地域産業の「現場」を行くー誇りと希望と勇気の30話-第6集 「未来」に向かう地域 | |
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新評論 |
『地域産業の「現場」を行く―誇りと希望と勇気の30話〈第6集〉「未来」に向かう地域』 (関満博著・新評論刊)は,地域産業としての農林水産業の成長の可能性を,現地取材に基づきレポートしている。この本では,鹿児島県の事例を5つ取り上げている。地域産業としての農林水産業のあるべき姿を考える上で,参考となる事例である。
今回は”第156話 鹿児島県日置市 小規模漁協が直売所,レストランを経営 - 年間5万人が訪れる「江口蓬菜館」”を紹介する。
江口蓬莱館 紹介VTR
第156話 鹿児島県日置市 小規模漁協が直売所,レストランを経営 - 年間5万人が訪れる「江口蓬菜館」
東シナ海に面する鹿児島県の小さな漁村で、漁協による漁村レストラン、水産物加工、水産物の 直売が取り組まれていた。新鮮な水産物が買えること、漁師料理を味わえることから人気を博していた。
近年、農廃物の減光所、農村レストランが各地で展開されている。この点、魚介類の直売、レスト ランを漁業者自らが直接展開しているケースは、まだあまりみかけない。獲れたての鮮魚、出来たば かりの干物などの加工品、飾り気のない漁師料理の提供は非常に魅力的な事業にみえる。鹿児島県日置市(旧東市来町) の小さな漁港で漁協による興味深い事業が推進されていた。
鹿児島県においては、ここで検討した江口漁協の「蓮菜館」 http://eguchihouraikan.com/ の成功が刺激となり、2011年6月現在、漁協が運営に携わる直売所が34カ所も確認されている。鹿児島の沿岸の漁港は零細なものが多く、市場流通に乗らないものがかなりあった。そのような未利用資源を有効活用し、新たな価値を生み出すものとして、直売、加工、レストランが注目されているのである。
全国の農産物直売所、加工所、農村レストランをみてきた身からすると、漁村の直売所、加工、漁師斜理レストランの可能性は非常に大きいと考えていたのだが、ここで検討した江口漁協と蓬莱館の事業は、その先駆的なものとして注目されるものであった。
出典: 『地域産業の「現場」を行く―誇りと希望と勇気の30話〈第6集〉「未来」に向かう地域』 p56~p62
>>>蓬莱館の概要
出典:http://eguchihouraikan.com/
施設案内
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地域産業の「現場」を行くー誇りと希望と勇気の30話-第6集 「未来」に向かう地域 | |
東日本を含む各地でいま,六次産業化・農水産物加工・農業経営の新たなうねりが生じている。その創造性に富む取り組みから,成熟社会に向けた勇気と指針を学びとる。第151話~第180話収録。 | |
新評論 |
『地域産業の「現場」を行く―誇りと希望と勇気の30話〈第6集〉「未来」に向かう地域』で は,主として全国の条件不利地域のこうした産業群の「現場」に分け入っていく。実はこれらの産業は従来「遅れた領域」とみなされ,戦後60年にわたる保護 政策の中にあったのだが,2000年を前後する頃から,優れた農・水・畜産物の直売,付加価値を高めるための加工,現場での体験を伴う魅力的な飲食機会の 提供など,興味深い取り組みが深く静かに実践されていた。それは「六次産業化」「複合経営」などと呼ばれ,20世紀後半型の「大量生産・大量流通・大量消 費・大量廃棄」モデルとは異なる,地に足の着いた産業と暮らしをめざす人びとの「自立」へ向かう取り組みでもあった。