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仕事で少しだけ行った台湾の首都、
台北の廃墟事情に関してです。
昨日まで台北市内に溢れ返る、
廃墟や廃墟テイストの街並をアップしてきましたが、
あまりの多さに、その原因が単なる開発の遅れという意外に、
なにかあるのではないかと思うようになり、
台湾で撮影してきた画像を改めて全部見直してみました。
その中に、日月潭の湖畔を走っていた時に撮影した、
共同墓地の画像がありました。
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走行中の車窓から一瞬だけ見えたので、
どういう造りなのか詳しくはわかりませんが、
そこはかとなく漂う廃墟感が印象的でした。
思えばお墓ないし共同墓地は、
国民性や民族性が色濃く反映される場所なのではないかと思います。
ビル単体の造りなら、
別の国の流行を取り入れたりもするでしょうが
それらが集まった街の景観や造りとなると、
だいぶその国の国民性が反映される場所になると思います。
そして、お墓と言う場所は、
宗教的な流儀を国民が納得する形で解釈した、
最も国民性が反映された場所のひとつだと思います。
もちろん台湾の共同墓地の中には、
整然と整備された奇麗なものもあると思いますが、
この殺風景な共同墓地を許容している台湾の人には、
基本的に廃墟的光景を許容する感覚があるような気がします。
でなかったら、もう少し整備すると思います。
台中と台北を結ぶ高速道路の車窓から見えた、
じつは廃墟じゃないかもしれない廃墟的な風景と、
この共同墓地の風景が妙に一致しているのに、
驚きを感じます。
そう思ってみると、
台湾のもの全てが廃墟感覚溢れるものに見えてきました。
店先に置いてあった自転車も、
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街中を歩いていた犬でさも
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全て台湾の廃墟感覚を満たすルックスをしているように、
思えてならなくなってきました。
台北の市内に溢れ返る廃墟は、
開発の遅れが原因の部分もあるのでしょうが、
それよりも台湾の人の感覚の根底に廃墟感があるから、
街中の廃墟を放置しているのではないかとすら思えてきます。
勿論、奇麗で新しいものへの憧れはあるでしょうし、
廃墟が溢れかえるほうがいいとは思っていないと思います。
ただ日本とはけた違いに深い、
廃墟を受け入れる度量があるような気がします。
そう思って改めて台北の廃墟を思い出してみると、
実は台北の街の活気を作り出しているのは、
これら廃墟が持つ年期の入った汚れや、
細かくくだけ散った瓦礫が放つパワーではないかと思えてきます。
逆に表通りに並ぶ新しいビルが、
すごく無味乾燥な、
ぺらぺらで活気のないビルに見えてくるのが不思議です。
この国の人たちは廃墟と共に生き、
廃墟を普通の街の光景として受け止めいるんだと思えてきました。
なんてすばらしい国なのでしょう(^.^
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【特集】台湾
・#01 高速からの光景
・#02 原住民・邵族の村
・#03 原住民・邵族と拉魯島
・#04 日月潭
・#05 涵碧樓大飯店 The Lalu
・#06 台北の廃墟
・#07 『アキラ』の世界
・#08 ボーダーレスな台北の廃墟
・#09 大繁華街の完全廃墟
・#11 活気ある廃墟的光景
・#12 檳榔売り
・#13 最終回
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