篤姫人気 一過性ブームで終わらせないために

　２００８年１月にスタートしたＮＨＫ大河ドラマ「篤姫」は，好評のうちに，明日の放映で最終回を迎えます。宮尾登美子氏原作の「天璋院篤姫」を原作としたこのドラマは，映像の魅力に満ちたものでありました。
　篤姫の出生地鹿児島では，鹿児島売り出しの絶好の機会として，篤姫がらみのイベントが次々と打ち出され，その多くが盛況でした。また，篤姫の実家・今和泉島津家のゆかりの地である指宿市や鹿児島市内はもとより，出水市や隣県都城市も島津家関連の歴史や文学も多くの人々の関心を呼びました。

　また，篤姫同様，地元鹿児島でも知る人の少なかった小松帯刀が「幻（まぼろし）の宰相」とも評価され，一躍脚光を集めるところとなりました。これに伴い，墓地のある日置市，出生の地喜入の知名度も向上しました。

　こうしたブームが一過性のフィーバーに終わることのないよう，いまこそ，地に足つけての地道な篤姫，そして小松帯刀研究が求められます。すなわち，歴史のヒダに埋もれていた二人の存在と功績を，歴史・文化・文学などの視点から複眼的に評価することで，これまで知られていなかった事実を掘り起こすなど，新たな魅力の発見が話題の陳腐化を防ぎます。

　また，こうした歴史的考察を通じて，鹿児島固有の文化・物語りを発掘・創出により，鹿児島の存在感を高め，強いては県域の活力アップににもつながるモノであります。

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