新・旅日記 No.6 2009年冬の旅
親切なインフォメーションセンター
ニュルンベルクに着いた翌日は、月曜日でゲルマン国立博物館はお休み。それで近郊の小さな村にある教会に行くつもりでしたが、ホテルのすぐ前にインフォメーションセンターがあったので便利な切符はないか尋ねてみることにしました。翌日はもう一つの村に行くつもりでしたが、窓口の女性は、「明日は地下鉄がストライキなので動きませんよ」と教えてくれました。この親切な女性に出会わなかったら次の日に地下鉄に乗ろうとしてどんなにショックだったことでしょう。
何にしても、この日一日しか近郊まで動けないとなると、この日のうちに2カ所回ってしまわなければなりません。それで1日切符を買いました。いちいち切符を窓口や自販機で買うのは列に並んだり、時間も手間もかかったりして大変なのです。9.2ユーロでしたが、2カ所回るし、バスにも乗るので元は充分取れそうです。
2つ目の目的地、クラインシュバルツェンローエの諸聖人教会は普段は人がいないので近くの人に鍵を開けてもらうのですが、この電話番号をシルヴィアが調べてくれていたのです。日本でいろいろ調べても私にはたどり着けない情報でしたので本当に助かりました。ホテルに戻ってすぐに電話をしてみたところ、この日の午後2時頃なら都合が付くとのことで、お願いしました。
すぐにも出かけないと2カ所回るのは大変です。お昼も食べる場所や時間があるかどうかわからないのでリンゴとパンを急ぎバッグに詰め込みました。まずはヘロルツベルクへ向かって出発です。経路はニュルンベルク中央駅→ニュルンベルク・ノルトオスト駅→ヘロルツベルク駅。乗り換えた後の列車は2両ですが新しくてきれいな車両で、トイレも付いているので安心です。教会の多くにはトイレが無いからです。地図をプリントアウトしてきているので、駅からは間違えずに着くことができました。徒歩で約20分の聖マティス教会にはリーメンシュナイダー初期の磔刑像がありました。静かな教会でじっくり拝観し、撮影させていただきました。
ヘロルツベルク駅まで戻り、列車を待つ間にリンゴとパンで昼食。ホームには屋根が無く、小さな風よけはあっても寒風が吹きすさび、とても寒かったのを憶えています。ブーツを履いてきたのは正解でしたが、ホッカイロも持ってくれば良かったと後悔しました。今度はニュルンベルク中央駅を通り越し、地下鉄でフランケンシュトラーセまで行きました。ここからはバスと検索では出ていたのです。ここでの待ち時間も寒いこと! 651番のバスに乗りましたが、アナウンスが無かったのでメモを運転手さんに見せて諸聖人教会で下車したいと知らせておきました。
バス停のすぐ目の前に小さな古い教会があり、迷う余地はありませんでした。でも約束の2時までにはまだ間があります。しかもどこも寒かったのでトイレに行きたくなってきました。教会の周りにはトイレはありません。近くに喫茶店もスーパーも見当たりません。すこし歩いてみるとガソリンスタンドがありました! ここでトイレを使わせてもらってからちょっと小物を買い、教会に戻りました。教会前で2時10分まで待ってみましたがどなたも現れないので電話をかけてみました。するとすぐ前の家のドアが開き、「今行くから」と地元のおじ様が合図してくれました。ホッとして待っていると鍵を開け、電気を付けてくれました。三脚を使っても良いかどうか尋ねると黙って頷くのですが、何だか寡黙な方でした。私が一生懸命撮影している間、彼は黙ってみていましたが、最後に絵はがきと教会のパンフレットを買いたいと話すとすこしほぐれた表情で持って来てくれました。料金と献金を渡したところ、彼の手で献金箱に入れて終了。この日はリーメンシュナイダー初期の有名な作品を2点見ることができて充実した日となりました。
<写真32> 磔刑像 <写真33> 使徒離別祭壇
Kruzifixus Apostelabschiedsaltar
Tilman Riemenschneider, 1485 Tilman Riemenschneider, 1491
St. Matthäus, Heroldsberg Allerheiligenkirche, Kleinschwarzenlohe
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