りとるぱいんわーるど

ミュージカル人形劇団“リトルパイン”の脚本の数々です。

“ジョニー・クラウン” ―全9場― 4

2011年08月31日 17時29分10秒 | 未発表脚本

 

         音楽流れ、ジョニー語りかけるように歌う。

         “生きると言うことは
         誰もが望んで止まないこと・・・
         少しでも望みが叶うかも知れないなら
         努力してみようと思わないか
         生きると言うことは
         これから待ち受ける
         素晴らしい出来事に会いに行くと言うこと・・・
         誰もが望んで止まないけれど
         誰もが手に入れられるものでもない・・・”

   ジョニー「頑張ってみろよ・・・。手術して・・・元気になって・・・
         新しい自分に出会うんだ・・・。遊園地だけじゃない・・・
         スポーツだって、山登りだって・・・元気になれば、
         やれること、まだまだあるだろ?」
   ミシェル「・・・ええ・・・。プールで泳ぎたいわ・・・。マラソン大会に
         も出たい・・・何時も見学してたスポーツ大会で、皆の
         注目を浴びたいわ!!」
   ジョニー「生きたいと思うんだ・・・。(微笑む。)」

         ミシェル、スポットに浮かび上がり歌う。

         “生きると言うことは
         誰もが望んで止まないこと・・・
         少しでも望みが叶うかも知れないなら
         私 努力してみるわ!
         生きると言うことは
         誰もが望んで止まないけれど
         誰もが手に入れられるものでもない・・・
         だから精一杯頑張ってみよう
         生きたいから!!”

   ミシェル「分かったわ・・・私、帰る・・・。ジョニー・・・?(回りを
         見回す。)ジョニー?ジョニー!!(握っていた、
         ジョニーに貰った小さなキーホルダーを、見詰める。)
         ありがとう・・・私の・・・サンタさん・・・。」
 
         音楽盛り上がり、暗転。

    ――――― 第 8 場 ―――――

         スモーク流れ、舞台明るくなる。
         舞台中央に机が一つ。(1場のセット。)
         下手より、ジョニー登場。

   ジョニー「爺!!爺!!(裁判官を捜すように。)おい!いねぇ
         のか!!糞爺!!(突然、手首を押さえ。)いててて
         て・・・!!畜生!!分かったよ!!裁判官殿!!
         裁判官殿!!裁判官殿は、いらっしゃいますでしょう
         かねぇ!!(手首を摩って。)いってぇ・・・。」

         その時、上手より裁判官登場。机の後ろへ。

   裁判官「なんだ騒々しい・・・。」
   ジョニー「おお、来たな!!(手を差し出して。)これ、外せ!!」
   裁判官「外せ・・・?」
   ジョニー「いや・・・違いました!外して下さい!もう、やめた
         やめた!!俺は、いくら時間を貰ったって、“いいこと”
         なんてできる人間じゃねぇってことが、よぉく分かった
         んだ!!このまま地上で頑張ってても、人を助ける所
         か殺しちまうかも知れねぇからよ、さっさと地獄へ送っ
         て貰おうと思ってな!!」
   裁判官「・・・それはできないな・・・。」
   ジョニー「何でだよ!!俺が地獄でいいってんだろ!?早いと
         こ・・・!!」
   裁判官「間違いだったのだ・・・。」
   ジョニー「・・・間違い?何が!?」
   裁判官「おまえの名は“ジョニー・クラウン”・・・。」
   ジョニー「ああ、俺様は確かにジョニー・クラウン・・・。」
   裁判官「本当にここへ来るべき人間は、“ジョン・クラウニー”
        だったのだ・・・。」
   ジョニー「なんでぇ、名前違いか!(笑う。)そんなこと、どうでも
         いいから、早いとこ地獄へやってくれ!」
   裁判官「だから天国へも地獄へも、おまえは行けない・・・。
        おまえはまだ生きるべき人間なのだ。」
   ジョニー「生きる人間・・・?ちょっと・・・待てよ・・・。じゃあ何か?
         俺は、その“ジョン・クラウニー”とやらの身代わりで、
         ここに連れてこられた揚句、こんな時計まで着けさせ
         られて、“いいこと”なんて探しに地上へ送られたって
         のか!?」
   裁判官「・・・そう言うことだ・・・。」
   ジョニー「冗談じゃねぇ!!おい爺!!てめぇ、確りしろよ!!
         なんで俺がそんな野郎の代わりに、こんな痛いめまで
         しなくちゃならなかったんだよ!!じゃあ早いとこ、
         その“ジョン・クラウニー”とやらをここへ呼んで、俺を
         さっさと生きかえらせろ!!(何かに気付いたように。)
         え・・・?・・・ちょ・・・ちょっと待ってくれよ・・・。ジョン・・・
         クラウニー・・・?ジョン・クラウニーって言ったのかよ
         ・・・?」
   裁判官「そうだ・・・。」
   ジョニー「ジョン・・・ジョンが死んじまうってことか・・・?」
   裁判官「おまえが生きて、その人間が死ぬと言うことだ・・・。」
   ジョニー「ま・・・待ってくれ!!あいつは駄目だ!!あいつは
         たった一人のばあさんがいて・・・そのばあさんは、
         ちょっとばかし体が悪くて、それでもあいつは、その
         ばあさんと一緒に住めるようになる為に、一生懸命
         頑張ってるんだ・・・。そんな奴を死なせることはでき
         ないだろ・・・?あいつが死んじまったら、後に残った
         ばあさんはどうなるんだ!!第一、なんであいつが
         死ぬんだよ!!」
   裁判官「彼が腹部に受けた銃の掠り傷・・・ちゃんと手当せず、
        そのままにしておいた為に、それが悪化して亡くなる
        のだ・・・。」
   ジョニー「ああ、その傷なら俺も見たけど、もうすっかり良くな
         ってたぜ!!そんなので、あいつが死ぬなんて・・・
         !!そんなこと有り得ねぇ!!(何も言わない裁判
         官の顔を見て。)・・・本当なのか・・・?」
   裁判官「(頷く。)」
   ジョニー「・・・俺・・・俺を殺してくれ・・・。俺、生き返らなくて
         いい!!このまま地獄送りにしてくれ!!」      
   裁判官「何?」
   ジョニー「そのかわり・・・そのかわりジョンの奴は、連れて行か
         ないでくれ!!頼む!!あいつは本当に俺と違って
         いい奴なんだ!!俺が生きるより、何十倍も世間の
         役に立つ人間だ!!それに比べて俺は、身寄りも
         いねぇ、悪いことばっかやってきた、生きててもしょう
         がねぇ人間なんだ!!地獄の閻魔様も大喜びって
         やつだ!!(笑う。)だから頼む、爺さん!!あいつ
         だけは・・・!!」
   裁判官「・・・それはできない相談だ・・・。」
   ジョニー「なんでだよ、爺!!てめぇは俺に散々、偉そうなこと
         をぶっこいといて、俺にひでぇことをやらかしたんだろ
         !?一つ位、俺の言うこと聞いてくれたって、罰は当
         たらねぇ!!違うか!?そ・・・それによ・・・ほら!!
         今日はクリスマスだ!!俺も爺さんの間違いを、何
         も咎めたりしねぇ!!そのかわり、ジョンの命は爺さ
         んからのクリスマスプレゼント・・・ってことで・・・な?」
   裁判官「・・・戻りなさい、ジョニー・クラウン・・・。今直ぐ、地上へ
        舞い戻るのだ・・・。」
   ジョニー「い・・・いやだ・・・いやだ!!(机にしがみつく。)俺、
         かえらねぇ!!俺は地獄へ行くんだ!!絶対にかえ
         らねぇ!!やめろ・・・!!やめてくれーっ!!・・・
         やめてくれ・・・(段々、意識が遠退くように。)」

         ジョニー倒れ、スポットに浮かび上がる。
         そのまま、次景へ続く。

    ――――― 第 9 場 ――――― 

         静かなクリスマスソング流れ、舞台明るくなる。
         上手、下手より、人々登場し、其々何かの用事を
         持って、動いている。
         舞台中央、倒れているジョニーを、怪訝そうに見、
         ヒソヒソ話しをしたりする。

   女性「いやぁね、こんな所で・・・。折角のクリスマスだって言うの
       に。死んでるのかしら・・・?」
   男性「救急車、呼んだ方がいいんじゃないか?こんな寒空に、
       凍死してしまうぜ。」

         その時、ジョニー目が覚め、覗き込んでいる人々
         の、顔をぼうっと見回す。

   男性「生きてるぞ!」
   女性「なぁんだ・・・つまんない!」
   ジョニー「おら!!何見てんだ、馬鹿野郎!!(起き上がる。)」

         覗き込んでいた人々、悲鳴を上げて其々走り去る。
         ジョニー、ゆっくり立ち上がる。

   ジョニー「畜生、何だ!!人を化けもんみてぇに!!(くしゃみ
         する。)寒・・・。(身震いする。服を払ったり。何かに
         気付いたように、慌てて手首を見る。時計を外して
         みると、簡単に外れる。)・・・俺・・・生き返っちまった
         のか・・・。なんてクリスマスだ・・・。神様なんて、いや
         しねぇ・・・。(時計を見詰める。)何で俺が生き返んだ
         よ・・・!!何であいつが行っちまう・・・。何で世の中
         こんな不公平なんだ・・・。何でなんだよ!!(思わず
         座り込み、涙を堪え、地面を叩くように。)畜生・・・!!
         畜生!!(声を上げて泣く。)」

         その時、下手より嬉しそうにズボンのポケットに
         両手を突っ込み、スキップしながらジョン登場。

   ジョン「(ジョニーを認め。)あ・・・兄貴!!こんなとこにいた!!
        捜したんだよ・・・!何してるのさ・・・?」
   ジョニー「(顔を伏せたまま。)うるせぇ!!俺は今、感傷に浸っ
         て・・・!!(驚いたように、顔を上げる。ジョンを認め、
         腰を抜かしたように。)ジョ・・・ジョン・・・!?」
   ジョン「やだな・・・ど・・・どうしたんだい?そんな幽霊でも見た
        みたいに・・・。(笑う。)」
   ジョニー「お・・・おまえ・・・い・・・生きてんのか・・・?(ジョンの足
         を触ってみる。)あ・・・足がある・・・。」
   ジョン「・・・当たり前じゃないか・・・変だよ、兄貴・・・。」
   ジョニー「腹の傷・・・腹の傷は!?(立ち上がり、ジョンの服を
         捲くって見る。)・・・治ってる・・・。」
   ジョン「・・・言ったじゃない!あんな掠り傷、すーぐに治っちゃっ
        たよ・・・。」
   ジョニー「何で・・・?」
   ジョン「何で・・・って言われても・・・。生きてちゃ悪いかなぁ・・・。
        (ボソッと呟く。)そ・・・それより兄貴!!ミシェルの手術
        が、無事成功したんだ!!」
   ジョニー「え・・・?」
   ジョン「ミシェルのママの話しだと、後、一週間もすれば起き上
        がれるようになるんだってさ!!・・・よかったねぇ・・・。
        凄い生命力だ!!って、先生も驚いてたって!」
   ジョニー「(微笑んで。)・・・そっか・・・。助かった・・・か・・・。畜生
         ・・・。(嬉しそうに。)これで、何でも好きなこと・・・やれ
         っな・・・。スポーツ大会のスターだ!(笑う。)」
   ジョン「ど・・・どう言うこと・・・?(不思議そうに、ジョニーの顔を
        覗き込む。)」
   ジョニー「何で、すべて上手く納まったのか分かんねぇけど・・・。
         (天を見上げ。)爺さん!!あんたのお陰だろ!?
         ありがとうよ!!」 









  ――――― “ジョニー・クラウン”完結編へつづく ―――――







 ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪

   

    久しぶりに、ちょっと大人な作品を目にして、
    とても魅力ある人物を作り上げていく過程と言うのが、
    ものすごく面白いな・・・と、仕上がった人物を書きながら
    も感じた、昔作品掲載でした(^^)

 


                                 どら。











      http://www.geocities.jp/littlepine2005/ 

    http://blogs.yahoo.co.jp/dorapontaaponta

       http://blog.goo.ne.jp/axizgoo7227








“ジョニー・クラウン” ―全9場― 完結編

2011年08月31日 17時18分28秒 | 未発表脚本



         その時、くしゃみが一つ聞こえ、上手後方に裁判官、
         スポットに浮かび上がる。横に、天使が控えている。
         ジョニー、ジョン、楽しそうにふざけあっている。

   裁判官「(鼻を擦りながら。)やれ・・・風邪か?」
   天使「裁判官様・・・その眼鏡・・・レンズを入れ替えた方がいい
       んじゃ・・・」
   裁判官「・・・ふむ・・・。」
   天使「“ジョニー・クラウン”と“ジョン・クラウニー”のお次は、
       “ジョン・クラウニー”と“ジョー・ブラウン”を間違えたなん
       て・・・。」
   裁判官「(声を上げて笑う。)いやぁ・・・しまった、しまった・・・。」
   天使「笑いごとじゃないですよ!年齢も、“ジョン・クラウニー”の
       25歳と、“ジョー・ブラウン”の76歳を間違えるなんて・・・。
       確かに、目を細めて見ると似てるけど・・・。危うく、全く
       関係のない人間を、こっちの世界へ連れて来るところだっ
       たんだから!!」
   裁判官「やれやれ、好い加減な書類を作ってしまったわ・・・。
        (笑いながら、手に持っていた紙を破る。)作り損じゃった
        な。」
   天使「裁判官様!!」

         裁判官の豪快な笑い声で、裁判官、天使
         フェード・アウト。
         音楽流れ、ジョニー、ジョン楽しそうに歌う。

         “おなえと俺はいつでも一緒
         共に楽しみ 共に叱られ 共に歩いた仲間
         これからだってかわらねぇ”

   ジョニー「悪いことは卒業だ!これからは“いいこと”ってやつを
         探して生きていかなきゃあな!何時までも、餓鬼っぽ
         いことばっかやってると、怒られっちまうぜ。(笑う。)」

         “いいことなんて頭で考えて
         できるもんでもないけどよ
         ちょっとだけ回りを見れば
         すぐ手の届くところに落ちてる筈さ
         ただ気付かずに いつも
         黙って通り過ぎ
         ただ気付いても 態と
         黙って知らんふり
         それじゃあ生きてる意味がねぇ
         何も気張らなくたっていい
         ほんの少し自分じゃない他人のこと
         考えてみるだけでいいんだよ!”

 
         ジョニーとジョン、嬉しそうに、ふざけあいながら、
         彼方を見遣る。




           ――――― 幕 ―――――  











 ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ 



    それでは、ここで恒例の・・・
    次回掲載作品のご紹介をしておきたいと思います(^^)
    次回は、“地球外生命”的なお話しを一つ・・・。
    人形劇では絶対に表現できない、顔の表情や、登場人物
    達の行動を、是非想像してお楽しみ下さい(^^)v

    主人公の名前は“ブルー”と言いますが、“ブルー”と言う
    名前は、実は人形劇でも存在します^^;
    が、全くの別人です・・・(^_^;)


        


                                 どら。








   
      http://www.geocities.jp/littlepine2005/ 

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“ミリィの旅” ―全6場― 2

2011年08月31日 11時22分09秒 | 脚本


   
           “赤の国” リンゴ姫とじぃ。  ※


   
       ――――― 第 3 場 ―――――

         音楽流れ、下手よりリンゴ姫登場。
         続いてあたふたと、じい登場。

       コーラス“赤い国のお姫様は我が儘一杯”

         リンゴ姫、舞台中央で立ち止まり、両手を広げ
         赤いドレスを見せびらかすように歌う。

       リンゴ姫“赤い国では私が一番”
 
       コーラス“赤い国 リンゴ姫 我らが姫”

         リンゴ姫、じい上手へ去る。
         入れ代って、ミリィ、エメラルド王子、下手より登場。

  ミリィ「わぁ・・・何もかも真っ赤っかね・・・。ここが赤の国?」
  エメラルド「そうだよ。」
  ミリィ「この国じゃ、赤いブロッコリーとかあるのかしら・・・。(回りを
      見回して。)わっ!!本当にあった・・・。」
  エメラルド「ここの国は、サラッと通り過ぎよう・・・」
  ミリィ「待って!!もっと、ゆっくり色んな物が見たいわ!」
  エメラルド「(ミリィの手を引っ張って。)いいから、早く行こう・・・!」
  
  リンゴ姫の声「お待ちなさい!!」

  ミリィ「(回りを見回す。)」
  エメラルド「しまった・・・」
  
  リンゴ姫の声「私の国に、黙って入る不届き者は誰!?」

  ミリィ「この声は・・・?」

         上手より、リンゴ姫登場。   



  
        (左より)エメラルド王子・ミリィ・リンゴ姫。


  
  リンゴ姫「私の国に入る者は、赤いドレスに着替えなさい!!」
  ミリィ「わぁ・・・真っ赤っかのドレス・・・」
  リンゴ姫「あなたも着るのです!!」
  ミリィ「(聞いていない風に。)目がチカチカするわ。ねぇ、エメラルド
      王子。」
  リンゴ姫「・・・エメラルド王子・・・?」
  エメラルド「ミリィ!!(小声で。)その人には係わらない方がいい。
         早く、通り過ぎよう・・・」
  リンゴ姫「何故、エメラルドが私の国にいるのです!!緑の国の
        者が、一体何の用があって、私の国に来たと言うので
        しょう。時と場合によっては、ただでは済まされませんわ
        !!」

         その時、上手より慌ててじい、走り登場。

  じい「リンゴ姫様ー!!」
  リンゴ姫「まあ、じい。何をそんなに慌てているのですか?」
  じい「リンゴ姫様!!そんな緑の国の者と、気安くお話しになって
      はなりませんぞ!!じいの目の黒いうちは、他の色の国の
      者と、話しをするなんてことは許しませんからの!!」
  リンゴ姫「ホッホッホ・・・、分かっています、じい。心配には及びま
        せん。この者達に、早く赤の国から出て行くように、命令
        しているのです!!」
  エメラルド「早く行こう、ミリィ!!」
  ミリィ「どうして・・・?」
  エメラルド「ミリィ?」
  ミリィ「どうしてエメラルド王子は、あの偉そうなリンゴ姫やらと、仲
      が良くないの?」
  エメラルド「そんなこと、どうでもいいじゃないか・・・早く・・・」
  ミリィ「よくないわ!!」
  リンゴ姫「どうしてだか、教えてあげましょうか?私はただ、赤以外
        の色が大っ嫌いなだけ!!」
  ミリィ「そんなの答えじゃないわ!!だって最初から可笑しいんだ
      もの。エメラルド王子の国は緑一色・・・本当は赤いトマトも
      緑・・・黄色いバナナも緑・・・。この国にあるのは、赤い色し
      たブロッコリー・・・。あのおじいさんだって“目の黒いうちは
      許しません”とかなんとか、すごく偉そう・・・。」
  じい「何ですと!?」

         音楽流れる。

  ミリィ「可笑しいわ・・・仲良くするのをすすめるなら兎も角・・・仲良
      くするだなんて。」
  リンゴ姫「こんな風になったのは、あなたの責任でもあるのよ。」
  ミリィ「・・・私の・・・?」
  リンゴ姫「そう!!あなたが、緑の野菜は嫌い、ピンクの洋服しか
        着ない・・・なんて、偏ったことを言うから、私達もそれに
        ならっただけ。」
  ミリィ「そりゃ・・・確かに今までは、緑の野菜は苦手だったわよ・・・
      。でも、これからは違うわ!エメラルド王子が教えてくれた
      の。緑の野菜には、お陽様の栄養が一杯詰まってるって。
      だからこれからは、何だって食べるわ!それに・・・同じ色
      だけだと、折角の色の良さが、分からないと思わない?赤
      いトマトの横に、緑のきゅうりがあった方が、お互いに美味
      しそうに感じないかしら・・・!」
  リンゴ姫「それは・・・」
  エメラルド「ミリィ・・・」

         ミリィ、歌う。

         “色んな色があるの
         私達の国には
         一つだけの色では良さは分からない
         皆で手を取り合い
         認め合って初めて
         そう お互いの色々良さが分かるの”

  リンゴ姫「・・・分かりました・・・。あなたがそう言うなら、私達も
        仲違いしている理由はありません。じい!!私の国も、
        門を開け放ちましょう!!」
  じい「リンゴ姫様・・・」

         嬉しそうなミリィ、エメラルド王子残して、
         紗幕変わる。     ※1

      ――――― 第 4 場 ―――――

         音楽流れる。

  ミリィ「よかったわね、エメラルド王子!!」
  エメラルド「うん!!」
  ミリィ「でも・・・さっきのリンゴ姫・・・変なこと言ってたわね・・・。
      色同士が仲良くないのは、私のせいでもあるって・・・。
      どうして・・・?」
  エメラルド「だから言ったじゃないか、ここはミリィの国なんだよ。」      
  ミリィ「・・・私の国・・・」

         エメラルド王子歌う。

         “君の思い心に刻み
         僕らはこの国に生きるいつも”

  エメラルド「グリーン!!」

         どこからともなく、グリーン飛んで来る。

  グリーン「どうしたんだ?エメラルド王子様!」
  エメラルド「グリーン!!僕の国の門を、大きく開け放して来て
         おくれ!」
  エメラルド「え・・・?そんなことをしたら、色んな色が入り込んで
         くるんじゃ・・・。」
  エメラルド「いいんだ!!僕らはもう、仲直りしたんだ!!ミリィの
         お陰で・・・。」

         ミリィ歌う。

         “私の思いいつも
         心に刻み生きる”

         ミリィ、エメラルド王子歌う。

         “思い溢れ心に感じ生きてく
         離れてても・・・”

  エメラルド「さあ、ミロを捜しに行こう!!」
  ミリィ「そうね!!」

       コーラス“誰の心にもある迷いの森”

  エメラルド「今から行く黒の国は、一番やっかいだからね。」
  ミリィ「・・・やっかい?」
  エメラルド「さぁ、行こう!!」
  ミリィ「うん!!」

         2人、下手へ走り去る。

      ――――― 第 5 場 ―――――

  

         
       (前)ブラックタイガー、(後ろ檻の中)ミロ。



         紗幕開く。
         と、ブラックタイガー、後ろ向きに立っている。
         (後方、檻の中にミロ。)
         ブラックタイガー、振り返り歌う。

         “闇の国 黒
         俺様の国だ”

  ミロ「僕を出して!!僕をミリィの所に帰して!!」
  ブラックタイガー「(聞いていない風に。)おや・・・誰か来たようだ
             ・・・。」
 
         ブラックタイガー、檻の陰に隠れるように。
         下手より、ミリィ、エメラルド王子回りを見回しながら
         登場。

  ミリィ「何だか、いやな感じね・・・。(小声で。)ミロ・・・!!ミロ・・・
      !!(捜すように。)」
  エメラルド「(小声で。)ミロ・・・!!(捜す。)」
  ミロ「(気付いて。)ミリィ!!」
  ミリィ「ミロ!!(檻の中のミロに気付き、駆け寄る。)ミロ!!
      大丈夫!?あなた・・・どうして、そんな真っ黒な服着て
      るの!?」
  ミロ「だって、そこの人が着ろって・・・」
  ミリィ「え・・・?(恐々と振り返ると、ブラックタイガーが立って
      いる。)」
  ブラックタイガー「よぉ。(手を上げる。)」
  ミリィ「・・・あなたね・・・。よくも弟のミロを・・・。ミロを今すぐ、檻の
      中から出しなさい!!」
  ブラックタイガー「いやだね。」

         ブラックタイガー歌う。

         “闇の国 黒
         俺様の国だ”

  エメラルド「ブラックタイガー!!ミロを出してやるんだ!!」
  ブラックタイガー「エメラルド・・・何でエメラルドが、俺の国にいる
             んだ!!」
  エメラルド「ブラックタイガー!!仲直りしよう!!他の国の皆
         とは、これからは一緒に色んな色を混ぜ合って、素敵
         な国を作ろうって言ってるんだ。だから君も・・・」
  ブラックタイガー「冗談だろ!?」


  
         


         ブラックタイガー歌う。

         “闇の黒だから
         おまえらと違う”

         エメラルド王子歌う。
 
         “皆で手を取って 仲良くすればもう
         どんな国だって 素晴らしい夢の国”

  ブラックタイガー「そんな色とりどりの国に・・・俺様の黒が、どこに
             入る余地があるって言うんだ!!笑わせるな!
             !」
  エメラルド「そんなことないよ!!」
  ブラックタイガー「煩い!!おまえらに、真っ黒な俺の気持ちが
             分かるか!!」
  エメラルド「それは・・・」

         ブラックタイガー歌う。

         “いつだって1人だ
         黒い色は独りぼっち”

         エメラルド王子歌う。

         “なくてはならない色!!”

         ブラックタイガー歌う。

         “あってもなくても一緒!!”

         エメラルド王子歌う。

         “どんな色も”

         ミロ歌う。

         “大切な色”

         ブラックタイガー歌う。

         “俺様の黒”

         音楽変わる。(紗幕閉まる。)










          門を開けようとしないブラックタイガーですが、
          黒は仲間にはなれないのでしょうか・・・。
          完結編へ続きます・・・。

       

  










  ※ この“じい”さん、いつもの見慣れたおじいさん人形に、
    赤いベストを着せています。多分、最後にベストを脱いで、
    再登場する為に、脱ぎ着できるベストにしたと・・・(^.^)
    舞台写真では、よく分かりませんが、赤いベストを着た
    おじいさん、可愛いんですよ♥

  ※1、この作品は、写真でも分かるように、3種類の紗幕を
    使用しています。(後にも先にも、紗幕3枚と言うのは、
    この作品のみです・・・^^;)なので、“開ける”“閉める”
    だけでなく、“変わる”も登場します(^_^;)





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   (どら余談^^;)

   ここ最近、以前書いた作品を読みまくっていたのですが、
   分かったことが・・・(^_^;)
   人形劇脚本では女の子が・・・舞台脚本では男の・・・子・・・
   人(?)が主人公になる作品が多いのです。舞台脚本に
   限って言えば、ほぼ100%に近い確率で、主人公は男の人
   だったのです~(>_<)・・・全部、読み直した訳ではありませ
   んが・・・。
   
   書き易いのは、女の子が主人公の作品なのです、実は・・・。
   でも、多分舞台脚本を書いていた頃は・・・大好きな“宝塚”の
   影響が大であったのかな・・・と^^;
   だってどの主人公達も、自分で言うのもなんですが・・・^^;
   無茶苦茶カッコいい人ばかりなのです~・・・♥
   
   人形劇では、見た目が女の子のお人形の方が可愛いのと・・・
   声が自分・・・の為^^;つい、女の子をセンターに・・・と、なる
   のです~。でも、極力、等しい割合で性別の入れ替えをする
   ようにはしているんですけどね(^^)vだって、見る子達も半々
   ですもんね(^^)来年作品は、2:2・・・になる予定です。
   飽くまで、よ・て・い・・・ですけど・・・^^;










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