▶アルンシュタインまでの日帰りバス旅とヴュルツブルク
❤フランケン ヴュルツブルク美術・文化史州立博物館からの眺め 画面右下に見えるのは旧マイン橋
橋の奥に見える尖塔のある教会は、マルクト広場に建つマリア礼拝堂です。リーメンシュナイダーの騎士コンラート碑銘彫刻があります。
◆2019年8月8日(木)
今日はヴュルツブルク中央駅前のバスターミナルから、まずアルンシュタインに向かいます。宿を7時15分に出発し、小さなコロコロを持って歩いて約10分。バスは6番の発着所から7時37分に予定通り発車しました。車中は私たちだけでしたが、途中のリンパー・マルクトプラッツで9人の若者と地元の人が2人乗ってきました。アジア系の人が多いようです。でも次の停留場でみんな下りてしまいました。ほとんど貸し切り状態でアルンシュタインに到着。まだ8時20分頃と早く、空気もひんやりしています。
私がここに来るのは3回目、三津夫は2回目ですが、バスは帰りの便が不便なので、今回は待ち時間が長くても相棒がいるのは心強く感じます。同じ小川沿いでも歩く時期が違うと見える景色も変わるのでしょう、何だか本当にここの道で良かったのかなぁ…と不安を感じながら歩きましたが、左手に巡礼教会マリア・ゾントハイムが見えたときはホッとしました。
今日ここに来た目的は、ペーター・デル(父)の四聖人レリーフを見たときには周りの墓碑をじっくり見るゆとりがなかったのですが、そして多分じっくり見てもどの墓碑が誰の作かはなかなかわからないのですが、彼の手になる墓碑があったのを見落としていたことがわかったからです。せっかくだからもう一度訪ねてそれも写真を写してきたいと思ったのでした。それが、下の写真のルートヴィッヒ・フォン・フッテン墓碑です。ペーター・デルとしては珍しく動物と何かしている(何をしているんでしょうね?)天使が描かれていて面白かったのでアップで写してみました。
❤ルートヴィッヒ・フォン・フッテン墓碑 ペーター・デル(父)1546作 どうみても豚に乗っていますよね?
さて、目的は果たしたし、帰りのバスは11:37までないし、ゆっくりとバス停まで戻りましたが、途中で橋のたもとに池があり、鴨が泳いでいるのが目に留まりました。せっかくだから少し早いけど(まだ10時半頃だったでしょうか)ここでお握りを食べちゃおうかということになり、ちょっと寒かったのですがベンチで早お昼にしました。昨日の中火で炊いたご飯なので少し固いお米が混じっています。そこに1人の婦人がやって来たら鴨がサーッと彼女の方に集まり、投げ込まれる餌を食べ始めました。彼女が去った後、三津夫が「この固いご飯を投げてみようか」と試してみたら鴨たちが寄ってきて食べるのです(写真・下)。それで、かわりばんこに固いところを彼らに食べてもらって無事お握りを平らげました。林檎も食べたし、お腹いっぱい。でも、よくよく見るとどうも鴨に餌をやらないでくださいという札が立っていたようです。ごめんなさい。
まだ時間はたっぷり。トイレに行きたくなってきたのでバス停からちょっと先まで歩いてみてカフェを見つけ、ここでコーヒーを頼みました。少し冷えた体にありがたく、時間も調整できて助かりました。コーヒー二つで4.5ユーロ。バス停まで戻って確かめると11:37発のヴュルツブルク中央駅バスターミナル行きが電子表示板にちゃんと出ていたのでホッとしました。直行で帰れるのは何としてもありがたいし安心です。他のバスは列車の駅に向かっていますので、切符を買い足さなければならず、バスでの往復ができるまで待っていたのです。
バスは時間通りにやってきて、私たちの他に2人の乗客が乗り込みました。三津夫が「帰りのバスに何人乗客が乗ってくると思う?」と聞くので、私が8人ぐらいというと彼は6人と予想。途中で9人乗ってきて私の予想が勝ちました。こんなことをしていると約40分のバス旅も退屈しません。
❤アルンシュタインの鴨
◆マリエンベルク要塞に久しぶりにバスで行きました。
確実に20回以上は来ているマリエンベルク要塞のフランケン ヴュルツブルク美術・文化史州立博物館。ペーターが昨年退職したこと、今は入院中であることから、本当に久しぶりでバスに乗って行きました。以前は旧市街から歩きで登ったことがありましたが急勾配で結構疲れるのです。今回はバス・トラムの一日券を持っていることですし、せっかくヴュルツブルク中央駅で下車したので、ちょうど止まっていたトラム(どこ行きかチェックし忘れましたが)の運転手さんに博物館まで行けないか聞いてみました。すると「これで一駅乗ってバスの7番に乗り換えなさい」とのこと。一駅というのはバルバロッサを通り過ぎた「ユリウス・シュピタル・プロムナーデ」で宿にも近いところでした。下車すると目の前に9番のミニバスがいたのですが、運転手さんが「9番に乗れ!」と言います。急いで飛び乗ったら日本人と他のグループが乗っていてほぼ満席。でもちょうど2人分空いていたので座りました。一般のバスは要塞の下のバス乗り場で下車するのだと思っていたのですが、このバスは城門もくぐり抜け、ほとんど博物館近くまで行ってくれました。これは楽です。普段なら7番のバスで要塞のふもとまで来るのでしょうけれど、多分8月という観光時期なのでこんなミニバスが走っていたのだろうと思います。次回違う季節になってもこの9番バスがあるのかどうか確かめてみたいと思います。
博物館の受付で重たい荷物を預け、三津夫が持って入ったペーター・デルの本を見せては「この作品はどこにありますか?」と聞きながら周ることの繰り返し。ところが私たちが見たいと思っているメダルと石の紋章はいくら探し回ってもどうしても見つかりませんでした。そのメダルとは「参事会員ヴィリバルド・フォン・レドヴィッツのメダル」です。2004年にこの博物館で大展覧会が開催されたときのカタログにはしっかり写真が載っていて、来る度に気にしてみていたのですがないのです。ペーターに聞くとあっさり「ないね」と返事が来たのであきらめていたのですが、ヴェニガーさんが関わった「ペーター・デル展」のカタログにはちゃんと写真が載っているのです。メダルは結局あきらめましたが、もう一つ、石の紋章のかけらもあるはずです。本を見せると館員さんは見覚えがあるのでしょう、「下の階にありますよ」と返事をします。下の階で聞き直すと「これはここにはないから隣の領主館博物館にあるはずですね」と言われます。そちらに回って受付で聞くと「あると思います。〇〇で聞いてください」と言われ、お金を払って入っても領主の衣類や宝物などで石の紋章はありません。結局全室見て回りましたが見付けられませんでした。途中、お年を召したベテランの監視員さんを見付けたので聞いてみたところ、やはりないとのこと。「暑いだろう? 窓を開けるから景色を見ていったら?」と窓を開け放ってくれました。確かに空気が通って涼しくなり、旧市街が一望に見渡せて気分が明るくなりました。それがトップと、下の写真です。普段上からは見ることのできない庭園もきれいな眺めでした。
リーメンシュナイダーの作品は今回はあまりじっくり写しませんでした。何しろリーメンシュナイダーの作品を世界一所蔵している博物館ですから、初めてだったら一日がかりでじっくりと撮影することになったでしょう。私は今まで何回も撮影してきているので、今回は見慣れた作品には挨拶だけして通り過ぎました。それでも、リーメンシュナイダー広間の手前で周辺作家の「マリアの死」、下の階に下りてペーター・デル(子)の作った墓碑を新しく見付けました。「マリアの死」は帰国後に博物館のリストに加えましたが、墓碑の方はリーメンシュナイダーの作品一覧に入れるかどうか悩んで、結局入れませんでした。世代が違うと作風も大分違いますし、リーメンシュナイダーとの直接の関係性もわかりませんし、私が勝手に周辺作家と決めるわけにはいかないなと判断したからです。
これだけ探し回っても見つからないのだから仕方がないねと、石の紋章もあきらめて外へ。あまりにも暑いし疲れたのでアイスクリームを買って食べました。バス乗り場まで行って見るとちょうど9番のバスがスタンバイ。ラッキーでした。時刻表では30分に1本あるようです。これでバッチリ宿のそばまで乗って行きました。宿にカメラを置き、一休み。その後、主食がなくなったので買い物に出ました。BIO Markt (有機食品の店)を京子さんと見付けていたので、そこでうどん(乾麺です)とソーセージ、ジュースなどを買って宿に戻り、つけうどんをこしらえましたが、やはり昨夕教えてもらったようにやっても強火にはならず、中火で長い時間煮てなんとか食べられるまでになりました。もうここでは料理ができないねと残念でした。上手に使えたら良かったのですが。
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