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「精子購入150人のうち過半数がシングル女性」「出産第1号はレズビアンのカップル」 世界最大の精子バンク日本語窓口、開設から2年の‟リアル”

2021-06-08 15:30:00 | 日記

下記の記事は文春オンラインからの借用(コピー)です

男性の100人に1人が無精子症の日本に、世界最大の精子バンク「クリオス・インターナショナル」(以下クリオス、本社はデンマークとアメリカ)が窓口を開設して2年。現在、日本事業担当ディレクターを務める伊藤ひろみさんが2017年末、文春オンラインに掲載されたクリオスの記事を見て、オーレ・スコウ代表(当時)に日本進出を直談判したのだ。それは、無精子症の夫婦が出自のわかる安全な精子を購入できるようにと考えてのことだったが──。(インタビュー)
◆◆◆
シングル女性の問い合わせが多くてびっくり
――いざフタを開けてみたら、シングル女性からの問い合わせが殺到したそうですね。
伊藤ひろみ(以下伊藤) 既に500人以上の方からお問い合わせがあり、その60%近くがシングルの女性、20~30%が男性が無精子症のカップル、10~20%が同性のカップルからでした。年齢は30代が最も多く、40代の人も大勢います。
 シングルの女性がこんなにも多いということは予想外で、私も大変驚きました。離婚してシングルになり、子どもにきょうだいをつくってあげたいという人、結婚歴のない人、なかにはセックスの経験のない人もいます。最初から選択的シングルマザーを目指している人もいますが、婚活がうまくいかないのでシングルマザーになることを視野に入れ始めたという人が多く、既に卵子を凍結保存している人も少なくありません。30代後半から40代前半に凍結保存し、パートナーが見つからないまま3~4年経ったので、年齢的にもう使いたいという相談をよく受けます。
 無精子症のカップルの場合は、さきにお話ししたとおり(#1)、日本では非配偶者間人工授精(AID)が認められていますが、そのシステムに満足しない人がクリオスの利用を検討されています。例えば、日本で行われるAIDのドナーは身元が開示されませんし、そもそもドナーを選ぶこともできません。生まれてくる子どもの「出自を知る権利」を守るために、身元を開示するドナーを選びたいというカップル、あるいは夫と何らかの共通点を持つドナーを選びたいというカップルからの問い合わせが多いです。また、妻が高齢であったり、何らかの不妊要因を抱えていたりして、人工授精よりも妊娠率の高い体外受精や顕微授精を行う必要のあるカップルもいます。
 レズビアンのカップルの場合は従来、知人の男性から精子をもらうという方法を採る人がいました。しかし、日本では精子の提供者が生まれた子どもの父親であると認められ、父親に扶養義務が生じる、あるいは逆に父親に親権を取られる可能性があります。そのようなリスクを避けるため、しがらみが生じない精子バンクを利用したいというカップルもいます。
 お問い合わせいただいた方たちには、なるべくオンラインセミナーに参加してもらっています。そこで日本や諸外国の法整備のことから、お子さんへの告知や出自を知る権利、具体的なドナー精子の使い方や、費用の目安、妊娠率などを説明しています。
質問に多いのは「費用」と「妊娠率」
 お問い合わせいただいた方やセミナー参加者からのいちばん多い質問は、費用についてです。精子自体の価格は約7000円から25万円、送料が7万円。クリオスにお支払いいただくのはここまでで、人工授精、体外受精、顕微授精の費用については病院によっても、また患者さんの年齢や状態によっても違います。そもそも日本の病院で、購入した精子を用いた治療を受けられるのかという疑問をお持ちの方も多いんです。もちろん、できるのですが、病院の数は極めて限られています。簡単にはお伝えしておりません。
精子は専用のストローに入ったものが冷凍され、窒素タンクに入って送られてくる。文春オンラインが2017年末、クリオスについて詳しく伝えた時点では、精子は個人でも購入可能だったが、その後デンマークで法改正があったため、現在は医療機関・医療従事者でなければ精子を受け取ることができない(注)。前述のとおり日産婦は医師が精子の売買に関与することを禁じているが、安全な精子を必要としている人たちに理解のある、ごく一部の医療機関が精子の受け取り・保管・治療に協力している。
(注:クリオスは二本社体制でアメリカでも事業展開しており、アメリカ本社では個人宛の配送も可能。伊藤ひろみさんはデンマーク本社の社員)
 次いで多いのが、妊娠率に関する質問です。クリオスを使った場合に、人工授精での1回当たりの妊娠率が22.3%なんですが、海外では使われる排卵誘発剤を日本では人工授精の際にあまり使用しないなど、一概に比較できないことがあります。ですから日本産科婦人科学会(以下日産婦)による体外受精の年齢別妊娠率のデータはお見せして、妊娠率は決して高くない、いかに妊娠は難しいかということはしっかり伝えています。
 私としては、安易に精子を購入するということをさせないようにしています。よく考えてもらえるように意識して説明しているのです。例えば45歳を過ぎても精子を購入して体外受精にトライしたいという人には、その年齢ではいかに妊娠率が低いか、妊娠できたとしてもどのような問題が生じる可能性があるか、費用もすごくかかるかもしれないということを詳細に伝えています。急いで購入しようとする方には、AIDで生まれたお子さんでAIDそのものに反対している人もいるということを伝え、事の重大性を認識してもらいます。
 メールによる質問が100問を超える人もいますし、電話で2時間以上いろいろな質問を続ける人もいますし、精子の購入を2年間迷い続けている人もいます。しかし、このコロナ禍にあっても昨年11月までに150人が購入しました。過半数が、やはりシングルの女性でした。
ドナーに採用されるのは応募者の5〜10%
――どういうドナーが選ばれるのですか?
伊藤 クリオスには18~45歳の1000人を超えるドナーが登録されています。健康チェックやさまざまな厳しい審査がありますので、応募者の5~10%しかドナーに採用されていません。また、クリオス以外の精子バンクにも登録することはデンマークでは法律違反となります。これによって異母きょうだいの数をクリオスで管理しています。
ドナーは身元を開示するドナーと非開示のドナーに分かれます。すべてのドナーについて、人種、民族、身長、体重、肌質、瞳の色、髪の色、血液型、サイトメガロウィルス(ヘルペスウィルス)抗体の有無、妊娠実績の有無、心理的検査の結果がわかります。さらに、子どもの頃の写真、声など詳細なプロフィールを開示するドナーもいます。日本では購入者の69%が身元を開示するドナーを選び、そのうちの98%が詳細プロフィールを開示しているドナーを選びました。
 ただし、現時点では日本人のドナーは1人だけで、身元を開示していません。したがって開示ドナーを希望する場合は外国人ドナーから選ぶしかありません。最も多く選ばれるのはアジア人か、白人でも髪の毛と瞳の色が黒色もしくはダークブラウンの人です。これはみなさんに葛藤があって、親と子どもの外見があまりに異なると、日本では周りの人からいろいろ言われてしまう。子どもが生きにくくなってしまいかねない。そうなることを避けたいので、少しでも自分に似た子どもが生まれるようにしたいのです。
子どもに真実を伝えるべきか?
 精子バンクで購入した精子によって誕生したということを子どもに伝えるかどうか。これに葛藤する人もいると思いますが、クリオスを使う人は、真実を伝えるという意向の人が大部分です。伝えるか、伝えないかではなく、いつ、どうやって伝えればいいかという質問はよく受けます。私はなるべく子どもが小さいうちから分かる言葉で伝えることをお勧めしています。
 1人のドナーから生まれる子どもの数を管理しなければいけないので、購入した方には妊娠登録を義務づけています。また、国内では同じドナーの精子で10家族までの出産となるよう、販売の時点から管理しています。️iStock.com
伊藤さん担当の出産第1号はレズビアンのカップル
――既にクリオスが販売した精子で、国内で赤ちゃんが誕生しているのですね。
伊藤 私がやりとりさせていただいた中での出産第1号は昨年4月、レズビアンのカップルでした。最近1歳になった姿の写真を送ってくださって、成長している様子が嬉しかったですね。その後、シングルやパートナーが無精子症の方も出産していますし、現在妊娠中の方も何人もいます。
 レズビアンのカップルがお互いに同じドナーの精子で1人ずつ産んだ例もあります。こういうきょうだいの誕生のし方もあるのだなと、新たな気付きになりました。シングルの姉妹が揃って購入し、治療に取り組んでいるという例もあります。精子提供を希望する女性のお父さんやお母さん、つまり孫を待ち望んでいる方々からご連絡をいただくこともあります。ご家族からの理解は必要ですし、特にシングルの方は一緒に子育てを行う人が身近にいると安心です。
医療の現場での理解も進んでいますが、パートナーが無精子症の方への理解はあっても、レズビアンや選択的シングルマザーに対する偏見はまだまだあります。何より、日産婦が認めていません。また、昨年、「卵子・精子提供の親子関係特例法案」が可決・成立しました。卵子提供では提供者ではなく産んだ女性を母とし、精子提供では提供者ではなく産んだ女性の夫を父とすることは決まりましたが、精子・卵子のあっせんに関する規制や子どもが出自を知る権利についてはこれから2年かけて検討・決定されることになっています。
クリオスはまだ「日本進出」には至っていない
 実は、私の本来の仕事はカスタマーサービスではないんです。というのも、「クリオスが日本に進出した」と伝えるメディアもあるのですが、まだ進出はしていない。日本語での問い合わせや注文に対応する窓口を作ったにすぎません。本格的に進出するには、まず、精子ドナーが生まれた子どもの法的な親にならないことが法律上明確化され、生まれた子どもの出自を知る権利を保障するかどうかの方向性が定まらなければなりません。そして、民間精子バンクの営業が認められること。日本には公的精子バンクをつくるノウハウはなく、このままではドナー不足が解決せず、結局SNS上で行われている個人による精子提供など、問題のある精子提供に頼らざるを得ない人が出てきてしまいます。適切な規制下での運営を認めていただき、国内で日本人ドナーを募ることを目指します。
医療現場や社会の理解を広めなければ
 こうして精子売買のグレーなマーケットを健全化し、精子提供を必要とする方が医療機関でカウンセリングを受けたうえで、精子提供を安心して受けられるようにする。そこまで持っていくことが私の本来の役目なのです。しかし、今回検討されている法整備によって、無精子症と性同一性障害の婚姻夫婦のみに精子提供が認められ、シングル女性や同性のカップルが医療機関で精子提供を受けることを禁止する法律が生まれる可能性もあります。
 そんななか、5月25日に獨協医科大学を運営する学校法人の関連会社が出資する「みらい生命研究所」(埼玉県越谷市)が精子バンクの立ち上げを公表しました。患者様にとっては一日も早く、日本人ドナーからの提供がスムーズに受けられるようになることが最善ですから、喜ばしいニュースです。
 これから私は、カスタマーサービスは本社に常駐する日本人スタッフに任せて、ロビー活動や広報活動に集中していくつもりです。安全な精子バンクの必要性を訴え、それを利用する人たちに対する医療現場や社会の理解を広めなければいけません。今が頑張り時なのです。

 

追記:若くして離婚し子供ない方、生涯結婚しない女性、子供出来ない夫婦の方などに広く普及して一人でも多くのお子さんが出来ればよいですね。日本人のドナーを増やして心身ともに日本人であってほしです。


 吉永小百合さんインタビュー「次につなぐ」―作品作りへの思い「いのちの停車場」

2021-06-08 15:30:00 | 日記

下記はヤフーニュースからの借用(コピー)です

最新作「いのちの停車場」で待望の医師役
「咲和子の成長のプロセスをお見せできればと思いながら演じていました」と言う吉永小百合さん=東京都内
 吉永小百合さんの心には今も、チャレンジ精神が脈々と息づいている。「これでいいと言ったら、もう前に進めなくなる気がする。『一歩でも前進した自分を表現したい』との思いを常に持っています」と語る。 【写真特集】女優たちの和服姿  そんな思いは5月21日公開の主演最新作「いのちの停車場」(成島出監督)からも十分に伝わってくる。念願だった初めての医師役に取り組み、豪華な共演陣と共に、シリアスな終末期医療への問題提起も内包した見応えある人間ドラマを紡いでいる。(時事通信編集委員・小菅昭彦、カメラマン・入江明廣) ◇ ◇ ◇ ―「いのちの停車場」は現役の医師でもある南杏子の同名小説が原作。吉永さん演じる白石咲和子は長年、救命救急の現場で働いていたが、ある事件をきっかけに職を辞し、郷里の金沢で在宅医療の医師として再スタートを切るという役どころだ。実際の医師にマンツーマン指導を受けて役作りに臨んだという。 

吉永 企画の候補には最初、南さんのデビュー作「サイレント・ブレス」が挙がりましたが、主人公の年齢が若いことや他でも映像化の企画が進んでおり実現が難しくなってしまった。そんな時に「いのちの停車場」が出版されました。  お医者さん役というと、病院に勤める医師をイメージしていたのですが、今回はそうしたシーンに加えて在宅医も演じられる。とても欲張りにやることができました。  先生方が再現ドラマのように、在宅医療の訪問から帰るところまでを見せてくださり、脈の取り方や血圧の測り方なども教わりました。救命救急の場面は医療機器の会社の研究所を使わせていただき、本番さながらのリハーサルをやってから撮影に臨みました。  救命救急の現場にいるときの咲和子はパキパキしている外科的な感じ、在宅医になってからは「どうやって治療したらいいのか」という戸惑いから入る人間っぽさを重視しました。そこで一人の人間として医者として成長していくプロセスを演じられればと思いました。  1本の作品ですが、2本分をやった感じがしますね。
患者に寄り添う大切さ実感し、考えたこと
救命救急のシーンでは実際の医師の指導を受けてリアルなメスさばきを見せた(C)2021「いのちの停車場」製作委員会
―金沢の実家に戻り、「まほろば診療所」の一員として働き始めた咲和子が出会うのは、「最期の時」をいや応なく意識する患者やその家族たちだ。末期の肺がんを患い自分らしく生きたいと願う女性、寝たきりの妻を老老介護しつつ治療には非協力的な夫、小児がんの娘に迫る死を受け入れられない母親…。物語は、そんな訪問診療の現場で苦闘する咲和子の姿を、時にユーモアも交えて描いていく。  物語の後半、咲和子は骨折をきっかけに衰え、重篤な病に侵された老父(田中泯)を前に、ある選択を迫られ、原作小説とは大きく異なるクライマックスを迎える。 

吉永 作品を通して、在宅医療は、治療よりもそれぞれの患者さんの思いに寄り添ってあげることが大事だと初めて知りました。  映画ではさまざまな「人生のしまい方」が描かれますが、私自身は今も健康で体も動かせるので、演じ終わった後もそうしたことを考えることはありません。でも「もし動けなくなったり、運動ができなくなったりしたときにやれることは今から考えておかなければ」ということは今回感じました。  台本が出来上がった段階で新型コロナウイルスのまん延が拡大し、当初はそうした描写を入れようかとの意見も出ました。でも、マスクをした防護服姿では患者さんとの心のやりとりを描くことはできない。このため、設定はコロナ前のある時期のお話ということにしています。でも、看取(みと)りを描いたお話なので、コロナのことを感じられる方もいらっしゃるかもしれませんね。  ラストに関しては、成島監督とお互いに意見をぶつけ合いました。映画では、見る方に(解釈を)委ねるような終わり方になっています。病気の父親に対して、医師として、娘としてどう対処するのか? 咲和子は難しい問題を投げかけられて最後まで悩んでいく。  私自身もそんな彼女をどう表現すればよいのかで悩みに悩みました。二人の悩みがうまく合致するのがよいのかなと思いながら役に向き合いました。
若手共演陣との「アンサンブル」にも心を砕いて
まほろば診療所の面々による群像劇としての魅力も(C)2021「いのちの停車場」製作委員会
―俳優としては「自分に酔えないタイプ」で、作品が終わると反省ばかりだという吉永さん。今、現場で最も重視するのは「現場のアンサンブル」だという。  今回、咲和子を見守る「まほろば診療所」の院長・仙川徹には、「天国の大罪」(1992年、舛田利雄監督)以来3回目の共演となる西田敏行さん。咲和子を慕って診療所で働くことになった医大卒業生の野呂聖二を松坂桃李さん、看護師の星野麻世を広瀬すずさんが演じる。松坂さんと広瀬さんはともに吉永さんとは初顔合わせ。患者やその家族役には小池栄子さん、泉谷しげるさん、石田ゆり子さん、柳葉敏郎さん、伊勢谷友介さんら実力派が顔をそろえた。 吉永 やるときは皆が一つになれるような雰囲気をつくりたいと思います。昔は(まだ若くて)自分ではできなかったけれど、最近はある程度つくってあげることも大事だなと。自分が役を演じると同時に現場の雰囲気づくりみたいなことにも心を砕くように努めていますね。  (松坂と広瀬は)ともに良い映画に出演してらっしゃる。桃李さんは「新聞記者」(2019年、藤井道人監督)ですごくファンになりました。すずちゃんは「怒り」(2016年、李相日監督)で10代の愛らしい女の子があれだけのお役を演じ切っていたことに感心していました。現場ではお二人の映画に対するひたむきな思いが伝わってきました。  桃李さんは東映のヒーロー番組(「侍戦隊シンケンジャー」)からこの世界に入られたそうですね。すずちゃんはお姉さん(広瀬アリス)も女優さんで、ご自分は全然やる気がなかったけれど、同じプロダクションから誘われて「断ったら悪いかな」と思ってやり始めたとか。いろいろな道があるんだなと思いましたね。  これからそんなにたくさんの映画はできないと思うので、若い世代の俳優さんと一緒のときは、戦争の経験者が語り継ぐように「映画ってこんなものだったのよ」と伝えたい。これからの映画がどうなるかは分からないけれど、何か残していきたいなと思っています。  「北の桜守」(2018年、滝田洋二郎監督)で共演した堺雅人さんはすごかったですよ。撮影待ちの時に「昔はどうだったんですか」と熱心に聞いてくるんです。デジタル化などでこれからの映画はどんどん変わっていくでしょうが、昔のことも覚えていてくだされば次につながっていくのかなという気がしています。
勢いを感じてもらえる作品を
常に体を動かしていたいタイプ。「以前けがをした時にお医者さんに『いつになったら水泳をやっていいですか』と尋ねたら『他に趣味はないんですか』としかられました」と吉永小百合さん=東京都内
―自らは10代で芸能界に足を踏み入れ、60年にわたりトップランナーとして日本映画をけん引し続ける。「映画は自分の子供のようなもの」と公言し、代表作は枚挙にいとまがない。  初めて出演したのは1959年の「朝を呼ぶ口笛」(生駒千里監督)。1960年代は日活の看板女優として数々の作品で魅力を発揮し、フリーに転じた後も邦画各社の作品を縦横に行き来し、今作で出演作は122本を数える。念願だった医師役を演じた今、演じてみたい作品や役柄はあるのだろうか。また、東映が配給した今回の作品の完成直前には、大ヒットした「北の零年」(2005年、行定勲監督)など数々の吉永作品をプロデュースした同社の岡田裕介会長が急逝している。最後に、日本映画界の名物男として知られた岡田さんへの思いとともに、今後の俳優人生の展望を語っていただいた。 

吉永 ステイホームの時期に、たまたまテレビで「キューポラのある街」(1962年、浦山桐郎監督)を放送していて、何だか知らないけど見ちゃったんですよ。やっぱり、これはすごい作品だなと自分でも思いました。16歳の時に演じたのですが、今もあれを超えられていないなと。  大人になってから、いろんなジャンルの映画でいろんな仕事をさせてもらいました。市川崑さん(「細雪」「おはん」「映画女優」など)や坂東玉三郎さん(「外科室」「夢の女」)、森谷司郎さん(「動乱」「海峡」)の作品など、好きな映画はたくさんありますが、あそこまで「強い」ものは、もしかしたらまだないかもしれません。  できれば、そういう(「キューポラのある街」のような)作品を残してからやめたいなと思います。(チャプリンは『最高傑作は次回作』と言っていたが)私も同じ思いですね。チャプリンと一緒なんて言ったら申し訳ないんですけど。  先日「徹子の部屋」で黒柳徹子さんに「次はどうなの?」と聞かれて、「探偵なんてどうでしょう?」とお答えしたら、「いいわね!」と言ってくださった。探せばいろいろな職業はあると思うけれど、女性の探偵ってなかなか少ないし、面白いかなと思っています。もしやるなら本格派のミステリーがいいですね。名探偵というよりは迷探偵になってしまうかもしれませんが(笑)。  岡田さんは40年間、いろんなジャンルの映画を考えてくださって、その中で自分も成長してこられた。今後自分がどうなるんだろうという不安がとてもあります。正直、実感がなくて、今でもつい「これは相談してみよう」と思ってしまう。それぐらい存在感の大きな方でした。  ものすごく映画が好きで、昔の活動屋の生きがいを持って仕事をしていらした。私も同じような気持ちを持って、映画の勢いみたいなものを感じてもらえる作品を作ることに腐心しないといけないなと思っています。 ◇ ◇ ◇  吉永 小百合(よしなが・さゆり)=東京都出身。このほかの映画の代表作に「愛と死をみつめて」「泥だらけの純情」「伊豆の踊り子」「戦争と人間(第二部・第三部)」「男はつらいよ 柴又慕情」「青春の門」「華の乱」「母べえ」「ふしぎな岬の物語」「最高の人生の見つけ方」など。テレビドラマでは映画化もされた「夢千代日記」が代表作として知られる。原爆詩の朗読にも取り組む。2010年度には文化功労者に選ばれた。
https://news.yahoo.co.jp/articles/33c676d8c35748ef7aac64b425a46d4a4e48d68c?page=1


「眞子さまが小室家側に…」識者が語る、小室圭さんの「勘違い」が令和皇室にもたらすもの

2021-06-08 11:00:00 | 日記

下記の記事は文春オンラインからの借用(コピー)です

 2017年5月16日、NHKが夜7時のニュースで「秋篠宮ご夫妻の長女・眞子さま 大学時代の同級生・小室圭さんと婚約へ」とスクープしてから4年。4月8日には小室さんが公表した文書をめぐって大きな波紋が広がった。
「文藝春秋」2021年6月号掲載の江森敬治氏(毎日新聞編集委員)、片山杜秀氏(慶應義塾大学教授)、河西秀哉氏(名古屋大学准教授)、山口真由氏(信州大学特任教授・法学博士)による座談会の一部を公開する。2017年9月3日、婚約内定会見での眞子さまと小室圭さん 
◆ ◆ ◆
「国民に向けての文章」ではない
江森 秋篠宮さまは昨年11月の誕生日会見で小室圭さんに対し、小室家が抱える金銭トラブルについて、「対応が目に見える形になる」ことを求めました。今回、小室さんが公表した28枚にわたる説明文書はその回答と言えるものです。
河西 私は、こんな論文調の文書が出てくるとは夢にも思いませんでしたね。正直な感想を言うと、学生の出来の悪いレポートを読まされた印象があります。私は象徴天皇制の研究をしているので、皇族が書かれた文章や記者会見の文章を読みますけれど、それに比べると「うーむ」という感じ。本文の前に「概要」が4ページもあってけっこう長い(笑)。もう、そこで挫折しそうになりました。さらに脚注が13ページもあるから、とにかく読みづらい。
片山 裁判の上申書のような印象ですね。私は思想史の研究をしていて裁判記録をよく読むんですが、この文書はそれによく似ている。
山口 私もそういえば、法律家の卵だった時に、背伸びしてこういう文章を書いたことがありました(笑)。一流の法律家を目指すなら、全体のストーリーや言い回しを含めて、改善の余地はありますが。
江森 大切なのは中身です。文書には、「私と眞子様の気持ち、そして結婚に対する思いに変わりはありません」とあります。しかし、残念ながら、文書公表後、世間の祝福ムードは高まっていません。江森敬治氏
河西 要するに、これは「国民に向けての文章」ではないんですよ。国民にわかってもらおうとする文書ではない。
片山 この文書をステップにして金銭トラブルを解決したい、そして秋篠宮さまや宮内庁に結婚を認めてもらいたいというのがある。だから言質を取られない形で最大限弁明し、何もツッコまれない内容にしておきたい。何かを「伝える」文章ではなく、「守り」の文章だと。叩かれることを恐れている人間だったら、私でも同じように書くかもしれない。あまり好きな文章ではないですけど。
決定的な価値観のズレ
江森 経緯を振り返ると、眞子さまと小室圭さんの婚約が内定したのは2017年9月です。同年末に小室さんの母親と元婚約者の間に約400万円の金銭トラブルがあったと報じられました。秋篠宮さまは、2018年11月の誕生日会見で、「多くの人が納得し、喜んでくれる状況」にならなければ、婚約にあたる「納采の儀」は行えないと話しました。つまり、秋篠宮さまは、ずっと金銭トラブルの解決を求めてきました。
河西 だからこの文書では、小室さんがこの間何もしていなかったわけではなく、いつ元婚約者の方に連絡したか、いつ話し合いの場を持ったかなどが丁寧に説明されていたので、経過はよくわかりました。小室圭さん 
山口 今回文書を出した目的として、「金銭トラブルと言われている事柄に関する誤った情報をできる範囲で訂正する」と書かれています。私はここにまず、「アレ?」と思いました。日本の国民の多くは、眞子さまのお相手に、正しさよりも優しさを、そしてコミュニティの常識を共有していることを期待していたのだと思うんです。
 それなのに、小室さんの文書は「僕は優秀なんだ、こんな反論もできるんだ」と徹頭徹尾、自分の正しさを訴えている。山口真由氏
片山 繰り返し「借金を踏み倒した事実はない」と訴えていますね。解決金を払ったらどうかという意見に対しても、解決金を払ってしまうと、「私や母は借金を踏み倒そうとしていた人間だったのだということになります」とかなり強い調子で反論している。「これは、将来の私の家族までもが借金を踏み倒そうとした人間の家族として見られ続けるということを意味します」というわけですが、将来の家族とは眞子さまですね。眞子さまの名誉のためにもお金を返さないと言われても……。
河西「切実に名誉の問題」とも書いています。でも、国民が知りたかったのはそこではない。少なくとも小室家が家計の苦しい時に元婚約者から400万円の提供を受けたのは事実なわけです。はじめに元婚約者の方に対する感謝の気持ちが一言でも書いてあれば、その後の説明の受け止め方も変わると思うのですが、その一言がないんです。
江森 通して読んでも、小室さんの感謝の気持ち、誠意が伝わってきません。
山口 小室さんの考える法律論と、日本社会に根づくより広義の“貸し借り”の感覚に決定的なズレがあるんだろうと思いますね。小室さんの主張を大まかに整理すると、元婚約者の方から母に対する婚約破棄は一方的なもので、母側に慰謝料請求権があるはずだ。ところが、元婚約者から「返してもらうつもりはなかった」と言われたことを以て、母はその請求権を放棄し、それと同時に、元婚約者が持っていたかもしれない金銭の返還請求権もなくなったというものです。
 確かに、小室さんの主張は、法律論としてありえないではないですが、日本社会に今も残る“貸し借り”の感覚には合わないのです。苦しい状況を助けてもらった恩に対し、何らかの形で「お世話になりました」と報いるべきという感覚は、前近代的と言われながらも、広く社会に浸透しています。これまで、どうも“日本的”とされる価値観と、個人主義的な小室さんの価値観にズレがあるんじゃないかと懸念がありましたが、今回の文章でそれが決定的になった。このいかんとも埋めがたい溝について、この文書はある種の最終通告のようにも思いました。
小室さんも「もらいっぱなし」
片山 この文書で、金銭トラブルに小室さん本人が関わっていたこともはっきりしました。文書では、元婚約者の方が小室さんの母親の求めに応じて圭さんのICUの「授業料」としてお金を渡していて、小室さんもそれをもらったことを認めている。実際には、そのお金は授業料として使わずに、「すべて私の貯金と奨学金で賄っています」と否定していますけれど、つまり、母親だけでなく小室さん自身もお金をもらいっぱなしになっていることを認めているわけです。カリフォルニア大学ロサンゼルス校へ留学した際も、元婚約者から200万円を送金してもらったまま返していないことも認めている。
 ここで忘れてはいけないのは、小室さんのお母さんと元婚約者の間には、「愛の問題」が当然あったはずだということです。「愛」があれば多少のお金の貸し借りもうやむやになる。でも愛がなくなれば貸し借りの問題が浮上してくる。今になって、いくら互いに「貸した」「貰った」と主張をしたところで、そこは当事者の「愛」の問題だから、真相は藪の中。誰にもわからないことに、我々がこんなにも付き合わされているのか、とふと思ってしまいました。片山杜秀氏
江森 主張を繰り返すだけでは、金銭トラブルの解決にはなかなか繋がらないと思っていました。そこへ、文書を出して4日後、今度は解決金を元婚約者に支払う意向だ、と小室さんの代理人弁護士が明らかにしました。小室さんの対応はちぐはぐな感じがします。
河西 あれ、名誉の問題はどうなったの? と思いましたね。今回の文書で私が変だと思ったのは、一昨年1月に公表した文書に触れ、「(金銭トラブルを)『解決済みの事柄であると理解してまいりました』という表現は、現在完了形ではなく過去完了形としての表現として書いたものです」と書いている箇所です。自分は解決済みの問題とは主張していないのに、世間が勝手に誤解したと主張しているんですよね。それでもう一度、前回の文書を読み返したのですが、小室さんが言う通りには読めない。ひと言、「誤解を招いてごめんなさい」と書けば良いのに、「間違っているのはあなたたちだ」と読めるような文章を書いてしまう。ここは象徴的で、小室さんは読んだ人がこぶしを挙げたくなるように書いてしまうんです。河西秀哉氏
片山 少しでも隙を見せると徹底的にやられるという過剰なまでの被害者意識を持っているのではないですか。たぶん元婚約者に対しても、そういう姿勢だから行き違いを続けてきたんだろうと思います。
小室家側に立たれた眞子さま
江森 この文書が発表された翌日、秋篠宮家を補佐する皇嗣職大夫が、眞子さまは小室さんと金銭トラブルについて話し合い、今回の文書も相談のうえで公表したと説明しました。小室さんが文書に記した「元婚約者の方とお互いの認識についてきちんと話し合い、ご理解を得たうえで解決する」という対応方針には、眞子さまの意向も反映されていたといいます。そのうえで、眞子さまは「いろいろな経緯があったことを理解してくださる方がいらっしゃればありがたい」というコメントまで発表された。
 私がそれを知って感じたことは、眞子さまが小室家側に立ってしまったということです。これはすごく心配です。眞子さまは内親王という重い立場なのです。小室さんと話すよりも、まずはご自分の両親とよくよく話し合ってもらいたい。そして、内親王としてどう対応すべきかを考えなければいけません。眞子さまの対応に首をかしげざるを得ません。
河西 今のお話はすごく重要だと思います。昨年11月に出された眞子さまの文書を読んだ時にも、「眞子さま大丈夫かな」と不安に思ったんです。特に違和感を覚えたのは、「天皇皇后両陛下と上皇上皇后両陛下が私の気持ちを尊重して静かにお見守りくださっている」と書いた部分でした。まるで天皇皇后、上皇上皇后を盾にご自分の主張をしているように読めてしまう。眞子さまは結婚すれば現行の皇室典範では将来の天皇の姉であり、小室さんは天皇の義兄になるわけだから、眞子さまが小室さんに話して立場の重さを理解してもらうべきなのに、自分までもが皇室の立場を使ってしまっている。


脳萎縮を遅らせる7つの習慣とワーキングメモリー訓練法

2021-06-08 08:30:00 | 日記

下記は日刊ゲンダイデジタルからの借用(コピー)です

 どんな健康な人でも「脳の老化」は避けることができない。60歳を過ぎると、1年間に0・5%、容量にして5・4ミリリットルくらいずつ、脳が小さくなっていくことが科学的にも確認されている。この「脳の萎縮」は具体的にいうと、脳を構成している神経細胞が減っていくことで起こる。

 では、なぜ年を取ると脳が萎縮するのか。大脳研究の第一人者で京都大学名誉教授の久保田競氏(医学博士)が言う。

「その仕組みはまだよく分かっていません。はっきりしているのは、誰の脳にも萎縮による、このような変化が起こるということだけです。脳の萎縮が進むと、認知症やアルツハイマー病になります。あるデータでは、70歳以上の3人に1人、90歳以上の3人に2人がそのような状態になります。しかし、同年代でも残りの人は認知症やアルツハイマー病になることなく、元気に生活しています。その人たちに共通するのは脳の萎縮の程度が極めて軽いことです」

最近は脳の研究が進み、脳の萎縮を遅らせるにはどうすればいいかが、かなりわかってきているという。その「脳を鍛える」ための行動、生活習慣のポイントを列挙すると、次のようなことだ。

◆一時記憶に関わる「ワーキングメモリー」を鍛える。
◆脳の働きを活性化させる「ブレーンフード」を豊富に取る。
◆週に最低1時間は「有酸素運動」を行う。
◆美しいものに触れ、「感動する時間」を持つ。
◆「自分の好きなこと」をして、脳を喜ばせる。
◆1日トータルで7時間の「睡眠」を確保する。
◆規則正しい生活をする。

 最初に挙げられている「ワーキングメモリー」とは、一時的な記憶が保存される脳の場所のことだ。脳は同じような大きさ・数・並び方をしている細胞をひとまとめにして、「52の領域」に分けられる。ワーキングメモリーは大脳の前方にある前頭葉の「46野」で働いている。

「人間がワーキングメモリーの訓練をすると、その能力が増します。さらに、その訓練によって前頭前野の『考える能力』が高くなって、頭がよくなることも確認されています。そして、ワーキングメモリーは、複数の事柄が複雑に絡み合うほどフルに使われるという特徴があります」

 前頭葉にある「前頭極」と呼ばれる「10野」の働きも重要になる。ここは、さまざまな情報から総合的に物事を理解し、問題を解決する時や創造的なことをする時に使われる、人間だけにある領域。前頭極を鍛えることこそが、いつまでも人間らしく知的に活動するポイントになる。そして前頭極を働かせ、複雑なことをいろいろ考えて判断・実行するためには、ワーキングメモリーが必ず働いているのだ。

「それが前頭極とワーキングメモリーの萎縮が進むと、いま目の前にあることしか考えられず、計画的に物事を進めたり、先を予測して行動したり、状況に合わせて正確な判断をしたりすることが困難になってしまう。それがいわゆる加齢による脳の老化現象です」

 日常生活でワーキングメモリーと前頭極を鍛えるためには、「ブランチング課題」(複数のことを同時に行う作業)を生活の中に取り入れること。たとえば次のようなことを心がけるといいという。

【「時間」でスケジュール管理をする】

 とにかく予定を立てて、それに沿って行動する。大まかでも前日までに「何時に何をやるか」を決めておく。そのことを一時的に記憶するためにワーキングメモリーを使い、頭の中で順序立てて処理するために前頭極を働かせることになる。

【「冷蔵庫の中身」を常に把握しておく】

 冷蔵庫のどこに何をしまうかを決め、常に中身をチェックしながら、何がどのくらいあるのか、賞味期限・消費期限はいつなのか、などを頭に入れるようにする。

【手順を頭に入れて料理をする】

 家事の中でも料理は「前頭極(10野)」を鍛える、ブランチング課題の最たるもの。2、3品同時に並行して調理すると、ワーキングメモリーと前頭極が活発に活動し、鍛えることができる。

【一日を振り返りながら日記を手書きする】

 日記を書くためには、一日の行動を振り返る必要がある。この「記憶をたどって、思い出す」という行動をすると、ワーキングメモリーを働かせることになる。また、先の予定についても、手帳などにメモをして、繰り返しチェックすることを習慣づけるといい。


脳<下>「ブレーンフード」コリンに注目 記憶や筋肉に関係


脳の働きを活性化させる食べ物を「ブレーンフード」と呼び、研究の成果で脳にいい栄養素がだんだん分かってきている。それ以前に「食べる」という行為、それ自体が「脳にいいこと」なのだ。

 大脳研究の第一人者で京都大学名誉教授の久保田競氏(医学博士)が言う。

「食べ物を見たり、匂いを嗅いだり、グツグツ・ジュージューといった音を聞いたりすると、その情報が『大脳皮質』から『前頭前野』に伝わり、手を使って『食べる』という行動に移ります。この時すでに、脳の中ではさまざまな領域が働いています。さらに食事をすると、脳は視覚・味覚・嗅覚・聴覚・触覚・迷路機能(直線加速と回転加速)の六感から、情報を受け取ります。そして、何を食べて、どう感じたか、好きか嫌いかなどを学習し、記憶しています。しかも、知らず知らずのうちに、考えているいろいろなことが脳を活性化することにもなっているのです」

 このようなことから「脳にいい食事の仕方」は、第一に、しっかりと味わっていろいろなことを考えながら食べること。そして1人で食べるより誰かと会話しながら食べる方が、脳をより活発に働かせることができるという。

 では、ブレーンフードとは、どのような食べ物になるのか。特に注目されるのは「コリン」という栄養素だ。コリンは、たとえば大豆に含まれている「大豆レシチン」の名称で親しまれているもので、これを摂取すると肝臓でコリンに合成される。それが脳に送られて神経伝達物質の「アセチルコリン」が合成される。つまり、コリンを食べなければアセチルコリンはできないのだ。

「アセチルコリンが大切なのは、3つの重要な役割があるからです。脳の中の『大脳基底核』という神経細胞集団の働きを良くして、『記憶を助ける役割』があります。もうひとつは『筋肉を動かす役割』。3つ目は『副交感神経を働かせる役割』です。記憶を助ける役割では、アセチルコリンが不足すると、一時記憶に関わるワーキングメモリーがうまく機能しません」

 すでに30年ほど前に、アルツハイマー病の患者の脳でアセチルコリンの減少が発見されている。それによって開発されたのが「アリセプト(一般名・ドネペジル)」という薬だ。この薬は、アセチルコリンを分解する酵素を阻害することで効果を発揮する。ただし、アルツハイマー病の初期の進行を遅らせるだけで、症状を改善させる効果は認められていない。

 大豆以外にもコリンが豊富に含まれている食品は、「生卵」「鳥レバー」「牛肉の煮込み」「豚肉」「薫製ベーコン」「エビ」「インスタントコーヒー」など。ピスタチオやカシューナッツなどの「ナッツ類」、ゆでたブロッコリーや冷凍ホウレンソウなどの「野菜」にも比較的多く含まれているという。

■DHAやビタミンB群も重要

 青魚に多く含まれる「DHA(ドコサヘキサエン酸)」や「EPA(エイコサペンタエン酸)」も脳にいい栄養素として知られる。これに、アマニ油やエゴマ油に多く含まれる「α―リノレン酸」を加えて「n―3系多価不飽和脂肪酸」と呼ぶ。

 この不飽和脂肪酸は、ネズミを使った実験や小学生を対象とした研究などで学習能力が向上することが報告されている。これらの数々の研究から、脳の神経回路の構造をつくっている成分であること、脳が働いて情報伝達をする時に使われていることなどが分かってきている。

「日本人は、DHAをサンマやイワシ、サバ、アジ、サケなどの青魚からよく取っていますが、それだけでは十分ではないと考えています。不飽和脂肪酸は、貝類や海藻、クルミなどをはじめとするナッツ類、キウイなどにも豊富に含まれています。いろいろな食品から摂取したり、サプリメントで補ったりすることをお勧めします」

 ビタミンB群も脳には重要で、中でもビタミン「B6」「B9(葉酸)」「B12」は、脳の萎縮程度を軽くする可能性があることが分かってきている。また、ビタミンB群は血管を損傷させたり、神経細胞を壊したりする「ホモシステイン」という物質の値が高まることを抑制する効果があることが認められている。

 食品としては、カツオやマグロなどの「魚類」、牛・豚・鶏の「レバー」、ホウレンソウや春菊・枝豆・アスパラガスなどの「野菜」、シジミやアサリなどの「貝類」に多く含まれている。