を守る会に参加するようになったまきさんは、社会問題だけではなく美術全般にも非常に関心が高く、あちらこちらの会合や集会、展覧会に足を運んでいます。そのまきさんがリーメンシュナイダーの写真展をまずは練馬区にあるギャラリー古藤で開いたら良いのではないかと言うのです。彼女は横浜事件を通してギャラリー古藤とのおつきあいもあり、オーナーを紹介してくれると言います。ギャラリー古藤は福島原発の事故の後、毎年3月になると福島関係の映画を何本も上映し、監督の話を聞く機会を設けているので私もここ3年通っているところです。

 昨年(2018年)の10月24日。横浜事件国賠訴訟の2審判決が出されました。残念ながらまた敗訴。内容についてはここでは触れませんが、国の横暴な対応には傍聴する度に腹が立ちます。その後の集会にギャラリーのオーナー大﨑文子さんも永田浩三さんもいらしていたのでした。いつもなら、まきさんはたくさんの支援者と話があるので私は先に失礼していたのですが、この日は「一緒に帰りましょう」と声をかけられ、彼女を待っていました。するとまきさんがお二人と一緒に出てきて歩きながら私を紹介して引き合わせてくれたのでした。

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152. 3冊目の写真集 ▶︎お礼の旅に出かけます。

2018年09月05日 | 日記

▶︎お礼の旅に出かけます。


秋の日のフランケン博物館 2016年11月


 台風21号が昨日から今朝にかけて日本を駆け抜けていきました。

 今年の夏は大変な酷暑に台風に大雨にと、特に西日本はダメージを受けることが多く、胸が痛みます。まだ停電している家庭も多くあり、暑い中でクーラーもかけられず、調理もできず、どのように過ごしているのだろうと思いつつ、明後日からの旅の準備をしているのですが…。

 今回でドイツへの旅は15回目になります。途中少しベルギーやオーストリアにも足を伸ばし、夫の好きな祭壇を見て回ることにしています。ただ、メインの目的はお世話になった方々に『新・祈りの彫刻 リーメンシュナイダーと同時代の作家たち』を手渡すことです。皆さんがどんな表情でこの本を開くのか、楽しみなような怖いような気持ちでいますが、その様子は10月に帰国してから、また旅行記の中でお知らせしたいと思います。

※このブログに掲載したすべての写真のコピーをお断りします。© 2015 Midori FUKUDA

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151. 3冊目の写真集 ▶︎反応の3回目です。

2018年09月02日 | 日記

▶︎反応の3回目です。


 

ムクゲの花

 


 🍀 松本晃一さんより

 いち早く感想を寄せてくださったのはドイツ語留学時代に知り合った松本晃一さんです。リーメンシュナイダーの追いかけの旅をいつも応援してくださっています。ときには私が見ていない作品を、留学先からわざわざ出かけていって撮影し、送ってくださったり、博物館の館内表示を写してくださったりした恩人です。今までのリーメンシュナイダー写真集 第一巻、二巻ともドイツのご友人にプレゼントしてくださっている方です。

※文章の一部を省略させていただきました。


 [第一信]

  ヴュルツブルクのフランケン博物館とベルリンのボーデ博物館の写真も、さりげなく挿入されていますが、素敵な雰囲気ですね。

  各作品の写真の出来栄えはどれもそれぞれにたいへん素晴らしいですが、作品の全体像も正面ばかりでなく、さまざまな方向から(背面からさえも)撮られているし、また部分のクローズアップも丹念に添えられていて、緑さんが伝えたいと思われた意図がよく伝わってくるようで、見入ってしまいます。

   第一巻から第二巻、そして今回の第三巻と、写真集作りとしてじつにすばらしい進化を遂げてこられたと感じます。 これらを道案内として、これまで見たことのある作品ももう一度、そしてまだ見たことのない作品を訪ねて、私もあらためて歩いてみたいと思わせていただいています。

 「まえがき」に記してくださっていますが、リーメンシュナイダーの同時代の他の作家の作品も、こうして見せていただくとそれぞれに大きな魅力をたたえていますね。代表的なものを紹介してくださり、私どもの目を見開かせていただいて、おおいに感謝申しあげます。そして、そのご努力について緑さんを促し、つねに勇気づけてこられたというご夫君に、私からも感謝を申しあげたい気持ちでおります。

※晃一さんの感想がとても嬉しくて、すぐに返信し、「三津夫もこの写真集の中に背景の一部として3カ所写っているんですよ」と教えて差し上げたところ、次のような返信がすぐに届きました。皆さんは見付けることができるでしょうか?


[第二信]

 先ほど私からお送りしたメールで、以下のようなことを書き落としていました。

 各作品の写真の中にさりげなく写りこんでいる、展示室の諸設備や、他の作品や、作品自身の影や、人影なども、作品の雰囲気をいっそう盛り上げているように思われます。

 そうです、そうです、ご夫君も、写真の大事な登場人物ですね。3回…、はい、わかりました。(このあとの答えは秘密。皆さんも探してみてください。

  この素晴らしいご本は、また当市の図書館にもぜひ、蔵書に加えるよう要望を出すつもりでいます。 

晃一さん、ありがとうございます。このように地元の図書館にも要望を出していただけると大変ありがたいです。現在、『祈りの彫刻 リーメンシュナイダーを歩く』、『続・祈りの彫刻 リーメンシュナイダーを歩く』は全国の公立・大学図書館で190館前後入れていただいています。そうしたところでは可能性も高いかもしれません。東京都の図書館には9月2日現在で6冊入っています。段々増えていくと嬉しいです。


※このブログに掲載したすべての写真のコピーをお断りします。© 2015 Midori FUKUDA

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150. 3冊目の写真集 ▶︎反応の続きです。

2018年08月29日 | 日記

▶︎反応の続きです。


ムラサキシキブ(コムラサキ)、再び


 反応で一番気がかりだったのは、提供をお願いした画像が満足いただけるような印刷に仕上がっているかどうかということでした。画像を提供してくださったのは、ブラウボイレン修道院、ヴォルフガング教会、ウルム博物館と修復士のユルゲン・ホルシュタインさんです。


🍀 ヴォルフガング教会には旅の日程がきつくて寄るゆとりがなく、本をお送りしました。すると、以下のようなメールが届きました。

 Sehr geehrte Frau Midori Fukuda,

 Ihr Buch ist bei mir angekommen – recht schönen Dank dafür.    
 Ein sehr gelungenes Werk – beste Gratulation!
 あなたの本が届きました。本当にありがとうございました。素晴らしいお仕事にお祝い申しあげます。
                                                                                
 Solche Kunst in der Kirche, hat man früher, als „biblia pauperum“ (←辞書に出ていません。)
 „Bibel für einfache Leute“, solche die zum Beispiel nicht lesen konnten, genannt.
 こうした教会の祭壇(文化財)は、以前は「ビブリア・パウペルム(?)」といって、聖書の読めない一般の人たちに聖書の内容を伝えるために作られました。

 Nochmals, schönen Dank für das Buch,                          
 und mit besten Grüßen aus St. Wolfgang                        
  もう一度、本についてお礼申し上げます。
 聖ヴォルフガング教会より心からのご挨拶を送ります。

 Tomasz Klimek
 Pfarrer

 *クリメクさんが送ってくださった写真は本当に美しく、ミヒャエル・パッハー作の大きな祭壇を詳細な部分まで見られる質の高いものです。現在の日本でこのパッハー祭壇の平日、日曜日、祝日と表情の違う祭壇の全部の様子を載せている本はまだ見かけません。(全部見尽くしているわけではないので、もしあったらごめんなさい。)パッハーの彫刻家と祭壇画家としての力量がうかがえる素晴らしい写真です。是非手にとってご覧ください。撮影したご本人がこうして感謝のメールを送ってくださるというのは本当に嬉しい反応でした。これも富士美術印刷の方々のおかげです。


🍀 ブラウボイレン修道院には行く時間が取れるかどうかはっきりしていなかったので、やはり郵送しました。その反応は以下のメールです。

 

Liebe Frau Fukuda,

heute erwartete mich hier in unserem Klosterladen "ein Päckchen aus Japan".
Ich habe es ganz gespannt geöffnet und bin sehr begeistert von Ihrem schönen Buch.
Fantastische Aufahmen - ein wahrer Schatz!
Vielen herzlichen Dank! ........

 

Andrea Lonhard
Klosterladen und Kasse

 今日、修道院に着くと日本からの小包が私を待っていました。私はとても興奮してそれを開き、あなたの素敵な本に大変感銘を受けました。ファンタスティックな写真、素晴らしい宝ものです。本当にありがとうございました。(後略)

*このアンドレアさんは私たちが行ける日はちょうど休暇中だそうで、受付の人にフリーチケットを用意させておくので是非お越しくださいとメールをくださいました。


🍀 ウルム博物館はすぐ近くのホテルに日曜日から2泊することが決まっていました。でもエヴァ・ライステンシュナイダーさんは日曜日には出勤されていないだろうし、月曜日は休館日なので、お目にかかれるかどうかうかがうメールを送ったのでした。すると、火曜日の朝早くなら出勤しているので、門の脇のベルを鳴らしてくれれば会えますというお返事をいただくことができました。この日はシュヴェービッシュ・ハルに電車で向かうことにして朝早く出発する予定でした。でもせっかくのチャンスですので、シュヴェービッシュ・ハル・ヘッセンタール駅まで迎えに来てくれるマリアンヌに少し時間が遅くなることを了解してもらって、朝のうちお目にかかって本を手渡しすることにしました。

 

🍀 ホルシュタインさんの工房はローテンブルクの城壁に囲まれた町の内側にあります。以前そちらに伺って画像をいただいたので、今回も訪ねて手渡すつもりでご予定を伺っているのですが、まだお返事が届きません。そこで、あらかじめ本をお送りすることにして、もし当日いらっしゃるようだったら手土産だけお渡ししようと思っています。


※ このブログに掲載したすべての写真のコピーをお断りします。© 2015 Midori FUKUDA

 毎回このお断りを掲載するのは以前、友人が写った写真が勝手にGoogle画像頁に転載されていたからです。友人からは私のブログに載せる旨了解をもらっていますが、関係のないところにまで出ているというのは失礼なことです。画像はコピーできないように設定していますが、それでもコピーする人はするのだとガッカリしたため、しつこく書くようにしています。ご了承ください。

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149. 3冊目の写真集 ▶︎反応が届き始めました。

2018年08月22日 | 日記

▶︎反応が届き始めました。

 

ムラサキシキブ(コムラサキだそうです)が色づき始めました。


 『新・祈りの彫刻 リーメンシュナイダーと同時代の作家たち』は17日頃から店頭に並びました。皆さんの手に届くようになったことを嬉しく思います。

 私の手元には先月末に届きましたので、一足先に海外の美術館、教会、国内でお世話になった方々に贈呈本としてお送りしました。その反応がメールで届き始めています。少しずつ紹介させていただきます。


 Herr Franz-Georg Schaeben(オイスキルヒェンのフランツ・ゲオルグ・シェーベンさん)から
                                                                      2018.08.12

Sehr geehrte, liebe Frau Fukuda,
vorgestern erhielt ich von unserem Pfarrbüro die Nachricht, daß für mich
ein Päckchen aus Japan eingegangen sei.
Freudig überrascht habe ich selbiges in Empfang genommen und daheim
gleich ausgepackt. Welch ein Fleiß, Aufwand und eine Liebe stecken in
dieser Arbeit und ich glaube, es gibt kein zweites so umfangreiches und
vollständiges Werk über Riemenschneider und seine Werkstatt. Auch im
Namen unserer Pfarrgemeinde darf ich Ihnen ganz herzlich Dank sagen, daß
Sie unsere Madonna in Ihr Werk aufgenommen haben. Schade daß die Zeit zu
knapp war, um die Figur aus der Stele herauszunehmen. Aber wichtig ist,
daß sie im Gesamtwerk und -konzept erwähnt ist.


 一部の抜粋ですが、シェーベンさんは30頁に掲載した聖マルティン教会の管財人という立場にある方です。2013年2月の撮影当日も教会に駆けつけ、「三日月の聖母像」を小さな塔の扉を開けて撮影させてくださいました。塔から出せなくて申し訳ないが、マリア像はこの塔と一体化した作品となっているのでそれでいいとも書いています。撮影後、ご自宅に招いてくださってコーヒーをご馳走になりました。いかめしいお顔でしたが心根の優しい方だという感じがして、その後もお手紙のやりとりを続けています。最近は体のあちらこちらを悪くされ、昨年も何回か入院したと伺っていたので、万が一お留守で本が届かないといけないと思い教会宛てに送ったのでした。それで教会から呼び出されてびっくりしたと書いていました。

 私の本にこの聖母子像を取り上げてもらって本当に嬉しい、リーメンシュナイダーと工房の作品をこれほど熱心に手広く訪ねてまとめた本は他に見当たらないと書いてくださっています。ありがたいことばでした。

 私はマリアがキリストを抱くポーズに関心を持ち、『祈りの彫刻 リーメンシュナイダーを歩く』で一覧表を作っています(169頁)。その中でも22番目にこのマドンナを載せているのですが、キリストが腹ばいのポーズでマリアに抱かれているものは珍しく、是非見てみたいと思っていたのでした。もう一点、21番目に取り上げた聖母子像も同じようなポーズだったのですが、大戦で焼失してしまったと書かれていたので、現在私たちが「腹ばいでマリアに抱かれているキリスト」を見ることができるのはここだけのようです。  

※ このブログに掲載したすべての写真のコピーをお断りします。© 2015 Midori FUKUDA

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148. 3冊目の写真集 ▶目次

2018年08月04日 | 日記

▶『新・祈りの彫刻 リーメンシュナイダーと同時代の作家たち』の目次も載せておきます。

 どんな作家たちのどんな作品を掲載しているのか、ご覧ください。


友人宅に咲いていたアーティチョークの花、もう枯れましたが。


目次(作品部分のみ、ページ数を除く)

第Ⅰ部 リーメンシュナイダーを歩く  祈りの彫刻26点
       
ドイツ国内  Innerhalb Deutschlands
   *都市名のアルファベット順>作品名のアルファベット順

 Annaberg-Buchholz  アンナベルク・ブーフホルツ
   St. Annenkirche  聖アンナ教会
     1. Kanzel 説教壇
     2. Kreuzigungsrelief 磔刑レリーフ   
     3. Reliefs an der Empore (von insgesamt 100)
    2階席のレリーフ(100枚の一部)  

 Berlin  ベルリン                                                         
   Bode-Museum  ボーデ博物館
     4. Heiliger Diakon  聖助祭   
     5. Hirte aus einer Anbetung  羊飼いの礼拝
     6. Kreuzigung Christi  キリストの磔刑  
     7. Musizierende und singende Engel  歌い、演奏する天使  
     8. Trauernde aus einer Beweinung Christi  キリストの死を悲しむ人々 
     9. Trauernde Frauen aus einer Beweinung Christi  キリストの死を悲しむ女性たち  

 Eisingen  アイズィンゲン
   St. Nikolaus  聖ニコラウス教会
    10. Kruzifixus 磔刑像 

 Euskirchen  オイスキルヒェン
   Pfarrkirche St. Martin  聖マルティン教会
    11. Mondsichelmadonna 三日月の聖母子像 

 Fürstenwalde フュルステンヴァルデ
   Dom St. Marien  聖マリア大聖堂
    12. Epitaph Bischof Dietrich von Bülows  
      ビューロー家のディートリッヒ司教墓碑銘 

 Großlangheim グロースラングハイム
   Antoniuskapelle  アントニウス礼拝堂                      
    13. Tod des Heiligen Antonius Abbas  聖アントニウス・アバスの死 
   Katholische Pfarrkirchenstiftung St. Jakobus   聖ヤコブ教会
    14. Vesperbild  嘆きの聖母像                 

 Grünsfeld グリュンスフェルト
   Katholische Pfarrkirche St. Peter und Paul   聖ペテロ・パウロ教会
    15. Grabdenkmal für Dorothea von Wertheim, geb. Leuchtenberg-Rieneck
         ドロテア・フォン・ヴェルトハイム墓碑(旧姓ロイヒテンベルク・リーネック)
                                                     
 Hörstein  ヘルシュタイン
   Mariä Himmelfahrt マリア被昇天教会
    16. Anna Selbdritt 聖アンナ・ゼルプドリット像 
                       
 Karlstadt  カールシュタット               
   Katholische Pfarrkirchenstiftung St. Andreas   聖アンデレ教会     
    17. Kanzel  説教壇   

 Leipzig  ライプツィヒ
   GRASSI Museum für Angewandte Kunst  グラッスィ応用工芸博物館
    18. Heilige Katharina oder heilige Barbara
    聖カタリーナ、または聖バルバラ

 Rothenburg ob der Tauber  ローテンブルク
   Katholische Pfarrkirche St. Johannis 聖ヨハネ教会
    19. Kruzifixus 磔刑像 

 Schwäbisch Hall  シュヴェービッシュ・ハル
   Hällisch-Fränkisches Museum  ハル・フランケン博物館
    20. Wappenstein vom Haller Unterwöhrdtor
       ハル・ウンターヴェールト門の紋章 

 Würzburg  ヴュルツブルク                                                 
   Museum für Franken  フランケン博物館       
    21. Anna Selbdritt aus Kitzingen  キッツィンゲンの聖アンナ・ゼルプドリット像 
  22. Maria mit Kind  聖母子像
   Neumünster  ノイミュンスター
  23. Maria mit Kind  聖母子像 


ドイツ国外 Außerhalb Deutschlands 
                        
  Amsterdam, the Netherlands アムステルダム(オランダ)
   Rijksmuseum アムステルダム国立美術館  
  24. The Annunciation  受胎告知  

 Cleveland, the United States of America  クリーヴランド(アメリカ合衆国) 
   The Cleveland Museum of Art クリーヴランド美術館
    25. Saint Jerome with the Lion (From the former Church of St. Peter in Erfurt)
    聖ヒエロニムスとライオン(エアフルトの元聖ペテロ教会より) 

 Europa  ヨーロッパ                              
   X-Kloster  X修道院
  26. Kruzifixus  磔刑像  



第Ⅱ部 中世ドイツを歩く 祈りの彫刻 38点 
 *作者名はおよその生誕年順  作品名は所在地 (ドイツ国内>ドイツ国外) のアルファベット順


 Hans Multscher  ハンス・ムルチャー

   Berlin, Bode-Museum  ボーデ博物館、ベルリン
    27. Die Erhebung der Maria Magdalena
    天国に誘(いざな)われる聖マリア・マグダレーナ 

   Ulm, Museum Ulm ウルム博物館、ウルム
    28. Heilige Katharina 聖カタリーナ 
    29. Maria mit Kind (Bihlafinger Madonna)           
       聖母子像 (ビーラフィンガー・マドンナ)   


 Nikolaus Gerhaert von Leyden  ニコラウス・ゲルハルト・フォン・ライデン              

   Berlin, Bode-Museum  ボーデ博物館、ベルリン
    30. Dangolsheimer Muttergottesダンゴルスハイマーの聖母子像  
    31. Muttergottes  聖母子像 

   Frankfurt, Liebieghaus  リービークハウス、フランクフルト(マイン)
    32. Sibylle „Bärbel von Ottenheim“
    女預言者の頭部、いわゆるオッテンハイムのベルベル 


Michael Pacher  ミヒャエル・パッハー
 
   Berlin, Bode-Museum  ボーデ博物館、ベルリン
    33. König aus einer Wurzel Jesse  エッサイの根より生い出づる王 
    34. Trauernde Maria aus einer Kreuzigung Christi
    悲しむマリア(キリストの磔刑より)       

   Salzburg, Österreich, Franziskanerkloster  フランシスコ会修道院、ザルツブルク(オーストリア)
    35. Hochaltar  主祭壇 

   St. Wolfgang im Salzkammergut, Österreich, St. Wolfgang 
  聖ヴォルフガング教会、ザンクト・ヴォルフガング・イム・ザルツカンマーグート(オーストリア)
    36. Pacher-Altar  パッハー祭壇 

                                
 Michel Erhart  ミッヒェル・エアハルト
 
   Berlin, Bode-Museum  ボーデ博物館、ベルリン
    37. Enthauptung der hl. Katharina  聖カタリーナの斬首 
  38. Messe des hl. Papstes Gregor  グレゴリウス教皇のミサ 
    39. Maria mit dem Schutzmantel  庇護マントの聖母像 
    40. Thronende Muttergottes mit dem Kinde 王座に就いた聖母子像 

 Blaubeuren, Kloster Blaubeuren ブラウボイレン修道院、ブラウボイレン
    41. Hochaltar  主祭壇 

   Frankfurt am Main, Liebieghaus  リービークハウス、フランクフルト(マイン)
    42. Muttergottes  聖母子像             
    43. Zwei Prophetenbüsten 二人の預言者の胸像  

 Leipzig, Museum der bildenden Künste Leipzig  ライプツィヒ絵画美術館、ライプツィヒ
    44. Kniender König aus einer Anbetungsgruppe  三王礼拝より、跪く王 

   München, Bayerisches Nationalmuseum  バイエルン国立博物館、ミュンヘン   
    45. Hl. Johannes Ev.  使徒ヨハネ  
 
   Schwäbisch Hall, St. Michael  聖ミヒャエル教会、シュヴェービッシュ・ハル
    46. Kruzifixus  磔刑像  

   Ulm, Museum Ulm  ウルム博物館、ウルム
   47. Reliquienbüste der Heiligen Maria Magdalena, sogenannte „Schöne Ulmerin“
        聖遺物胸像、聖マリア・マグダレーナ、いわゆる「ウルムの美女」      

 Wien, Österreich, Kunsthistorisches Museum  美術史美術館、ウィーン(オーストリア)  
     48. Allegorie der Vergänglichkeit, sog. Vanitas-Gruppe  
        無常の寓意、いわゆるヴァニタスの群像  


Veit Stoss  ファイト・シュトース

   München, Bayerisches Nationalmuseum  バイエルン国立博物館、ミュンヘン   
    49. Geweihlüster: weibliche Figur mit zwei Wappenschilden
        二枚の紋章を持った婦人像のアントラー式シャンデリア 

   Nürnberg, St. Lorenz 聖ローレンツ教会、ニュルンベルク
  50. Englischer Gruß  天使の挨拶(受胎告知) 


 Meister des Kefermarkter Altars ケーフェルマルクト祭壇のマイスター
 
   Kefermarkt, Österreich, Pfarrkirche Kefermarkt  
   ケーフェルマルクト教区教会、ケーフェルマルクト(オーストリア)
     51. Hochaltar  主祭壇  


 Adam Kraft  アダム・クラフト
 
    Berlin, Bode-Museum  ボーデ博物館、ベルリン
     52. Wappenhaltendes Mädchen  紋章を持つ少女像  

    Nürnberg, St. Lorenz 聖ローレンツ教会、ニュルンベルク
   53. Das Sakramentshaus  秘蹟室             


 Ludwig Jupan und zwei weitere Bildhauer vor ihm
 ルートヴィッヒ・ユパンと、先に手がけた二人の彫刻家

    Kalkar, St. Nicolaikirche zu Kalkar カルカー聖ニコライ教会、カルカー
     54. Hochaltar  主祭壇 


 Hans Backoffen  ハンス・バックオッフェン

    Frankfurt am Main, St. Peter  聖ペテロ教会、フランクフルト(マイン)
   55. Kreuzigungsgruppe  磔刑群像 

    Mainz, Bischöfliches Dom- und Diözesanmuseum Mainz  マインツ大聖堂美術館、マインツ
   56. Kreuzigungsgruppe  磔刑群像       


 Hans Leinberger  ハンス・ラインベルガー           

    Berlin, Bode-Museum  ボーデ博物館、ベルリン
     57. Christus im Elend  苦悩するキリスト
     58. Muttergottes  聖母子像 

    Moosburg, St. Kastulus Münster  聖カストゥールス大聖堂、モースブルク    (原稿では前頁)
   59. Leinberger-Altar  ラインベルガー祭壇          

  München, Bayerisches Nationalmuseum  バイエルン国立博物館、ミュンヘン
     60. Hl. Anna Serbdritt  聖アンナ・ゼルプドリット像 
     61. Hl. Magdalena  聖マグダレーナ 
     62. Heiliger Jakobus oder Jodokus  聖ヤコブ、またはヨドクス 
   63. Maria mit Kind, wohl aus einer Gruppe der Anbetung der Könige
       恐らく三王礼拝より、聖母子像  


 Hans Loy  ハンス・ロイ           
 
    Niederrotweil, St. Michael 聖ミヒャエル教会、ニーダーロートヴァイル
     64. Hochaltar  主祭壇  


※ このブログに掲載したすべての写真のコピーをお断りします。© 2015 Midori FUKUDA

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147. 3冊目の写真集 ▶まえがき

2018年08月02日 | 日記

▶「まえがき」を載せておきます

 

 

エバーグリーン(エバーフレッシュ、アカサヤネムノキとも呼ばれる)の蕾


 

 エバーグリーンの花 今年はたくさん花が咲きました。

 

  本が届いてから友人・知人へのお知らせをしようと動き始めたのですが、どんな内容の本なのかわからないままでは、なかなか関心もわかないだろうと思い直し、今回は『新・祈りの彫刻 リーメンシュナイダーと同時代の作家たち』の「まえがき」を載せることにしました。
 


まえがき
                                                  

 2016年秋、14回目に訪れたドイツで、今まであまり重要視してこなかったティルマン・リーメンシュナイダーの徒弟、ペーター・デル(父)(Peter Dell der Altere)や、リーメンシュナイダー周辺作家、フランツ・マイトブルク(Franz Maidburg)、また同じ頃に中世ドイツを生きてきた彫刻家の作品や祭壇を見て回った。

 中でも印象に残った作品の一つにペーター・デル(父)のアンナ・ゼルプドリット像(43~46頁)がある。リーメンシュナイダーは聖アンナが大きく膝を開いて座り、その膝に娘の聖母マリアと孫のイエスがちょこんと座っている像(63~65頁)を彫っているが、このペーター・デル(父)の像はマリアとアンナがイエスをはさんで座り、ごく普通の家庭の団欒のような雰囲気を醸し出していた。マリアの表情はふんわりして可愛らしく、温かさを感じる。アンナといえば、町で見かけるおばあちゃんのようにせっせと孫の世話を焼いている。イエスも「ねぇ、ママ、このぶどう食べてもいい?」と、マリアに甘えているようだ。思わず微笑みがこぼれる作品だった。一方、リーメンシュナイダーのアンナ・ゼルプドリット像といえば、静かな中にも深い悲しみを湛えた表情が定番だ。それだけに、弟子の手になるこの像の持つ雰囲気に、ぐっと親近感が湧いてきたのだ。
 この作品はへルシュタイン(Horstein)という町のマリア被昇天教会にある。この像を見るために、フランクフルト(マイン)郊外に住むトーマス・メスト (Thomas Most、20年来の友だち) は2014年にも車を走らせ、最初の情報で得ていた聖ヴィルゲフォルティス礼拝堂を探してくれた。ようやく探し当てた礼拝堂は、小さな野原の真ん中にひっそりと建ち、長いこと締め切られたままのように古びて無人だった。この日は中に入るのを諦めて帰ってきたのだったが、「この中に本当に彫刻があるのだろうか」といぶかしんだトーマスは、その後、独自に調査をして現在この彫刻を保管しているマリア被昇天教会を突き止めてくれたのだった。こうして2016年にフランクフルトを訪ねたおりにトーマスの車でマリア被昇天教会に行き、普段は鍵のかかった小さな部屋の中に招き入れられ、この彫刻を自由に撮影させていただいたのである。ようやくこの作品にたどりつけた喜びはひとしおだった。

 また、ケルン郊外のカルカーにある聖ニコライ教会に入ったとき、あまりの祭壇の多さに圧倒された。中でも真っ正面に立つ主祭壇は人物と馬がひしめきあい、いななきさえ聞こえてきそうな迫力で、思わず時間を忘れて写真を撮りまくった。そのうちの1枚が前頁に掲載のものである。教会のパンフレットによると、祭壇は大小取り混ぜて10点もあり、主祭壇には212体の彫刻が刻まれているという。とても数えきれるとは思えないのに、根気よく数えた人がいたものだ。夫、福田三津夫は、『世界美術大全集14巻』(小学館)で岡部由紀子氏のドイツ木彫祭壇についての記述を読んで以来、ケルンまで行くことがあったら近くのカルカーにも足を延ばして是非この祭壇を見たいと言っていた。そのため、2016年に初めて旅のルートに入れたのだったが、非常に印象的な祭壇であった。

 私たちの旅は、フランクフルトのトーマス、ルース夫妻に報告をして締めくくるのが習いとなっている。トーマスの家がフランクフルト国際空港から車で30分ほどのところにあり、帰りがけに数時間でもいいから寄って欲しいと言われているからだ。彼の家でカルカー聖ニコライ教会の祭壇について話をすると、なんとカルカーはお連れ合いのルースの故郷だったことがわかった。二人は「今度お姉さんのところに行ったら、是非この教会を見てみなくちゃね」と目を輝かせていた。
       
                             
 リーメンシュナイダーのキリストはいつもやせ細っているが、ハンス・ラインベルガーの「苦悩するキリスト」(186~188頁)では筋骨隆々としてたくましい。そのガッシリとした足に私は見惚れた。リーメンシュナイダーの「悲しむマリア」(『祈りの彫刻 リーメンシュナイダーを歩く』59頁)は深い悲しみを湛えて静かに佇むが、ミヒャエル・パッハーの「悲しむマリア」(110~112頁)の後ろ姿からは荒野を吹き荒れる風の音が聞こえるようだ。そんな風の中を歩いて行こうとするマリアの凜とした強ささえも感じる。ファイト・シュトースの「二枚の紋章を持った婦人像のアントラー式シャンデリア」(159~160頁、裏表紙)は、当時サロンかレストランにかかっていたものだろうか。人々の会話を天井から眺めて愉しんでいるような表情がうかがえて面白い。
 こうした作品をいくつも見た体験から、リーメンシュナイダーの作品には深い感動を引き起こす力があるが、同じ中世ドイツの時代に活躍していた他の作家にもまた、それぞれの個性と魅力があるということに気づかされた。しかし、彼らの存在は日本ではまだ十分知られていない。ほぼ同時代にイタリアで活躍していたルネサンスの作家たち、レオナルド・ダ・ヴィンチ、ミケランジェロ・ブオナローティ、ラファエロ・サンティなどは大変有名で、日本で開かれる展覧会でも多くの観客を集めてきた。
「中世ドイツでも同じ頃にこうした作家があちらこちらで活躍して独自の作品を遺しているということを、もっと日本に知らせたいんだよ」
と、夫は何度も私に言い、だから3冊目の写真集をまとめてはどうかと促してきた。しかし、その都度「エネルギーがまだ湧かない」と答えていた私だったが、ようやくこの旅の半ばで「よし、まとめてみようか」という気持ちになった。リーメンシュナイダー、及びその関係者の作品のみに「必見」のラベルを貼ってまっしぐらに突き進んできた私に対して、三津夫は以前からもっと幅広い作家や絵画などに興味を持ち続けている。夫と一緒に旅する中で、私の作品を見る目も少しずつ広がってきたからに違いない。親切なドイツの友人・知人、私の意欲を引っ張り出してくれた中世ドイツの作家たち、そして誰よりも三津夫に助けられ、促されて、ようやくこの『新・祈りの彫刻リーメンシュナイダーと同時代の作家たち』を出版することを決意した。
                             
                                  
 本書は、中世ドイツの彫刻家、ティルマン・リーメンシュナイダーの作品を紹介した『祈りの彫刻 リーメンシュナイダーを歩く』(丸善プラネット 2008年)、『続・祈りの彫刻 リーメンシュナイダーを歩く』(丸善プラネット 2013年)に続く3冊目の写真集となる。本書にはリーメンシュナイダー、彼の工房、及びその弟子の作品のみならず、同時代のドイツを生きた彫刻家の作品も多数紹介している。

 私がリーメンシュナイダーを追いかけるきっかけとなったのは1998年のドイツ旅行だった。初めてドイツの地を踏んでからちょうど10年後に「祈りの彫刻の写真集を作る」というライフワークをスタートし、20年後にその締めくくりができたことを大変うれしく思う。どうか本書を手にされた方は、私たちとご一緒に中世ドイツの旅を楽しんでいただきたい。


 2018年8月
           福田 緑     

※ このブログに掲載したすべての写真のコピーをお断りします。© 2015 Midori FUKUDA

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