一人の天才数学者により作り出されたプログラムにより
全国民のDNAデータが国家によって管理される社会が可能になる。
これにより、全ての犯罪は100%近い検挙率を誇り、冤罪はなくなるかと思われたが・・・
しかしある殺人事件の犯人のものと思われる証拠のDNAは
このプロジェクトの管理者である神楽のものだった・・・
なにかがおかしい・・・
このプロジェクトには大きな謎が隠されている・・・
謎を解き、自らの冤罪を晴らすため、神楽は逃亡を続ける。
”NF13”とは?
”モーグル”とは?
”プラチナデータ”とは?
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テーマがDNA云々だし、がっつり医療系の重いリアルミステリー小説かと思いきや
ほどよくファンタジー(笑)
専門用語っぽいのは、普段聞き慣れた程度の簡単なものばかりだし、
ちょっと未来の普通の日常(?)が舞台で話も難しくはない。
東野氏らしいテンポの良さで、さっくりと読み進める。
キャラクターも分かりやすい(笑)
自信家で繊細で陰のあるイケメンの主人公。
主人公に絡む謎の美少女。
昔ながらの捜査方法好きの叩き上げ熱血刑事。
そして小回りの効く刑事の部下。
上の顔色ばかりを伺う上司。
高飛車で無能な幹部達。
FBIからやってきた、デキる若い美人の女捜査官、などなどなど・・・。
メインキャストはみんなステレオタイプといっていいほどの性格付け(笑)
その分、すんなり話の流れに乗れるので、これはこれで良いと思うけど(^^)
犯人も分かりやすいしw
ただ、ファンタジーっぽいとはいっても、やっぱりミステリーなんだし
「おいおいおいおい・・・」と言いたいところもあるけど
破綻しているほどではないし、いいんでしょう。たぶん。
エピローグ的な章もなんだかチープな印象だけど、
きっと東野氏としては、ここを書きたかったんだろうなぁ、とも思うし、いいんでしょう。きっと。
全体の感想としては
なかなか面白かったけど、”本格”ミステリーではないな。
ん~~・・・漫画にするなら少女漫画だな、という印象。
映画の公式サイトも覗いてみたんだけど、
予告みた限りでは、原作とは離れた感じになってそうだし、
キャストもピンとこないし(好きとか嫌いとかじゃなくて、あくまでも私のイメージね^^;)
映画は見に行かない。
ただ、小説のテーマになっている「全国民をデータで管理する社会」は、今実際に絵空事ではなくなりつつあるし
色々と考えさせられる事はあったなあ。
話の中でも多々出てきた監視カメラも、実際に今はあらゆるところにあるわけだし。
映像の人物解析も今はすごいレベルまで来ているという事も、先日テレビでやってたし。
インターフェイスは変えずに、ひっそりと静かにSF世界へと向かいつつあるらしい世の中。
ちょっと怖いかもしれない・・・。