昨年リリースした国内初の廃道DVD『廃道クエスト』、
そして、今年の春にリリースした第二弾『廃道ビヨンド』、
そして廃道三部作完結編となる『廃道レガシイ』が、まもなくリリースです。
今回もリリース前に、作品に収録した物件の探索リポートをアップしています。
◆
前回からアップしている戸倉峠に残る未成の隧道。
今回はその内部に潜入です。
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扁額はおろか抗門すらない隧道内へ入ると、
びっしりと苔に覆われた緑色の世界が広がります。
地面中央には枕木状に並べられた木が数本ありますが、
これは重量物を運ぶための敷き木の名残でしょうか。
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しかし苔が生息しているのは入口付近だけで、
すぐに劣化したコンクリートだけの無彩色な世界が広がります。
そして、なんと言っても印象深いのは、その強烈な臭い。
もちろん明らかにカビだと分かる臭いもするのですが、
それとは別の、もっと異様な臭いも周囲には漂っています。
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強烈な臭いに気をとられながら暫く進むと、
今度は異様な光景を目の当たりにします
それまで周囲全体を取り囲んでいたコンクリートの巻き立の下半分がなく、
なんと岩石がそこから露出しています。
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正面に立って奥をを見るとこんな感じです。
上半分はコンクリートが巻かれてアーチ状になっていますが、
下半分がコンクリートがなく、元来の岩盤が両側から露出したまんまです。
これは、トンネルを造る上での行程に関係し、
岩盤が残っている部分は「土平」と呼ばれる、
トンネルの制作行程では最後に造られる部分だそうです。
そしてその中央には、ほぼ腐って崩壊寸前の支補杭が散乱している状態ですが、
逆にこの中央の窪みは、
トンネルを造る時に最初にあたりを付けるために掘る「導坑」の跡だそうです。
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導坑跡の両側に残る岩盤の上に登り、更に奥へと進んで振り返ると、
画像の様に、上半分を巻いていたコンクリートもなくなります。
下半分の岩盤が露出した部分が始まった付近は、
コンクリートを巻いた時の板がすでに外されていましたが、
奥まで来ると、コンクリートを流し込んだ時の板が、まだ残存しています。
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そういえば途中、
内壁に板が付いていたり付いていなかったりした所がありました。
まさにトンネルがどのようにして造られるかが手に取る様にわかる箇所です。
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そしてコンクリートの巻き立てが終わった場所から前方を見ると、
これまでとは全く違う光景がまた広がっています。
素堀の隧道を遥かに越えた、自然洞窟にも見える横穴の光景です。
様々な撮影用の照明を当てて撮影しているので、
奥の方の姿も見えますが、
当然ライトを消せばそこは真っ暗闇。
そして画像では殆どわかりませんが、
ちょっと奥の位置の天井には、無数のコウモリがびっしり。
トンネルを入って暫くしてからずっと臭っていた、カビとは違う異臭は、
このコウモリによる大量の糞の臭いだと分かりました。
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コウモリの糞は、大量に吸い込むと時には死に至る、
なんて話を後にして、石井さんは素堀状態の部分もさらに奥へと進みます。
が、特に天井にコウモリが大量にいる場所の床面が、
相当<フカフカ>していたらしく、
ちょうど帰りの新幹線の時間も迫っていたので、
ここで撤収することにしました。
石井さんがかなり低い位置を歩いている様に見えますが、
コンクリート巻きが終わったすぐ先は、旧に地面が陥没しています。
元来、狭く水平に掘られていた筈の導坑が、
時の流れの間に、崩落や陥没を起こして、
自然洞窟のように見える程までになってしまったのだと思います。
◆
さて、このトンネル。
抗門もなければ、トンネルの制作行程が分かる程、
造りかけのまま放置されてしまった未成の隧道な訳ですが、
ではなぜこんな形で残ってしまったか。。。
時は戦中、おそらく物資の輸送等のために計画され、
途中まで造られたものの、敗戦を迎えたので、
以降造る必要がなくなったので、そのまま放置されたとのこと。
しかも、終戦間近だったために、
その労働力には、半島の人たちが従事していたとも。
いわば黒歴史を背負った未成のトンネルだったんですね。
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あらためて深奥を覗いてみると、
歴史の闇を統べて飲み込んでどこまでも続く、
地獄へ続くトンネルの様に見えました。
◆
『廃墟賛歌 廃道レガシイ obroad legacy』
廃道DVD三部作・完結編
2014年9月2日 release !
amazon他で絶賛予約受付中!
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そして、今年の春にリリースした第二弾『廃道ビヨンド』、
そして廃道三部作完結編となる『廃道レガシイ』が、まもなくリリースです。
今回もリリース前に、作品に収録した物件の探索リポートをアップしています。
◆
前回からアップしている戸倉峠に残る未成の隧道。
今回はその内部に潜入です。
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扁額はおろか抗門すらない隧道内へ入ると、
びっしりと苔に覆われた緑色の世界が広がります。
地面中央には枕木状に並べられた木が数本ありますが、
これは重量物を運ぶための敷き木の名残でしょうか。
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すぐに劣化したコンクリートだけの無彩色な世界が広がります。
そして、なんと言っても印象深いのは、その強烈な臭い。
もちろん明らかにカビだと分かる臭いもするのですが、
それとは別の、もっと異様な臭いも周囲には漂っています。
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強烈な臭いに気をとられながら暫く進むと、
今度は異様な光景を目の当たりにします
それまで周囲全体を取り囲んでいたコンクリートの巻き立の下半分がなく、
なんと岩石がそこから露出しています。
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正面に立って奥をを見るとこんな感じです。
上半分はコンクリートが巻かれてアーチ状になっていますが、
下半分がコンクリートがなく、元来の岩盤が両側から露出したまんまです。
これは、トンネルを造る上での行程に関係し、
岩盤が残っている部分は「土平」と呼ばれる、
トンネルの制作行程では最後に造られる部分だそうです。
そしてその中央には、ほぼ腐って崩壊寸前の支補杭が散乱している状態ですが、
逆にこの中央の窪みは、
トンネルを造る時に最初にあたりを付けるために掘る「導坑」の跡だそうです。
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導坑跡の両側に残る岩盤の上に登り、更に奥へと進んで振り返ると、
画像の様に、上半分を巻いていたコンクリートもなくなります。
下半分の岩盤が露出した部分が始まった付近は、
コンクリートを巻いた時の板がすでに外されていましたが、
奥まで来ると、コンクリートを流し込んだ時の板が、まだ残存しています。
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内壁に板が付いていたり付いていなかったりした所がありました。
まさにトンネルがどのようにして造られるかが手に取る様にわかる箇所です。
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そしてコンクリートの巻き立てが終わった場所から前方を見ると、
これまでとは全く違う光景がまた広がっています。
素堀の隧道を遥かに越えた、自然洞窟にも見える横穴の光景です。
様々な撮影用の照明を当てて撮影しているので、
奥の方の姿も見えますが、
当然ライトを消せばそこは真っ暗闇。
そして画像では殆どわかりませんが、
ちょっと奥の位置の天井には、無数のコウモリがびっしり。
トンネルを入って暫くしてからずっと臭っていた、カビとは違う異臭は、
このコウモリによる大量の糞の臭いだと分かりました。
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コウモリの糞は、大量に吸い込むと時には死に至る、
なんて話を後にして、石井さんは素堀状態の部分もさらに奥へと進みます。
が、特に天井にコウモリが大量にいる場所の床面が、
相当<フカフカ>していたらしく、
ちょうど帰りの新幹線の時間も迫っていたので、
ここで撤収することにしました。
石井さんがかなり低い位置を歩いている様に見えますが、
コンクリート巻きが終わったすぐ先は、旧に地面が陥没しています。
元来、狭く水平に掘られていた筈の導坑が、
時の流れの間に、崩落や陥没を起こして、
自然洞窟のように見える程までになってしまったのだと思います。
◆
さて、このトンネル。
抗門もなければ、トンネルの制作行程が分かる程、
造りかけのまま放置されてしまった未成の隧道な訳ですが、
ではなぜこんな形で残ってしまったか。。。
時は戦中、おそらく物資の輸送等のために計画され、
途中まで造られたものの、敗戦を迎えたので、
以降造る必要がなくなったので、そのまま放置されたとのこと。
しかも、終戦間近だったために、
その労働力には、半島の人たちが従事していたとも。
いわば黒歴史を背負った未成のトンネルだったんですね。
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あらためて深奥を覗いてみると、
歴史の闇を統べて飲み込んでどこまでも続く、
地獄へ続くトンネルの様に見えました。
◆
『廃墟賛歌 廃道レガシイ obroad legacy』
廃道DVD三部作・完結編
2014年9月2日 release !
amazon他で絶賛予約受付中!
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