11月17日に投開票された兵庫県知事選挙は、失職して出直し選に臨んだ前知事の斎藤元彦氏(47)が再選を決めた。約111万票を獲得した斎藤氏は「指摘や批判も真摯に受け止め、県職員や県議会、そして市や町の首長の皆さんとも信頼関係をもう一度構築して県政を前に進めていきたい」と語った。
そもそも斎藤氏が失職に至ったのは、今年3月に元県民局長がパワハラなど7項目にわたる告発文書を報道機関に送り、その内容について記者会見で“嘘八百”と切り捨てたことに始まる。6月13日、その真偽を調査するために百条委員会が設置され、9月19日には県議会が全会一致で不信任決議を可決、斎藤氏が失職を選んだことで出直し選挙が行われた。
その間、7月に元県民局長が「一死をもって抗議する」との言葉を残して自ら命を絶ったことを受け、兵庫県職員労働組合(県職労)が斎藤氏宛に事実上の辞職を求める申し入れ書を提出していた。再選を果たした斎藤氏をどう考えているのか、県職労幹部に聞いた。
県職労:しゃーないなあ、というのが本音です。我々としては「県政を一新して安心して働ける職場にしてほしい」ということで申し入れを行いました。あの時、一度は職員との関係を修復するという話もありましたが、結局は叶いませんでした。ですから、今も申し入れを撤回する気持ちはありません。まだ斎藤さんは知事に就任していませんが、早速、秘書課と職員課長に、県職労委員長が知事に会わせてもらえるよう申し入れを行いました。前期の斎藤知事の時には、一度も会うことができませんでしたから。
――知事を失職するまでの3年間、労組の委員長は斎藤氏と一度も会っていなかった?
「パワハラはなかった」
県職労:そうです。どういうお考えなのかはわかりませんが、一度も会おうとはなさりませんでした。しかし、こちらとしても、県職員に目を向けてもらわないと仕事ができません。県職員が安心して働けなければ、県民に迷惑がかかります。
――当選した斎藤氏は「謙虚な心」で県政を進めるとも発言している。
県職労:そうあってほしいと思います。職員としては内部告発文にもあったパワハラが一番の問題ですから。
――だが、選挙期間中、SNSでは「パワハラはなかった」「斎藤さんは悪くない」という情報が拡散された。斎藤氏に投票した人の多くは、こうしたSNSの投稿を信じていたと報じたメディアもある。斎藤氏自身も「報道が本当に正しいのか」と呼びかけるようにもなった。
県職労:嘘も100回言うたらホンマになるとは言いますけど、立花(孝志)さんとか、いろんなこと言われていますから、そういう言い方もあるんだなと……。
――「内部告発したらNHKをクビになりました」をウリにしている政治団体・NHKから国民を守る党党首の立花孝志氏は、今回の兵庫知事選に立候補したが、自身の選挙活動より斎藤氏の擁護を優先した。政見放送ではこう訴えた。
《今回の選挙はこのパワハラ問題をきっかけにスタートしています。(元兵庫県明石市長の)泉(房穂)さんは、実は思い切りパワハラしていました。しかしながら、前知事はパワハラしてた証拠は何一つ出てこなかった。机を叩いた、これだけですよ! 》
県職労:斎藤さんのパワハラに関しては、県職員のアンケートでもたくさん事例が出てきましたし、彼自身も事実があったことは認めていました。それがなかったことになるんですから、恐ろしい。アンケートは無記名で良かったにもかかわらず、署名して訴えた職員も少なくありませんでした。アンケートに答えた職員は今、不安だと思います。斎藤さんが以前のような恐怖政治を復活させて、復讐みたいなことをするのだけはやめていただきたいと思っています。
――選挙期間中は、斎藤氏が県庁舎の建て替えを白紙にし、1000億円を節約したことが功績としても喧伝されていたが
県職労:我々は1000億円もかかる新庁舎を望んでいたわけではありません。もともと阪神・淡路大震災で被災した庁舎はボロボロで、限界が来ていました。斎藤さんは、新庁舎は建てず、「4割出勤でいいから家で仕事せえ」ということでした。県民の多くが庁舎を訪れるなか、これで仕事になるでしょうか。10月18日には知事職代理の服部(洋平)副知事が「職員の出勤率の概念を取り払い、必要な人員を収容できる新庁舎建設を前提に検討する」ことを発表しました。それも再び白紙に戻されるかもしれません。そうしたら我々は、どこで働くのでしょう。
――斎藤氏は改めて“県政の改革”を訴えたことも評価されたのでは?
県職労:選挙で“改革”を訴えない人などいませんからね。それでも選挙の結果、斎藤さんが当選したのですから、我々としては労使関係を築いていくしかありません。斎藤さんもつらかったでしょうし、僕らもしんどかった。斎藤さんがおっしゃったように、今度こそ誠実に話してもらえて、普通に仕事ができる環境にしてもらえたらと考えています。
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今回の兵庫の選挙も、「リベラル」寄りの既存の政治・マスコミ勢力に対する異議申し立てであったという面が大きい。もっとも有力な対抗馬であった稲村和美氏の選挙活動を見ると、ご本人の問題というよりも、応援した選挙陣営への反発が足を引っ張ったのではないかという印象を持つ。応援するはずの相生市長が強圧的な態度を示した動画は強烈だったし、「しばき隊」の応援も残念な効果を発揮していただろう。
インターネット、SNSの影響の大きさを指摘する声が大きい。
既存の大手メディアや政治勢力が、特に左寄りの政治勢力がそれに対応できていない。
福島県で暮らす私にとって特に身近に感じていたのが、原発事故に関する放射線の低線量被ばくの影響を、どのような抗議を行っても過大に喧伝する大手メディアと左派の政治勢力のことだった。「このようなことが続けば、日本のリベラル勢力への信頼は地に堕ちるのではないか」と感じていたが、本当にそうなったと思う。女川原発が再稼働することになったが、このことは「処理水」の時に比べて、あまり話題にならなかった。
ネット時代の特徴は、特定の知識・経験を占有していると思われていた専門的な職業・技術集団の優位性が弱くなることだ。
言い換えるならば、みんなが似てくることで、準専門家的な発言をするのが容易になる。
私自身がその状況を利用していることを認めないわけにはいかない。
一方で、精神医学・医療の専門家としては、そのことの脅威も感じている。中途半端な言説の影響力が大きくなり、実臨床がやりにくくなったと感じる場面はある
ひょっとしたら、社会のさまざまな専門職に従事する人が同様に感じているのかもしれない。
みんなが似てくる状況で、人にはどんな欲望が働くか。
模倣の欲望である。
私が参照しているのは、ジラールやラカンといったフランス生まれの思想家たちの仕事である。
似ている者たちが集まった時に、もっとも欲望を喚起するのは何か。
小さな差異である。
今回つくづくと感じたのは、現在の社会で、似た者同士になった社会の構成員の中に違いを作り出し、もっとも強い欲望を刺激するのは、「既存の勢力に立ち向かい、その結果迫害を受ける立場と認められ、大衆からの支持を得るポジション」だということだ。
そして権威を得て、人を断罪する気持ち良さ。
兵庫県知事選に関しては、最初に内部告発者とそれを支持する人々がそのポジションを手に入れたように見えた。しかし、斎藤氏とそれを応援する人々が、全力で、あらゆる手段を駆使して、それを逆転させた。
抑えておかねばならないのは、戦い方の意識と技術の面で、稲村氏を応援した人々はあまりに稚拙だったことだろう。しかし、問題はそれだけではない。
唐突に聞こえるかもしれないが、私はここで精神分析における「父」や「エディプスコンプレックス」についての議論を思い出す。
父は、社会的な権威において子どもに優越する存在である。より多くの責任を背負い、その責任を果たすための規範を内在化させている。これを父Aとしよう。しかしエディプスの場面で父は、母を子どもと取り合う同等の競争者となる。これを父Bとする。
トランプや斎藤氏の選挙をめぐる戦いで感じるのは、その人々が父Aの立場を放棄し、父Bの立場に全力で没入していることである。一般市民と政治家が、対等の立場で競争し、ネットを中心に「既存の勢力に立ち向かい、その結果迫害を受ける立場と認められ、大衆からの支持を得る」ポジションを奪い合う。しばらくそういう時代が続くのだと思う。
「模倣の欲望」を説いた思想家たちが示す予測は、決して楽観的ではない。欲望が加速してぶつかり合い、秩序が失われる。やがて大規模な殺人が行われて秩序が回復するまでそれは止まらない。
「リベラル」が強かった一つの時代が崩れようとしている。
この時代は「父」を傷めつけ過ぎたのかもしれない。父Aを押し付けられたものは、報われることが少なかった。その結果、「父」はそれまで担っていた父Aのポジションを放棄し、権威や雅量といったものは失われる。剥き出しの父Bの欲望を発揮して行動する。
権力・権威の場にあるものが、父Aを引き受けず、出てくるライバルを父Bとして叩くことを続けた。斎藤氏とその陣営は、それをより強力かつ徹底的に模倣した。
新たな秩序の構築には、父Aの再建が不可欠だ。これは生物学的な男性だけの、あるいは政治家のような権力者だけの責任ではない。社会のあらゆる立場の人が、これまで権力者にだけ押し付けていた父Aとしての責任を、自発的に引き受けていく必要がある。
具体的には、以下のような取り組みが求められる。第一に、人権意識の涵養である。これは単なる理念的な理解ではなく、日常生活の具体的な場面における実践として根付かせる必要がある。第二に、社会のさまざまな領域において、公正なデータの集積に基づいた客観的なルール設定を行うことである。感情的な対立を超えて、実証的な検証に基づく建設的な議論を可能にする土台づくりが重要となる。
さらに重要なのは、個人レベルでの心理的な成熟である。特に、自身の内なる怒りや羨望の感情を自覚し、それを否認するのではなく、パーソナリティの中に適切に統合していく作業が必要となる。このプロセスなしには、これらの感情が無自覚なまま社会的な対立や暴力として表出してしまう危険性が高い。
このような多層的な取り組みなしには、多くの人の父Bの欲望を引き受けたカリスマが現れ、それが肥大化し、最終的に悲劇的な暴力とそれによる新秩序の構築という事態に至る可能性が高い。私たちはそのような事態を回避し、より建設的な形で新時代に適応していく道を探らなければならない。そのためには、個人と社会の両レベルでの地道な取り組みが不可欠なのである。
旧秩序を破壊するだけではなく、どうやって新秩序を構築するかについても、目が向けられなければならない。
ちなみに、父Aと父Bの葛藤を経験し、それを乗り越えてその人なりの統一を達成したのがエディプスコンプレックスの克服と、近代的な意味での自我の確立というプロセスである。この理論枠では、そのような統一した自我を持つ市民たちが対話を通じて構築するのが、近代的な社会となる。
その意味で、私は斎藤氏が内部告発者への初動の対応が不適切だったなかで犠牲者が出現したこと、それを多くの選挙民が支持したことを批判する。
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兵庫県知事選で再選を果たした前知事の斎藤元彦さん(47)が、19日、兵庫県庁に登庁し、当選証書が授与されました。この後、就任式に臨みます。
【LIVE配信】「初登庁」の様子や「就任式」の模様を生配信
登庁の際には県庁内の通路にはスマホで撮影する様子や花を持つ人の姿もみられました。斎藤氏は出迎えた人たちに深く一礼し、県庁内へと入りました。
17日に投開票が行われた兵庫県知事選で、斎藤氏は111万3911票を獲得。前尼崎市長の稲村和美氏に約13万票の差をつけて当選しました。
県職員へのパワハラ疑惑などで告発を受けた斎藤氏は、県議会で全会一致で不信任決議を可決されて失職。無所属で出直し選挙に臨み、改革の継続を訴えていました。
斎藤前知事は、17日、支援者を前に、「多くの方に応援していただいた。本当に嬉しく思います。県職員の皆さんとの関係も、再スタート、県議会とも政策を前に進めていく。オール兵庫で県政を前に進めていくことが大事」と話しました。
また、18日の会見で斎藤氏は「少しまだ実感がわかない面もある。大変厳しいところからのスタート、多くの県民からの支援できのう当選しました。ここまでの選挙戦を皆さんの力でできたことは嬉しく思います」と話しました。また、県職員とは「感謝の気持ちと謙虚な思いを抱いて、より丁寧な対話もしていく。謙虚さを胸に刻んでやる」と述べました。
一方で、斎藤氏を巡るパワハラなどの疑惑については、県議会の百条委員会や第三者委員会の調査は継続中で、18日に行われた百条委員会では、パワハラを含めたさまざまな疑惑について、11月25日に斎藤前知事の出席を要請し、尋問を行うことを決定。斎藤前知事への尋問内容や今度の進行などについて話し合われました。
19日午前10時過ぎ、に斎藤元彦さんは兵庫県庁に登庁し、当選証書が授与されました。
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兵庫県議会から不信任決議を受け失職し、出直し選挙で再選を果たした斎藤元彦知事(47)は19日、神戸市中央区の兵庫県庁正面玄関に予定より5分遅れて“初”登庁。50人を超える支援者や報道陣、一部県職員ら120人に出迎えられた。
【写真】‘’初‘’登庁し、当選証書を授与された斎藤元彦知事
斎藤知事は支援者らに向かって7度、深々と頭を下げて感謝の気持ちを表した。
前知事として最後の登庁となった9月27日は見送りの数もわずか。花束贈呈もなかった。再選しての登庁では庁舎の正面玄関に集まった集まった支援者1人1人と握手。支援者らが選挙戦でチームカラーとしたターコイズブルーのバラの花束をもらい、笑みを浮かべた。
午前10時から当選証書の付与式に出席。神妙な面持ちで証書を受け取り「頑張りたいと思うので、よろしくお願いします」と語った。
さらに庁舎中庭で開かれた就任式には一般200人、県庁職員1000人が参加。服部洋平副知事が「就任を心からお喜び申し上げます。県政改革に向ける知事の思いが多くの有権者に届いた結果であると思います」と歓迎のあいさつ。さらに「知事が不在の50日間、我々職員にとっても県政に向き合う、改めて県政への向き合い方を見つめ直す貴重な機会となりました。知事が目指す県政改革をしっかりと支えていきたいと思います。よろしくお願いします」と語った。
齊藤知事は支援者、県職員約500人を前にあいさつ。「本日から兵庫県県知事に就任しました。多くの県民の皆さん、関係者の方に県政に対するご心配をかけたことに心からお詫び申し上げたいと思います。職員の方に不在の50日間、兵庫県政を支えて仕事していただきました。心から感謝してます」と頭を下げた。
その後は「これから新たな兵庫県政をイチからスタートします。仕事というものは1人ではできない。関係者の皆さんの支え、サポートがあってこそ仕事ができる。もっと丁寧に丁寧に皆さんとのコミュニケーションをとって、皆で思いを共有していくことが大事」とし、さらに「皆さんと1つのチームとなって。自分自身も生まれ変わって1からスタートして、謙虚な気持ちを持ってやっていきたいと思います」と所信表明。最後は女性職員から花束を受け、満面に笑みを浮かべた。
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兵庫県知事選をめぐり、元宮崎県知事で衆院議員も務めた東国原英夫氏(67)が発言を謝罪した件について言及した。
パワハラやおねだりなど数々の疑惑を指摘され、県議会から全会一致で不信任決議を受け失職した斎藤元彦前知事が、元尼崎市長の稲村和美氏、日本維新の会を離党した前参院議員清水貴之氏ら無所属6新人を破り、再選を果たした。選挙戦では斎藤氏への評価や、混乱した県政の立て直しなどが問われたが、斎藤氏はSNS戦略を駆使して大きな流れを起こし、最終盤で形勢を逆転した。
この結果に対し、東国原氏は自身のYouTubeチャンネルを更新し「兵庫県民の皆様の民意が示されたということであります。地方自治を勉強している人間、あるいは地方自治に携わったことのある人間として、民意っていうのは非常に重たい重要なもので、最大限尊重されなければいけないという立場であります。そういう意味において、今回私の言動で不快な思いをされた方、全ての方に、この場を借りて、お詫びを申し上げたいと思っております。どうも申し訳ありませんでした」と頭を下げた。
これに立花氏は「私はこのように、素直に謝罪できる人が、好きです」とし「私は今回の事件で謝罪していない、悪人に対しては、真実に基づき、正義の鉄槌を下します!」とつづっていた。
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元明石市長の泉房穂氏も17日夜に出演したフジテレビ「Mr.サンデー」で斎藤氏との中継時に《再選おめでとうございます。加えて、すみません、お詫びです。私、一面的な見方でかなり厳しいトーンでこの間対応してきたことにつきまして、今回の民意を見て、私自身も反省するところ多く、お詫び申し上げたいと思います》と述べている。
これには《ワイドショー出演者の謝罪レースが始まった。遅い人程軽蔑される》《泉房穂氏につづいて東国原英夫氏も記者クラブメディアの悪事の片棒をかついでしまったことに謝罪をした》《なんで謝る?おかしくないか?泉房穂さんといい、この流れはほんとダメだって!こういう人達が世の中おかしくしてる》などと賛否両論だ。
「東国原氏は番組内で謝罪はしたものの、《SNSでものすごい批判の声があがっている。一応、不快な思いをさせた人たちには謝るのかなと》と言い訳しており、その姿勢に批判が出ています。ただ、泉氏と同様でネット世論にも寄り添った対応はこれからもコメンテーターとして生き抜こうとする現れでしょう。テレビ局だけに迎合しても、ネット世論がスポンサーに不買運動などすればコメンテーターのポジションを奪われますからね。ネットでは他に、選挙期間中に斎藤氏に謝罪したジャーナリストの須田慎一郎氏、コメンテーター批判をした元東京都知事で国政政治学者の舛添要一氏が賞賛される事態になっています。誹謗中傷をさけたいのはもちろん、好感度にも影響するので謝罪せざるを得ないのでしょう」(番組制作会社関係者)
その舛添氏は18日、自身のⅩで《マスコミは、兵庫県知事選に関する過去の自らの報道について、何の反省もせずに斉藤再選を伝えている。とくにテレビのワイドショーが酷いし、そこに出演して、局の方針に迎合するいい加減な発言をしたコメンテーターなども平気の平左だ。既存のマスコミよりもSNSを信じる者が増えるのは当然である》と投稿。
アンチマスコミ派や斎藤知事の支持者からは、ほかにフリーアナウンサーの古舘伊知郎氏、司会者の恵俊彰氏などが目を付けられている。ちなみに、お笑いコンビ「千原兄弟」千原せいじは自身のYouTubeチャンネルで、今年9月に斎藤知事を批判したことに対し《なんで俺が謝罪せなあかんねん。そんなもん、俺が謝ってほしい、テレビ局とか雑誌に》と、謝罪はしなかったがメディアを信じたことを"反省"した姿勢を見せている。コメンテーターも発言が命取りになる時代になってきた。
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11月:兵庫県相生市の谷口芳紀市長(75)は21日、県知事選のさなかに県内市長有志が開いた記者会見で、机をたたくなどの言動が批判されたことを受け、市のホームページ(HP)に「市民をはじめ、多くの皆さまに不快な思いをさせ、ご迷惑をお掛けしましたことを、心よりおわび申し上げます」との謝罪文を掲載した。
谷口市長は14日、県内29市長のうち有志22人の一人として、再選した斎藤元彦知事の対立候補だった前尼崎市長の稲村和美氏の支持を表明。県庁であった会見で理由を述べる際、机を激しくたたき「兵庫県に新しい風を入れるのは稲村や」などと語気を強めた。
この動画が交流サイト(SNS)上で広がり、市内外から「パワハラではないか」「威圧的だ」などと抗議や苦情が市に殺到。20日までに800件以上のメールや電話が寄せられた。
谷口市長はHP上で謝罪した上で「厳しいご意見、おしかりを多方面より数多く頂き、非常に重く受け止めております。今後、このようなことがないよう、十分注意してまいります」とコメント。神戸新聞の取材に対し、谷口市長は「(会見では)つい力が入ってしまった」と理由を語った。
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斎藤氏の主張は辞職前から一貫しており、自身の態度への反省を除いては、変わっていない。内部告発への対応をはじめとして、百条委員会や記者会見で述べた考えを、選挙期間中に変えることはなかった。
変わったのは、県民のほうなのだろうか。なぜ、どのように、県民は、斎藤氏への見方を変えたのか。この点を考える上で、まず見なければならないのは、「マスメディアの敗北」という議論である。
NHKの出口調査によれば、「投票する際に何を最も参考にしたか」との問いに対して「SNSや動画サイト」と答えた人が30%と、テレビや新聞(ともに24%ずつ)を上回っているから、兵庫県民が、「マスメディアよりもSNSを重視した」という変化はあったのかもしれない。
斎藤氏自身は、当選から一夜明けた記者会見で次のように述べている。
私は県民の皆さんも、自分でいろんなことを調べたりされて、メディアの報道について、色んな媒体で、新聞以外にもテレビやネット、雑誌も含めて色々調べて自分自身で判断していくという風な形がすごく多いんだと思いますね。
ほとんどの人が、この斎藤氏の発言の通りなのではないか。新聞だけでも、テレビだけでも、あるいは、ネットだけでもない。もとより、「ネット」のなかには、新聞社発の記事も、テレビ局発の動画も、山のようにある。
それなのに、わざわざ「マスメディアの敗北」と、それも、マスメディア自身が表現するのは、なぜなのか。もとより、「敗北」とか「勝利」というのは、何に対する勝ち負けなのだろうか。
米国大統領選・東京都知事選との共通点
産経新聞の記事の見出しにあるように、先ごろ行われた米国大統領選挙でのドナルド・トランプ氏の立場を、斎藤氏は彷彿とさせる。どちらも、マスメディアからのバッシングとも思える強い批判を受けながら、選挙では圧勝したからである。
マスメディアの論調では、斎藤氏もトランプ氏も、どちらも当選させてはいけないかのように報じられた。にもかかわらず、ネット世論では、両氏はともに熱狂的とも言える支持を集め、対立候補を寄せ付けなかった。
東京都知事選にも通じている、との見方もできよう。
7月7日に投開票された都知事選では当初、蓮舫氏が小池百合子氏に迫ると思われていた。ふたを開けてみると、選挙戦序盤は泡沫候補扱いすらされていた石丸伸二氏が得票数で上回った。石丸氏も、マスメディアには黙殺というか無視に近い冷遇を受けたのに、ネット上での支持が躍進に寄与したと言われている。
こう考えると、今回の斎藤氏の再選は、世論をつかみきれなかったという意味で「マスメディアの敗北」であり、「SNSの勝利」と言えるのかもしれない。
けれども、それだけでは、県民が斎藤氏を強く支持するようになった理由をつかみ損ねるのではないか。
「マスメディアの敗北」と「SNSの勝利」という二項対立は、前者=正統派vs.後者=邪道、という図式に基づいている。もっと乱暴に言えば、前者=思慮深さvs.後者=浅はかさ、との見方と同じである。マスメディア側による、世論をつかみ損ねた悔しまぎれの負け惜しみにすぎない。
「本来なら、マスメディアのほうが、SNSよりも優れているはずなのに、なぜ、できなかったのか」
「それは、得体の知れないSNSに県民が騙されているからではないか」
そう言わんばかりの感情が、「マスメディアの敗北」という表現に込められている。
インターネットが普及して30年近くがたつ2024年になってなお、マスメディアとネット(SNS)が対立する、と考えている。それこそが、世論に対する「マスメディアの敗北」にほかならない。世論をとらえられず、いまだにネット(SNS)を見下している。それこそが「マスメディアの敗北」ではないか。
だから県民による斎藤氏への支持の背景を、どのマスメディアも解き明かせていない。どの新聞を読んでも、どのテレビ番組を見ても、なぜ、この2カ月で、民意が大きく動いたのか、わからない。
いや、そもそも、2カ月前ですら、兵庫県の人たちは斎藤氏を支持していたのかもしれないのだが、マスメディアは検証も分析もしてくれない。
それこそが「マスメディアの敗北」なのである。
何が兵庫県民を動かしたのか
そして、この意味での「マスメディアの敗北」が、兵庫県民を斎藤氏支持へと、大きく駆り立てたのではないか。
いわゆる「内部告発文書」の発覚以降、半年近くにわたって、特に関西の新聞とテレビ番組は、斎藤氏を糾弾してきた。斎藤氏の「パワハラ疑惑」を大きく取り上げ、彼の姿勢を強く非難してきた。
もちろん、権力の監視はマスメディアの重要な役割だとされている以上、適切な批判は必要だろう。実際、斎藤氏は、当選から一夜明けた11月18日の記者会見で「私自身はメディアの皆さんとはこれまで通り、しっかり、もちろん県政の内容を発信していただける大切な連携しなきゃいけない皆さんですから、これからも一緒になってやっていきたいなと思っています」と発言している。
こうした斎藤氏のスタンスに比べて、マスメディアは、どうか。
斎藤氏の街頭演説に、この2カ月の間に、徐々に聴衆が増えていく様子を目の当たりにしていたはずなのに、その要因を「SNSの勝利」としか受け止められないのは、なぜなのか。その姿勢こそ、つまり、彼を見ていない、見ようとしていない態度こそ、兵庫県民を動かしたのではないか。
斎藤氏が支持を拡大した土壌は、弱かったころから阪神タイガースを応援し続けている風土と通じるのではないか。
兵庫県民には阪神ファンが多い。その気質とされる「判官びいき」が根付いているから、斎藤氏の味方をした、と(だけ)言いたいわけではない。そうではなく、斎藤氏が、関西の、というよりも、大阪のマスメディアにいじめられているように兵庫県民に映ったから、これだけの盛り返しを見せた、と考えているのである。
メディア論で言われる「アンダードッグ効果」=負け犬になりそうな候補者を応援したくなる有権者心理、で片付けられるものではない。もっと構造的なものだろう。
私は先に「関西の新聞とテレビ番組」と書いたが、そのほとんどは大阪でつくられている。大阪府は、兵庫県と比べて、経済の規模は大きく上回り、文化の面では関西の中心である。他方で、その面積は1:4の開きがある。兵庫県は、その広さゆえに、本来なら、多様な文化や風土をきめ細かく報じられてしかるべきなのに、大阪目線のマスメディアは、それをすくい取れていない。
「在阪メディア」という巨大な権力
こうした、兵庫県の広さと多様性をカバーできないマスメディアは、斎藤氏批判で染め上げられ、それを目にする県民は、ますます斎藤氏への同情=「斎藤さん、かわいそう」を膨らませたのではないか。
大阪発のマスメディアから斎藤氏がいじめられているように映ったし、そればかりか、地元紙の神戸新聞や、地元テレビ局のサンテレビは、その尻馬に乗っているように見えた。
大阪という巨大な権力から、自分たちが3年前の知事選で支持した人物をないがしろにされている。この構造そのものに、県民は同情にとどまらず、怒りを抱いたのではないか。斎藤氏に向けられ(かけ)ていた怒りは、大阪目線のマスメディアや、対立候補へと矛先を変えたのである。
こうした民意の変化が今回の斎藤氏を完勝に導いたのだとしたら、「マスメディアの敗北」から立ち直る道は、ほとんど見えない。
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県議会の全会一致で不信任決議を受けて失職した斎藤元彦元知事が、兵庫県知事選で返り咲きを果たしたことは、さまざまな議論を呼んだ。選挙も終わり、斎藤氏の疑惑について、百条委員会側の主張や、これまでのメディア報道にとらわれず、客観的に検証すべきだという潮流も出てきている。
【画像】「ネタバレ」されてしまった、斎藤知事の“SNS戦略会議”の様子
そんな中、斎藤氏側に新たな疑惑(とまで言ってよいのか、わからないが)が浮上した。
斎藤氏の選挙戦でのSNSの広報戦略を請け負った株式会社merchu(メルチュ)というPR会社の社長が、メディアプラットフォームのnoteにコラムを投稿し、具体的な戦略と展開内容を紹介した。
これによって、それら一連の業務に関し、PR会社側が報酬を受け取っていた場合、公職選挙法に抵触するのではないかという疑問が浮上し、SNS上でも炎上状態になっている。
現段階では、違法行為に当たるか否かは定かではないのだが、今回の騒動から、政治、特に選挙における広報活動の問題が浮かび上がってくる。
■PR会社が選挙運動を支援するのは普通のこと
SNSやメディアの論調を見ていても、本件に関するいくつかの論点があるようだ。主なものを挙げると、下記の3点になる。
1. PR会社への委託業務が違法(公職選挙法違反)か否か
2. PR会社が、クライアント(今回は斎藤氏)の手の内を公開することが適切な行為なのか
3. 選挙において、情報操作、印象操作が行われることへの懸念
これらについて、個別にみていく前に、まずは前提の話をしておこう。
今回SNS運営を行った企業を「広告会社」と報じているメディアもあるが、これは正しくない。広告会社というのは、狭義にはメディアの有償の広告枠を活用する宣伝活動を請け負う会社を指す。
一方、PR会社は、メディア(最近はSNSも含む)で好意的な報道がされるような企画を立てたり、イメージを良くするためのコンサルティングを行ったりする。広告会社とPR会社は似て非なるものだ。
日本の場合は、広告会社がPRを行うこともあるし、PR会社が広告業務を行うこともある。そこがややこしいところなのだが、今回SNS運営を行った会社は、PR、あるいはSNSマーケティングを請け負う会社であって、広告会社ではない。
官公庁、政党、政治家の広報活動を広告会社や、PR会社が請け負うことは通常の事で、それ自体に問題があるわけではない。
最近でも、自民党総裁選の際に、候補者の小泉進次郎氏が行った記者会見には、アンティルというPR会社が関わっていたことが報道されている。
小泉氏が、記者の意地悪な質問に秀逸な返しをしたことについて、「すべて仕組まれていたのでは?」「やらせだったのはないか」という憶測も出ていたが、どんなに有能なPR会社、権力ある政治家でもそこまではできない。
PR会社は、記者会見の案内を行ったり、会場の取り仕切りを行ったり、登壇者の立ち居振る舞いや、話す内容を助言したりする。どのような質問が出そうか、想定問答集を作成することも多く、小泉氏の応対はそれに沿ったものであった可能性は否定できない。
■政府や自治体の仕事は実入りが少ない
選挙の広報活動は非常に難しい。筆者自身、広告会社勤務時代に官公庁、自治体、政党の広報活動に関わったことがある(選挙には関わったことはないが、担当している社員はいた)が、民間企業とはだいぶ勝手が違い、独自のノウハウが必要だ。
選挙運動ともなると、今回議論になっている公職選挙法の縛りがある。民間企業と同じ感覚で業務を行っていると、知らないうちに違法行為を行ってしまう可能性がある。
選挙の仕事も請け負う場合は、法律、選挙に詳しい部署や担当者が入り、注意深く進めていくのが通常だった。
なお、こういう話が出てくると、「民間企業への利益誘導だ」「癒着だ」という声も出てくるのだが、お役所や政治絡みの仕事は、大変な割には実入りが少ないのが実態だ。
NHKの「紅白歌合戦」への出演と同様で、仕事をいただけることがありがたいことだし、箔づけにもなるので、今後の民間企業からの受注にも好影響があるから受けているというのが実際のところである。
仕事を受けたからと言って、その政党や候補者に投票しなければならないという縛りもない(大半は自主的にクライアントに投票するだろうが……)。
■合法だったとしても、「ネタバレ」は不適切
違法の可能性があることはいっさいやらず、ホワイトなことだけをやるのが理想だが、選挙は「勝ってなんぼ」の世界だ。勝つためには、どうしても “グレーゾーン”のことまでやらざるを得ないこともある。
では、今回の場合はどうだったのか。
どこまでPR会社の請求明細に記載があるかにもよるが、「違法行為に当たらない部分をPR会社が有償で請け負ったが、そうでない部分は無報酬で行ったり、斎藤氏陣営で行ったりした」ということであれば、「法律違反はしていない」とされる可能性はある。
いずれにしても、現段階では合法とも違法とも結論づけられないので、この点を本稿で論じることはいったん保留にしておきたい。
先述した論点の2つ目、つまりPR会社がネタばらしをしたことの是非だが、これは好ましい行為ではなかったと考える。筆者自身、先輩から「俺たちは黒子で、あくまでも表に立つのはクライアント(広告主)」と教えられてきた。
広告会社やPR会社がセミナーなどで、自分たちが手がけた仕事を紹介することもあるが、そうした際は、必ずクライアントの確認と許諾を得てから行っていた。今回についても、斎藤氏側から許諾を得たうえで公開したのであれば、手続き的には問題はない。
ただ、自分たちの手の内を明かしてしまうことはリスクも伴う。企業の案件の場合。最も大きなものは、競合企業に真似をされるリスクだ。ここでの競合企業とは、クライアント企業の競合もあれば、広告会社、PR会社の競合もある。
実際、セミナーによっては、競合企業の参加を不可にしていることもある。メディア等で広く発信するときは、核心の部分はボカしてわざとわからないようにすることもある。
筆者は、メルチュ社長のnoteの記事を読んで、かなり具体的なことまで書かれていることに驚かされた。問題になってから、一部削除や修正が入っているが、戦略、戦術も具体的であるし、斎藤氏側とのやり取りについても書かれている。
相手方の許可が得られていたとしても、ここまで具体的に明かすのは珍しいと思う。
■なぜ、ネタばらしをしてしまうのか?
noteの記事を読んでいても、斎藤氏のSNS戦略はオーソドックスなもので、奇をてらったところがない。
逆に、斎藤氏に逆風が吹く中で、奇をてらったことをしたり、相手陣営を激しく攻撃したりすると、逆効果になることが多い。
選挙戦のときに、テレビでは街頭に一人立って、通行人に向かって頭を下げる斎藤氏の姿が映し出された。SNSへの投稿との相乗効果をもたらし、県民に「この人はまともな人かも」「県民のことを真面目に考えているのかも」という印象を植えつけた効果はありそうだ。
筆者は、斎藤氏の勝利は、支持者・支援者をはじめとする第三者のSNSでの情報発信の影響が多いとした。実際、事実関係が曖昧な部分や、斎藤氏を擁護する声は、第三者がうまく語ってくれた。
そういった第三者の情報発信と、PR会社が関わっていたという斎藤氏本人と公式応援アカウントでの情報発信とは、絶妙な棲み分けができていたように思う。
ただ、noteで戦略の裏側をネタばれしてしまったのは賢明ではなかった。
広告業界で、「アレオレ詐欺」「コレオレ詐欺」という言葉が良く使われていた(少なくとも私が会社を辞める数年前までは)。
誰もが知っている有名な広告やキャンペーンについて、「あれ俺がやった」と合コンやデート、友人との飲み会などで自慢するというものだ。実際は少ししか関わっていなかったり、中心的な役割を果していなかったりする場合も多々あるのだが……。
もちろん、まともなビジネスパーソンなら、多少の自慢はしても、必要以上に内情を話したりはしない。
仕事の成果を人に語りたくなるのは、「大きな仕事をしたことを自慢したい」という私的な欲求もあるだろうが、大きな成功を収めた案件に関わったとなると、今後の仕事にも大きな影響をもたらすという、ビジネス上のメリットを考えてのこともある。
今回の場合は、後者の理由が大きいように思う。
PR会社、広告会社の人たちは、あくまでも黒子に徹しつつ、クライアントの顔色をうかがいつつも、「実はあの案件は、弊社が(あるいは「私が」)」と主張したいし、ときには実際に主張もする。
ただ、今回は選挙で、かつ選挙前から物議を醸していた案件でもある。手の内を明かすことには、もっと慎重であるべきだっただろう。
■政治の「広報活動」はこれまでも行われてきた
実際、noteで書かれていたような広報活動は、政治の場で行われることがある。
日本では、第二次世界大戦時の情報統制への反省があり、政治におけるイメージ戦略、情報戦略に対して風当たりが強いのだが、歴史的に見ても、グローバルの視点から見ても、通常に行われていたことだ。
ギリシア、ローマ時代は雄弁術が重視され、政治家には演説で人々を鼓舞することが求められた。シェイクスピアの戯曲「ジュリアス・シーザー」では、アントニー(アントニウス)が、演説で大衆を扇動する様子が描かれていた。
過去の宮廷画家も、絵画を通じて支配者が望んだイメージを人々に伝える、一種のPRパーソンの役割を果たしていた。
ヒトラー率いるナチスの隆盛も、宣伝大臣のゲッベルスが当時普及してきた、新聞、ラジオ、映画などの媒体を駆使してプロパガンダを行った効果が大きい。
1960年のアメリカ大統領選でも、J.F.ケネディの勝利は、対立候補のニクソンに対して、徹底的なイメージ戦略をとったことによると言われている。特に、当時台頭してきたテレビに対して、ファッションや立ち居振る舞いを計算して、「若いながらも、強いリーダーシップを持つ政治家」というイメージ形成に成功した。
2008年のアメリカ大統領選のオバマの勝利も、オバマ陣営が、当時若者を中心に浸透してきたSNSを有効活用したことが、選挙戦に勝利した一要因とされている。
良くも悪くも、メディア環境の変化に柔軟に対応し、イメージ戦略、情報戦略に勝利することが、選挙でも勝利する重要な要素になっている。
■SNSが発達しても“情報操作”は有りうる
一方で、論点の3つ目にあるように、情報操作、印象操作が行われる懸念も大きくなっている。『ドキュメント 戦争広告代理店~情報操作とボスニア紛争』(高木徹著、講談社文庫)という本がある。
本書では、1992年に起きたボスニア紛争で、世界的に世論がセルビア批判へと向かった裏には、アメリカのPR会社(タイトルから誤認されがちであるが、広告代理店ではない)の情報操作があったことが明らかにされている。
情報操作によって、政治が変わり、社会も変わってしまう――ということは、過去に何度も起きている。今回の知事選は「SNSがマスメディアに勝利した」と語られるが、SNSで人々が自由に情報発信できるようになったからといって、人々が操作された情報によって動かされなくなるとは限らない。
これまで述べてきたように、PR会社社長のnoteに投稿したことは、適切な行為だったとは言いがたい(PR手法が不適切と言うわけではない)。しかし、有権者側がなかなか把握できない、最新の選挙戦略の裏側を知ることができたという点で、われわれは幸運だ。
イメージ戦略、情報戦略が進化している現代において、有権者側もリテラシーの向上を図る必要がある。
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兵庫県知事選挙で再選した斎藤元彦知事の選挙運動をめぐり、PR会社の社長が「広報全般を任された」などとSNSに投稿し、公職選挙法違反の疑いが指摘されています。
今月17日に投開票された兵庫県知事選挙で再選した斎藤元彦知事。勝因の一つとされているSNS戦略をめぐって、県内のPR会社の社長が今月投稿したコラムの内容に公職選挙法違反の疑いが指摘されています。
コラムには自らが手がけたとする斎藤知事のSNS戦略の一端が綴られ、選挙活動の広報全般を任されていたことや、「監修者としてコンテンツ企画などを責任を持って行った」などの記述もあります。
総務省によりますと、SNSの運用を含む選挙運動の企画立案を主体的に行う企業に報酬を支払った場合、公選法が禁じる買収に当たる可能性があるということです。
PR会社はきょうまで取材に応じていませんが、斎藤知事の代理人弁護士はけさ、JNNの取材に対し、PR会社にポスターデザイン制作費など5つの名目で70万円あまりを支払ったと認めました。そのうえで、主体的な企画立案への報酬ではなく、法には抵触していないとの認識を示しています。
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私は弁護士という職業柄、ニュースを見ると「この人を弁護するとしたらどうしよう」と考えるクセがある。しかし、今回の斎藤元彦知事を巡る報道を見て思った。
「考えられるどの弁明をしてみても、苦しいかもしれない」
PR会社女性社長の投稿に端を発したSNS選挙での「買収」疑惑。事実関係にはっきりしない点も多いが、投稿が真実だとすると大きな問題となり得る。公職選挙法では、有権者にお金を払って一票を買うのが「買収」なのはもちろんだが、それだけではない。選挙運動のスタッフについては「無償のボランティア」が原則。事務員や選挙カーの車上運動員(いわゆる「ウグイス嬢」)など法律が決めた「作業」の従事者以外には、報酬を支払うと「買収罪」となり、候補者も「当選無効」となるおそれがある。
そして今回、斎藤氏側もPR会社に一定の金銭を払ったこと自体は認めたと報じられている。それでも「当選無効」とならないために、斉藤氏側が展開する可能性がある「弁明」は、3つあると私は思っている。
1つ目に考えられるのは「PR会社に頼んだのはSNS関係の『単純作業』だけ」という「弁明」だ。
ネットに関する業務でも、渡された原稿をホームページにアップするなどの「単純作業」なら手間賃を支払っても違法ではない。その一方、業者自らアイデアを出して「企画立案」する業務には金を払ってはいけない。ネット選挙が解禁された2013年に各党議員が集まって作ったインターネット選挙運動の「ガイドライン」には、「主体的・裁量的に選挙運動の企画立案」をした業者に報酬を払うと「買収となる恐れが高いものと考えられる」と明記されている。また、「ガイドライン」は「業者の下書きを最終的には候補者がチェックした」場合でも、業者がアイデアを出している以上、買収の可能性が高いと指摘している。
では、今回の女性社長はどうだったか。投稿記事では自分がSNS戦略の「運用戦略立案」を担当したとし、選挙戦で使われたXのハッシュタグ「#さいとう元知事がんばれ」の発案についてこう明かしていた。
「『#さいとう元彦がんばれ』ではなく、あえて『知事』を入れることで、『さいとうさん=知事』という視覚的な印象づけを狙いました」
「これはどう考えても『単純作業』ではなく『企画立案』ではないか」と考えたら、「PR会社には単純作業を頼んだだけ」という弁明は通用しなくなる。
そこで2つ目の「弁明」として考えられるのは「PR会社に支払ったのはSNS戦略の代金ではない」というものだ。現に斎藤知事側は「依頼したのはポスター制作などだ」と説明したという。
しかし、もしそうならPR会社はネット戦略立案という「本来ならお金を取るサービスを斎藤氏に無料で提供した」ことになる。これと似た「本来は有料のネット広告を業者が無料で提供した」という場合、利益供与として「寄付」となり、企業が行うと「企業献金」扱いされている。そして、我が国では「企業献金」が許されるのは「政党等に対するもの」だけ。政党ではない候補者などに対して行うと「政治資金規正法違反」だ。
とすると「SNS戦略サービス」という本来有料のサービスをPR会社が斎藤氏という候補者にタダで提供したら、「禁じられた企業献金」として違法のおそれが出る。だから、この2つ目の弁明も「苦しい」と言える。
すると、最後に3つ目の「弁明」として残るのは「女性社長はウソつきだ」という主張。だが、投稿内容は詳しくて具体的だ。また、女性社長には「ウソ」をついて斎藤知事を陥れる動機もなさそうで、逆に斎藤知事のもと、兵庫県で華やかな地位についている。投稿記事の自己紹介欄にはこう書かれていた。
2021年より兵庫県地方創生戦略委員
2022年より兵庫県eスポーツ検討会委員
2023年より兵庫県空飛ぶクルマ会議検討委員
さらに「これまでに150以上の行政・企業・団体の広報・PRを手掛けている」という人物がわざわざ「ウソ」を公表するだろうか。
こうして考えていくと、斎藤知事に考えられる3つの「弁明」は、どれも通用するのかどうか疑問が出てくる。
公職選挙法の買収罪は3年以下の懲役・禁錮又は50万円以下の罰金の刑に処せられ、場合によっては「連座制」によって候補者本人の「当選無効」にもつながる重大な罪だ。事実の解明をあいまいにすることは許されない。真相は何なのか。斎藤知事やPR会社から今後どのような「弁明」が出てくるのか、私は注目し続けたい。
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兵庫県の斎藤元彦知事(47)は25日、東京都内で開かれた全国知事会議後、報道陣の取材に応じ、知事選の広報やSNS戦略をめぐり公職選挙法に抵触する疑惑が出ていることについて、明確に否定した。
公職選挙法は、選挙活動で報酬を支払える対象を、事務員や車上運動員、手話通訳者などに限定しているが、兵庫県内のPR会社の経営者が20日、広報やSNS戦略を全面的に請け負ったという趣旨の記事をインターネットの投稿プラットフォーム「note」に投稿している。
斎藤氏はPR会社側について「(SNS戦略ではなく)ポスター制作を依頼したのが実際のところだ」と主張。制作費用として、すでに70万円を支払っていると明かした。
またPR会社側が主張しているSNS戦略については「別のやり方を、斎藤事務所の方でしっかりやった」と述べた。
舞台裏ともいえる記事を公開したPR会社の経営者については「ボランティアで個人で参加することを話している」と訴えた。
経営者が記事を公開することについては「(事前には)存じ上げなかった」と述べた。
斎藤氏は「いずれにしましても、私の代理人の方で対応させていただいている。いずれにしても公選法には抵触していないと認識している」と訴えた。
PR会社の経営者は「note」の記事の中で、斎藤氏の陣営で「広報全般を任せていただいていた立場として、まとめを残しておきたいと思います」と記し、プロフィル写真の撮影の様子や、X(旧ツイッター)の公式応援アカウントの立ち上げや運用などを手掛けたこと、キャッチコピーを「躍動する兵庫」から「兵庫の躍動を止めない!」と提案したことなどを、詳細に記載。「ご本人は私の提案を真剣に聞いてくださり、広報全般を任せていただくことになりました」(現在は削除)とし、広報やSNS戦略を手掛けたのは自分たちだとアピールする内容も記されている。
公職選挙法は、選挙活動で報酬を支払える対象を、事務員や車上運動員、手話通訳者などに限定。また総務省は一般論として「業者が主体的・裁量的に選挙運動の企画立案を行う場合には、当該業者は選挙運動の主体であると解されることから、当該業者への報酬支払いは買収となるおそれが高いと考えられます」としている。
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だが、斎藤氏のSNS戦略について、PR会社の関与が浮上。報酬が支払われていた場合は公選法違反に当たるが、斎藤氏側は「法に抵触することはしていない」と否定している。
橋下氏は、PR会社の32歳社長のSNS投稿が物議を醸していることについて「これは斎藤さんの特徴かな。これだけ斎藤さんの近くで兵庫県庁の仕事を受けていた人に、自分の政治活動・選挙運動の仕事は頼まんよ。疑われることが間違いないから」と、斎藤氏の行動を指摘。
「県の仕事を発注することと、自分の選挙運動を手伝ってもらうことが繋がってしまうからね。選挙コンサルの仕事は無料でやってもらう代わりに、県の仕事でお返しする。無料でなくても県の仕事と結びついて見られてしまう。普通は怖くてこのPR会社には頼まない」と分析した。
また「これ、野球パレードの寄付と補助金増額の時期が一致してキックバックの疑いを持たれた構図と同じ」と、過去に斎藤氏浮上した斎藤氏の補助金還流疑惑にも言及。「いくら当事者がキックバックではないと言っても、あそこまで時期が一致すれば疑われない方がおかしい」とし、。だから普通はあんな補助金増額・権力行使はやらない。そして斎藤さんにはそれが問題だとの自覚が全くない。権力者として不適格な理由」と主張した。
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兵庫県・斎藤元彦知事の選挙運動をめぐり、PR会社の社長が「広報全般を任された」などとSNSに投稿し、公職選挙法違反の可能性が指摘されている問題で知事側の代理人が「PR会社との契約書は交わしていない」ことを明らかにしました。
20日、兵庫県内のPR会社代表がネット上に斎藤知事の選挙について「(広報の)監修者として、運用戦略立案などを責任を持って行った」とするコラムを発表し公職選挙法に抵触する可能性があるとの指摘が相次ぎました。
斎藤知事は違法性を否定した上でPR会社に依頼したのは法律で認められた「チラシのデザイン」や「ポスター・デザイン制作」などで税込みでおよそ70万円を支払ったと説明していました。
その後斎藤知事の代理人がABCの取材に応じ「PR会社との契約書は交わしていない」と明かしました。
金額や業務の指示はメールやSNSで行っていたということです。
代理人は、違法な業務の発注はしていないと主張していて12月2日に選挙資金の収支報告書を提出する前に業者からの請求書を公開したいとしています。
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パワハラなどを告発文書の問題を受けて失職した斎藤氏は、17日に投開票された県知事選で再選。その後、同氏を支援したPR会社の経営者が文章や写真などを公開するサービス「note」上で、同氏の選挙戦でSNS戦略を提案し、「広報全般を任された」などとつづった。公選法では選挙活動で報酬を支払える対象は事務員や車上運動員、手話通訳者らに限定されており、兵庫県選挙管理委員会は「一般論として、報酬が支払われていたら公選法違反に当たる場合がある」との認識を示した。
斎藤氏はこの日、全国知事会後に記者団に対し「9月末に一度、(PR会社の)事務所で、SNSの考え方についてご意見をうかがった」と答え、「私としては、公職選挙法に違反する可能性はないと認識しています」と疑いを否定。PR会社へは「製作費として70万円ほど支払っています」と述べた。斎藤氏の弁護士は、PR会社に依頼したのはポスター等の作成など5名目だとしている。
疑惑の発端となったPR会社社長の投稿について、藤川氏は「まったく申し訳ないけど、罪深い行為ですよ」と苦言。「あうんの呼吸で、ギリギリのところでみんな、やっているわけでしょう?そこをつまびらかにして、彼女(社長)は自慢話をしちゃったわけですから」と指摘し、「聞いた瞬間に“あ、警察動くな”って僕ら、直感的に思いました」と打ち明けた。
選挙プランナーの仲間内でも、困惑の声が上がっているという。「プランナーの仲間、みんなで連絡し合って、“こんなことをされたら我々、活動しにくくなるよね”っていうふうに話したことも事実ですね」と明かしていた。
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26日:兵庫県知事選挙で斎藤知事陣営の広報全般を請け負ったなどと公開したPR会社について、斎藤知事側が「認識と全く違う」と話し、両者の主張に食い違いがあることがわかりました。
兵庫県内のPR会社の代表を務める女性は、兵庫県知事選挙で斎藤知事の「広報全般を請け負った」とネット上でコラムを公開しました。
斎藤知事側は、このPR会社にチラシのデザイン代などとして約70万円を支払ったことを認めています。
総務省は、業者が報酬を受け主体的に選挙活動に関わることは「公職選挙法に抵触する可能性がある」としています。
斎藤知事の代理人弁護士は取材に対して、PR会社代表のコラムの記載について「認識と全く違う。選挙運動の中核にいた認識は全くない、あくまでボランティア」だと回答し、両者の説明が食い違っています。
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兵庫県の斎藤元彦知事が再選を果たした知事選に絡み、兵庫県西宮市のPR会社の女性社長が斎藤陣営に協力したとしてSNSに記した活動内容が公職選挙法に違反する恐れがあると指摘されている問題で、同PR会社が11月29日に知事など3者から表彰を受ける予定だった式典を「欠席」すると県側に伝えていたことが26日、明らかになった。
「種まき→育成→収穫」の知事選SNS戦略提案 女性社長のPR会社
同社は先立って、仕事と家庭生活の両立の促進や、多様な働き方の導入等の先進的な取組を実施している企業・団体を表彰する「ひょうご仕事と生活のバランス企業表彰」の令和6年度受賞企業に決定。受賞した15社への表彰式が29日に兵庫県公館で行われる。
同表彰の担当者は、デイリースポーツの取材に、同社と連絡をとった結果、表彰式には当初、今回SNS投稿が問題となっている女性社長が出席予定だったが、最終的に「欠席する」との申し出があったと明らかにした。
同社を表彰する決定については、関係する団体なども含め「協議中」としている。
表彰者は、兵庫県雇用対策三者会議(連合兵庫会長、兵庫県経営者協会会長、兵庫県知事)で、現在、県は表彰式に副知事が出席する予定。
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元鳥取県知事の片山善博氏(73)が26日、TBS系「ひるおび」(月~金曜午前10時25分)に生出演。兵庫県知事選で再選されたばかりの斎藤元彦知事(47)に公職選挙法違反の疑惑が浮上している問題について私見を述べた。
今回の件について、知事を務めた経験から「私が斎藤さんの立場だった場合」と前置きした上で、「任せてもいないボランティアだったら、その会社の社長さんに非常に腹が立つ。何てことを言ってくれたんだとと思うんですよ」と指摘。「ひょっとしたら、知事は地位を失うかもしれない。そんなのとんでもないと言って、損害賠償請求するとか、名誉毀損(きそん)で訴えるとか、そうしても良い事例だと思うんですけど、その気配はないですよね」と首をかしげた。
有償業務を無償提供していた場合は政治資金規正法違反となる可能性も挙げ、「有償なら買収、無償なら会社で請け負ったことを前提にすれば、会社からの寄付になる。そうなると、県との関係で非常にややこしくなる」とした。
続けて「会社が斎藤さん、斎藤さんの事務所に献金するのは企業献金になりますから、これも正当でないといけない。斎藤さんの場合は無所属ですから、それだけで政治資金規正法の疑いがあるのではないかと思います」と説明した。
片山氏は斎藤氏の25日の取材について「記者が『無償でも寄付行為となって別の違法になるのでは』と質問すると、斎藤さんは『公職選挙法になるようなことはしてません』と言ったんです。そりゃそうです。政治資金規正法の問題ですから。非常にうまく使い分けている。(記者も)政治資金規正法はどうかとたたみかけても良かったですね」と私見を述べた。
今回の疑惑は、兵庫県内のPR会社の社長が20日、ネットの投稿プラットフォーム「note」に公開した記事で、斎藤氏側に知事選の広報やSNS戦略を提案し「広報全般を任せていただくことになった」とした上で、広報やSNS戦略に関する詳細な舞台裏を公開したことで表面化。仮に有償で請け負ったとしたら、PR会社は公選法で定められた報酬の支払い可能対象を外れるため、公選法に抵触する可能性が指摘されている。
また、政治資金規正法では、政治団体を除く会社・労働組合等の団体は、政党や政党支部、政治資金団体以外に対して、政治活動に関する寄付をすることを禁じている。
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兵庫県の斎藤元彦知事が再選を果たした知事選で、斎藤氏を支えたとする兵庫県西宮市のPR会社の女性社長がSNSに記した活動内容が公職選挙法に違反する恐れがあると指摘されている問題で、27日、斎藤知事の代理人弁護士が神戸市内で会見した。
斎藤氏個人の代理人弁護士として、時系列で事実関係を説明。
斎藤氏は、9月末頃に支援者から、PR会社の社長夫妻がボランティア協力に賛同してくれていると伝えられ、9月29日にPR会社を1時間訪問。女性社長が県の委員を務めていることから、斎藤氏と社長に面識はあったという。
「斎藤氏がPR会社を訪問し、説明を聞いただけで終了した」とし、ポスターデザイン制作や、YouTube動画撮影の提案などがあったとした。
「しかしNOTEに記載されているような、広報全般をPR会社に依頼するとか、SNS戦略の策定などの項目はなく、いずれも制作物の提案だった」とした。
PR会社からの提案を受け、斎藤氏側が10月3日から同9日にかけて依頼したのは5項目で「公約スライド制作、選挙に最低限必要と考えられたポスター、ちらし、選挙広報のデザインに絞って依頼した」とし、「当時は選挙資金のめども立っていない状況だったことも理由」だとした。
「社長がNOTEで記載しているような、SNS戦略を依頼した、広報全般を任せたというのは事実ではありません」とした。
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兵庫県知事選でのSNS戦略をめぐり公選法違反の疑いが指摘されている斎藤元彦知事(47)が27日、県庁で定例会見を開き、問題となっているPR会社社長の投稿について語った。
斎藤氏の定例会見は、知事選に再選後、初めて。
知事選で斎藤氏を支援したPR会社の社長が、文章や写真などを公開するサービス「note」上で、同氏の選挙戦でSNS戦略を提案し、「広報全般を任された」などとつづった。公選法では選挙活動で報酬を支払える対象は事務員や車上運動員、手話通訳者らに限定されている。斎藤氏は25日、全国知事会後に記者団に対し「私としては、公職選挙法に違反する可能性はないと認識しています」と疑いを否定しつつ、PR会社へ製作費として約70万円を支払ったことを認めた。同氏の弁護士は、PR会社に依頼したのはポスター等の作成など5名目だとしている。
こうした投稿について問われた斎藤氏は「代理人に任せている」としつつ、「後ほど代理人弁護士から説明がある。一つ言えるのは、私は事前に一切見ていないし、そういった発信をするとも聞いてない、内容自体も一切、確認もしていない。発信の後に知った」と述べた。
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兵庫県知事選で再選された斎藤元彦知事(47)について、同県西宮市のPR会社の社長が選挙戦で広報全般を担ったとする記事をウェブサイトに投稿し、公職選挙法違反との指摘が出ている問題で、斎藤氏の代理人弁護士が27日、神戸市内で記者会見し、PR会社からの請求書を公表した。
公開された請求書には、公約のスライド製作(30万円)やポスターのデザイン製作(5万円)など5項目計71万5000円分の内訳が記載されている。告示日の10月31日に届けられ、11月4日に後援会名義の銀行口座から振り込んだという。契約書は存在せず、口頭合意だったという。
斎藤氏も27日に県庁であった記者会見で「(社長の投稿について)事前に発信するとは聞いていなかった」と話した。
PR会社の社長は20日付でインターネットの投稿プラットフォームで「広報全般を任せていただいた」などと発信した。
斎藤氏のプロフィル写真の撮影やポスター製作、SNS(ネット交流サービス)運用など選挙戦の裏側を紹介する内容で、SNSについて「私が監修者として、運用戦略立案、アカウントの立ち上げなどを責任を持って行い、信頼できる少数精鋭のチームで協力しながら運用していました」と明かしていた。
この投稿に対しSNSなどで、選挙運動の対価として報酬を支払うことを禁じる公選法に抵触しているとの指摘が相次いだ。
斎藤氏側は「(社長は)ボランティアとして個人で参加された。公選法に違反するような事実はない」と説明している。
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兵庫県の斎藤元彦知事(47)が、知事選でのSNS戦略をめぐり公選法違反の疑いが指摘されている問題について、同氏の代理人弁護士が27日、会見を開いた。
知事選で斎藤氏を支援したPR会社の社長が、文章や写真などを公開するサービス「note」上で、同氏の選挙戦でSNS戦略を提案し、「広報全般を任された」などとつづった。公選法では選挙活動で報酬を支払える対象は事務員や車上運動員、手話通訳者らに限定されている。
斎藤氏はこの日の定例会見で「公職選挙法に違反する可能性はないと認識しています」とこれまでの主張を繰り返した。同氏の代理人弁護士は、PR会社に依頼したのはポスター等の作成など5名目だとし、約70万円を支払ったと説明していた。
会見では、選挙期間中の社長の立ち位置について問われた。代理人弁護士は「個人によるボランティア」という認識で一致しており、「陣営の中で役職についているとかはございません」と説明した。
説明によると、斎藤氏は支援者を通じ、PR会社社長夫妻と会い、9月29日に同社事務所を訪れて打ち合わせをした。
弁護士は「9月29日の前の段階で、支援者がボランティアを探している中で手を挙げていただいている」とし、「(斎藤氏かPR会社側か)どちらが誘ったか分からない」と述べた。
また「支援者に聞いてみないと分からないですけれど、“何々をやってほしい”というボランティアとは考えていなかった」とし、当初からSNS担当のボランティアを担う予定ではなかったとの認識を示した。
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