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「就活」「婚活」「終活」といった言葉が、人生の節目に挟まるようになって久しい。哀しい哉、ニッポン人は「活」と聞けば、我先にと励んでしまうが、死んでからではやり直しがきかないのが「死後の準備」。まずは腰を落ち着けて、本当に必要かどうか再考してみよう。
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いつもとは違うゴールデンウイークが終わった。気軽に外出できず自宅で時間を持て余し、はてはコロナ禍で先行きに不安を覚えて、「死後の準備」に思いを巡らした方もいたのではないだろうか。今や誰もがやって当たり前のものとして定着した「終活」だが、貴方にとってそれは本当に必要なことなのか。
亡くなれば必ず直面する「お墓」や「相続」の問題に改めてスポットを当て、さまざまな失敗例から「死後の準備」の落とし穴を探っていきたい。
「昨今の『終活ブーム』をみていると、とかく団塊の世代が“子供に迷惑をかけたくない”とばかりに、いかに安く、簡素にするかに心血を注いでしまっているように感じます」
とは、『自分らしい逝き方』(新潮新書)の著者で、葬祭カウンセラーとして「日本葬祭アカデミー教務研究室」の代表を務める二村祐輔(ふたむらゆうすけ)氏だ。
「高度経済成長期を支えてきた団塊の世代の皆さんは、経済的に豊かになることを優先してきた分、自分の死を考える際も、宗教や先祖代々の墓といったことよりも、合理性や経済性に重きを置くことに馴染みがあるのだと思います。一方で葬儀や墓参りといった昔ながらのやり方に則って親を弔ってきた世代でもあります。遺族の大変さを身に染みて分かっているので、子や孫に苦労をかけたくないという思いが強い。メディアが報じる際も、『死後の手続き』の記事ばかりなのは、こうした背景があると思います」
だからこそ「死後の準備」に手をつけていない人にも、「エンディングノート」や「断捨離」などあれこれ「終活」に励む人に対しても、二村氏はこんな助言をする。
「『終活』という言葉に翻弄され実利面で備えるだけではなく、根本的に自分はどう生きるのか、死ぬのかといった死生観を見つめ直す機会にしてほしいと思います。そもそも人の死とは『不在が確定する』ということ。当たり前の話ですが、人は死んだ時はもうそこにはいないわけで、つまりは如何に万全な準備をしても誰かの手を煩わせることになる。なるべく負担をかけたくないと思いがちですが、残された遺族にしてみれば、少しぐらいの負担ならやってもいいと考える人もいる。そうした面も含め、日頃から家族で話し合うことが大切だと思うのです」
独りよがりに事を進めれば、これからご紹介するようなトラブルを引き起こすやも知れぬのである。
自己資産を総ざらい(他の写真を見る)
「散骨」「墓じまい」遺族の本音
「終活」で誰もが避けては通れない課題は、お墓をどうするのかということだ。故郷に先祖代々の墓を持っていれば、墓参りに便利なように自宅の近くに買い求める。子供や孫に面倒をかけたくないからと、「墓じまい」を済ませて納骨堂と契約する。葬儀も戒名もいらないから「散骨してくれ」と希望するケースもひと昔まえに比べればそう珍しくない。
だが、そうした故人のよかれと思う“親心”が、残された家族らを戸惑わせる結果を生むこともある。
事実、前出の二村氏自身も、子供との話し合いの中で大きなギャップを感じた経験を持つと話す。
「我が家のお墓は長野にあります。東京に住む私としては、子供のためにもゆくゆくは墓を近所に移すべきだと考えていました。ところが先日、うちの息子にどう思うか尋ねてみたら予想外の答えが返ってきたんです。端的に言えば、都会で育った僕らには故郷がないので、お墓くらいそのまま置いておいてほしいという気持ちだった。このように親の世代が考えていることと、子供の考えは全然違っていたりする。だから、よかれと思って勝手に一人で進めるのはよくないのです」
そして、いくら入念に「終活」をしても、故人の希望どおりにいくとは限らないと二村氏は続ける。
「私のセミナーを受けた男性の父親は、東京の近郊に故郷があって死後はそこにお墓を作りたいと考えていたそうです。生前、父親は自らお墓の土地を用意して、必要なお金も残してくれた。その通りにお墓を作って供養したところまではよかったのですが、男性は仕事が忙しくなり、なかなか郊外へ墓参りに行くことが難しくなってしまった。で、結局のところ『墓じまい』をして都内の納骨堂に遺骨を納めたそうです。お墓の費用が余計にかかってしまい、もったいないことをしてしまった。こうした事例は本当によく耳にするんです」
やっぱりそうか。せっかく多額の費用をかけてお墓を用意しても、子供たちに負担をかけるばかり……。墓に入れば菩提寺へのお布施も必要だろう。ならば、いっそのこと遺骨を自然に帰してくれて構わない――ミニマリズムの風潮を受けてか、「終活」の選択肢のひとつとして注目を浴びているのが「散骨」である。
遺族が決める余地を
だが、こうした故人の遺志と遺族の本音に大きな乖離が起こってしまうこともあると二村氏は言う。
「がんを患った40代の女性が余命宣告を受け、『自分が死んだら海に散骨してほしい』と家族に告げたんです。彼女には夫と大学生、高校生の息子2人がいましてね。外国の海への散骨を望まれていましたので、遺族はわざわざ渡航までして想いを叶えてあげた。ところが、いざ散骨を終えると子供たちから『僕たち、お彼岸の時はどうしたらいいのでしょう』と相談を受けたんです。亡くなった母親の遺志を実現することで頭がいっぱいになってしまい、自分たちの弔いの場所が必要であると、ようやく気づいたようなんです。幸いこの時は全ての遺骨を撒かず、一部を記念のために保管していた。それを散骨した国のバラの咲き誇る墓地に埋葬し、遺族は時々渡航しては『墓参り』をしているとのことでした」
故人を偲ぶ形式は千差万別で、墓という存在が必要な遺族もいるのだ。
「嫁に出した一人娘に迷惑がかかるだろうからと、わざわざ『墓じまい』の手続きを済ませた70代男性のケースでは、後になって娘さんから『どうして大事なお墓をなくしてしまったのか』と言われたそうです。こうした話を聞いていると、いくら故人が望んでいるからといってその通りにすべきとも限らない。そこは臨機応変に、遺族が決める余地があるほうがいいのだと思いますね」
20年ちかく葬祭関連のセミナーを開催してきた二村氏は、こう提言する。
「葬式や墓など、死んだ後に関する自分の希望は2割にとどめ、残り8割は遺族に委ねるくらいの心持ちでよいと思います。全部自分で決めてしまおうと思わずに、無責任に“俺は知らん”と家族に言ってもいい。『終活』という言葉にのっかったメディアやビジネスの煽りを受けて、何から何までしなければいけない、というある種の強迫観念を多くの人が感じているのではないでしょうか」
備えあっても「相続トラブル」
あなたの“遺産”が狙われる?(他の写真を見る)
ここまで見てきた通り、備えあれば憂いなしといかないのが「終活」の厄介なところ。中でも葬儀や墓の問題と共に遺族を悩ませるのが、故人の遺産をどう相続するかという問題である。
どうせ大した遺産などないから家族も揉めまいと高を括ることなかれ。司法統計年報を見ると、令和元年度は、全国の家庭裁判所で扱われた遺産分割事件(認容・調停成立)の実に3分の1強が、1千万円以下の遺産をめぐるものだった。つまりは額の大小に関係なく、揉める時は揉めるというわけなのだ。
「相続で“争族”になる、なんて言いますが、遺産を分ける際はどうしても親族間の心情が絡んできます。我が家は円満だからと口約束で済ませ、遺言書などいらないという方もいますが、事前に書面を用意しておくことは大切だと思います」
とは、医療介護から死後事務までのライフサポートを行う一般社団法人LMN代表の遠藤英樹氏だ。
「4年ほど前、どうも体調が芳しくないという80代の男性から、事実婚状態にある65歳の妻に遺産を全て相続させたいという相談を受けたことがありました。彼は前妻との間に2人の子供がいましたが、どちらも飲食店を経営して羽振りがいい。その男性は『遺産は放棄しろと息子たちに言ってあるから遺言書は作らなくて大丈夫』と仰っていましたが、私としては用意すべきだと感じました。実際、コロナ禍で飲食店は大打撃を受けていますから、今ごろ息子さんたちの財政状況は急激に悪化しているかもしれません。どんなに家族の仲がよくても、社会状況の変化で未来のことはどうなるか分かりません」
とはいえ、遺言書を準備しても油断は禁物だ。80代の母親が亡くなり、相談者である60代男性とその弟2人の3兄弟が遺産を相続したケースについて、遠藤氏はこう振り返る。
「長兄である相談者は、自宅で母親と同居して面倒をみてきました。亡くなった母親は遺言書を遺していたそうですが、きっと“世話してくれた長男に多くの遺産を渡す”と書かれているであろうと予想した弟2人が、封を切らずに破って捨ててしまったというのです。公証役場に保管される公正証書遺言であればこうした事態は生じないのですが、自筆遺言書の場合は控えを用意するか、今は法務局が預かる制度もあるので、それを利用した方がいいと思います。破られてしまったら誰も中身を知りませんから、あとは遺族の話し合いで遺産分割するしかないでしょう」
罵詈雑言が飛び交う
相続問題に詳しく「終活弁護士」として活動する伊勢田篤史氏によれば、
「自筆の遺言書ですと、少しでも形式が間違っていたら無効になったり、遺言者が高齢だと死後に意思能力が問われたりするケースもあります。公証役場で作成すればそのようなリスクを軽減できるので、少々費用がかかっても公証役場で遺言書を作成することをオススメします。ただし、公正証書遺言でも当然ながら揉めるケースはあります。あまりに遺族の心情を無視した遺言書だったりする場合などです。たとえば過去に、高齢で余命わずかと診断された男性が、亡くなる1カ月前に交際していた女性と籍を入れ、妻に『全額相続させる』と記した公正証書遺言を作成していたことがありました。ところが、この男性は死別した前妻との間に2人の子がいた。彼らと後妻との遺産等をめぐる話し合いは、罵詈雑言が飛び交う“修羅場”と化しました。子供らは遺留分を請求して争いました。遺留分とは、一定の相続人に対して法的に保障される相続財産の割合のこと。遺留分は非常に強力な権利ですので、裁判となっても侵害された分の請求は認められます。こうした裁判は1年以上かかることもザラで、私の経験上、故人が裕福かどうかはあまり関係ない。そこまで遺産がなくても、相続する遺族の懐事情次第でいくらでも揉める可能性があります。なので、まずは自分の財産がどれくらいか算出して、揉めるリスクを把握する。その上で生前から家族間で相談し、相続人の心情等に寄り添った形の遺言書を作成できれば安心なのではないかと思います」(同)
遺族間の争いを防ぎたいと思うのは親心。とはいえ手続きを面倒に感じるのもまた事実で、こうした遺産の管理や遺言の執行を代行する「終活ビジネス」が隆盛しているという。だが、そこでもさまざまなトラブルが起こっていたのだ。
「遺言信託」「身元保証サービス」の罠
「最近は金融機関が遺言の作成や保管、執行を担う『遺言信託』というサービスもありますが、『終活』が稼げるキーワードと化している印象を受けます」
とは、経済ジャーナリストの荻原博子氏だ。
「大手をはじめ金融機関はどこも低金利で経営が厳しく、手数料の取れる金融商品で稼ぐしかない。遺言信託の手数料も、100万円を超えることもあるなど非常に高く、安いものと感じる方でない限り契約する必要はありません」
たとえばさるメガバンクの商品案内を読むと、遺言執行報酬が最低でも165万円、取扱手数料33万円、中途解約金22万円など目が点になる数字が並ぶ。
それでも面倒な手続きをやってくれるなら安心とばかりに、高齢者が頼んでしまった結果、トラブルになるケースが増えている。
独立行政法人・国民生活センターの担当者に話を聞くと、
「遺言信託では“近所の皆さんも契約していますよ”と熱心に口説かれ、強引な勧誘を受けて家族に話をせず契約してしまったという相談が寄せられています。昨年10月に60代男性から受けた相談では、ある金融機関の担当者から“将来の遺産相続について考えた方がいい”とかなり強引に勧誘された。仕事中も休日も電話がひっきりなしで根負けしたが、解約したいというものでした。昨年11月に相談を受けたケースでは、高齢の母親が解約を望んでいたが、施設に入所してしまい代わりに子供が金融機関に連絡を入れたそうです。ところが、相手は“子供では解約できない”と言って話を聞いてくれない。困っているという内容でした」
「ブラックボックス」
「終活ブーム」と相前後して、国民生活センターへ相談が寄せられ始めているのが、主に高齢者をターゲットにした民間事業者の「身元保証サービス」だ。
「このサービスは、日常の生活支援や病院で手術をする際の身元保証を代行するサービスですが、契約内容に葬儀や死後の事務手続きなどが含まれていることもあります。そのことを家族に知らせず高齢者が契約して、死後に遺族が気づいて相談に来るケースが多い。日常生活を管理する名目で、契約者が通帳や印鑑をサービス事業者に預けてしまい、内容不明のお金が毎月引き落とされていたという事例もありました」(同)
今年2月に60代女性から寄せられた相談も、葬儀に関連する内容だった。
「一人暮らしの父親が亡くなったが、生前にさるNPO法人と『見守りサービス』の契約を交わしていた。入会金30万円、事務手数料5万円、月会費5500円などを支払っていたことが死後に判明したが、返金してもらえるのかという相談でした。契約書には死亡後に葬儀も行うという話だったのに、そのサービスは提供されず遺族が全て対応した。となれば、生前の『見守りサービス』も行われていなかったのではないかとの疑いが生じたそうです」(同)
自身も高齢者のライフサポートを行っている前出のLMN代表の遠藤氏は、
「親族に頼りたくないと第三者に身元保証を求める高齢者の方は結構います。『終活支援』と称するサービスでは、葬儀や墓にかかる費用を生前に預かるところもあり、プランによっては二、三百万円かかる場合がある。ところが遺族は契約しているとは知らず、死後に事業者に連絡をせず葬儀をしてしまった。契約書には亡くなった際はご一報くださいと書かれていたので後日の返金は望めない、というトラブルも耳にします」
中にはこんな悪質なケースもあるから注意したい。
「余った遺産を事業者の団体に遺贈する契約プランもありましてね。今年1月には、名古屋地裁で高齢者の『死後贈与契約』は“公序良俗に反し無効”という判決が下されました。まだまだ終活業界はブラックボックスな部分があり、不透明な契約があることを知っていただきたいですね」(同)
先の荻原氏はこう話す。
「安易に不要なサービスを契約していないか見直すべきですが、これは『終活』というよりも人生を賢く生きる上での手段に過ぎません。死後の準備にあくせくするより、あとのことは遺された人に任せて、やりたいことに思いっきり打ち込むことが老後を過ごす上で一番大切で、幸せになれる秘訣だと思うのです」
思い立ったが吉日。死んでからではもう見直せないのだ。
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5月26日、女優・深田恭子さんの芸能活動休止を所属事務所が発表し、日本中の人々に衝撃を与えました。7月スタートの連ドラ出演が決まり、「クランクイン直前での降板」というタイミングが事の深刻さを物語っています。
所属事務所の文書には、「私ども所属の女優 深田恭子ですが、昨年春ごろから体調を崩しがちとなり、今月に入り医師より『適応障害』と診断されました。これにより当面の間 治療を優先し、お仕事をお休みさせていただきます」と書かれていました。
やはり人々の注目が集まったのは、医師から診断されたという「適応障害」。適応障害とは、何らかのストレスが原因で心身や行動面に症状が表れ、日々の生活が困難になる状態のこと。不眠、頭痛、腹痛、めまい、倦怠感、気力減退、食欲不振などの身体的なもの、極度の不安や焦り、集中力低下、感情の高ぶり、緊張による多汗や震えなどの情緒的なもの、無断欠勤、大幅な遅刻、過食や過飲、破壊、ギャンブル依存などの行動的なものという主に3種の症状があり、個人差があります。
うつ病とは異なり、ストレスの原因がはっきりしているため、それを取り除くことで症状の改善につながる一方、うまくいかなければ慢性化して苦しみが長期化する怖いもの。実際、人間関係や生き方のコンサルをしている私のもとにも、適応障害の診断を受けて苦しみ続ける人からの相談があるなど、決してビジネスパーソンにとって他人事ではないのです。
芸能人は適応障害になりやすいのか
深田さんに限らず、「芸能人は適応障害になりやすい」と言われるいくつかの背景があります。まず仕事では、内容・場所・人間関係などが変わりやすいうえに、「多くの人々が関わるため緊張感が高く、個人のストレスが軽減されないまま長期化しやすい」こと。次にプライベートでも、人々の注目を集め、記者から追いかけられるのがつらいところです。
私が知る限り、深田さんのように医師の診断を受けて、所属事務所が公表できる人ばかりではありません。主に俳優やアーティストの中には適応障害と公表しないだけで、「充電」「インプット」「留学」「リフレッシュ」「創作活動」などの言葉を掲げて休みを取り、心身の回復に努める人がいると何度か聞いたことがあります。前述したように、適応障害はストレスの原因を取り除けば症状が改善されることが多いため、結果的に公表せずに済むのでしょう。
たとえば、5月19日放送の「突然ですが占ってもいいですか?」(フジテレビ系)に出演した山田孝之さんは、適応障害とは言ってないものの、「20代前半のころ、4年くらいうつ状態だった」ことを明かしていました。当時の山田さんは、映画『電車男』『手紙』、ドラマ「世界の中心で、愛をさけぶ」「H2~君といた日々」「白夜行」「タイヨウのうた」(いずれもTBS系)などで主演を努めていたころ。環境変化の大きさや心身への負担は、われわれの想像を超えるものがあったのではないでしょうか。
深田さんや山田さんとの関連性はまったくありませんが、昨年は芸能人の自死に関する悲しいニュースが立て続けに報じられました。今となっては事実こそわからないものの、関係者、家族、友人ら近しい人々にとっては悔やみきれない結果だけに、現在の芸能界は取り越し苦労に終わることを承知で、慎重かつ手厚い対応が求められているのです。
「環境に適応できない弱い人」ではない
適応障害という文字の印象から、「環境に適応できないような弱い人がかかるもの」と思われがちですが、そうとは言えません。私のコンサル経験上、適応障害の診断を受けた相談者さんたちは、おおむね「しっかりしている」「頑張り屋さん」「負けず嫌い」「親分肌や姉御肌」などのいわゆる“できる人”“いい人”でした。
深田さんがそうであるように、決して「気持ちが弱い」「逃げている」「サボっている」のではなく、向き合おうと頑張った結果であることも多いのです。むしろ、オフィスで同僚や部下などに、「あいつは気持ちが弱すぎる」「逃げるな」「サボるな」などと言っている人が、相手の適応障害を引き起こしている可能性があるだけに気をつけたほうがいいでしょう。
また、適応障害の落とし穴は、誰が見てもネガティブな出来事に対するストレスだけでなく、昇進・栄転・受賞、恋愛・結婚・出産、新居への引っ越しなどのポジティブな出来事がきっかけになるケースも多いこと。これらポジティブな出来事によって心身や行動のペースが変わり、「実は想像以上の緊張が生まれていた」ことが適応障害につながってしまうことがあるのです。
だからこそ大切なのは、自分に対しても、身近な人に対しても、「大丈夫」「休まなくていいだろう」と決めつけず、いい意味で「大丈夫?」「休んでみる?」などと問いかけてみること。「ストレスなんてあるはずがない」「まさか苦しんでいるなんて思わなかった」と決めつけてケアが遅れないようにしたいところです。
ビジネスパーソンの中にも、すでに適応障害の症状が出ている人は少なくないでしょう。少なからずそんな自覚のある人は、休暇を取る、意図的に気分転換のリフレッシュタイムを設定する、不安を吐き出し合える相手を持つ、仕事外の人間関係を複数作って視野を広げておくなど、日ごろの予防策が必要です。さらにそれでも、「つらい」と感じたときは早めに医療機関を受診したほうがいいでしょう。
約23年間トップを走り続ける難しさ
その意味で深田さんが、医師の診断を受け、所属事務所を通じて世間に公表し、ストレスの原因を取り除き、心身を休めることができるのは幸いでした。
深田さんは15歳のときに出演した1998年の「神様、もう少しだけ」(フジテレビ系)でヒロインに抜擢されて以降、約23年間もの長期にわたって主演クラスの女優として出演作を重ねてきました。しかも、求められるのは女優としての演技だけではなかったのです。
「美しさや人気を維持しながら、第一線を走り続けなければいけない」「周囲の注目を集めているため、つねに笑顔を振りまき、気の休まる瞬間がほとんどない」。そんな長年の奮闘に、コロナ禍の心労や労力が加わっているのですから、適応障害かどうかにかかわらず、ゆっくり休むくらいがちょうどよかったのではないでしょうか。
深田さんの頑張りを見続けてきた世間の人々の視線は優しく、ネット上にはこれまでの感謝や応援の声が相次いでいます。「復帰は秋ごろか」などの先走った報道もありますが、「適応障害を改善する目安」と言われる半年という期間にとらわれず、「自分のことだけを考えて、心身が完全に回復するまで休んでほしい」と願わずにはいられません。
5月26日、女優の深田恭子(38)が適応障害と診断され当面のあいだ芸能活動を休止することが発表された。13歳で「ホリプロタレントスカウトキャラバン」のグランプリを受賞してから25年間芸能界の第一線で活躍し続けてきた深田の一報に、驚きの声が広がった。
2日前のイベント「目が笑ってなかった」
活動休止発表の2日前、5月24日に深田が登壇した「午後の紅茶」の新商品・新プロジェクト発表の記者会見に参加したスポーツ紙カメラマンが当日を振り返る。
「相当疲れた様子でしたよ。動作もゆっくりで、シャッターチャンスとして用意されていたイチゴを食べる場面では、イチゴをテーブルに落としてしまっていました。カメラマンはタレントを記者よりも近い位置で見ているのですが、この日の深田さんは目の奥が笑っていなかったので気になってはいたんです。(適応障害の)発表を聞いて、驚きよりも納得してしまいました」深田恭子
活動休止に伴い、深田は今年7月からフジテレビ系で放送される予定だった主演ドラマを降板することが決定した。所属事務所によると、体調を崩し始めたのは昨年の春頃からだという。
“ホリプロ3人娘”石原さとみが昨年10月に結婚し…
芸能プロ関係者が語る。
「昨年の深田さんはかなり忙しかったはずです。2019年のドラマ『ルパンの娘』(フジテレビ系)の第2シーズンが2020年10月から放送だったので、その撮影をしながら同作品の劇場版の撮影も進めていました。『ルパンの娘』はアクションシーンが多く、疲れもたまりやすい。新型コロナの影響を受けながらの撮影で、無理が祟ったんでしょう。その疲れが今になって出てきたようです。親友である吉田沙保里との2ショット(本人のインスタグラムより)
あとは事務所の看板を背負う深田、石原さとみ、綾瀬はるかの“ホリプロ3人娘”のうち、石原さんが昨年10月に結婚すると発表して仕事を少しセーブするようになったので、その穴を補填するために深田さんと綾瀬さんに負担が回ったことも、身体的、精神的な疲れに影響したのかもしれません」綾瀬はるかとの2ショット(本人のインスタグラムより)
疲れからか、深田は仕事を休みがちになることもあったという。
「深田さんは、映画の撮影中に倒れてしまった。役柄は、子供を有名幼稚園に入れるため尽力する主婦。新型コロナウイルスの影響によって撮影が一時中断したのですが、撮影が再開してから深田さんが突然現場に来なくなってしまったんです。その後、現場に説明なしで製作は中止になりました」(映画関係者)
結婚が叶わないことがストレスに?
適応障害は、周囲の環境の変化などに順応できずに、そのストレスから不安や食欲不振などの症状が出るとされている。2004年に皇后雅子さまが罹患を公表したことでも話題になった疾患だ。ストレス要因を取り除くことで症状が良くなる特徴があることから、しっかりとした静養が必要になる。
しかし、深田を悩ませる原因は仕事だけではなかったようだ。深田の友人が語る。
「恭子ちゃんはずっと結婚したいって言っていたのに、なかなか叶わないことがストレスになっていたんです」2015年6月に撮影された深田
「王子様が好き」(「with」2020年1月号)と公言している深田だが、2018年11月頃から交際しているのは、不動産事業を営む株式会社シーラホールディングス会長の杉本宏之氏(43)。前澤友作氏や幻冬舎の見城徹氏などとも親交の深い実業家だ。
「2人は知人の紹介で出会い、すぐに意気投合しました。杉本氏は当時韓国人女優の元奥さんとの離婚が成立したばかりのタイミングでしたが、2人が交際関係に発展するまでに時間はかからなかったようです」(前出・芸能プロ関係者)
「結婚したい」という強い意志で2年以上続いている交際
前出の深田の友人は、次のように語る。
「交際相手が頻繁に変わる恭子ちゃんには珍しく、杉本さんとは2年以上経った現在も関係が続いています。というのも、彼女は『結婚したい』という強い意志をもって杉本さんと交際を始めたのです」2013年、北川景子とイベントに登壇
深田はこれまで多くの男性との熱愛を報じられてきた。東山紀之、有田哲平などの大物芸能人や、脚本家の野島伸司、“ハンカチ王子”こと斎藤佑樹選手など、その派手な異性関係が度々スクープされている。なかでも耳目を集めたのは、2016年12月1日号の「女性セブン」が報じたKAT-TUN亀梨和也との熱愛だろう。
「亀梨くんとも順調な付き合いだったと思います。だけど、ジャニーズに所属している彼とは結婚が望めない。あくまで結婚をしたかった彼女は、亀梨くんと別れる決断をしました」(同前)
順調そうに見えた交際が一転
深田は、亀梨との破局と時を同じくして杉本氏との交際を開始。2019年11月21日号の「女性セブン」では、深田と杉本氏が“婚前契約”を結んだことが報じられている。
交際は順調そうに見えたが、ここ1年ほどで2人の関係性が変化しているという。杉本氏とも交流があるという前出の友人は次のように語る。
「杉本さんは『今の関係のままがいい』と、彼女と結婚する気がなくなってしまったそうなんです。実は、杉本さんが慕う人から最近『恭子ちゃんのためにも早く決めてあげなさい』と息子に諭したそうなのですが……。別れてはいないものの、結婚したい彼女は振り回されていると感じているかもしれません」
「女性セブン」(2020年11月26日号)は、深田の心境について「今年の初めには『結婚したい』と強く言っていましたけど、いまは『結婚に興味はない』『いましかできない仕事があるもん』と別人のようです」(事務所関係者)などと報じてもいる。深田恭子
「心が健康であることがいちばん」と語っていたが……
友人によると、深田は「繊細でストレスを感じやすいタイプ」だという。
「亀梨くんと交際していたときも、真夜中に思い悩んだ恭子ちゃんから電話がかかってくることが何度もありました。彼女は話しているうちに寝落ちしてしまうのですが、ストレスからうまく睡眠をとれなかったようです。睡眠の状態は心の健康に直結しますし、杉本さんもそこは心配していました」
深田は「LEE」(2020年5月号)のインタビューをこう締めくくっている。
《大好きなお仕事を目いっぱい頑張って楽しむためにも、心が健康であることがいちばん》
撮影が終わっている主演映画「劇場版 ルパンの娘」は予定通り10月15日に公開されるという。しっかりと休んで、またファンの前で笑顔を見せてほしい。
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今年9月で婚約内定から丸4年が経過しようとしている、秋篠宮家・長女の眞子さま(29)と小室圭さん(29)。4月8日に小室さんが母・佳代さんと元婚約者の金銭トラブルの経緯を説明した文書を公表し、一連の騒動の沈静化を図った。
だが、文書公表の後、言及していなかった元婚約者への解決金支払いを表明したことで、着地点がいまだ見通せない状況にある。
小室さんは5月に留学先の米フォーダム大学のロースクールを卒業、7月にニューヨーク州司法試験を受験。10月が司法試験の合格発表、そして、眞子さまと小室さんの誕生日。さらに、11月には秋篠宮さまのお誕生日とイベントが目白押しだ。それまでの間で、延期されているご結婚への具体的な動きがある可能性が高いという。
「以前から、お2人は10月のお誕生日までにご結婚を目指しているといわれていました。文書公表がご結婚の強力な後押しになっていない今、今年中のご結婚すら怪しい状況になっています。ただ、11月に56歳を迎えられる秋篠宮さまはお誕生日の記者会見で、昨年同様、眞子さまと小室さんのご結婚について言及されることになるでしょう。それまでに何らかの形での決着を明示される可能性が高いと思います」(皇室ジャーナリスト)
昨年11月の記者会見で、秋篠宮さまは眞子さまと小室さんとのご結婚について問われ、次のようにお話しされている。
<結婚することを認めるということです。これは憲法にも結婚は両性の合意のみに基づいてというのがあります。本人たちが本当にそういう気持ちであれば、親としてはそれを尊重するべきものだというふうに考えています(中略)あくまで私の主観になりますけれども、感じとしては決して多くの人が納得し喜んでくれている状況ではないというふうに思っています。で、そのことは娘も恐らく同じ気持ちを持っていると考えております>
■金銭トラブル解決に暗雲が
小室さんによる解決金支払いの呼びかけに応じた元婚約者は、交渉相手はあくまでも母・佳代さんであるとしている。
<現在、佳代さんは体調が悪く、長期間の入院中と伺っております。ご体調については私も心配しておりますが、可能な限り早く佳代さんにお話を伺い、最終的な判断をしようと考えております>
現在、佳代さんが入院中のため、すみやかな交渉に応じられない状況にあるとコメント。だが、長期入院中のはずの佳代さんが、4月中も勤務先の洋菓子店に出勤、ゴールデンウィーク中も自宅にいたことが、女性セブン(5月20・27日号)で報じられた。
「眞子さまご自身が一連の金銭トラブルに積極的に関与されていて、解決金も眞子さまのポケットマネーから出されるのではとささやかれています。今年11月のお誕生日会見で、秋篠宮さまにお2人のご結婚について昨年と同じお話をさせる訳にはいかないのは、眞子さまもじゅうぶん承知しているはずです」(前出・皇室ジャーナリスト)
解決金の出所は不透明で交渉自体が難航する中、お2人は、もう一つの懸念材料である国民感情に向き合わざるをえないだろう。小室さんが再び釈明文書を公表するのか。または、日本に帰国し記者会見に臨むのか。
ご結婚の主導権を握っているといわれる眞子さまの行動に注目が集まっている。
下記の記事は日刊ゲンダイデジタルからの借用(コピー)です
どんな健康な人でも「脳の老化」は避けることができない。60歳を過ぎると、1年間に0・5%、容量にして5・4ミリリットルくらいずつ、脳が小さくなっていくことが科学的にも確認されている。この「脳の萎縮」は具体的にいうと、脳を構成している神経細胞が減っていくことで起こる。
では、なぜ年を取ると脳が萎縮するのか。大脳研究の第一人者で京都大学名誉教授の久保田競氏(医学博士)が言う。
「その仕組みはまだよく分かっていません。はっきりしているのは、誰の脳にも萎縮による、このような変化が起こるということだけです。脳の萎縮が進むと、認知症やアルツハイマー病になります。あるデータでは、70歳以上の3人に1人、90歳以上の3人に2人がそのような状態になります。しかし、同年代でも残りの人は認知症やアルツハイマー病になることなく、元気に生活しています。その人たちに共通するのは脳の萎縮の程度が極めて軽いことです」
最近は脳の研究が進み、脳の萎縮を遅らせるにはどうすればいいかが、かなりわかってきているという。その「脳を鍛える」ための行動、生活習慣のポイントを列挙すると、次のようなことだ。
◆一時記憶に関わる「ワーキングメモリー」を鍛える。
◆脳の働きを活性化させる「ブレーンフード」を豊富に取る。
◆週に最低1時間は「有酸素運動」を行う。
◆美しいものに触れ、「感動する時間」を持つ。
◆「自分の好きなこと」をして、脳を喜ばせる。
◆1日トータルで7時間の「睡眠」を確保する。
◆規則正しい生活をする。
最初に挙げられている「ワーキングメモリー」とは、一時的な記憶が保存される脳の場所のことだ。脳は同じような大きさ・数・並び方をしている細胞をひとまとめにして、「52の領域」に分けられる。ワーキングメモリーは大脳の前方にある前頭葉の「46野」で働いている。
「人間がワーキングメモリーの訓練をすると、その能力が増します。さらに、その訓練によって前頭前野の『考える能力』が高くなって、頭がよくなることも確認されています。そして、ワーキングメモリーは、複数の事柄が複雑に絡み合うほどフルに使われるという特徴があります」
前頭葉にある「前頭極」と呼ばれる「10野」の働きも重要になる。ここは、さまざまな情報から総合的に物事を理解し、問題を解決する時や創造的なことをする時に使われる、人間だけにある領域。前頭極を鍛えることこそが、いつまでも人間らしく知的に活動するポイントになる。そして前頭極を働かせ、複雑なことをいろいろ考えて判断・実行するためには、ワーキングメモリーが必ず働いているのだ。
「それが前頭極とワーキングメモリーの萎縮が進むと、いま目の前にあることしか考えられず、計画的に物事を進めたり、先を予測して行動したり、状況に合わせて正確な判断をしたりすることが困難になってしまう。それがいわゆる加齢による脳の老化現象です」
日常生活でワーキングメモリーと前頭極を鍛えるためには、「ブランチング課題」(複数のことを同時に行う作業)を生活の中に取り入れること。たとえば次のようなことを心がけるといいという。
【「時間」でスケジュール管理をする】
とにかく予定を立てて、それに沿って行動する。大まかでも前日までに「何時に何をやるか」を決めておく。そのことを一時的に記憶するためにワーキングメモリーを使い、頭の中で順序立てて処理するために前頭極を働かせることになる。
【「冷蔵庫の中身」を常に把握しておく】
冷蔵庫のどこに何をしまうかを決め、常に中身をチェックしながら、何がどのくらいあるのか、賞味期限・消費期限はいつなのか、などを頭に入れるようにする。
【手順を頭に入れて料理をする】
家事の中でも料理は「前頭極(10野)」を鍛える、ブランチング課題の最たるもの。2、3品同時に並行して調理すると、ワーキングメモリーと前頭極が活発に活動し、鍛えることができる。
【一日を振り返りながら日記を手書きする】
日記を書くためには、一日の行動を振り返る必要がある。この「記憶をたどって、思い出す」という行動をすると、ワーキングメモリーを働かせることになる。また、先の予定についても、手帳などにメモをして、繰り返しチェックすることを習慣づけるといい。