りとるぱいんわーるど

ミュージカル人形劇団“リトルパイン”の脚本の数々です。

“バーナード” ―全16場― 3

2012年10月23日 20時45分30秒 | 未発表脚本

        一時置いてジェラルド、ダイアナ、スティーヴ

         入って来る。

 

  ジェラルド「おい、シェイラ!何、呆っと突っ立ってるんだ!」

  シェイラ「あ・・・すみません・・・」

  ジェラルド「片付けだ!片付け!」

  シェイラ「・・・片付け?」

  ジェラルド「全く、上の奴らのやることはよく分からん!今日の

        会議は中止だとさ!一体、庶務課を何だと思ってや

        がるんだ。」

  スティーヴ「本当ですね、課長!」

 

         4人、机の上の書類を掻き集める。

         ダイアナ、そっとシェイラに近寄って。

 

  ダイアナ「さっきまで、ここにバーナードがいたでしょう?」

  シェイラ「え・・・?ええ・・・」

  ダイアナ「何してたの?(意地悪気に。)」

  シェイラ「・・・別に・・・」

  ダイアナ「私には教えられないって言う訳・・・?」

  シェイラ「・・・そんな・・・」

  ジェラルド「どうした?」

  ダイアナ「課長!シェイラったら今までここで、営業課のバーナ

       ードさんと2人っきりだったんですよ!怪しいと思いま

       せん?」

  ジェラルド「冗談だろ?(笑う。)あの営業課のエリートハンサム

        ボーイが、このシェイラと怪しい関係な訳あるかよ!」

  スティーヴ「(笑いながら。)当たり前だろ!(急に真面目な顔付

        きになって。)あ・・・まさか、おまえ・・・あのエリートボ

        ーイのこと・・・そうなのか!?ダイアナ!!」

  ダイアナ「煩いなぁ・・・そんなこと、どうでもいいじゃない!」

  スティーヴ「どうでもいいはないだろ!!俺はおまえに惚れてる

        んだから!!」

  ダイアナ「あああ、鬱陶しいなぁ・・・」

  スティーヴ「それはないぜ!!」

  ジェラルド「(笑いながら。)冗談はそのくらいにしろ!さぁ、行く

        ぞ!!」

 

         ジェラルド、ダイアナ、スティーヴ出て行く。

         シェイラ、うつむき加減に3人に続いて去る。

         暗転。カーテン閉まる。

 

       ――――― 第 6 場 ―――――

 

         カーテン前。

         ジャック、ポケットに手を突っ込み、ブラブラ

         歩いている。

         後ろからウォルター、追い掛けるように

         付いて出る。

 

  ジャック「(歩を止めて、前を向いたまま。)俺に何か用か・・・」

  ウォルター「あ・・・いや・・・」

  ジャック「何故、俺に付きまとう・・・」

  ウォルター「(ジャックに近寄りながら。)あの・・・ボールデン常

        務とは・・・その・・・いつから・・・」

  ジャック「(しらばっくれた風に。)・・・さぁ・・・(振り返って、ニヤリ

       と笑う。)何故そんなことを聞く・・・」

  ウォルター「・・・常務の命令で・・・今まで何人・・・手に・・・」

  ジャック「命令じゃない。これはビジネスの上での取引だ。俺は

       獲物が欲しかった・・・あいつは消して欲しい奴がいた

       ・・・」

  ウォルター「その・・・取引で・・・何人も・・・」

  ジャック「・・・さぁ・・・あいつとの付き合いは長いんでね・・・。何

       人か・・・なんてのは忘れちまったなぁ・・・。おまえもあ

       まり首を突っ込まない方が賢明だと思うがね・・・。俺の

       獲物にはなりたくはないだろう・・・?(笑う。)」

  ウォルター「(一瞬、体が強張る。)・・・それは・・・」

  

         ジャック、大声で笑いながら下手へ去る。

         入れ代わるように上手より、シンディ登場。

 

  シンディ「(呆っとしているウォルターに近寄り。)ウォルターさん

       ?どうされたんですか?」

  ウォルター「(振り返り。)あ・・・?シンディか・・・」

  シンディ「顔色があまり良くありませんわ。」

  ウォルター「・・・いや、何・・・たいしたことはないよ。シンディ、

         君は常務の秘書として勤務して、長いのかい?」

  シンディ「そうですわね・・・もうかなり長く経ちますわ。それが何

       か・・・?」

  ウォルター「その・・・君は、常務がどう言う人物であるかは、よく

         知っているようだね・・・。」

  シンディ「・・・ジャックさんのことですか・・・?」

  ウォルター「・・・まぁ・・・そう言うことだ・・・」

  シンディ「私は最初から、必要以上に常務のことを知ろうとは

       しませんでしたから・・・。」

  ウォルター「見て見ぬ振りをしてきたと言う訳か・・・」

  シンディ「あまり知ろうとなさらない方が、ウォルターさんの為だ

       と思いますけど・・・」

  ウォルター「今・・・ジャックにも同じことを言われたよ。そうする

         のがよさそうだな・・・」

 

         暗転。

 

      ――――― 第 7 場 ――――― A

 

         カーテン開く。

         フェード・インする。と、夕暮れ時の公園。

         木々がネオンに彩られ、仕事を終えた人々は、

         ゆっくりと家路につく。

         バーナード、下手よりゆっくり登場。続いて

         シェイラ、うつ向き加減に登場。

         擦れ違う女性達、バーナードに憧れの眼差し

         を向けるが、後ろのシェイラに気付くと、

         クスクス笑う。

         バーナード、そんな彼女達の反応に、溜め息

         を吐く。

         そんな2人の後を、隠れるようにしてジャック

         が付いている。

 

  バーナード「・・・あの・・・さ・・・シェイラ、どうしてコンタクトレンズ

         にしないの?」

  シェイラ「・・・眼鏡・・・変?」

  バーナード「あ・・・いや、似合ってるよ、すごく。だけど、コンタ

        クトもいいんじゃないかなって・・・」

  シェイラ「・・・でも・・・ずっと眼鏡しか・・・それに高いし・・・」

  バーナード「あれ・・・?この間してなかったかい?」

  シェイラ「いいえ・・・コンタクトは持ってないもの。」

  バーナード「だけど、あの日・・・確かに君は眼鏡はかけていな

         かった・・・」

  シェイラ「(微笑んで。)ひょっとして・・・先週の金曜日のこと?」

  バーナード「あ・・・ああ、そう金曜日!」

  シェイラ「あの日は偶々、社内で転んだ時、眼鏡をなくしちゃっ

       て・・・。あの後、何も見えなくてとても困ったのよ。(笑

       う。)」

  バーナード「それじゃあ・・・(少し考えるように。)」

  シェイラ「え?」

  バーナード「いや・・・(嬉しそうに。)俺がコンタクトをプレゼント

         するよ!!」

  シェイラ「・・・でも・・・」

  バーナード「さぁ、買いに行こう!!(シェイラの手を取る。)」

  シェイラ「あの・・・」

  バーナード「眼鏡なしの君が見てみたいんだ!!」

  シェイラ「・・・じゃあ・・・(眼鏡を外して、バックに仕舞う。)」

  バーナード「・・・シェイラ・・・(思わず呆っとシェイラを見詰める。

         )」

  シェイラ「バーナード?」

  バーナード「あ・・・矢っ張りそっちの方がいいよ!!・・・そうだ

         ・・・いいことを思いついた!!俺に任せてくれ!!

         」

  シェイラ「いいこと・・・?」

  バーナード「服を買って美容院に行って・・・」

  シェイラ「・・・え・・・?」

  バーナード「お金のことなら心配は無用さ!!(独り言のように)

         連れて歩くのに、恥ずかしい思いをしなくて済むん

         なら、安いものさ・・・」

  

         バーナード、先々進む。

         シェイラ、ウロウロとしながら木にぶつかり

         謝ったり、他の人の服を掴んで付いて行き

         そうになったりする。

         バーナード、呆れたようにシェイラを見て

         近寄る。

 

  バーナード「(ボソッと)先ず、コンタクトを買おう・・・(シェイラの

         手を取って歩き出す。)」

 

         バーナード、その時ジャックの存在に気付き

         立ち止まる。

 

  シェイラ「バーナード・・・?」

  バーナード「シェイラ・・・眼鏡をかけていいから、先に行って駅

         で待っててくれないか・・・?会社に大事な書類を

         忘れてきたようだ・・・」

  シェイラ「一緒に行きましょうか?」

  バーナード「いや・・・走って行ってくるから、君は先に行ってて

         くれ。」

  シェイラ「分かったわ。(バックから眼鏡を出しかける。)」

  バーナード「じゃあ、直ぐに追い付くから!(走って行きかける。

         )」

 

         シェイラ、下手へ去る。

         シェイラの後を付いて行こうと進み出た

         ジャックの前に、バーナード立ち塞がる。

         2人残してカーテン閉まる。

 

       ――――― 第 7 場 ――――― B

 

         カーテン前。

 

  バーナード「おまえは誰だ・・・。何故、俺達に付きまとう・・・?」

  ジャック「別にあなたに付きまとっている訳じゃあ、ありません

       よ・・・バーナードさん・・・。(ニヤリと笑う。)」

  バーナード「・・・どうして俺の名を・・・!?」

  ジャック「私はシェイラ・ハミルトンを殺る為に、あなたの上司に

       雇われた殺し屋です・・・。」

  バーナード「・・・殺し屋!?」

  ジャック「ただ今直ぐ殺す訳ではない・・・まだOKはもらってませ

       んからね・・・。楽しみですよ・・・。あんなに美しい女性

       を殺るのは、少々勿体無い気もしますが・・・」

  バーナード「・・・美しいだと・・・?」

  ジャック「隠さなくてもいいですよ。あなたも気付いた筈だ・・・。

       彼女はあんな格好をしてはいるが・・・しかし彼女は自

       分自身も気付いていない程の美人だと言うことを・・・

       (笑う。)」

  バーナード「それは・・・」

  ジャック「精々、生きている間に自分好みの女性に作り替え、

       楽しむんですね。それこそ男の究極の喜びと言うもの

       です。私自身もその方がもっともっと楽しめる。今でも

       腕がうずうずして困っているのですから・・・」

  バーナード「・・・今直ぐ殺さないと言った・・・何故だ・・・」

  ジャック「さぁ・・・私は言われた通りにやるだけですから・・・。

       あなたの上司は私を丸で犬か何かと勘違いなさって

       るんじゃないでしょうか・・・。今の私はご馳走を前に、

       お預け状態ですから・・・。(大笑いする。)」

 

         暗転。

 

     ――――― 第 8 場 ――――― A

 

         カーテン開く。絵紗前。(庶務課のオフィス。)

         其々始業前の時間を過ごしている。

         そこへジュディ、走り登場。

 

  ジュディ「ねぇ!!ねぇ!!見た!?見た!?(息を切らせて。

       )」

  フィービー「見たって何を?」

  ジョー「(楽しそうに。)どうしたんだよ、一体。そんなに慌てて

      ・・・」

  ハッティ「ジュディはいつもこうよ!」

  ジュディ「それがさっき、更衣室で見たことのない美人がいたか

       ら、“新入社員の方ですか?”って聞いたら、なんと!!

       」

  ビリー「なんと!?」

  ジュディ「シェイラだったのよ!!」

 

         一時置いて、一斉に大笑いになる。

 

  ジュディ「本当なんだってば!!冗談なんかじゃないのよ!!」

  ジョー「こりゃいいぜ、全く・・・。」

  ビル「一体、何を見たのかと思えば・・・」

  フィービー「そんな筈ないでしょ!!」

  ハッティ「あのシェイラが、美人な訳ないじゃない!!」

  ジュディ「でも、本当なんだから!!」

  ビリー「誰かと見間違えたんじゃないのか?ダイアナさんとか

      ・・・」

 

         ダイアナ、スティーヴ、近寄る。

 

  ダイアナ「私ならさっきからここにいるわよ。今の話し、本当?」

  

     

 

 

 

 

 

 

 

     ――――― “バーナード”4へつづく ―――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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