散りゆく夕べ
時間をください
力をください
気持ちをください
終わりのない歌をください
私を包んで
抱きしめてくれる人をください
何にもまどわされないように
強く思いつめたまま生きて
いけるように
青麦畑でかわした
はじめてのくちづけを
忘れてしまいたい
パスポートにはさんでおいた
四葉のクローバー 希望の旅を
忘れてしまいたい
軽井沢のホテル
カーテンからさしこむ 朝の光を
忘れてしまいたい
はじめての愛だったから
あなたのことを
忘れてしまいたい
みんなまとめて
今すぐ
思い出すために
夜の「さよなら」は愛と同じ
くらい重たい。
人たちがみな抱き合っている
時間に「さよなら」を言うの
はつらいことである。
だが、そのつらさが二人を
ドラマチックな気分にして
くれるのだ。
「さよなら」の時刻表をつく
ろうかな、と思ってみる。
あなたが今まで「さよなら」を
してきたのは、一日のうちの
どの時間でしたか?
すぐ思い出せますか?
人気のない廊下の厚い絨毯に、
ヒールの音が吸い込まれてゆく。
玉砂利を踏みしめた時の感触が
突如、蘇る。
白い参道。
縁を結ぶのも切るのも人の思惑
の遥か彼方にあるのなら、昨日、
二人が歩いたのは確かに神の元
へ参る道だったと彼女は思う。
そして、私達はすでにその道を
通り抜け、今は新たに別々の道
を行くのだと。
神の道は時空を超え、愛情を超える。
昨日から今日へ。独りぼっちから
大人へ。
四角いパンドラの箱が地上を目指す。
エレベターはノンストップで降りて
ゆく。
硝子越しに見渡す海は万華鏡のよう
に、ひとときも留まることなく刻々
と姿を変えてゆく。
この世のものとも思えない、美しい
過ぎるその景色を眺めながら、彼女
の顔にふと微笑みが浮かんだ。
“男と女の親密度を急速に深めると
いうことは、二人の関係の終わりが
それだけ早くくるということである。
永久に続く恋愛なんてないものはな
いのだからだ。
恋愛には鮮度が必要なのである“
芸の世界も物づくりの世界
も、自分なりの特徴づくり
づくりが肝心だが、それに
は基礎がなくではできない。
まずは、先人の技をいかに
盗むかが基本にあるという
ことだ。
昔から芸の世界においては、
まずは先生を手本にして徹
底的基礎を修め、次に自分
なりの工夫を加えてそれを
打破して己の形を作り、
修行に修行を重ねる中で
自然体になっていくのが
理想形だと言われるが、
これは何事においても言える
ことではないだろうか。
単なる物まねで終わってしま
っては駄目だが、独創性を出す
ためには、まずは「学(まね
る)」「習(反復する)」するこ
とです。
徒然草にも、「狂人の真似とて
大路を走らば即ち狂人なり。
悪人の真似とて人を殺さば
悪人なり、驥(き)(千里を行
く馬)を学ぶ驥の類い。
舜(しゅん)(中国の古代説話)
に見える五亭の一人)を学ぶ
は舜の徒なり、偽りとても賢
というべし」ともある。
まず学習し、次に個性を発揮
することです。