マニュアルの作り方には,「こうすべきだ」,あるいは「こうしなければいけない」といった,普遍的な原理・原則・や定石は,ありません。しかしながら,マニュアルの作成目的や用途などを明確にすることなく,いきなりマニュアル作成に取りかかるのは,設計図なしに家を建てるようなもので無謀です。
役立つマニュアルをつくるには,「何のためにマニュアルを作るのか」,「マニュアルに求められる役割は何か」,「使用者ニーズは何か」といった,マニュアル作成の目的・ねらい,ニーズなどを確認・明確化したうえで,マニュアル作成に取りかかるようにします。
ここでは,マニュアル作成からその導入・定着までの手順を,企画~設計~制作~運用の4段階に分けて,各工程順に解説します。
・ | マニュアルの機能! マニュアルは,企業の事業目的の遂行とそれに伴う利益追求の実現に向け,「会社や組織の持つよき伝統,個々 の社員の持つ知識やノウハウといった暗黙知を組織ぐるみで共有・伝承していくための形式知(ドキュメント)。」・ ・ ・ |
3-1 企画工程
まず,マニュアル作成の目的,マニュアルに対するニーズを確認し,どのような開発体制でマニュアルを作るかといった開発方針を打ち出します。
企画段階での主な検討・確認事項は,作成目的, 使用対象者(読者)とそのニーズ,マニュアル体系,内容概要,制作体制,費用とスケジュールなどの,前提条件です。
①前提条件の確認
マニュアル作成の前提として,5WIHなどを使い以下の点を確認します。
・いま,なぜつくるのか:マニュアルの作成目的を確認する
・使用者(読者)の知識,技能,意識などの水準を確認する
・マニュアル対象業務の達成基準を明確に設定する
(達成基準や数値目標(ゴール)を設定する事で,業務遂行基準がより明確となる)
・使用者(読者)のニーズを把握する
・マニュアルには,どのような役割を持たせるかを設定する
・マニュアルの開発体制,予算,開発期間・納期
②マニュアルの体系化を検討する
一冊のマニュアルに,あれもこれもと数多くのことを詰め込むのは,内容構成上のみならず,ページ数も増えることから,取り扱い上からも好ましいことではありません。
そこでマニュアルの対象業務が広範に及ぶ場合や複雑な業務の場合は,作成目的や使用目的別にマニュアルの分冊化,マニュアルの体系化を検討します。
たとえば,業務マニュアル(業務処理要領)は,①業務処理要領,②業務体系図,機能情報間連図,③帳票集の3点セットとするのも一つの方法です。
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