就労実態等に関する職場情報
新卒採用においては義務となっており、中途採用でも試行中の雇用環境数値、御社は胸張って開示できますでしょうか。
- 募集・採用に関する状況
- 過去3年新卒(中途)採用数
- 同 離職者数
- 過去3年間の新卒(中途)採用者数の男女別人数
- 平均勤続年数
- 平均年齢
- 職業能力開発取り組みの有無、ありならその内容
- 研修・自己啓発支援・メンター制・キャリアコンサル・社内検定
- 職場定着取り組み実施状況
- 月平均所定外労働時間
- 有給休暇平均取得数
- 育児休業取得者数/出産数
- 役員、管理職に占める女性の割合
最後をのぞき、1と3は男女別に開示することとなっています。全社分と募集か所(採用職種別)とにわけて記載できます。1~3のそれぞれ最低一つ数値内容を出すことが義務となっています。差し支えのない企業はすすんで全面開示するでしょうから、なにかにつけ伏せておきたい数字のある企業は、要注意企業と目され採用コストの上昇となります。下記に例示してみました。職探ししている人が、複数候補に迷っているうちに、次に開示されている数字の意味するところをみて、求職者はどちらの会社を選択することになるでしょうか。
過去3年採用数
前々々年 | 前々年 | 前年 | |
A社 | 5 | 6 | 4 |
B社 | 3 | 5 | 6 |
過去3年採用離職者数
前々々年 | 前々年 | 前年 | |
A社 | 5 | 5 | 4 |
B社 | 0 | 1 | 0 |
前年の | 月平均残業時間数 | 年平均有給取得数 | 平均勤続年数 |
A社 | 35.8時間 | 6.0日 | 4.2年 |
B社 | 11.2時間 | 15.5日 | 14.6年 |
業種により同業者はよく似た傾向を示すとはいえ、入社したての新入社員(中途を含む)に早やばやと逃げ出される企業はろくでもないということを、世間にしらしめることになるでしょう。なお、過去3年の数値については、当分新卒者に限ってのデータ公表となります。近いうちに中途も併記した公表となるでしょう。(雇用環境数値と題していたのを若者雇用促進法のパンフにならい本見出しを改めます。)
中途採用数値
2021年4月1日から施行になりますが、中途採用数値公表が大企業に義務付けられます。過去3年にわたって正社員採用数にしめる中途採用の割合を、インターネットに公表させることになりました。1年度がおわっての更新を義務付けています。
昔からの上場企業は、新卒採用一本やり、社内育成、毛並みをそろえて同期を競争させての年功序列でした。そこを中途採用をうながし正規間の同一労働同一賃金や、多様性をもたせる意味合いがあるのでしょう。一方中小企業は元から中途採用が活発だったこともあり、適用は当分ない見込みです。
ISO30414
国際標準化機構により、従業員に関する人的資本情報の定量化、分析、開示に関するガイドラインが2018年に定めされました。財務諸表、事業報告といった開示資料では表しきれなかった企業のもつ人材を指標化をめざしたものです。11項目58指標あり、すべてを開示する必要はありませんが、企業ごとにかかえる問題点に取り組むにあたり、目に見える指標を選択することができます。もちろん、社外に公表する、あるいは社内資料として用いる、のはそれぞれの企業がなにを目指すかによるでしょう。ここでは一例をあげておきます。なお、各国の採用形態と日本とでは相違しそぐわない項目があるのも確かです(例:重要ポストの内部登用率。日本ではなぜ外部から登用しないのかということになるでしょうか)。
- 倫理コンプライアンス研修を受けた従業員割合
- 提起された苦情の種類と件数
- 一人あたりの採用コスト
- 管理職一人あたりの部下の数
- 従業員の定着率
- 採用にかかる平均日数
- 従業員1人あたりの研修受講時間
(2020年08月15日投稿 2021年10月3日編集)