うまい焼酎づくりに欠かせないのが良質の水と米,そして薩摩芋。鹿児島県伊佐地方(大口,菱刈)は,美味で知られる伊佐米の産地であり,清流,寒冷な気候など自然環境にも恵まれている。そんな恵まれた環境で生まれたのが『伊佐焼酎』。
伊佐の11の蔵元が協業組合として統一ブランド『伊佐錦』の大口酒造を,1970年に創業。大口酒造の創業時,ここの出身で直木賞作家の海音寺潮五郎(かいおんじちょうごろう)は,次のような賞賛の書簡をよせている。
「薩摩の焼酎は,日本一…,いな世界一である…。その薩摩焼酎の中で伊佐郡の焼酎を最上とするとは,鹿児島県内の定評である…。僕のふるさとの焼酎なのである」。
厳しくも優しいその味わいが,薩摩出身の文豪を魅了したのであろう。その銘酒,「伊佐錦」の書体もまた,海音寺潮五郎による。
1901(明治34)年11月, 海音寺は明治中期以後衰退した史伝文学の復興を目指し,多くの史伝文学を手がけた昭和の歴史文学の巨人である。代表作に上杉謙信の半生を描いた小説『天と地と』や『平将門』、ライフワークの『西郷隆盛』、評論『武将列伝』などがある。
また海音寺潮五郎は,親しく面倒を見ていた後輩の中から,3人の優秀な弟子を育てた。寺内大吉,胡桃沢耕史,そして司馬遼太郎の3人である。わけても司馬遼太郎を発見したことでも知られる。「もし路傍の私に、氏が声をかけてくださらなかったら、作家になっていなかったであろう」と司馬はつづっている。
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