長老の声「大きな声で呼ばなくても分かっている・・・。(声は幾
分若々しく聞こえる。)」
クルト「長老?」
舞台中央、後ろ向きに胡坐をかいて座った
長老で、フェード・イン。
クルト「(長老を認め、駆け寄る。)長老!!」
クルト、長老の様子が今までと少し違うのに
気付き、立ち止まる。
キャシー「どうしたの?」
クルト「長老・・・本当に長老かい・・・?なんか感じが・・・まぁ、い
いや!それより長老!!キャシーがとうとう最後の大木
の精に会うだけになったんだよ!!4つの石を集めたん
だ!!すごいだろ?」
長老「だが木の精は今までのように、すんなり石を渡さないぞ
・・・」
クルト「どうして?長老!木の精はどこにいるんだい?僕も今ま
で一度も会ったことがないから、案内係りの役目が果た
せなくって。(笑う。)長老は勿論、会ったことがあるんだろ
?キャシーに教えてやってくれよ!どこに行けば会えるの
か!!」
長老「(ゆっくり立ち上がる。呟くように。)ガタガタ煩い小鳥だ・・・
」
長老、今までのように曲がった腰ではなく、
背筋がすっくと伸び、若々しく見える。
クルト「長老・・・長老じゃない・・・?」
キャシー「長老じゃないって・・・誰なの?クルト!」
長老「(声を上げて笑う。)やれやれ・・・とうとう俺が相手をする
人間がここまで来たか・・・」
長老、振り返る。と、今までとは全く別人の
ように、険しい面持ちの若い妖精に変わっ
ている。(立ち上がる時、今まで着ていた
マントを脱ぎ捨てると、全身黒尽くめの衣装
に変わる。)
長老「今回、他の4人はこんな小娘に、すんなり石を渡し過ぎだ
・・・」
クルト「・・・木の・・・精・・・?」
長老「(ニヤリと笑って。)そう・・・俺がこの森の真の支配者・・・
大木の精霊だ!!」 ※
クルト「・・・長老は?」
長老「長老か・・・本当の長老なんて、この森には最初から存在
しないのさ!」
クルト「そんな・・・」
長老「長老なんて、おまえたちが勝手に作り上げた幻の年寄り
に過ぎないってことだ。」
クルト「嘘だ・・・嘘だ!!冗談言うなよ!!」
クルト、長老(木の精。)に食って掛かる。
長老「煩い!!(払い除ける。)」
クルト、倒れる。
キャシー「クルト!!(駆け寄る。)」
クルト「(再び立ち上がって、長老に掴み掛かる。)嘘だ!!長
老が本当に存在しなかったなんて嘘だ!!」
長老「いつまでも煩い小鳥だ・・・。その口を黙らせてやる!!」
長老、クルトに向かって魔法をかけるように
指を差し出す。と、クルト、苦しそうに跪き
倒れる。
クルト「長老・・・」
キャシー「クルト・・・?クルト!!(クルトを抱き起こす。)クルト、
どうしちゃったの!?確りして!!(長老を見据えて。
)あなた、クルトに何をしたの!?」
長老「(笑って。)後、数分もしないうちに、クルトの命は終わるだ
ろう・・・。静かになるな・・・。」
キャシー「(クルトをそっと下へ下ろして立ち上がる。)どうしてそ
んな酷いことをするの!!」
長老「煩く俺に口答えするからだ。さぁ、おまえは俺の石が欲し
いんだろう?だが俺は他の精たちのように、簡単に石はや
らんぞ。どんな難題に挑戦してもらうとするかな。(笑う。)」
音楽流れる。 ※2
キャシー「・・・いらない・・・」
長老「ん?」
キャシー「いらないって言ってんのよ!!」
長老「・・・いらないだと?」
キャシー「そのかわりクルトを助けて・・・クルトを殺さないで!!
」
長老「二度と自分の世界に帰れなくなるんだぞ?」
キャシー「いいわ・・・それでも私は構わない!!初めて出来た
本当の友達なのよ!!(泣き叫ぶように。)」
キャシー、泣きながら歌う。
“願いのかわりに大切な者
返してクルトの命 引き換えに
初めて知った優しい心・・・
今まで気付かずにいた思いやり
教えてくれた優しい友・・・
今の私には願いは一つ・・・
クルトの命返してくれたら
他には何もいらない・・・”
長老歌う。
“おまえの望みはクルトの命
漸く気付いた大切な心を
願いのかわりに助けてと言った
優しさ初めて知った”
長老「おまえがいつそう言いだすのか楽しみだったよ・・・。それ
とも気付かずに終わるのか・・・。もしおまえが優しさを失っ
たまま、石を集めたところで、願いは叶うことはなかった・・・
。人として一番大切なことを忘れたままで・・・」
キャシー、何かに気付いて、持っていた
袋を見ると、袋の中が光り輝いているのが
分かる。
キャシー「石が・・・?」
長老、歌う。
“返してやろうクルトの命
叶えてやろうおまえの望み”
本当「・・・本当・・・?」
長老「(優しく微笑んで頷く。)」
キャシー、長老に駆け寄り歌う。
“今こそ願い叶う
初めて知る喜び
立ち向かう強さと
守りたい友情
この溢れ返る思いは真実・・・”
長老歌う。
“返してやろうクルトの命・・・”
長老、クルトに近寄り手を差し出す。と、
クルトゆっくり目覚める。
コーラス“願いは全て叶う・・・”
キャシー「(クルトに駆け寄る。)クルト!!」
クルト「キャシー・・・!!」
嬉しそうに手を取り、見詰め合うキャシーと
クルト。その様子を微笑ましく見ている長老。
フェード・アウト。
――――― 第 6 場 ―――――
音楽流れ、フェード・インする。と、舞台中央に
キャシーとクルト、微笑み合っている。
クルト「ありがとう、キャシー・・・」
キャシー「ううん・・・私の方こそありがとう!あなたのお陰で、全
ての答えが見つかったわ!」
クルト「お別れの時が来たね。」
キャシー「クルト・・・(泣きそうになる。)」
クルト「泣かないで、キャシー!僕たちは全て君の作り出した想
像物だ・・・。だから会おうと思えば、いつでも会えるさ!!
君の心の中でね・・・。」
遠くで、母の声が聞こえる。
キャシーの母の声「キャシー・・・」
キャシー「(回りを見回して。)ママ・・・?」
クルト「さぁ・・・もう目覚めの時だよ・・・」
キャシー、微笑んで頷く。
キャシー「さよなら、クルト・・・(クルトに抱き着く。)」
クルト「さよなら・・・」
上手、下手より其々妖精(長老は木の精
ではなく、長老になっている。)他の出演者出、
キャシー、クルトの側へ。握手したり微笑み
合ったり挨拶を交わす。
全員登場したところで、皆で手をつなぎ、客席
への挨拶になる。
音楽盛り上がって、全員の合唱。
“今 優しい心が溢れ返り
全ての者が幸せを手に入れた
君たちの思い出と共に
二度と忘れはしない・・・
今ここで過ごした時の流れを・・・
何時までも・・・”
――――― 幕 ―――――
それでは、次回掲載作品の紹介をしておこうと思いま
すが、次回は最近書き始めた、この時期だから書きたく
なったお話・・・まだ途中ですので(・・・大きな声で言うと、
団員達から「こんな忙しい時期に!!先にやること済ませ
てから書きなさい!!」と、お叱りを受けるので、こっそり
と・・・^^;)主人公に誰を持ってくるか迷いつつ書き進め
ている・・・なので、無理矢理タイトルをつけておこうかな
・・・と思って考えた“古びた洋館の隠れた住人・・・”を、
ご覧頂こうと思います(^_^)v
何せ、公演準備を進めながら、団員達にナイショで・・・
ここに書いて“ナイショ”も何もないですけど・・・^^;
私に“書きたい”気持ちは止められない~・・・と言うことで
・・・お楽しみに~♪
※ 人形劇用の台本では、長老さんが変身(?)したところ
から、“大木の精”と書き換えていたのですが、舞台用
ではズーッと最後まで“長老”と書いています^^;
なので、なんだか読んでいると、エラク偉そうな長老さん
に感じますね~"^_^"
※2、この場面に流れる音楽は、決まったものがあるようで、
曲名が書かれていました^_^;
続く歌詞も、その音楽に合わせて書いている筈なので、
きっと読まれて「???」な感じに受け取れるような所
もあるかも知れないですね^^;
私も今度、CDでも借りて、合わせて聞いてみようと思い
ます(^。^)
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(おまけフォト^^;)
記念撮影で~す♪
まもなく公演する作品の、お人形や道具類を、
クローゼットから引っ張り出して、準備を進めようと
していたところ、お人形のあまりの多さに、ちょっと
記念撮影でもしてみようかな・・・と思い立った次第
であります(^.^)
上写真のお人形は、ほんの一部で、部屋の中には
この3、4倍ほどのお人形たちが、ところ狭しと転がっ
ている・・・公演終了までの、ただ今の我が家の状態
であります^^;
どの子が誰か・・・分かりますか~?^_^;
http://milky.geocities.jp/little_pine2012/index.html
http://ritorupain.blogspot.com/
http://blogs.yahoo.co.jp/dorapontaaponta