働き方改革関連法ノート

労働政策審議会(厚生労働大臣諮問機関)や厚生労働省労働基準局などが開催する検討会の資料・議事録に関する雑記帳

精神障害(精神疾患)の労災認定

2016年12月23日 | メンタルヘルス
精神障害(精神疾患)の労災認定は、心理的負荷による精神障害の認定基準(基発1226第1号・平成23 年12月26 日)によって判断されます。認定基準における業務起因性の判断要件は、次のように規定されています。
 1 対象疾病を発病していること
 2 対象疾病の発病前おおむね6か月の間に、業務による強い心理的負荷が認められること
 3 業務以外の心理的負荷および個体側要因により対象疾病を発病したとは認められないこと

心理的負荷による精神障害の認定基準の特徴
認定基準の特徴としては次の5項目を指摘することができます。
 1 審査の迅速化(8、6か月を6か月以内とする)、そのための調査の効率化、認定の積極的推進
 2 時間外労働を独自に評価
 3 総合評価の具体例を細かく例示
 4 主治医の意見を尊重
 5 業務以外の心理的負荷および個体側要因に関する調査の簡素化

認定基準の対象疾病について
対象疾病の発病の有無、発病および疾患名はICD-10(国際疾病分類第10版<2003年改訂>)に基づいて主治医の意見等の情報から得られた事実認定により、医学的に判断されます。

F0(症状性を含む器質性精神障害)、 F1(精神作用物質使用による精神及び行動の障害)、F2(統合失調症、統合失調症型障害および妄想性障害)、 F3(気分<感情>障害)、 F4 (神経症性障害、ストレス関連障害および身体表現性障害)までの精神疾患に罹患した後の自殺は、精神障害によって正常の認識、行為選択能力が著しく阻害され、あるいは自殺行為を思いとどまる精神的抑制力が著しく阻害されているものと推定され、業務起因性が認められます。

対象疾病のうち業務に関連して発病する可能性のある精神障害は、主としてF2からF4に分類される精神障害になります。

また、発病の有無の認定精神障害の治療歴のない事案については、主治医意見や診療録等が得られずに発病の有無の判断も困難となりが、この場合はうつ病エピソードのように症状に周囲が気づきにくい精神障害もあることに留意しつつ関係者からの聴取内容等を医学的に検討され、診断ガイドラインに示されている診断基準を満たす事実が認められる場合または種々の状況から診断基準を満たすと医学的に推定される場合には、当該疾病名の精神障害が発病したものとして取り扱われます。

強い心理的負荷の認められる出来事の前と後の両方に発病の兆候と理解しうる言動があるものの、どの段階で診断基準を満たしたかの特定が困難な場合には、出来事の後に発病したものと取り扱われます。

なお、心理的負荷による精神障害は、その原因を取り除き、適切な治療を行えば全治し、再度の就労が可能となる場合が多いのですが、就労が可能な状態ではなくても治ゆ(症状固定)の状態にある場合もあります。また、対象疾病がいったん治ゆ(症状固定)した後において再びその治療が必要な状態が生じた場合は、新たな発病と取り扱い、改めて認定基準に基づいて業務上外が判断されることになります。

→精神障害の労災認定(PDFファイル)


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