周平の『コトノハノハコ』

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『夢馬鹿』~第7話~(シューピー散文クッキング第1弾)

2021年11月10日 | シューピー散文クッキング
周平本人が目を瞑りながら国語辞典を適当なページで開いて適当な場所を指差し、目を開けた時に指が指している単語(1話につき5個)を全て文章のどこかに組み込まなければいけない「シューピー散文クッキング」の第1弾『夢馬鹿』の第7話です!

さて、今回の材料は…

「さては」…小さじ2杯
「かいろ」…小さじ4杯
「とりとめのない」…小さじ3杯
「柔道」…大さじ1杯
「面する」…大さじ2杯

まさに"とりとめのない"物語、完結に向かえるのか!? たぶんこの辺から後半突入だと思われる第7話スタート!!

『夢馬鹿』~第7話~

コンビニに到着した私は、缶コーヒーと弁当と”かいろ”を購入した。
レジには増田さんという若い女性スタッフが立っていた。

「いつもいる男の子は今日も休み? なんか最近見ないけど。」私は尋ねた。

「あぁ、二瓶君の事ですか? 彼は色々訳あって福島県に引っ越して、そこのコンビニで働いています。」

「へぇ、そうなんだ。それは残念だなぁ。なんか彼は自分に似てる気がしていたから。」

二瓶君の身に何があったのかは、ご覧になっているこのブログの別コーナー「コトノハラビリンス」のシーズン2を見ていただければ分かるとの事だ。

コンビニを出たところで、先ほどメールを送った家内から返事が来た。

「”さては”浮気ですか?」

「違うよ~。大学の時の友達の雪男と飲みに行く事になりました。」と私は返した。

上司からの説教で始まった今日だが、意外にも定時であがる事ができ、私はさっそく雪男にメールした。
待ち合わせ場所に先に着いた私は、今の悩みを雪男にどう話そうかを考えた。
もしかしたら雪男にも、脱サラをしてラーメン屋を開く夢を大反対されるんじゃないだろうかとも思った。

雪男が待ち合わせ場所にやってきた。
中学の頃から”柔道”をやっていたという彼の体は大きく、遠くからでもすぐに分かる。

居酒屋に入った私達は対”面する”ように座り、とりあえず適当にビールやつまみを注文した。

乾杯を終え、少ししたところで、
「で、最近どうよ?」

おそらく大体の事はお見通しであろう雪男が、私が話を切り出しやすいように優しいパスをくれた。

”とりとめのない”話し方だったとは思うが、私は雪男に全てを打ち明けた。

黙って最後まで私の話を聞いてくれた雪男が、腕組みをして何かを考え始めた。
おそらくどの”柔道”技で私の目を覚まさせるのかを考えているのだろう。

《第8話へ続く》