(本稿は,2016-01-11 18:43投稿の第2稿)
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┃★┃ 京セラ名誉会長の稲盛和夫氏 鹿児島県民栄誉表彰
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鹿児島県の伊藤祐一郎知事は昨年11月16日,京セラ創業者で名誉会長の稲盛和夫氏(83)に鹿児島県民栄誉表彰を授与した。鹿児島県は表彰理由については,「国内外で人材育成などに取り組まれ,郷土愛に満ちた活動は県民に敬愛され,社会に希望と活力を与えている」としている。稲盛氏は鹿児島市出身。鹿児島市の森博幸市長も同日,鹿児島市民栄誉賞を贈った。
画像の出所:稲盛財団のサイトより http://www.inamori-f.or.jp/ja_topics_151116.html
ごてやん: 私を支えた母の教え | |
稲盛和夫氏は,7人きょうだいの次男として生まれた氏の「手がつけられない甘ったれで泣き虫」(ごてやん)だった幼少期から,強くたくましくそして優しかった母・キミとの絆を綴る。 政治もビジネスもすべては人が原点。そして,人を育てるのはまず「母親」だ。日本の未来を考えるとき,母が持つ意味がどれだけ大きいかを再認識してほしいという稲盛氏が数々のエピソードと共に綴る,世の「母という存在」への賛歌。そして,子どもたちに世代を越えて伝えたい,人の世の真理。 |
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小学館 1620円 |
>>> 『ごてやん: 私を支えた母の教え』の編集を担当した
小学館 出版局の下山明子さんは,次のように綴っています。
出典:「本の窓」小学館発行 http://bp.shogakukan.co.jp/mado/1601/edit.html
稲盛和夫さんは「経営の神様」と呼ばれ,国内外のビジネスマンから大きな尊敬を集める存在です。京セラ,KDDI(現au)の創業,近年では破綻した日本航空の再生など,社会貢献にもつながる大きな仕事で知られています。また,経営論のみならず,「人として正しく生きる」教え,またそれがすべての成功のもとであるという「フィロソフィ」を綴った著書も多く,ビジネスマン以外にもたくさんのファンを持っています。
「なぜ稲盛さんはこのような人物になったのか。人格者となるべき心を持って生まれたのか」という疑問を抱き,その答えにつながる鍵を見つけました。それは稲盛さんの母・キミさんでした。
キミさんは次男坊・稲盛少年を含めて七人の子どもを育てながら,鹿児島で小さな印刷工場を営む夫の手伝いもしていました。時は戦中戦後。食べるものにも困る時代,時には自らの着物をヤミ市に売りに歩いて,子どもたちのために米と交換してきたりしていたのです。体も小さく病弱であったキミさんのどこにそんなパワーがあったのか今でも不思議だ,と稲盛さんは述懐しています。
そんなキミさんが大好きで,いつも母の着物の裾にかじりついていたという,甘えん坊でわがままの次男坊。ごねることを鹿児島では「ごてる」といい,ごねてばかりで親を困らせる子どものことを「ごてやん」と呼ぶそうで,稲盛少年はまさにその「ごてやん」でした。しかし,キミさんは頭ごなしに子どもを叱ったり,勉強をしろと強制することもなかったそうです。それほど忙しかった,ということもあるかもしれません。
ところが,いつも優しく穏やかなキミさんが烈火のごとく怒ったことがありました。それは,稲盛少年が小学生だったころ。友達と喧嘩をして泣きながら帰宅したところ,玄関で待ち構えていたキミさんは「なんで泣いて帰ってくる。自分が正しいと思うなら,もう一回行ってこんか!」と言います。
キミさんは,稲盛さんが誕生する前,士族出身の人たちがそうでない子を差別するのを知ると,木刀を持ってその子と出かけていき,「身分で子どもを差別するとは何事か。出てこい! 私が相手になってやる!」と息巻いたこともあったそうです。
また,農家の親戚がやってくるとお金もないのに「全部いただきますよ」とすべての野菜を買い上げ,夫から大目玉を食らってもひるまなかったといいます。
キミさんが言葉ではなくその行動で子どもたちに見せた「利他」の心と「闘魂」。これはまさに稲盛さんの「フィロソフィ」の根底にあるものです。
八十三歳になった今も,一日に何度も「お母さん,ありがとう」「お母さん,ごめんなさい」とつぶやいている自分をかわいいと思う,と綴る稲盛さん。どんな子どもにも「家庭の温かさ」の中で育つ権利はある,という思いのもと作った児童養護施設「京都大和の家」に関しても,著書としては初めて触れています。私も編集作業に入る前に見学に伺いましたが,さまざまな事情で親と暮らせない子どもたちが施設のスタッフと本当の家族のように暮らしているのを見て,稲盛さんの思いがまちがいなく伝わっている,と感銘を受けました。
この著書の後半では,キミさんの教えと共に,これからこの国に住むすべての人が次世代に伝えていかなくてはいけない「人はどう生きるべきか」という重要な話を情熱的に綴っておられます。
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