佐久市 ヤナギダ 趣味の店

長野県佐久市野沢93番地
ヤナギダ☎0267-62-0220

君の残してゆきし煙草に火をつけるマッチ売りの少女のように

2023-10-08 12:54:29 | 日記

――――また、会えたね。

あのひとのうしろに隠れる
ようにして、俯(うつむ)き
加減の少年が立っている。

―――驚いた!こんなことって、
あるのね?
―――僕は驚かなかった。全然。

と,あのひとは言う。その時、書棚の
陰から、ひとりの少女が小鹿のよう
に飛び出してきて、わたしの姿に気
づき、はっと姿勢を正す。あのひと
笑顔を向けながら、話しかける。

―――ほら、章子ちゃん。ご挨拶して。
この人が『はるになったら』のお姉さん
だよ。

―――こんにちは、高田章子です。この
子は、弟の登です。
―――ああ、ほんとに、驚いちゃった。
こんなことって、あるのね

―――さっきから、驚いてばかりいる。
そう言って、あのひとは笑う。

―――あなたはどうして、驚かないの?
―――驚かないよ。だって、絶対
会えるってわかってたから。

―――どうして、わかるの、そんなこ
とが、
―――理由なんて、ないよ。ただ、わかっ
ただけ。決まってたんだよ。ここで、
こうしてまた会えるって、最初から
決まってた。

それからあのひとは、わたしの胸
もとに、まっすぐ右手を差し出す。
大きな手のひらだ。わたしは知って
いる。

大きくて、ごつごつしていて、温
かい。

わたしに手紙を書いてくれた手。
電話をかけてくれた手。あの日、
成田で、わたしを抱きしめてくれた
手だ。

そう、これがあのひとの「忘れ物」
だった。

わたしは繰り返す。

強く、強く、もう絶対に離さないと、
自分に言い聞かせながら。


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「考えるリンゴか、使えるリンゴか」

2023-10-08 12:52:33 | 日記

航空・宇宙工学者の糸川英夫 
博士は、著書の中で次のよう 
に語っています。 

「ニュートンは、木からリン 
ゴが落ちるのを見て万有引力 
の法則を発見した。 

リンゴの木は高いものも低い 
ものもあるけれども、木がど 
んどん成長していって、 

何十メートル、いや極端に言 
えば何十キロメートルの高さ 
になってもリンゴは落ちるだ 
ろう。 

では、、月が落ちないのはなぜ 
だろうか?という疑問を持つ 
ことから法則が生まれた。 

一方、ある年、東北地方で 
台風のためにリンゴがみんな 
落っこちたことがある。 

そのとき、農家の人は 
『リンゴが落ちて大損害だ。 
落ちなかったリンゴを使って 
金を儲けよう』と考えて、 

“受験に落ちないリンゴ”と 
して売り出しところバカ受け 
した」 

前者がWHY思考であり、 
後者がHOW思考です。 

リンゴが落ちたときに、「どう 
対処できるか」とあれこれ対処 
療法を編み出せるHOW思考も 
必要だが、 

物事の根本を考えるWHY思考 
の比重を高める必要があると思 
います。


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今日を精一杯に生きる。それが積み重なって未来ができてゆく。

2023-10-08 12:50:44 | 日記

自分の心をなぞらえるように 
表現できる人が少なくなった。 

それは人とつき合う時に、自分 
の内面をさらす必要を多くの人 
が感じなくなったせいだ。 

軽いメール文が行き交う中で、 
彼女に届いた一通の手紙。 
勇気を得た彼女は彼に近づい 
てみようと思った。 

宝石のような手紙をくれた 
彼に対する返事を彼女もまた 
手紙に託した。 

“さっき届いた白い封筒には 
きのうのあなたの心が入って 
いました“ 

二人は一年後に結婚した。 
お互いに人生を幸福に導いた 
のは、彼が心で書いた一通の 
手紙だった。 

 

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「まだ、見ぬ人へのプレゼント」

2023-10-08 11:48:42 | 日記

文房具とか日用雑貨、時計、 
アクセサリー・・・・。 
ピンと来るものを見つけて、 
財布に手を伸ばす自分に 
私はいつもこう言い聞かせ 
ます。 

(これを買うのは、自分の物欲 
を満たすためではない。いつか 
これを自分よりも必要としてい 
る人にあげるだめに買う 

世間ではこういうのを、“自分 
への言い訳“などと呼ぶので 
すが、 
私は半分本気でそう思ってい 
ます。 

TVの“何でも鑑定団”が高 
視聴率なのもウナズケル。 

(コレはいったい誰の手に 
渡ることになるんだろう・・・) 
そんなふうに考えていると、 
出会いがまた違った角度から 
見えてくる。 

その面白さに私はお金を払って 
いるんです。 


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「自分自身の名場面は何だろう」

2023-10-08 11:47:02 | 日記

ヨーロッパの教会に行くと、
かならずキリストの生涯の
名場面集が壁から天井から、
一面に描かれている。

仏教やイスラム教や、どの
宗教の寺院に行っても、教祖
の名場面集はある。

あなた自身の名場面はどこだ
ったろうか。

初めて恋をした時。初めて
恋を告白した時。初めて
恋に破れた時。試合に勝った
時。受験に失敗した時。

旅行した時。もしあなたを
記念した寺院が建てられると
したら、どんな名場面が描か
れるだろうか。

今日、名場面が生まれるかも
しれないと思って、毎日を
生きてみることだ。

そうすると、自分自身の神話が
生まれる。


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私は雑草。心ある雑草。

2023-10-08 11:44:54 | 日記

なぜだか、だんだん彼のことが、
気になるようになった。

友達の店主が言った言葉が気に
なっている。
「家も近所で、独身らしいわよ、あな
たたち、なかなかお似合いじゃない、
おつきあいしてみたら」。
長い間、忘れていたような気分が、
私にわき上がってきた。

はっきりときめくのがわかった。彼が
喫茶店に来る時間が近くなると、落ち
着かなくなる。迷いながら、結局は
店を抜け出していく。

いつものように喫茶店へ入ろうと、
階段の上り口まで来た時、その日は

彼は早く帰るらしく、すれ違う感じ
でお互いに立ち止まった。その時、
彼は実に気軽に、男友達にでも言う
ように、

「あのー、コーヒーもいいけど、
今度お酒でも飲みに行かない?お酒
飲めるでしょ」
と、誘ってきた。

「はあ・・・・」
突然の展開だけれど、彼らしい誘い
方に、なんだか楽しくなって、私は
軽いステップで階段を上った。

     ◇

人見知りに羽根が
はえたように君は
不真面目な笑いを
幾度も笑った

愛するということを
問いつめた心の
奥底にはまだ
消えない面影

目を離すことが
できない

通りすぎようとしている時の
君にさえ僕は
耳を澄ましている

 

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優しさと同じくらいの孤独がある。

2023-10-08 11:43:17 | 日記

自転車を止めて、ちょっとかが 
んで、 
鍵をはずすという「君」の一連の 
動作を見つめながら、そばを通っ 
た。 

その存在を全身で感じながら、け 
れどそんなことは少しも態度に 
表さずに、歩き去った。ほんとう 
は、立ち止まって、彼の視界を 
ほんのわずかでも揺らしたかった 
のに・・・。 

自転車の鍵をはずすのにかかる 
時間の長さ。一瞬というほど短く 
はないけれど、あれこれ考えたり 
勇気をふりしぼったりできるほど 
長くはない。 

「あっ」と思ってから「ああ」と 
心のなかでため息を 
つくまでの、小さなドラマ。 

“午後ひとり自転車の鍵を 
はずしいし 

君の視界に立ち止まれざりき“ 


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