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『橋下徹現象と部落差別』宮崎学、小林健治著 - あらためて『週刊朝日」を読み返す

2013-02-17 10:07:48 | 書房

 『橋下徹現象と差別』・宮崎学、小林健治著は,解放運動の常に中心にいる活動家の小林氏と自らの民としての出自を明らかにしながら多様な言論活動を進める宮崎氏による、苛斂誅求を極める容赦のない糾弾が、その報道がどこか曖昧模糊としていたメディアの問題点を浮かび上がらせている。

 「政治家橋下徹」の本質を明らかにするために、その「血脈」=出自を結びつけて論じるなど、邪道であり,やってはならないことである。

◆橋下氏VS朝日 石原知事,出自の記事「卑劣」と批判

 
石原慎太郎氏は,問題の本質を簡潔・明解に指摘している。
 
 東京都知事在任当時,石原慎太郎さんは定例会見で,橋下徹・大阪市長の出自をめぐる週刊朝日の連載記事について,「出自や親族の職業をあげつらい,それがDNAとして受け継がれて危険だというのは,中傷誹謗(ひぼう)の域を出ない卑劣な作業だ」と厳しく批判した。

 石原知事は会見冒頭,「友人だから腹に据えかねて申し上げる」と前置きして批判を展開。「橋下さんにも子供がおり,その子供にまで影響する。文筆を借りて,他人の家族までおとしめるという物書きは許せない」と語った。

 記事を執筆したノンフィクション作家の佐野眞一氏については「や被差別の問題について強い偏見を持っている」と指摘。「私も被害者の一人。父親の本籍地に出かけ,石原一族は,ではないか,と誘導尋問をしていたと報告があり,あきれた」と語った。

 また,佐野氏の作品には作家の深田祐介氏や山根一眞氏らの作品からの盗用があるとして事例を列挙。「卑しい。卑劣だ」と述べた。

 朝日側が朝日新聞と週刊朝日は別会社で編集権も別,と説明している点については,「ただのエクスキューズ(言い訳)だ」と述べた。

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◆橋下氏  2008年 「産経新聞」での父親に関する発言より

 今や3男4女の父でもあり,「ベストファーザー賞」にも選ばれた彼が,自身の父親について述べたのは,ある雑誌で答えた次のようなインタビュー程度である。「父親の思い出はひとつだけ。2,3歳のとき,食事中にはしを投げたら,背負い投げされてぼこぼこにされたんです」。・・・・・・(中略)
 橋下は現在,母親とその再婚相手の義父を自宅マンションの階下に呼び寄せ,7人の孫たちを行き来させている。それは,橋下にとっての最高の親孝行であり,恩返しなのかもしれないが,彼の心の中で,「父親」の存在は今もぽっかりと空いたままのようにもみえる。


  出典:第1部 口達者のハシゲ(2)母子家庭の過去 2008.7.28 「産経新聞」
       http://sankei.jp.msn.com/west/west_affairs/news/110928/waf11092816260050-n1.htm
http://sankei.jp.msn.com/west/west_affairs/news/110928/waf11092816260050-n3.htm

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 朝日新聞出版の対応
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 橋下氏が,「人格を否定する根拠として,育てられたこともない実父や被差別の話を徹底的に調査するという考え方を問題視している」と記事を批判した。これを受けて,朝日新聞出版は,「地区を特定するような表現など,不適切な記述が複数ありました」とし,橋下氏と読者らに陳謝した。

◆週刊朝日の対応-連載打ち切りと関係者の処分
 橋下徹大阪市長の出自に関する「週刊朝日」の連載記事について,朝日新聞出版は,第2回以降の掲載の中止を決定したと発表した。連載記事が1回で打ち切られるのは極めて異例。また社長は辞任し前編集長らは懲戒処分を受けた。

◆週刊朝日11月30日号-橋下氏連載に ついての「謝罪と見解」を発表(p33~41)
 
 「週刊朝日」10月26日号に掲載した橋下徹・大阪市長をめぐる連載記事の件について、弊社(朝日新聞出版)は朝日新聞社の第三者機関「報道と人権委員会」に審理を申し立てていましたが、その見解がこのほど出ました。
「見解」の全文とともに、弊社が報道と人権委員会に提出した、記事掲軌と事後対応の「経緯報告書」、並びに「見解」を踏まえて発表した、弊社社長の辞任と前編集長らの懲戒処分、今後の再発防止策など「『朝日新聞社報道と人権委員会』 の見解を受けて」の全文を掲載します。 ・・・・・・・・ (以下,略) 

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  ┗ 『橋下徹現象と差別』 宮崎学、小林健治著
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 昨年10月、朝日新聞社系の『週刊朝日』が掲載した、ノンフィクション作家・佐野眞一氏と同誌取材班の連名による「緊急連載」は、政治家・橋下徹氏を、出自を題材として取り上げたもので、橋下氏の抗議を受けて連載中止となった。
 『橋下徹現象と差別 (モナド新書 6)』は、“「政治家橋下徹」の本質を明らかにするために、その「血脈」=出自を結びつけて論じるなど、ジャーナリズムとして、決してやってはならないことだ。”とし,週刊朝日と佐野眞一氏の記事による橋下徹大阪市長に対する差別・人権侵害の問題の所在を明らかにするとともに、当事者のみならずその周辺にいる者も含めて糾弾している。


 『週刊朝日』の差別記事問題をめぐり、「俺は橋下徹がきらい」だが「差別は絶対に許さん」という作家の宮崎学氏と、解放同盟で差別表現事件に取り組む小林健治氏(元解放出版社事務局長)の“対談”を掲載している。

▼宮崎 学(みやざき・まなぶ)
・1945年、京都府生まれ。
・早稲田大学法学部中退。
 1945年、京都・伏見のヤクザ、寺村組組長の父と博徒の娘である母の間に生まれる。グリコ・森永事件では「キツネ目の男」に擬され、重要参考人Mとして警察にマークされるが、事件は2000年2月13日に時効を迎え真相は闇の向こうに・・・・。


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