テレビ東京で,3日放映の『未来世紀ジパング【日本の緑茶が世界で沸騰!】』」で鹿児島の製茶会社下堂園(しもどうぞの)http://www.shimo.co.jp/が取り上げられた。同社のオーガニック緑茶ブランド「KEIKO」がドイツで日本茶がブームもあって,健闘しているという。
ベルリンでは、日本茶の淹れ方を教えるセミナーが大人気。また日本茶を味わいながら仲間と時間を過ごすホームパーティもひそかなブームに。さらに日本の茶文化をドイツに広めようと奮闘するドイツ人もいる。ドイツ初の日本茶専門店を開き、抹茶の点て方までも普及させたいという。
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┗■ かごしまの製茶会社「下堂園」にみる時代対応戦略
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このブログでも,同社については,鹿児島の注目企業として時折取り上げてきた。本稿は,2011-05-28 21掲載の『かごしまの茶問屋「下堂園」にみる時代対応』を加筆・修正した第3稿である。
photoは,「下堂園」HPより転載
1954年創業の日本茶問屋「下堂園」( http://www.shimo.co.jp )。1954年,創業の日本茶問屋「下堂園」。鹿児島茶の販路拡大と深蒸し茶の製造技術確立に力を注ぎ,70年代初めには年商3億円の中堅企業にまで成長し,存在基盤(ドメイン)を確立した。
同社は農家との連携を図り,世界に通じる有機緑茶を開発。いち早くEUや米国に進出した今,同社は既に市場を切り開いた欧州連合(EU)や米国に続き,台湾やロシアへ,さらにはアジア圏やロシア市場への進出を視野に入れている。
◆下堂園の概要
・本社:鹿児島市卸本町5―18
・創業:1954(昭和29年) 資本金;2300万
*日経ビジネス09年10月12号「隠れた世界企業 下堂園」-p66に同社の足跡が紹介されている。
1990年(平成2年) | 9月 | 海外の国際見本市SIAL1990(パリ・国際食品展)に初出展 |
1991年(平成3年) | 2月 | 株式会社下堂園を設立 |
3月 | 包装工場及び冷凍冷蔵庫を新築 | |
9月 | 国際見本市ANUGA1991(ケルン・世界食品メッセ)に出展 | |
1992年(平成4年) | 3月 | 成分分析・新商品開発研究所を併設 |
9月 | 茶海外取引を開始(ドイツALLOS社) | |
1995年(平成7年) | 10月 | ヨーロッパにおける有機栽培茶に関しての認証を、ドイツの認証機関より取得 |
1998年(平成10年) | 2月 | 鹿児島県川辺町に関連会社、農業生産法人有限会社ビオ・ファームを設立 |
10月 | ドイツに現地法人・Shimodozonoインターナショナルを設立 | |
1999年(平成11年) | 8月 | 北海道帯広市に北海道営業所を開設 |
11月 | 現住所に本社ビルを建設し、本社機能を移転。 | |
2000年(平成12年) | 2月 | 本社ビル1Fにティースペース・ラサラをOPEN |
2001年(平成13年) | 3月 | 日本農林規格有機JAS認証を有機認証機関より認証取得 |
2002年(平成14年) | 4月 | 品質管理システムISO9001:2000、JISQ9001:2000を認証機関より認証取得 |
2005年(平成17年) | 4月 | 鹿児島市荒田にティースペース・ラサラ本店をOPEN |
11月 | 食品産業優良企業等表彰の食品産業部門で農林水産大臣賞を受賞 | |
2006年(平成18年) | 3月 | 鹿児島県農業開発総合センター、鹿児島県立短期大学との共同で、べにふうき新商品開発研究会を設立 |
出所:下堂園HP
1.静岡の壁を打ち破れ
下堂園の創業当時,「茶は静岡が一番」とのイメージが強く,鹿児島茶の市場浸透は容易ではなかった。そこで考案したのがサンプリング作戦である。数万個に及ぶサンプルを用意し,小売店を通じて消費者に無料で配布した。この効果は絶大で,全国の消費者を惹きつけることできた。
小売店との関係強化にも腐心した。茶の特性や味をすべて頭の中に刻み込んだうえで,その要望に合う茶を提案するというオーダーメード型の販売を通じて小売店との信頼を築いていった。この取り組みが功を奏し,小売店も品質の高さを認め,同社との取引量を増やすようになった。
2.グローバル企業への成長のカギ--農商連携--
茶の良し悪しは,茶葉できまる。同社は南薩摩の生産農家と共同で,茶葉の栽培方法や製茶方法の改善に取り組んでいる。渋くて苦いと言われた品種「ゆたかみどり」を深蒸しし,自社工場の火入れ乾燥技術を用いて焙煎香がつくほどの強い火を入れたところ,コーヒーのように強い香りと喉越しが生まれた。
こうして,深蒸しの緑茶,「ゆたかみどり」を世に送り出した。他品種より早く収穫でき収量も多い,「ゆたかみどり」はその後,同社の成長を支える存在となる
3.海外進出
1991年,ドイツ・ケルンのアヌーガ世界食品メッセへの出展が,ドイツ食品企業の目にとまり,海外取引が本格化した。だが,ドイツは残留農薬規制が厳しく、日本国内で販売している茶の輸出は難しい事が判明した。そこで,系列農家の力を借り、有機栽培に取り組んだ。当初は難航したが,95年にはEUオーガニック認証を取得し、98年にはドイツ企業との共同出資で現地法人を設立した。
中国製品をはじめ,廉価品の多い欧州市場にあって,「残留農薬」の無い【下堂園】の茶は,日本円に換算して100g当たり1700円~2500円と3~4倍高い評価と信用を得ている。現在,海外の売上高は4000万から5000万円ほどであるが,将来はアジア,ロシア市場への進出により1億円達成を目指している。
4.国内市場の動向
2010年の売上高は約45億円。純利益1億円を上げているが,前期に比べ7億円の減収。プライベートブランドなどの台頭もあり、業務用茶葉は市場価格が将来の半値程度に落ち込んでいる。加えて一般家庭向けなどリーフの市場も年々縮小傾向にある。茶をいれて飲む習慣も年々薄れていることもあって,国内市場の先行きは不透明である。
●ブランド構築で販路拡大 -主婦予備軍である若い女性の囲い込み
2006年にはお茶の水女子大学公認の食のサークル「Ochas(オチャーズ)」と共同で新ブランドを立ち上げた。「ゆず&ミント緑茶」「ハーブ&焙茶」といった日本茶と有機ハーブなどを組み合わせた商品で,若年層の掘り起こしを試みている。
5.茶の魅力を世界へ、商品開発を強化
人口減少やリーフ茶離れと,市場環境は厳しさを増すばかりである。こうした中にあって同社専務・下堂薗元氏は,「お茶の社会的役割は何か,鹿児島や世界の為に出来ることは何かを、常に問い続けている」と語っている。そして、原料販売は主であったが、現在は「茶の魅力を世界に」をコンセプトにして、「生姜紅茶」や「ミント緑茶」などの商品を開発に力を入れている。さらにインターネット直販の強化にも取り組んでいるとのことである。下堂薗元専務は,「新しい事を創造しないと組織は伸びない」とも力説している。
≪Source 鹿児島国際大学ニュース 2011年2月28日≫
≪参考 隠れた世界企業 有機で拓く鹿児島茶の道 日経ビジネス 09年10月16日号 ≫
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◆関連情報-「知覧茶」銘柄に一本化を目指す。
鹿児島のお茶の産地,南九州市の銘柄,「知覧茶」と「えい茶」それに「かわなべ茶」について,生産者などで作る団体は4年後をめどに「知覧茶」銘柄に一本化を目指します。
南九州市は,去年1年間のお茶の生産量が1万1600トンと全国の自治体で最大のお茶の産地です。だが,平成19年に3つの町が合併して南九州市となったあともそれぞれの町で生産していた「知覧茶」と「えい茶」それに「かわなべ茶」の3つ銘柄を使ってきました。
お茶の生産者とJAでつくる南九州市茶業振興会がブランド力を高めようと,3つの銘柄を「知覧茶」という銘柄に一本化することになりました。「知覧茶」の銘柄は現在,JA南さつまの地域ブランドの商標ですが,4年後の平成28年度末で登録が切れることから,この時期にあわせて3つの銘柄を一本化して新たに商標に申請することを目指します。
南九州市茶業振興会は,「銘柄の一本化で知名度を高めるとともに,品質の管理を進めて,売り上げを伸ばしたい」としています。
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『 「身の丈」を強みとする経営』(日 本経済新聞出版社刊)。本書は,性急な業容拡大は弊害が多いとして,堅実な発展を目指して,自らの分を知り,ライバルの動きに惑わされることなく,マイ ペースを貫きながら存在感を発揮するという経営姿勢を貫く経営姿勢を「身の丈経営」とし,縮小の時代の経営のあり方を考察しています。
「身の丈」を強みとする経営―縮小の時代に勝つ「新リージョナルマーケティング」 | |
小林 隆一 | |
日本経済新聞出版社 |
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小林 隆一 | |
日本経済新聞出版社 |