旧統一教会への高額献金をめぐり、最高裁がきょう、初めて判断を示しました。元信者の女性が残していた「賠償を求めない」とする念書について、最高裁は「無効」としました。
裁判長
「(念書は)公序良俗に反して、無効である」
旧統一教会への献金をめぐる念書について、最高裁は「一方的に大きな不利益を与えるもの」と断じました。
原告の中野容子さん(仮名60代)。信者だった高齢の母親が違法な勧誘により、高額な献金などを強いられたとして、教団側に6580万円の賠償を求めていました。母親は裁判の途中で亡くなりました。
原告 娘・中野容子さん(仮名)
「高齢の母は高裁審理中に亡くなりました。なぜもっと早く…(同様の判断は)最高裁でなくてもできるはずのことでした」
争点の1つが「念書」の有効性。「献金は自由意思だ」として、母親が残していました。
母親が書いた念書
「(献金の)返還請求や損害賠償請求など、一切行わないことをここにお約束します」
さらに、教団は念書の内容を確認させる映像も撮影していました。
教団関係者
「家庭連合(旧統一教会)に返金請求することは断じて嫌だということで、本日、手続きされたということですね」
中野さんの母親(当時86)
「はい」
この念書について中野さんは、当時、母親は認知症だった可能性があるうえ、教団の強い影響下に置かれていたとして、無効だと訴えてきました。
しかし、1審と2審は念書の有効性を認め、中野さんの訴えを棄却していました。
そして、きょう、最高裁は…
裁判長
「(念書は)損害の回復の手段を封ずる結果を招くもので、女性の不利益は大きい」
「念書は無効」とする初めての判断を示しました。
最高裁は「女性は加齢により判断能力が低下し、心情的に不安定になりやすかった可能性を否定できない」と指摘。献金勧誘の違法性について、1審と2審の判決は「審理が尽くされていない」として、審理を差し戻し、裁判をやり直すよう命じました。
判決後、中野さんは…
原告 娘・中野容子さん(仮名)
「やっと裁判所がこういう認め方をしてくれたのだと。とにかく徹底的にお金を取り上げる、そんな献金というものはあり得ない」
今回の判決は、他の同様の訴訟にも影響を与える可能性があります。
一方、教団側は判決を受け、「差し戻しという結果は残念」としたうえで、「今後も主張の正しさを主張していく」とコメントしています。
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9月:世界平和統一家庭連合いわゆる“統一教会”は2日、文部科学省の質問権行使に回答を拒否したとして過料10万円を命じた東京高裁の決定を不服として、最高裁に特別抗告しました。
統一教会は、解散命令の請求をめぐって文部科学省による質問権の行使に対して100項目以上で回答を拒否したとして、今年3月、東京地裁が行政罰の過料10万円を命じる決定を出し、先週火曜日(27日)、東京高裁も、これを支持しました。
決定で東京高裁は、解散を命じる要件にある「法令違反」には、「民法上の不法行為が含まれる」としたうえで、「不法行為が認められた22件の民事裁判の判決で認定された事実関係からは、全国各地で長期間にわたり信者らによって多数の被害者の 財産権や人格権を侵害する違法な行為が繰り返され重大な損害が生じたことがわかる」と指摘。
「解散命令の要件にあたる疑いがある」として、質問権の行使は適法なもので、教団側が一部に回答しなかったことは「過料に処せられるべき」としました。2日、教団側はこの決定を不服として最高裁に特別抗告しました。
ただ、特別抗告には決定が確定するのを止める効力はないため、今後、教団側は、過料を命じた高裁の決定に従い、過料を支払う必要があります。
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