見たかった石本泰博さんの写真展。今年3月に見たベン・シャーンを思い浮かべた。人・構図・風景、被写体に求める撮り方が同じような気がする。ベン・シャーン(1898~1969)の影響もあるのではないだろうか。1921~2012. 2月に亡くなる。
『時代を超える静かなまなざし』~モノクロの表現、東京とシカゴを対比した展示がいい。ただの写真展ではなく、その人の感性が現れるアートだと僕は感じるのだ。
桂離宮の撮り方はなんとも気持ちがよい。真っ直ぐは真っ直ぐに写す、基本だと思う。
後姿の作品、上が石本さん、下がベン・シャーン。身近に在る大衆の姿を追っている。
展示会で1951年、石本さんの映像を見た。シカゴ、アメリカが戦後高揚していた時代。身なりもきちんとしていてクルマの街シカゴが輝いていた時。教会の礼拝後なのかタンバリン、ギター、ボーターハット、センタークリースにコート、グレンチェックのジャケットも蝶ネクタイも。ハイヒールのかかとの上蝶がデザインされているストッキング、こんな時代からあったのだと・・・私が生まれた年でもある。
松葉杖を持つ人も体を動かし楽しんでいる。聖者の行進が流れていた。
タイトルに思わず誘われ一気に読み進んだ。新幹線建設にからむゼネコン現場の様子が描写されている。自分もその世界にいたから現場の人がどのように"悪いこと”をしていたのかが思い出され一時その世界へ戻ったような気がした。
施工の様子、専門用語と女性でありながら十分に調査され、男の世界がよく描かれている。ゼネコンの名前も変えてあるが大体想像できる事も面白い。「Wの悲劇」など有名だがどの作品も吸い込まれてゆくのが夏樹静子さんの世界。
そして新装成った東京駅をセンタークリースを被り歩いてみたいと思うのだ。この小説には東京ステーションホテルが内部も含めて登場してくる。非常に興味のわく展開。
折りしも10/3リニューアルオープンであり、何ともタイミングよく読んでいる。