私が小学生の頃、日本は高度成長の手前で輸入超過だった。その後、行動成長期に入り、1980年頃に「ジャパン・アズNo1」なんて本が出たりした。GNPは上にアメリカがいたし、一人あたりの所得で言えばずっと順位が落ちたからNo1のわけがないのだが、アジアではたしかに優位にあって、その分調子に乗っていたのだろう、C国の偉い人が「(自国を)貧乏な隣国」と言ったとか、K国の映画だかドラマのプロデューサーが「今度のヒロインは洗練されてなければならない。だったら日本人だ」と言ったとかいう話をオールドメディア(当時はオールドではなかったが)が自慢げに報じていた。
それから数十年が経ち、日本はGNPでC国にとっくの昔に抜かれ、累々と屍を重ねる日本の家電メーカーにK国のサムスンがとって代わった。文化的にも、Kポップや韓流ドラマは世界を席巻し、日本の若者やマダム層もこれらの推し活に励んでいる。
その分、近隣国の反日感情は弱まったらしい。反日感情はコンプレックスの裏返しの一面もあるところ、K国の若者にとっては生まれたときから自国の方が日本より上であるからコンプレックスなど微塵もなく、だから反日感情も持つ必要がないらしい。だから、日本文化でいいなと思ったら屈託なく取り入れるのだという。
すると、逆に日本の先行きが心配になるわけだが、小学生の頃に再び戻ると、当時、イギリスは「英国病」とやらに罹っていて停滞していた。だが、鉄の女サッチャーを経て、いつしか病から脱却したから日本も回復があるかもしれない(昨今の何も決められないぐずぐずの政治・社会を見ているとそうそう良い夢は持てないのだが)。
因みに、日本は、薄まったとはいえ近隣国の中で嫌われ者なわけだが、その日本社会の中で私は嫌われ者である(私のことを好きなのは猫二匹だけである)。この場合、嫌われ者の中の嫌われ者、すなわち、「嫌われ者」×「嫌われ者」の解はどうなるのだろう?「嫌われ者」をマイナスととらえると、マイナス×マイナスでプラス(人気者)になる。あるいは、「嫌われ者」を価値の少ない者、例えば1/100ととらえると、(1/100)×(1/100)=1/10000となり、一層嫌われ者ということになる。