「身の丈」経営,「身の程」人生

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はじめての八十歳・山藤章二  「コンビニが夜通し開いている,そういう生活は幸せではない」

2019-02-24 15:56:14 | 人生100歳時代

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 はじめての八十歳

 

膝の手術のため,はじめての長期入院。「ブラック・アングル」などの
雑誌連載も,はじめて休載。そして,入院中に迎えた八十歳の誕生日。
―おや,今までとは違う世界が見えてきた。若いころは気付かなかった
こと,思いがけない発想など,脳裏に浮かぶあれこれを,筆の向くまま
綴り始めたら止まらない。入院中に蓄積された創作エネルギーを放出す
るかのごとく,一気にこの一冊を書き下ろした。曰く「好き嫌いで書き
ました」。御存知ヤマフジ節は健在である。八十歳の本音を綴る,論よ
り感覚,御意見無用のエッセイ集。


 岩波書店刊 1,512円

 山藤 章二(やまふじ しょうじ)
1937年東京生まれ。武蔵野美術学校デザイン科卒業。広告会社をへて,64年独立。講談社出版文化賞(70年),文藝春秋漫画賞(71年),菊池寛賞(83年)などを受賞。04年,紫綬褒章受章。

 小言は老人の役割 

   出典:「図書」 2018年7月 岩波書店刊 p3,p4,p6

山藤 東京芸大受験のために,デッサンを猛勉強しました。でも,入試に三回失敗して,武蔵野美術大学に入ったんです。

山藤 大学も第一志望は駄目,就職先もコネがないから大手は駄目。結局,グラフィックデザインの世界に進みました。ちょうど昭和二十年代から三十年代にかけて,メセナといって,企業が文化の育成に力を入れた時代だったんです。たとえば,サントリー,資生堂などの広告は,とても魅力がありました。

 小言は老人の役割 

>>> 山藤さんがお書きになるものは,小言というか,批判めいた内容が多いですよね。

山藤 八十の声を開くと,「いつどのように世を去ろうか」ということが頭にずっとあるわけです。日本中どこでもコンビニが夜通し開いている,そういう生活は幸せではないということを,旧世代としては言いたい。だけど,それはどんな時代でも老人が必ず言うことなんです。「近頃の世の中は住みにくい」とか「近頃の若者はとるに足りないようだ」とか。やっぱりこれは伝統文化として, 私も小言を垂れて死なないといけない。

 

老いては自分に従え
喜寿から一年、「老境に達した」と語る戯れ絵師が、いま思うこととは?鋭い時評
を繰り広げたり、落語世界に遊んだり、気の向くまま、筆のおもむくまま、世相・
文化・社会を自在に論じてゆく。独自の一人語り調文体はますます冴えわたり、
読むほどに愉快痛快。笑いの中にも骨のある、ヤマフジ流「老いの哲学」。
 岩波書店刊  1994円


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