今日は歌舞伎座「壽 初春大歌舞伎」の昼の部。2日に放映されたNHK 「待ってました!歌舞伎生中継」を観たら実演を観たくなってチケット買った。
建て替え前の歌舞伎座には、ときどき1幕見のチケットを並んで買って見ていた。今の歌舞伎座のオープンは2013年だから10年も前のこと。
外観はすごく変わったけれど、今日中に入ったらほとんど変わってないように感じた。3階席も以前と同じように狭くて。
昼の部の演目は三つ。
一、當辰歳歌舞伎賑(あたるたつどしかぶきのにぎわい)。
華やかな舞踊二題だが、ずらり並んだ歌と三味線と太鼓・堤の人たちの演奏が素晴らしい。これぞ歌舞伎ってワクワク感で自然と足踏みしてしまう。ベルカントオペラの躍動感に足踏みしてしまうのと同じ。
二、荒川十太夫(あらかわじゅうだゆう)。
堀部安兵衛の切腹の介錯を務めた荒川十太夫の苦悩のドラマ。
これ、人間国宝の講談師・神田松鯉の「赤穂義士外伝」を尾上松緑が昨年新作歌舞伎として演じ「大谷竹次郎賞」「文化庁芸術祭賞・優秀賞」を受賞したもの。
オペラも新制作しなきゃ飽きられちゃう。歌舞伎も新しい演目、演出が必要なんだな。
十兵衛の松緑が苦悩を語るシーンでは劇場が静まりかえった。わたしもぐっときた。
三、狐狸狐狸ばなし(こりこりばなし)。
女房にぞっこんの幸四郎、奔放で美しい女房右近、らによる二転三転の騙し合いコメディ。よかった。
幸四郎は染五郎の頃から不思議に何度か観ていて、いい役者だと思っていたが、片岡孝夫(仁左衛門)に近づいてるんじゃないか。右近は玉三郎の次の大スターになるんじゃないか。そんなことを思った舞台でした。
以前はすごい鳴物をバックにした華麗な舞踊や派手な立ち回りなどがまさに歌舞伎で、そのような演目こそ観たいという思いがとても強く。“荒川”や“狐狸”のようなまさにお芝居という演目にはあまり高揚しなかった。
なぜだろう。
その頃のわたしは、合唱も再開してなかった。オペラも本格的に観てはいなかっった。
わたしは、あれからいろいろなものを観て聴いて、たぶん少し成熟したのだろう。
今日のわたしは、“荒川”も“狐狸”も十分楽しめた。
それがとても嬉しかった。