報道によると,日本航空の稲盛和夫名誉会長が3月末で取締役を退任するという。4月以降も名誉会長職は務めるが,経営には直接関与せず,経営陣への助言などにとどめる。
稲盛氏は2010年2月,会社更生法適用を申請した日航の再建のため,当時の民主党政権の要請を受けて会長に就任。公的支援で財務体質が改善した日航であるが,稲盛さんは「社員一人ひとりに経営者と同じ気持ちを持たせる」としフィロソフィ(経営哲学)の確立を行い,リストラを進めコスト意識を植えつけるとともに,1便ごとの収支を明確にさせる「部門別採算性」を導入し,コストダウンの徹底を図った。
こうして12年3月期には連結営業利益で2049億円と最高益を計上するなど,業績は急速に回復した。昨年9月には東京証券取引所第上部に再上場を果たしたことから,経営の一線から退く。当初から経営に携わる期間を就任から3年間としていた。
▼「稲盛批判」,「JAL批判」への猛反発
「稲盛氏の言動は宗教じみている」との批判も根強い。さらには,稲盛氏は「利益なくして安全なし」として安全より利益を優先する立場に立っていると,その経営姿勢を問題視する意見も根強い。
また,「JALは公的資金で新型機材(B787の導入)に投資している」との批判も出た。加えて,11年3月15日にJALが行った127億円の第三者割当増資のうち,稲盛氏が創業した京セラが50億円を引き受けたことについて「濡れ手に粟で未公開株50億円ゲット!JALを私物化する稲盛和夫会長の『強欲』 」(週刊文春,12年8月9日号)に見られる,不適切との指摘もある。こうした指摘・批判について,稲盛氏次のように反論している。
「京セラと言えば私というようになっているが,実際は今は給料も何ももらっていない,名前だけの名誉会長。京セラが50億円の増資に応じたというのは,現在の経営陣が決断したこと」と反論。
さらに,この増資をめぐっては,500億円を目標に数十社に対して打診したにもかかわらず8社しか応じなかったという経緯がある。このことから,稲盛氏は「京セラだけでなく,(出資した)8社は大同小異不安をいただきながら,『(震災前に)約束をしたんだからしょうがない』と出資をしていただいたものだと思っている。決して『儲かるからなんとか』ということでもって出資した会社は,おそらく1社もない」
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┗■ 「小善は大悪に似たり,大善は非情に似たり」--稲盛語録
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仏教用語で「小善は大悪に似たり,大善は非情に似たり」という言葉があります。小善は小さないいことです。目先の小さいことに同情して,結果的に相手をダメにするようなことがあってはならない。一方,本当の愛や慈悲の心は大善です。
本当の大きな善,つまり,こんなに人が苦しんでいるときに何と薄情な,と言われてしまうかもしれませんが,そういうときこそ相手に頑張って這いあがっていくことを求めていく。それが結果的に,その人のためになると思うんです。
だから,柔和な顔をしたお釈迦様の横には,仁王様のような怖い顔をした人がいるんです。経営者はそうした心構えで,いまの時代を生き抜くべきだと思います。
出典:『財界」2112/10/2 p27
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◆衆議院国土交通委員会2012年8月21日 -日本航空の再生問題に関する参考人質疑-
http://www.jalobkon.justhpbs.jp/news2012.8.22kokkaitvjal.pdf
▼稲盛流経営 バックナンバー
・稲盛和夫さんと逆境
・JAL再建そして稲盛流経営の光と影
・日航再生・稲盛和夫氏・2 JAL再建の原動力-『JALフィロソフィー』による意識改革
・日航再生・稲盛和夫氏・1 JAL再建の原動力-『JALフィロソフィー』による意識改革
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