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病気を見つける検査にはさまざまな人工機器が用いられているが、一方で、生物の持つ驚異的な能力を生かして病気を見つける「生物診断」という検査法の実用化が始まっている。
生物診断の研究開発、製造販売を行うバイオベンチャー「HIROTSUバイオサイエンス」(東京都千代田区)は、開発した「線虫がん検査(N―NOSE)」の検体解析装置を完全自動化させたことで、2カ所の検査センターで月間約3万件の検査の処理ができる体制となっている。
「線虫」とは、線形動物門に属する動物の総称で、回虫、ぎょう虫、アニサキスなど1億種以上いるとされる。線虫のどのような能力によって、がんを発見するのか。同社・事業本部長の久保田陽一取締役が言う。
「N―NOSEでは体長約1ミリ、色は透明な『シー・エレガンス』という種類の線虫を用いています。目や耳はなく、においを頼りに生きている線虫は、機械では検知できないほどかすかなにおいを嗅ぎ分けることができます。そしてがん患者の尿に含まれるがん特有のにおいを高い確率で検知することが研究によって明らかになりました」
においをキャッチする嗅覚受容体様遺伝子(センサー)は、人間では約400種類、嗅覚に優れていることで知られる犬が約800種類、シー・エレガンスは、さらに多い約1200種類を持っているという。
このようにN―NOSEは、受検者の尿でがんのリスクを調べる「がんの1次スクリーニング検査」になる。具体的には、シャーレ(容器)の中央に50~100匹の線虫を配置し、シャーレの片側に希釈した尿を置く。30分間静置させ、線虫の行動を解析する。これを同一の尿で複数回繰り返し検査する。
これまで手作業で行っていた工程の完全自動化に成功したことで、線虫がん検査の実用化が可能になったわけだ。
「線虫が反応することが分かっているがん種は、胃、大腸、肺、乳、膵臓(すいぞう)、肝臓、前立腺など15種類の固形がんで、1度の検査で全身のがんリスクを調べることが可能です。検査の精度は臨床研究において、感度86.3%という結果を得ています。ステージ0や1の早期がんでも高い感度で反応します」
線虫がん検査<下>見分けられる感度は85%以上 自宅で完結
新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、昨年がん検診を受けた人が前年に比べて約3割減少したことが「日本対がん協会」の調査で分かっている。感染を心配した「受診控え」が減少の要因で、本来であれば発見されるべきがんが見過ごされ、今後進行がんとなって見つかる割合が増加することが懸念されている。
そんな状況において、医療機関に行かなくても自宅で簡単にがんリスクが調べられる新しい検査が登場している。「線虫がん検査(N―NOSE・アット・ホーム)」と呼ばれるがんの1次スクリーニング検査で、今年2月から東京都と福岡県で先行開始され、5月からは対象エリアを全国に拡大、7月には全47都道府県で受けられる予定という。
線虫がん検査とはどんな検査なのか。サービスを提供するバイオベンチャー「HIROTSUバイオサイエンス」(東京都千代田区)事業本部長の久保田陽一取締役が言う。
「検査では、体長約1ミリの『シー・エレガンス』という種類の線虫(糸状の細い生物)を用います。線虫は機械では検知できない微量なにおい物質を嗅ぎ分けることができ、がん患者の尿に含まれるがん特有のにおいを検知します。ですから尿を検体として提出してもらい、がんのリスクを調べる『生物診断』という検査法になります」
検査の手順はこうだ。専用Webサイトで検査を申し込むと、1週間程度で指定の住所に検査キットが届く。専用の容器に尿を採取したら、同梱されているIDとパスワードをWebサイトに入力し、検体(尿)の提出日を予約する。すると、その日程に合わせて専用スタッフが集荷に来るので、それまで検体は冷凍庫に保管しておく。検体の集荷から約6週間後に、検査結果が郵送で届くという流れだ。
「検査は、シャーレ(容器)に50~100匹の線虫と尿を配置し、30分ほど置いてから線虫の分布を解析します。精度を高めるため、1検体につき二十数回の解析を経て最終的な総合評価とリスクの度合いを導き出しています。線虫ががんを見分ける感度は85%以上であることが、臨床試験で確認されています」
在宅で完結できる「N―NOSE・アット・ホーム」の費用は、検査料、キット代、集荷料を含め税込みで1万3750円(北海道と沖縄は1万4300円)。一部の都市部では、検体を指定場所に提出できる「N―NOSEステーション(またはサテライト)」があり、そこに提出した場合は、集荷料2200円分がかからないという。
いよいよ「線虫がん検査」一般発売、10月末に開始
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HIROTSUバイオサイエンスは、線虫がん検査「N-NOSE」の一般発売を2020年10月末に開始する。同年9月27日に福岡県で開催された講演会で、同社 代表取締役の広津崇亮氏が明らかにした。
(株式会社HIROTSUバイオサイエンス〒102-0094東京都千代田区紀尾井町4-1ニューオータニガーデンコート22階)
2020年9月27日に「福岡市保健環境学習室 まもるーむ福岡」で開催された講演会後、記者の質問に応じる広津氏(写真:Beyond Healthが撮影)
N-NOSEは既に同年1月に実用化しているが、これまでは法人や健康保険組合などを通した検査、あるいは特定の医療機関での一般検査のみの対応となっていた(関連記事:線虫がん検査、一般に受けられる施設が明らかに)。
新たに開始する一般発売では、検査希望者がインターネットで予約すると、自宅に検査キットが届く。自宅で採尿した検体は、東京もしくは福岡の同社拠点に直接持参する。その後、結果が自宅に郵送されるという流れである。検査料金は9800円(税抜)。
一般発売に踏み切った背景には、検査体制の拡充がある。同社は2020年7月、全ての検査解析プロセスの完全自動化に成功したことを発表(関連記事:線虫がん検査、全ての検査解析プロセスを完全自動化)。これにより、当初は年間25万検体としていた検査規模が、直近では「年間換算で約50万検体の規模」(広津氏)まで増強できているという。
開発した全自動解析装置(出所:HIROTSUバイオサイエンス)
新型コロナウイルス感染症の拡大で、受診や検診控えが進んでいることも一般発売を急いだ理由だ。自宅で簡単に検査できる方法を導入することで、がんの早期発見を後押しする狙いである。
いずれは郵送で返送してもらう方式も
今回の一般発売のスキームでは、前述の通り、自宅で採尿した検体を東京もしくは福岡の同社拠点に直接持参する形態を採る。これについて広津氏は、「尿検体を特に冷凍などせず郵送で送った場合でも、尿の鮮度面などで検査結果に影響が出ないことが検証できれば、いずれは郵送で返送してもらう方式も考えたい」とした。
N-NOSEは現在、15種類のがんの「どれかがある」というリスクを判定できる。これに対して、がん種を特定できる“特殊線虫”の開発を進めていることは既に明らかにしている(関連記事:「線虫がん検査」実用化は予定通りに、次はすい臓がん向け“特殊線虫”も)。第1弾として、すい臓がんをターゲットにした特殊線虫を「2022年に実用化したい」(広津氏)との見通しを今回あらためて示した。
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がん患者が年々増えつつある我が国において、少しでも早期かつ正確にがんを発見できるようになることは至上命題とも言えます。正しい診断が出ないと正確な治療へ移れないことを考えると、まずは診断をきちんと確定させることが重要です。検査機器などの進歩によって診断精度は格段に増してきている中で、これまでの発想とは違うまったく新しい手法による検査方法の研究も盛んに行われています。新しい手法の検査法の中で、最近話題になっている「線虫を使ったがん検査」について、今後の薬剤師との関わりの可能性を考えてみましょう。
そもそも線虫とは?
線虫とは正式には線形動物と呼ばれ、非常に多くの種類が存在します。地球上の様々な場所に生息していて、大半は土壌や海洋中で生きています。人などに寄生する回虫も線虫に分類されます。線虫の一種であるC. elegansは、体長が1mmほどととても小さく大量培養が可能という取り扱いやすさから、ラットやショウジョバエなどと並んで生物学の研究分野において、人などの多細胞生物のモデル生物としてよく使われています。
今回紹介するがん検査の研究にもこのC. elegansが使われました。あまり知られてないことですが、線虫は嗅覚が非常に優れていて、人間の約3倍、麻薬探知に使われるなど犬の約1.5倍といわれています。こういった特徴に目を付けたのが廣津博士です。以前より、がん細胞に特有の匂いがあることは知られてきていた中で、がん探知犬の話題を聞いた廣津博士は、犬よりも嗅覚がさらに優れている線虫にも探知可能なのではと考えて、研究をスタートしました。
メカニズムと利点
まず、片端に健康な方の尿を置いたシャーレと、がん患者さんの尿を置いたシャーレを用意します。続いて、各々のシャーレの真ん中に50~100匹ほどの線虫を配置して、その動きを観察します。健康な方の尿の入ったシャーレでは、線虫は健康な方の尿を置いた方とは別の端に逃げるように泳ぐのに対して、がん患者さんの尿の入ったシャーレでは逆に尿を置いた方へと泳いでいくという結果になりました。がん患者さんの尿の中には線虫が好む何かがあるものと推測されます。
少し話がそれますが、これまでの研究で、匂いは濃度によって感じ方が変化するということがわかっていて、好きな匂いも濃くすると不快に感じるようになると言われています。好きな香水でも、付け過ぎると逆に嫌な香りと感じる方が少なくないでしょう。実は線虫でもその現象が見られます。尿の原液では線虫の動きに違いは見えず、適切な濃度に薄めた時に前述したような顕著な動きの違いが見られるようです。この特徴が後述する応用の際に問題になってきます。
線虫での検査はこれまでの大がかりな装置を使うわけではないので、とても安価で数百円で済みます。さらに驚くのはその精度で、約9割にも上り、しかも早期のステージ0や1なども発見できるという結果もでています。がんの部位までは特定できないものの、がんがあるとわかった人だけに詳細な検査をすればいいので、無駄な検査を減らせるというメリットがあり、臨床応用の促進が期待されています。
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義両親は悪い人じゃないけど気をつかう、親族の集まりに付き合わされるのがつらい……。精神科医の井上智介先生は「親戚付き合いがしんどい人は、同調圧力で関係を築いていて主体性がないから。自分の価値観で考えて、その付き合いにメリットがないのであれば無理しなくていい」と話す――。
親戚付き合いのもつれで仕事に影響
僕のところに相談に来られる方の悩みの大半が人間関係です。人間関係の悩みは尽きることがないですね。その中には職場の人間関係だけでなく、家族や親戚といった身近な人間関係が含まれていることも少なくありません。身近な人間関係に振り回されることで、夜眠れない、だるい、といった体の不調が出て、頭がまわらなくてミスが増えるなど仕事で影響が出ることがあります。
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特に30~40代の女性に多い悩みが、義理の両親との関係。中でもいっしょに住んでいる場合に、精神的なストレスを抱える人が多いですね。
義両親がプレッシャー
たとえば食事も、夫婦二人なら残りものや出来合いでいいと思えても、義両親がいると手作りしないといけない、部屋はいつもきちんと整理整頓しておかなきゃいけない、という考えになってしまう。義両親に何かを言われているわけではないけれど、自分がダメな人と思われるんじゃないかという恐怖心に勝てず、精神的にプレッシャーを感じ続けているわけです。
また、こまごまとした事例で言うと、旦那さんが親戚と仲がよくて、自分も集まりに行かないと変な空気になるから仕方なく行くとか、実家や親戚の家が遠くて日帰りできないから泊まらないといけないのがしんどいとか、いずれも相手に悪い気にさせないように、気をつかっているからリラックスできないということがありますね。
こんなふうに家族や親戚に気をつかったあげく、心が疲弊する、自分の休まる時間がない、という状態になっていきます。
主体性に欠けた人間関係になっていないか
プライベートな人間関係の悩みの根底には「いいお嫁さんでいたい」「いい奥さんと思われたい」という考えがあります。それゆえ、自分のダメなところや弱いところを見せられないわけです。
こういった気持ちは誰にでもありますが、当事者はなかなか気づきにくい。ですから、まず大切なのは、自分の価値観を自覚すること。たとえば、これまで言われるままにしてきた親戚付き合い。これは主体性に欠けていて、自分の価値観にそぐわないのではないか、他のきょうだいが参加するからと、頻繁な親戚の集まりに顔を出すというのも、ある種の同調圧力に負けているのではないか……。これまで無自覚にしてきた自分の選択を見つめなおすだけで変わるきっかけになります。
親戚付き合いに、どれほどのメリットがあるか
そのうえで、この親戚付き合いに、どれぐらいメリットがあるのか、自分の中で一度整理して、メリットがないと感じるなら、無理して親密な付き合いをつくる必要はありません。最低限の冠婚葬祭だけで十分ということになります。
たとえ家族や親戚であっても、物理的に距離をとって、ストレス源から逃げることは、決して悪いことではありません。自分を守るためには、大事な処世術であることを知ってほしいですね。
同居の義両親は苦手な上司として接する
ただし義理の両親といっしょに住んでいる場合は、物理的な距離をとることが難しいので、ちょっとした工夫が必要になります。おすすめは相手の承認欲求を満たすこと。つまり、こちらから質問したり、教えを請うたりして、相手の存在を認めていることを表しましょう。苦手な上司への対応と似ています。
こちらから聞く内容は、料理や掃除のコツ、好きな食べ物や苦手な食べ物など、本当に日常生活のささいなこと。子育てや夫婦関係など人生の核になるようなことはNGです。おそらく自分とズレが生じて、そちらに合わせなければならなくなり、かえってストレスになる可能性があります。ですから、何でもないことをふつうに聞くのがいちばんです。相手は単純に自分に興味を持ってくれているんだなと思えて、関係性がスムーズになります。
2世帯同居でも一人の自由時間を勝ち取る方法
相手に「あなたのことを大事にしている」という気持ちが伝われば、「こういうことができないんです」「一人の時間がないとダメなタイプなんです」など、自分の弱いところも見せやすくなります。
実際、今の30~40代の女性は、主婦だったり、会社員だったり、いろいろな役割がありますので、いったんリセットする時間は必要です。とはいえ、自分から壁を立てて一人でリラックスするのは難しいので、まずは相手との関係をスムーズにしてから要求を伝える。「仕事も家事もしていて、ちょっとイライラするときがあるから30分ぐらいは自分の時間がほしいんです」と伝えて、部屋に閉じこもることは何もおかしなことではないというふうにしていければいいと思います。
上司への伝え方に似ていますが、少し違うのは許可をとりやすいところ。家族なのですから、さすがに上司よりはわがままを聞いてもらいやすいでしょうね。
テレワークが増えて、家で仕事をしていることに、納得がいかない上の世代の方はいます。パソコンでパチパチやっているのが、義両親には理解できなくて「本当に仕事をしているのか」「会社は大丈夫なのか」と、あれこれ干渉されるのが煩わしいという人もいます。しかし、こちらはしっかりと仕事をしているわけですから、多くの人がこういう働き方になって、社会全体が変わってきているということを、感情的にならずにちゃんと説明する。
理解の度合いは人によりますが、相手のわからないことを無理やりわからせようとして、こちらがヒートアップするのは無駄です。どうしてもわかってもらえない場合は、自分の仕事に集中するのがいちばんでしょうね。
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眞子さまと小室さんの結婚問題に端を発した、秋篠宮家への批判は、やむ気配がない。批判の嵐は、平成が始動したばかりの頃の「皇后バッシング」を思い起こさせる。このとき、母のために口を開いたのは、黒田清子さん(52)だった。清子さんの文書をひもとくと、皇室バッシングの嵐をしずめる糸口が見つかりそうだ。
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世間から批判を浴びる皇室。そして家族をかばうように言葉を紡ぐ内親王。
思い起こされるのは、平成がはじまって間もない時期に起きた皇后バッシングだ。平成が本格的に船出し、東南アジアや中国の訪問がはじまったころ、守旧派は平成の皇室に対する批判を強めた。
明仁天皇(現上皇)と皇后(現上皇后)美智子さまは傷つき、孤立感を抱いた。次第に、批判は皇后に集中するようになった。そして1993(平成5)年10月20日。誕生日の朝に、美智子さまは倒れて声を失った。
このとき公表された、美智子さまの誕生日文書の言葉を一度は耳にしたことがあるだろう。
<どのような批判も、自分を省みるよすがとして耳を傾けねばと思います(中略)批判の許されない社会であってはなりませんが、事実に基づかない批判が、繰り返し許される社会であって欲しくはありません>
1996年 上皇さまの疎開先であった栃木県の日光植物園を訪れた美智子さまと紀宮時代の清子さん(c) 朝日新聞社 吹き荒れる皇后バッシングに対して、黒田清子さんは2度に渡り、思いを述べたことがある。
最初は、美智子さまが声を失った翌年、平成6(1994)年4月18日。清子さん25歳の誕生日の回答文書だった。清子さんは、声を失った母の身を案じながらも、こうつづっている。
<お言葉がでないということは、皇后様にとってどんなにお辛く、御不安でいらっしゃるかと思います。ただ、私にとって不思議だったことは、皇后様がそのような状態でいらっしゃっても、私達の日常生活が大きく変化したとは感じられなかったことです。昨年、両陛下がヨーロッパをご訪問になった後、現地の人から届いた手紙の中に、皇后様に会われた時の印象として「quality of presenceを深く感じた」ということが書いてありました。読んだ時には、心に残っても具体的に理解することが出来なかったこの一言が、言葉を失われてからの皇后様との日々に、改めて思い出され、自分の中で実感としてわかることが出来たように感じています。皇后様の在り方やご様子はとても「言葉」に近く、「話される」ということ以上にそこにいらして下さるということが、私の安心感と喜びにつながっていたように思います>
この時期、清子さんは、美智子さまを懸命に支える役目を担っており、これ以上言及することはなかった。
皇后バッシングについて、清子さんが再び思いを口にしたのは、10年後である。
2005(平成17)年4月、黒田清子さんは36歳の誕生日を迎えた。黒田慶樹さんとの結婚をひかえ、内親王として最後の誕生日であった。記者からの質問に答えた文書回答は、400字詰の原稿用紙24枚分、9000字を超えるボリュームだった。
注目されたのは、美智子さまが声を失った悲しみに触れた箇所だ。
<両陛下のお姿から学んだことは、悲しみの折にもありました。事実に基づかない多くの批判にさらされ、平成5年ご誕辰(たんしん)の朝、皇后さまは耐え難いお疲れとお悲しみの中で倒れられ、言葉を失われました。
当時のことは私にとり、まだ言葉でまとめられない思いがございますが、振り返ると、暗い井戸の中にいたようなあの日々のこと自体よりも、誰を責めることなくご自分の弱さを省みられながら、ひたすらに生きておられた皇后さまのご様子が浮かび、胸が痛みます。
私が日ごろからとても強く感じているのは、皇后さまの人に対する根本的な信頼感と、他者を理解しようと思うお心です。皇后さまが経てこられた道には沢山の悲しみがあり、そうした多くは、誰に頼ることなくご自身で癒やされるしかないものもあったと思いますし、口にはされませんが、未だに癒えない傷みも持っておられるのではないかと感じられることもあります>
1995年 紀宮さま26歳 阪神淡路大震災で被害を受けた淡路島を訪問し、特別養護老人ホームで、入所者を励ます紀宮さま(c)朝日新聞社 清子さんは、深い教養と見識をもちながらも春風のような温かさを持ち合わせた内親王であった。この文章も、美智子さまを批判した相手を強く責めてはいない。それでも、バッシング報道に苦しみながらも批判する相手を理解しようと努め、平成の天皇、皇后として歩むご両親の生き方が伝わるものだった。
紀宮時代から清子さんを知る記者や宮内庁関係者らは、「清子さんに対する批判の声を、聞いたことはなかった」と口をそろえる。
「サーヤ」と呼ばれ、国民から愛された清子さん。皇室を長く取材してきたジャーナリストは、こう話す。
「これはサーヤのラストメッセージだった。両陛下が孤立無援のなか、バッシングに苦しんだ時期から、『国民に寄り添う平成の皇室』といわれるまで、そのプロセスを見て支えてきたのはサーヤだった。これは、清子さんの誕生日文書だけれども、平成の両陛下が立派にやってきたことを記録に残すという意味では公的な性格を持つ資料のようなものだったと思う」
2005年 結婚披露宴で乾杯する黒田慶樹さんと清子さん (c) 朝日新聞社 元宮内庁職員の山下晋司さんは、報道室の担当として、平成の皇室を見ていた。
「平成5年のいわゆる"皇后バッシング"のときは、声を失った母・美智子さまに寄り添い、時期を見て柔らかい表現でその時のことを言葉になさっていた。こういったご対応は、さすが天皇家のお嬢様だと感じたものです。上皇后陛下のかげになって目立つことはありませんでしたが、その優れた才能から『ミニ皇后』という人もいたほどです」
清子さんの教養の深さに感心はしたものの、これが皇族のあるべき姿なのだろうとも感じていた、と振り返る。
平成から令和に移るなかで、皇室の立ち振る舞いや考え方も変わりつつある。そして、天皇や皇族のふるまいに対する国民の受け取り方もだいぶ、違ったものになっている。
それでも、時を経てもなお重みと品性がにじむ平成の内親王の言葉から、学ぶものはあるにちがいない。
秋篠宮家と国民の心が互いにつながる日が、はやく来てほしい。(AERAdot.編集部 永井貴子)
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精神科医で睡眠専門医の三島和夫です。睡眠と健康に関する皆さんからのご質問に、科学的見地からビシバシお答えします。
「やりたいことがあるけど時間がない」「仕事や勉強が間に合わず時間が足りない」――。そのようなとき、「眠らないで済むなら……」と考えることがありますよね。古今東西を問わず、睡眠研究者も長年「短時間睡眠法」に取り組んできました。果たして成功したのでしょうか?
人為的に睡眠を削る実験
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短時間睡眠生活を目指す一番シンプルな方法として、睡眠時間を徐々に短くする実験がいくつか行われています。例えば、普段7時間眠っている人の場合、30分短くして6時間半睡眠で数日過ごし、その次は6時間睡眠で数日過ごし、と進めていくわけです。ところが、多くの場合、ある程度まで睡眠時間が短くなった段階で蓄積した眠気のために 堪こら えきれなくなって「爆睡」してしまい、その翌日からは元の睡眠時間に戻ってしまいます。
このように、計画的にゆっくりと睡眠時間を削っても、短時間睡眠のまま安定した生活を続けることはできません。加齢とともに人の睡眠時間は短くなりますが、実際は平均すると10年間で10分ほどのゆっくりペースです。しかも、人の必要睡眠時間は体質的に決まっている部分が大きいため、短期間に人為的に短くすることはできないのです。
ある意味、現代人は短時間睡眠が常態化しているとも言えます。平日に睡眠不足を続け、週末に堪えきれなくなって寝だめをしている方が読者の中にもおられると思います。上記の実験の小型版を毎週繰り返していると言えます。「それでも何とか生活できている」と言う方もおられますが、落とし穴が数多くあります。
無意識に認知機能が低下していく
今回お伝えしたいのは、睡眠時間を削っている間、眠気の高まりは比較的ゆっくり進んでいくのに対して、認知機能は早期から低下する点です。睡眠時間を削って間もない、眠気がさほど強くない時期でさえ認知機能は低下しています。人は睡眠不足の有無を眠気の強さで評価することが多いため、心身への影響を感知できず、「眠気がないから大丈夫」と考えがちです。睡眠不足時の事故は居眠りだけで起こるわけではありません。認知機能の低下によるヒューマンエラーや大きな事故、それに体調が悪いのに働き続けることでミスや損失が発生しやすくなる状態の「プレゼンティーイズム」などにつながります。特に、高いパフォーマンスを要求される仕事や、運転や大型機器操作などの危険作業に従事する人は要注意です。
断眠がもたらす誇大妄想や幻覚、極度の被害妄想
短時間睡眠実験の究極版である「(長時間眠らずに過ごす)断眠実験」も行われているのでご紹介しましょう。一番有名なものは、米国西海岸の男子高校生が樹立した264時間(11日間)、連続で覚醒していた記録です。決して元気に過ごしたわけではありません。最初の2日は眠気と 倦怠けんたい 感で済んでいましたが、4日目には自分が有名プロスポーツ選手であるという誇大妄想、6日目には幻覚、9日目には視力低下や被害妄想、終了間際には極度の記憶障害などが生じたそうです。彼はその後一体どうなったでしょうか? ご安心ください。実験終了後に15時間ほど爆睡した後、元気に覚醒し、なんら後遺症もなかったそうです。
この実験は医学的な管理の下、純粋に研究目的で行われたものなので、まねしようなどとは思わないでください。実際、長期間の断眠は心身に大きな負荷がかかります。ラットを用いて長期間断眠する実験では、体重や活動性は減少し、免疫機能も低下、微生物による感染が目立つようになり、2週間足らずですべて死んでしまいました。
睡眠は健康の源です。睡眠時間を削っても健康で質の高い生活が送れないのでは意味がありません。(三島和夫 精神科医)