金美齢さん84歳。明日は今日より幸せ。
画像:金美齢さんの公式ホームページより http://www.kin-birei.com/
金美齢(きん びれい)さん。1934年台湾生まれの84歳。「台湾人であること」「女性であること」「結婚し子どもがいること」「高齢者であること」という4枚のマイナスのカードをプラスに変えてきました――という。
白髪のショートヘアとおしゃれなストールがトレードマーク,歯に衣着せぬ発言が痛快な著者。日本統治下の台湾に生まれ,留学先の日本で台湾独立運動に関わったことで帰国できなくなり,母国の独立を目指す日本での闘いを続けてこられた。『82歳。明日は今日より幸せ』では,波瀾万丈の半生を振り返りつつ,人生の幸福について語っておられます。
>>>今日よりは明日、明日よりは明後日と、何歳になっても一歩ずつ前に進んでいきたいと思っている
出典:『82歳。明日は今日より幸せ』 p222~p224
私は十年ほど前に、言ったことがある。「個人の生活は一〇〇点満点です。けれども台湾の問題が解決しないかぎり、本当の意味で一〇〇点満点ではない。もし、台湾の情勢が私たちの望むような状態になれば、私の人生は一〇〇点満点になるでしょう」
結婚をして子どもが生まれ、子どもたちも無事に独立した。だから個人の生活としては十分幸せで、一〇〇点満点だと思っていた。後は、台湾だけ。台湾さえ明るい道をたどってくれれば、真の幸せを味わえる。ずっとそう思っていた。そして今年、私はついに一〇〇点満点の辛せを享受した。
八十二年の人生を振り返ると、長いようであっという間に感じる。人生において、大きな幸せを感じたベスト3と言えば、一つ目は、ブラックリストが解除されて台湾の地を踏んだとき。二つ目口は安倍晋三氏が総裁選に勝ったとき。私は彼が勝つと信じて一生懸命背中を押していたので、安倍政権が再誕生したときは本当にうれしかった。そして三つ目は、今回の台湾の選挙での大勝利だ。
自分の力ではどうにもならない、天下国家の夢が叶うというのはやはり大きい。
世の中には、国というのは個人と対立するものだと考えている人がいるが、私はそうは思わない。独裁国家に生きている人間はそうかもしれない。かつての国民党政権の台湾と私たちはたしかに敵対していた。
けれども、民主主義の下で生きている人間にとって、国というのは自分だ。自分が国であり、国が自分なのだ。一人ひとりがそれを自覚し、自分が国に対して貢献できることをしっかり考えないと、決して幸せにはなれない。政治は、自分の人生と密接に関わり合っているものだ。政治に関心がないなんて言う人は、自分の人生と真剣に向き合っていないし、幸せになる道を閉ざしている。
自分が何か行動しても、世の中も政治も変わらないと思っているかもしれない。けれども、人生は一歩前進の積み重ねだ。
突然、空は飛べない。突然、頂上には立てない。何事も、すべては一歩足を前に出すことから始まる。一歩前へ進むのと、一歩後ろへ下がるのとでは、五年、十年経ったときに雲泥の差が生じる。だから、何かをするときに最初から頂上を見上げる必要はない。まずは一歩足を踏み出せばそれでいいのだ。
自分の能力が八〇だとしたら、次は八五のところを目指す。そうして少しずつ前進を続けることで、いつか一〇〇に到達できる。いきなり二〇〇は無理。そんなのは叶いっこないのだから、失望感が生まれるだけだ。だからまずは一歩前へ踏み出すこと。そうしたらその分だけ幸せになれる。それが幸せを手に入れるための、最も健全で、真っ当で、成功率が高い方法である。
そうやって、今日よりは明日、明日よりは明後日と、何歳になっても一歩ずつ前に進んでいきたいと思っている。
⇒⇒ 金美齢さんの公式ホームページ ⇒ http://www.kin-birei.com/
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