窓際日記・福島原発

窓際という仕事の雑感

ダークマターは興味深いですね/

2019-03-05 05:33:10 | Weblog
・【解説】ダークマターない銀河を発見、なぜ重要?<--リンク

ダークマター探しは本当に興味深いですね。

そうして、「キノコ(松茸)は千人の股をくぐる」と言われます。<--リンク

私には「ダークマターは万人の股をくぐっている」様に見えて仕方がないのであります。


第二章
ホームズさん曰く、「犯人は目の前にいる」と言ったとか、言わなかったとか。

頭の上に持ち上げたメガネはなかなか見つかりません。

えらい人が「そこは探したけれどなかったよ」と言われれば、初学者はなかなか探しには行きません。

ましてや自分が一度探した所をもう一度探す、ということは、、、いや、日常生活であればしょっちゅうやってますが、ダークマター探しではやりませんね、皆さん。

そうしてとうとう「ダークマターなぞは存在しない」と言いだす始末です。

まあそんな事をいうのでしたら「プランクレベルのBHの可能性」を考えた方がよほど生産的の様に思うのですが、さてどうなんでしょうかねえ。

いずれにせよ、いずれは「ホーキング放射で本当にBHは蒸発するの?」という疑問に戻ってくる様に、戻らざるを得ない様に思われます。


第三章
物理学者も人間である、ということ。

人でありますから、思いこみ、先入観、そういうものから逃れる事は出来ない様です。

しかしながら、多くの物理やがいるおかげで、思いこみも千差万別となります。

この多様性が人の場合は強みとなります。

そうして決着は観測でつける、自然に聞くのであります。

いったいどちらが正しいのか、と。

他方でAIが物理をやっても、いくら数多くのAIを投入した所で似たような答えが返ってくる様に思われます。

それが今の所の地球上のAIの実力、というところでしょうか。

そうでありますから、多様性は歓迎すべき事でありましょう。

そうして、決着は「自然に聞く」のであります。


第四章
百家争鳴(ひゃっかそうめい)のダークマター探し
『いろいろな立場にある人が自由に議論をたたかわせること。
多くの学者や専門家が何の遠慮もなく、自由に自説を発表し、活発に論争し合うこと。』

状況はまさしくそうであります。

しかしながら、大きく分けるならば、「ダークマターは幻だ」というグループと、「いや実在する」と言うグループに分けられそうです。

「ダークマターは幻だ」というグループは、地上での直接観測ができないのは、そのような物理的な実在がないからだ、と主張するでありましょう。
そうして、ダークマターの役割を、たとえば修正重力理論、あるいはマイナス質量の粒子の存在などというもので肩代わりさせようとします。<--リンク

ちなみに、「マイナス質量の粒子」が実在しても地球の重力場によって地上からは弾き飛ばされますので、地上での直接観測はできない、ということになります。
そして、実は同じ理由で銀河系内部にはこの粒子は存在できず、したがって宇宙空間にでて観測しても無駄、ということになります。

他方で、「いや実在する」と言うグループでは、「今まで検出できていないのは、探す方法が悪いのだ」と言う事になるのでしょうか。
そうして当方の主張もこのグループに属しますが「探す方法が悪い」のではなく「プランクレベルのBHは原理的、状況的に検出するのは至難の業」という主張となります。

その難易度というのは、重力波の検出と比較した場合、どれぐらいのものになるのでしょう?

重力波の検出はやり方が分かっていました。
あとはノイズとの戦い、SN比をどれだけ高められるか、と言う事でした。

しかしながらプランクレベルのBHの検出ときたら、やり方すら分かっていません。
秒速200Kmで例えば10日に一個、検出器の中を飛んで行く、ほこりゴミほどの質点を、その質点が及ぼす重力の効果だけで検出する、などと言う事は、今の地球上にある技術ではどう考えても無理な事の様に思われます。

さて上記が原理的に難しい事の説明でした。
それでは状況的に難しいというのは何でしょう?
XMASS(ダークマター観測実験)を例として取り上げましょう。<--リンク

『2013年の改修作業後、順調に行われてきた暗黒物質探索用データの取得を完了し、本日XMASS-I検出器から液体キセノンを回収しました。』
液体キセノンが約1トンとの事ですので、比重3.06から検出球の体積が326.8m^3と分かります。

半径が約4.3mで観測断面積(円形)が57m^2。
これですとプランクスケールBHを1日で0.17個の観測が可能。<--リンク
2013年秋から2019年2月までで5.5年の稼働として全観測個数は341個。

1000回に一回のキセノンとの反応があったとしても、発光が観測できた確率は33%程度。
実際は1000回に一回も反応するとは思えず、ラッキーであったとしても10000回に一回程度かと。
これだと5.5年動かして1回の発光を観測できた確率は3.3%。

以上が「状況的に難しい」という事の内容になります。

ちなみに当方の主張は「プランクスケールBHの衝突断面積はゼロ」ですので、XMASSの様な「物質粒子との衝突を検出するというやり方」では原理的に検出不可能と言う事になります。
つまり「どれだけ大きなXMASSを作ってみてもダークマターは観測できない」と言う事であります。


第五章
人類が直接検出できないもの
人類はいままで宇宙から地球に届いている、物理的に実在するものは何であれ検出し観測してきました。
たとえばそれはニュートリノであったり重力波であったりした訳であります。

そうでありますから、ダークマターも地球に届いている物理的な実在ですから、必ず検出できると考えるのは無理からぬ事であります。

しかしながら上記で述べましたように、今回ばかりはそうはいかない可能性があります。
そうであるとすれば「確かに目の前にあるのだがその物理的な実在を観測できない」という、これは人類にとっては初めての経験と言う事になります。
あるいは「初めての敗北」とも言えます。

・ダークマターの分布の謎を「共鳴現象」がひも解く:<--リンク
注目の新理論から見えてきたこと

『もし「重力」がダークマターを引き付ける唯一の力であり、ダークマター粒子に反発し合う特性がないとすると、ダークマターの分布はどのような銀河にとっても中心部が高密度になるはずだ。
しかし、観測データはそうではないことを示している。
ダークマター粒子が「特定の速度」で衝突するときにだけ、ビリヤードのボールのように散乱する「共鳴現象」が起こるなら、粒子がより均等に広がっている矮小楕円銀河の分布を説明することができる。・・・』

さて、真偽の程はどうでしょうか?


第六章
ダークマター代替え理論
ネットで少し探した結果、3つ見つかりました。
(まだほかにもあるやもしれませんので、ご注意願います。)

・宇宙は「暗黒流体」に満ちている? 新説を巡る科学者とメディアの責任を考える(WIRED 2019.01.21)<--リンク
ジェイミー・ファーンズ
『宇宙がどのように機能しているかを説明するために、大半の研究者は一般相対論の方程式を利用すると同時に、暗黒物質と暗黒エネルギーの存在を認めている。

だがファーンズはその代わりに、負の質量をもつ暗黒流体が存在する可能性があると主張する。
ファーンズの論文は、多数の仮定を立てている。例えば、宇宙は方向によって異なる膨張率をもつこと、負の質量が存在すること、自然発生的に自己を生む何かがあるという見解などだ。

ファーンズは暗黒物質と暗黒エネルギーを排除し、それらの代わりに「負の質量をもつ流体」が宇宙に充満しているとする。』

ダークエネルギーの正体がマイナス質量を持つ粒子である、というならばその部分については同意いたします。


・「暗黒物質」は存在しない? 大胆な仮説を提唱した物理学者の長き闘い(WIRED 2017.04.02)<--リンク
エリック・ ヴァーリンデ
『重力は「見かけの力」にすぎないという衝撃的な論文を2010年に発表した、理論物理学者のエリック・ ヴァーリンデ。
昨年末、彼は暗黒物質(ダークマター)は存在しないという論文を新たに発表した。
さらにオランダでは、宇宙における重力分布の測定データが、彼の理論と一致するという研究結果も発表されている。・・・』

・ダークマター存在せず? - 「エントロピック重力理論」と観測データが一致(マイナビ 2016/12/22 )<--リンク
マーゴット・ブラウワー、
『ライデン天文台(オランダ)の天文学者マーゴット・ブラウワー氏らの研究チームは、宇宙における重力分布の測定データを分析し、「エントロピック重力理論(ヴァーリンデ理論)」と一致する結果を得たと報告した。
エントロピック重力理論は、2010年にアムステルダム大学の理論物理学者エリック・ヴァーリンデ教授が発表した重力についての新理論。
重力とは「電磁気力」「強い力」「弱い力」と並ぶ自然の基本的な力ではなく、実は「見かけの現象」に過ぎないとする理論であり、・・・』

人はしばしばデータの中に「自分がみたいもの」を見てしまう、そういう存在であります。


・本当は存在しない?暗黒物質/ 日経サイエンス  2002年11月号<--リンク
M.ミルグロム(ワイツマン研究所)
『 ・・・「力は加速度に比例する」という有名なニュートンの第2法則を,極めて小さな加速度の下では「加速度の2乗に比例する」とした修正ニュートン力学を提唱したのだ。
不思議なことにこのように修正を施すと,暗黒物質の存在を想定しなくても驚くほど矛盾なくさまざまな観測結果を説明できる。
そのうえ修正ニュートン力学が予想したいくつもの現象も,その後の観測で確認された。
・・・
修正ニュートン力学は暗黒物質論の代替論として最も優れており,長く支持されている。』

記事にある様に「本当に不思議」ですねえ。


第七章
ダークマターをさがせ!
・ダークマター」検出へ、欧州の原子核研究機関が新たな実験計画(AFPBB News 2019/03/06)
『【AFP=時事】欧州合同原子核研究機関(CERN)は5日、暗黒物質(ダークマター)に関連する素粒子を探すための新たな実験を計画中であることを明らかにした。
・・・
 今回の実験の目的は、いわゆる暗黒光子(ダークフォトン)やニュートラリーノなどの仮説上の粒子を探すことだ。
これらの粒子もまた、ダークマターに関連するとされる。
実験は2021年から2023年までの間に始まる見込みとなっている。』

CERNがようやくダークマター探しに本腰をいれる事になった模様です。


・ダークマターの超巨大嵐、太陽系を覆いながら地球を通過中(GIZMODO 2018.11.22)<--リンク

さて、XMASSはこの嵐を観測できたでしょうか?
PS
残念ですが日本国内での直接観測は今回で一応終了した模様です。
・液体キセノンを用いた暗黒物質直接探索実験の新たな展開の提案<--リンク
『XMASS 実験が現在の 1 相式をそのまま延長する形で XMASS-1.5 を実現しても、世界の研究に追いつけないことは委員の共通の認識となった。
研究グループが研究計画の変更を提案するのは妥当である。
また、海外で進展中の G2 実験、具体的には XENONnT への参加は、有力な計画である。・・・』

・宇宙の謎「消えたバリオン」問題が新たな観測手法によって解明へ(Gigazine) 2018年09月25日<--リンク

宇宙はなぞに満ちています。

・ダークマターの3次元地図の作成に成功 - すばる望遠鏡・HSCの初期成果が発表(マイナビ2018/02/27)<--リンク

すばるもがんばっております。


第八章
ダークエネルギーはどうなのか?
・宇宙、あと1400億年は「安泰」 すばる望遠鏡で調査(2018年9月27日 asahi)<--リンク

ここでもすばるが活躍しています。



http://archive.fo/L6EG0
http://archive.fo/clBF0
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ダークマター・ホーキングさんが考えたこと・8・BH(ブラックホール)は熱いのか?

2019-03-04 01:19:38 | Weblog
いや、BHは熱を持たないでしょう。

それはBHのホライズンは熱を持たないと言う事であります。

ホライズンがある真空で、ちょうどホライズンが位置する所で仮想粒子の対生成が起きた場合の事を考えます。

その時はBH側に飛んだ粒子はもちろんBHに飲み込まれます。

それで、BHと反対側に飛んだ仮想粒子は、これはしかしながらホライズンの定義からBHホライズンから外に出る事はできず、その粒子に質量があるならば速度は光速未満でしょうから、最終的にはBHに吸収される、そういう運命でしょう。

そうであれば、ホライズンから粒子が飛び出してくることはない、つまりはホライズンは温度を持たないのであります。
(BHの外側の観測者にはそう見えます。)

粒子が飛び出してくる空間、それはどれほどホライズンに近くともホライズンではなく、BHの外側の空間、外側の真空です。

そうでありますから、もし「熱い」というのであれば、BHの外側の空間が熱いのであって、BHそのものは少しも熱くはないという事になります。

そして「熱い」-->温度を持つーー>エントロピーがある、というロジックでBHがエントロピーをもつ、というのであれば、それは間違った表現であって、BHを取り巻く、粒子を発生させている空間がエントロピーを持つのであります。


さて、BHが温度を持っていて「熱くなる」からBHは最後には蒸発する、そう言う説明、そう言う表現がなされます。

いやいや、BHは熱くありませんから「蒸発はしない」のです。

そうして、誰が言い出したのかは知りませんが「蒸発」と言うコトバをつかうことで、あたかも水が蒸発するかのように、跡かたが何も残らずに消えてしまうというイメージが我々の頭の中に植え付けられます。

そうして脳と言うものは思考のラベル化、省エネ化をする器官でありますから、「そうかBHは蒸発して消えるのか。」、「そうであれば今後はその事については考えなくて良い。」とこうなる訳であります。


ホーキング放射はBHの蒸発プロセスではありません。

それはBHのホライズン近傍で発生した仮想粒子対の内の一つの粒子とBHの衝突、そしてその粒子のBHによる吸収というプロセスであります。

そのようなプロセスの結果としてBHから離れてゆく粒子が仮想粒子ではなくなり、現実の粒子として観測され、それがホーキング放射という名前を持つものになります。

KWD ダークマター プランクスケール ブラックホール

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ダークマター・ホーキングさんが考えたこと・7-1・ダークマターの直接観測

2019-03-03 01:07:53 | Weblog

さて観測の話であります。

比較できるのは重力波の観測ですか。
これも天体観測で存在する事はがわかっていたのですが、なかなか地上観測が難しかったのでした。

『さらに、重力波を放出することによって、軌道エネルギーを失い、公転周期などの軌道パラメータが変化するという効果も高い精度で検証され、その結果、重力波の存在は証明されています。<--リンク(or http://archive.fo/Zugga)
なお、これらの成果によってハルスとテイラーは1993年のノーベル物理学賞を受賞しています。』

重力波の存在が分かったのなら、何も別に地上で改めて苦労して観測して何が面白いのかな、と当時は思ったものでした。
単に空間の伸び縮みが分かるだけでしょう、と。

しかし実際はその振動波形からどのような天体が地球からどの方角で、どの程度離れた所で合体したのかがわかる、という話を聞いた時は驚いたものです。
アインシュタインは偉大でした。
そうして、その難しい方程式を数値計算で解いてデータベースとし、即時に観測データと突き合わせて判断できるシステムを作り上げた方々には賞賛の拍手を送りたいと思います。<--リンク(or http://archive.fo/jnBVI)


さて話は変わってダークマターの観測ですね。
こちらも天体観測によって存在することの確証は十分に集められました。<--リンク(or http://archive.fo/R1nUA)

さてそう言う訳で、我々の銀河系もダークマターの中にあり、そうしてまた太陽系、地球もDMの海の中を動いている、そういうのが現在の大方の方の認識の様です。<--リンク
ダークマターの密度はといえば1ccで水素原子0.3個とのこと。
地球の体積で500grだそうです。(上記PdfのP10~11)

地球の半径は6371Km.
体積はV=4/3*PI*(6371)^3=1.08*10^12(Km^3)

「ホーキングさんが考えたこと・5」で示した「プランクレベルBHがダークマターである説」によればダークマター平均重量はMp/8ということになり、それは2.72*10^-9(Kg)でした。
そうなるとダークマター個数NはN=0.5/(2.72*10^-9)=183823529個。
それを体積Vで割れば1km^3にいくつのダークマターがあるかわかります。
答えは0.0001702個。

地球がダークマターの海の中を秒速200kmで移動している(上記PdfのP16)ので、さて1km^2サイズの検出面をもった検出器には1日で幾つのダークマターが入るでしょうか?
答えは2941個。

しかし実際の検出器のサイズは大きくても10m*10mでしょうか。
小さければ1m*1mですね。
10m*10mでは一日あたり0.29個、3日で1個ですね。
1m*1mでは1日当たり0.0029個、10か月で1個のペースです。

しかもこの低速プランクスケールBHは真空や物質とは何の反応も示さず、ただゴミ、ホコリレベルの質量を持つ質点が検出器の中を秒速200kmで飛んで行くのですから、さてそれをどうやって検出するというのでしょうか?
そう言う訳で、「ダークマターがプランクスケールBHであった場合は、地上での直接観測はできないだろう」が答えの様に思われます。

ちなみに人の衝突断面積は0.4~0.5m^2ぐらいですか。
そうすると我々は20か月に1度はこのプランクスケールBHと衝突している事になります。
・・・
いやいやプランクスケールBHの衝突断面積はゼロですから、遭遇はできますが衝突はできません。
これは表現を間違えてしまい、失礼いたしました。(3月1日 記 イトウ)

PS
以下、別のページ「ダークマターは興味深いですね」からダークマター直接観測に関係する部分を引用しておきます。(令和元年 5月3日)

XMASS(ダークマター観測実験)を例として取り上げましょう。<--リンク(or http://archive.fo/0pRot)

『2013年の改修作業後、順調に行われてきた暗黒物質探索用データの取得を完了し、本日XMASS-I検出器から液体キセノンを回収しました。』
液体キセノンが約1トンとの事ですので、比重3.06から検出球の体積が326.8m^3と分かります。

半径が約4.3mで観測断面積(円形)が57m^2。
これですとプランクスケールBHを1日で0.17個の観測が可能。<--リンク
2013年秋から2019年2月までで5.5年の稼働として全観測個数は341個。

1000回に一回のキセノンとの反応があったとしても、発光が観測できた確率は33%程度。
実際は1000回に一回も反応するとは思えず、ラッキーであったとしても10000回に一回程度かと。
これだと5.5年動かして1回の発光を観測できた確率は3.3%。

以上が「状況的に難しい」という事の内容になります。

ちなみに当方の主張は「プランクスケールBHの衝突断面積はゼロ」ですので、XMASSの様な「物質粒子との衝突を検出するというやり方」では原理的に検出不可能と言う事になります。
つまり「どれだけ大きなXMASSを作ってみてもダークマターは観測できないだろうなあ」と言う事であります。


KWD ダークマター プランクスケール ブラックホール

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ダークマター・ホーキングさんが考えたこと・6・その後のBHの運命

2019-03-02 00:45:39 | Weblog
前回、BHの最終形態と言っておきながら「その後の運命」というのは矛盾ではないのか?
まあそういうご指摘は甘んじてうけることといたしましょう。

前回でミニブラックホールはプランクスケールに至りそこで一応の基底状態に至った、まあそう言う事であります。
しかしながら、相変わらずBHの周りではニュートリノが生まれ、それなりのものがBHに向かってくるのでした。
BHの入り口の大きさがLp未満になりましたので、大きさLpのニュートリノは中には入れないはず、なのですが、何事にも「表と裏」と言うものがあります。
そうして「表口がだめなら裏口があるだろう」というのが量子世界の常識であります。

それで「トンネルすればいいだろう」とニュートリノは考える事になります。
自分の大きさより小さな空間にトンネルできるのかどうか、確かにBHの入口のこちら側の世界での大きさはLp未満なのですが、BH内の空間の大きさはどうなんでしょうか?
もしかするとニュートリノを受け入れるだけの大きさがあるのかもしれません。
そうして、エネルギー準位で考えるならば、明らかにBH内部の方が低い、と言う訳です。
そうでありますので、当方の予想としては「たぶんトンネルするだろうなあ」と言う事になります。


そう言う訳で、前回提示した最終BH質量が4.48*10^-19(Kg)のブラックホール、確かにホライズンの大きさはLp未満ですが、トンネルすることでもう一つニュートリノが入れそうです。
そう言う訳で、M=4.32*10^-9(Kg)のニュートリノがトンネルしてきました。
そうしますと、BH質量は0.16*10^-19(Kg)となります。

さてここで問題です。
このプランクスケールのBHを消滅させる為には、次にトンネルするニュートリノの質量は正確に0.16*10^-19(Kg)でなくてはなりません。
そうでなければこのBHは消える事は出来ないのです。

それで、どうやってそう言う情報をエネルギーを用立てている、貸し元の真空が知る事が出来るのでしょうか?
あるいはその前に、エネルギー貸し元の真空は別にBHの質量をゼロにする事に興味を持っているとも思えません。
ホーキングさんによれば「ホーキング放射は完全にランダムである」とのことですから。

そう言う訳で、今回もまたM=4.32*10^-9(Kg)のニュートリノがトンネルしてきました。
さてそうなりますとこのBHの質量は-4.16*10^-19(Kg)と言う事になります。

こう言う話をしますと、きっと多くの人はこう言うでしょうね。
「えっ、質量がマイナスですよ!」
「BHでマイナスの質量という事はありえません。」

そう言う方にはこうお聞きしたいものです。
「今までの話のなかで、我々の宇宙が禁止しているルールに反している所はどこですか?」と。

上記の相互作用ではエネルギー保存則、運動量保存則は満足しています。
BHは自分が飲み込んだニュートリノに対するエネルギーの支払い請求には、常に誠実に気前よく応じるのでした。
そうして我々の宇宙は別にマイナス質量のBHの存在を禁止している様には思えないのです。

この辺りの詳細議論は「ホーキングさんが考えたこと・4」を参照願います。


それよりはむしろBHが消えるような質量0.16*10^-19(Kg)のニュートリノがトンネルしてくる事の方が禁止されていると思われます。
なぜならば、そのようなトンネルがおこり、このBHが消滅したとすると、今回のこの相互作用では運動量の保存則が破られる事になるからです。


さて、こうしてめでたく誕生したマイナス質量のBH、もちろんホライズンは持っていません。
そうでありますから、これ以上のニュートリノのトンネルと言う事はないでしょう。
つまりこれが本当に、最後の最後にこのミニブラックホールの行きつく所という事になります。
(ミニブラックホールの基底状態はマイナスである、と言ってもいいのかもしれません。)

このマイナス質量のBHはマイナス質量をもった粒子と見なす事が出来そうです。
そうしてもちろん重力以外での相互作用は起きません。

もし、我々の銀河の中でこのようなプロセスによってマイナス質量のBHが誕生したとしたら、それは銀河中心から引力ではなく斥力を受ける事でわき目もふらずに一目散に銀河から逃げ出す事になります。
そうして、行きつく先は重力ポテンシャルが一番高いところ、つまり宇宙で何もない場所にたむろする、と言う事になります。

2つのマイナス質量のBHはお互いに斥力を及ぼし合います。
そうであれば、このBHは集まりはしますが、それはダークマターや銀河からの重力に反発する形で集められているだけで、すきあればこの集団からは離れようとします。
さてこれはことばを変えますと、銀河やダークマターはこのマイナス質量のBHの集団から斥力を受ける事になります。

「ほほう、斥力とな。」
「これはどこかで聞いた様な話」であります。

・ダークエネルギーは「負の質量」を持つ「Dark fluid(暗黒流体)」だ<--リンク

『2013年3月、欧州宇宙機関はプランクの観測結果に基づいて、ダークマターは26.8%、ダークエネルギーは68.3%、原子は4.9%と発表した。』<--リンク

まあ以上の様な事も考えられる訳でありますから、なるほどホーキング放射のプロセスというものは実に奥が深いのでありました。

PS
・膨張する宇宙<--リンク
『宇宙定数のもたらす効果を、あたかも物質の性質であるかのように取り込んだ場合、(1) 式と (2) 式は宇宙定数を含まない式として次のように書き表されることになるというわけだ。
式(9)
式(10)
(引用注:式詳細については上記リンクを参照願います。)
さて、このことから何が分かるだろう?
宇宙定数が値を持つことによって起きるのと同等の効果は、エネルギー密度や圧力をいじることでも表現できてしまうということだ。
つまり、宇宙定数が正の値を持つということは、あたかも負の圧力を持った物質が存在して宇宙に充満しているかのような効果をもたらしているということなのである。
「宇宙定数は斥力的な効果を持つ」という説明があちこちで見られるが、それはこのような意味だったわけだ。』

EMAN物理からの引用になります。
ご参考までに。

PS
ボイドとフィラメント

まあとにかくこれを見てほしい。

宇宙のボイド(Void)空っぽの所、ぐらいの意味か<--リンク(Or http://archive.fo/ZsxcS)

光っている所が銀河のつながり、フィラメントとか呼んでいる。
そうして、何もない所(の様に見える所)がボイド。
宇宙と言うのはこうやって見るとまるでスポンジである。

そうして、実際にスポンジを作るにはそこにガスをいれて泡を作らなくてはいけない。
それで何のことは無い、宇宙だって同じことをやっているだけ。
そこにマイナス質量のプランクレベルのBHを集めているだけの事。
しかしながら、光に反応しないので「何もない、空っぽの所」と人類は言っているだけのお話です。


KWD ダークマター プランクスケール ブラックホール

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ダークマター・ホーキングさんが考えたこと・5・プランクスケールBHの最終形態

2019-03-01 00:17:22 | Weblog
プランクスケールのBHについて

プランク質量はMp=sqrt(h*C/G)=2.176*10^-8 (kg)<--リンク
『他の自然単位の値が非常に小さいか大きいかであるのとは異なり、プランク質量の値はほぼ人間が取り扱えるスケール内にある。
すなわち、1プランク質量は一般的なコピー用紙を 1mm×0.3mm に切ったものの質量くらいである。』

そう言う訳で「軽い軽いBH」の登場です。

ずうっと検討してきたM=1.73*10^11(Kg)のミニBHもホーキング放射によってついにここまで軽くなりました。
さて、そのときのBH温度Tですが5.64*10^30 (度)、まあちょっとしたものです。
(ちなみにLHCでの陽子加速後の粒子温度は7TeV = 7X10^16(度)でした。)

その時に放出されるニュートリで一番数がおおいものの一個当たりの質量換算での全エネルギーは4.32*10^-9(Kg)。
これで前回同様に粒子継続時間⊿tを求めますと、⊿t=2.70*10^-43(秒)。
粒子間距離は1.62*10^-34(m)。

これは陽子直径の1480京分の1。
プランク長Lp=1.62*10^-35(m)の10倍です。
そう言う訳で、ホライズン上空の5プランク長あたりが仮想粒子発生ポイントとしての限界になります。

さてMp=2.176*10^-8 (kg)でしたのでM=4.32*10^-9(Kg)のニュートリノが5個までは飛び込めそうです。
5個飛び込みますとBH質量は1.6*10^-9(Kg)となります。

しかしながらここで「ホーキングさんが考えたこと・2」で想定した制約条件が関係してきます。
Mp質量のBHの直径は4Lpでした。
Mp/4質量のBHの直径がLpになります。
ニュートリノの大きさを弦理論の想定の様にLpとしますと、Mp/4質量を下回った時点でBHの直径はLpを下回り、ニュートリノはもはや飛び込めなくなります。
といいますか、どのような弦理論で記述される粒子も飛び込めない、つまりはそこで安定してしまう、という事になります。

上記の例で言いますとニュートリノが3個飛び込んだ時点でBH質量は8.8*10^-19(Kg)
Mp/4質量=5.44*10^-19(Kg)ですから、もうひとつニュートリノが飛び込むとそれで終わりになります。
そう言う訳でニュートリノが4個飛び込んで、最終BH質量が4.48*10^-19(Kg)でこのブラックホールの旅は終了となるのです。

さて、ホーキング放射プロセスはランダムに確率的に変動しながら続いていきますから、最終BH質量がいくつになるのかは、そのBHのたどってきたBH人生によって異なってきます。
しかしながらいずれにせよ0<最終BH質量<Mp/4という範囲に落ち着くであろう、というのが「ダークマターはプランクスケールのBHである」という主張の内容になるのであります。

さてそうしますと最終BH質量=ダークマターの平均質量はMp/8ということになり、それは2.72*10^-9(Kg),『一般的なコピー用紙を 0.13mm×0.3mm に切ったものの重さくらい』という事になります。
まあこの結果は、われわれの日常感覚から言いますとどうということはない、まさに「ゴミ・ホコリくらいの重さ」ではありますが、「ダークマターは素粒子だ」といって地上での観測を推し進めている方達にとっては、これはまさに「ビックリ仰天の話」になるのでありました。

KWD ダークマター プランクスケール ブラックホール

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