黒沢永紀オフィシャルブログ(旧・廃墟徒然草)

産業遺産と建築、廃墟、時空旅行、都市のほころびや不思議な景観、ノスタルジックな街角など、歴史的“感考”地を読み解く

【特集】台湾 #11

2006-02-05 03:02:05 | 臺灣旅行記


仕事でちょっとだけ行った台湾の話です。
せっかく台湾まできたので、
宮崎駿の傑作『千と千尋の神隠し』の舞台として有名な、
九分という街へ行ってみたいとは思いましたが、
なんせ仕事なものでかなうわけもなく、
しょうがなく台北の市内を時間が許す限り歩くだけです。

台湾は中国と同じ暦なので、
正月は2月頭の旧正月が盛大に盛り上がるそうです。
街を歩いていると、
年末のアメ横の様な市が開かれていました。
所狭しと並ぶ店の軒先には、
肉や総菜など見慣れない食材が並び、
画像のような店が何軒も軒を連ねます。



この店は、豚の足やレバーが吊されている位でまだいいほうです。
なかには小学校の解剖模型でしか見たことないような、
「それ、人の腎臓ですか?」といった形の、
トレイの溶液に浸された食材も売られていて、
食文化の違いをまざまざと見せつけれます。

以前の記事で宮崎駿作品の廃墟感については触れましたが、
宮崎作品に登場する廃墟は、
すごく騒がしくカラフルなのが不思議に思っていましたが、
この市場の光景をみて、妙に納得しました。
昨日までアップしてきた街中の廃墟的な光景に、
剥き出しの肉や魚を並べる市場の光景は、
とてもよくマッチしています。
宮崎駿が、廃墟を死のイメージではなく、
エネルギー溢れる活気あるイメージで表現する理由が、
よく分かります。

市場の光景に限らす、
街を彩る看板もまた、廃墟街とマッチして、
街のエネルギー感を盛り上げています。



看板の文字から、ここは日本人も多く訪れる道筋かと思いますが、
猥雑な看板はまた、廃墟シティ台北によく似合い、
同時にエグい色遣いの看板は、
それ自体が廃墟感を醸し出してくれます。

◆追記 07.AUG.2006◆

リンクさせて頂いている別冊観光のべろ蔵さんとのお話で、
廃墟的ではないけれど、
台湾で気になったモノを追加アップしようと思いました。

一つは上記の市に軒を連ねていた下着屋さんです。



この大胆なディスプレイ、気になります。
例えば草津の温泉街とかへいくと、
木のワゴンに下着を並べて、
ズロース三着1.000円とかしているのは見ますが、
なんと言っても色が違います!
さすが「赤い国」だと思いました。

赤い国といえばこの巨大ホテルも気になります。



帰りの高速からの撮影なので大きさが伝わりにくいですが、
アホなほど大きい丸山大飯店(台湾名圓山大飯店)です。
廃墟のキーワードでこの記事へ来られた方は、
横浜ドリームランドの目の前に建つ
ホテル・エンパイアーのノリと言えばその雰囲気がお分かりかと思います。
元々蒋介石の奥さんの別荘を転用した建物ということですが、
次回台湾に行ったときは、
是非目の前で見てみたいと思います。

ちなみにホテルの背後の山は、
地下に軍事要塞があるそうなので、
そのルックスと共に、
あまり落ち着いて宿泊できるホテルではなさそうです。

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【特集】台湾
・#01 高速からの光景
・#02 原住民・邵族の村
・#03 原住民・邵族と拉魯島
・#04 日月潭
・#05 涵碧樓大飯店 The Lalu
・#06 台北の廃墟
・#07 『アキラ』の世界
・#08 ボーダーレスな台北の廃墟
・#09 大繁華街の完全廃墟
・#10 台湾の廃墟感覚
・#12 檳榔売り
・#13 最終回
 

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4 Comments

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圓山大飯店でお茶 (テツ)
2006-08-08 11:03:20
圓山大飯店、数年前ベロ蔵君と台北に行ったとき、ロビーラウンジでお茶だけ飲んできました。

外観の強烈さ以上に、内部のインテリアはゴージャズでデコラティブ。インパクトのある空間でした。

そのあと混沌とした士林の夜市に繰り出したのですが、その落差に台湾を感じました。
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▼テツさんへ (廃墟徒然草)
2006-08-09 05:27:44
圓山大飯店の内装は、ウェブ上では見ましたが、

半端ないデコデコですね(@_@;)

色も凄くて、ホテル出る頃には、

色の判断がおかしくなってるんでは?と思いました。



士林は行けませんでしたが、

北京の王府井みたいな感じなんでしょうか。

これもウェブ上でみましたが、

王府井よりエネルギー&パワーっていう印象ですね。



また台湾へ行きたくなって来ました!

 

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別冊観光 (べろ蔵)
2006-08-09 08:07:47
テツ氏といっしょに圓山に行きました。後で知ったのですが、ここは統治時代の護国神社跡であったとのこと。ホテルの立地の悪さはこのためなんだと理解しました。

今回は行きませんでしたが、士林は再開発されてしまいました。昔ながらの台北夜市はだんだんと消えつつあるようです。
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▼べろ蔵さんへ (廃墟徒然草)
2006-08-09 19:07:37
圓山飯店は、統治時代の護国神社跡だったんですか!

と言うことは、建設は日本軍ということでしょうか?

そしてその建物を(恐らく塗り替えて)蒋介石が奥さんの屋敷にした。

といった流れになるのでしょうか。

日本とは繋がりが深いんですね。

そういえばこの特集で取り上げている涵碧樓大飯店の「涵碧樓」も、

たしか日本人が作った社交用別荘の名称が由来だったような。



士林はなくなってしまったんですね(涙

残念です。

 

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