法定雇用率の算出に当たって、ながながと手引書に解説されていますが、要領が得ないと嘆きの声をよく聞きます。
分母には、雇用した障害者を含む総労働者数、たいして分子は障害者数ですが、分母と分子では、数える概念が違ってきています。
分母は、契約・所定上の人数です。週30時以上働くと契約したなら1人とカウントします。週20時間以上(30時間未満)なら0.5人となります。
一方、分子は、対象期間の働けたのか実績が加味されます。就業規則にさだめた年次有給休暇や休職でやすんだのであれば、1人は1人とカウントできますが、そうでなければ書かれてある処置に従って減数となります。
分母と分子の扱いの違いを頭にいれて、もう一度手引書を確認してみてください。なお、分子で減数した場合、分母も減数させるようです。
その上で、不足に対して納付金を納め、超過に対して調整金が支給されます。実際は、月ごとに上で求めた雇用数を年累算し、同様に月ごとに上で求めた雇用障害者数を年累算、その差の人数に、納付金額(調整金)をかけて納付(支給)となります。
例)
年累算法定雇用数:1248人
年累算障害者雇用数:1245.5人
1248-1245.5=2.5人不足 2.5×納付金単価5万円=12.5万円納付
例示は計算の都合上僅少差としましたが、年間つうじて1人不足ですと、納付金は60万円相当になります。
この法定雇用率ですが、実勢を反映させるため5年おきくらいに見直しがなされます。
分子:対象障害者数(就業者+求職者数)
分母:全就業者数+全求職者数
また最低1人雇わねばならない企業の最低雇用数は、この法定雇用率の逆数から求めます。
1÷2.3%=43.478…人 ⇒ 43.5人(43.0人だと、法定雇用率を乗じても1人に達しないので、0.5人刻み切り上げで表示)。現行2.5%になりましたので、切りのいい40人以上雇用企業が対象となります。
法定雇用率(民間)の推移
期 間 | 法定雇用率 |
---|---|
昭和51年10月から昭和63年3月まで | 1.5% |
平成10年6月まで | 1.6% |
平成25年3月まで | 1.8% |
平成30年3月まで | 2.0% |
令和3年2月まで | 2.2% |
令和6年3月まで | 2.3% |
現 行 | 2.5% |
令和8年7月から(予定) | 2.7% |
カウント対象の推移
昭和51年10月~ | 昭和63年4月~ | 平成10年7月~ | 平成18年4月~ | 平成30年4月~ | ||
身体障害者 | カウント対象 | |||||
知的障害者 | カウント可能 | カウント対象 | ||||
精神障害者 | カウント可能 | カウント対象 |
身体障害者雇用はS51.10から、知的障害者はH10.7から、精神障害者はH30.4からそれぞれ義務化。それ以前はみなしとしてカウント可能としていました。
(2019年2月16日投稿、2024年4月14日編集)