民主党、自民党が原子力発電所の稼動を前提とした政権であった事から、事故調査委員会の調査資料の開示、その調査に基づく、徹底した審議を意図的に怠ってきました。その真意は原子力発電にしがみつく政策から、離れることができないあらです。民主党野田政権は大飯原発を再稼動させいました。この大飯発電所再稼動が問題であることは、地裁判決でも断罪されました。
彼らは、原子力発電が持つ問題を隠蔽し、国民を欺き続けるために、調書の審議、開示を意図的に怠ってきました。そこから導き出される結論を恐れるからです。
<北海道新聞社説>原発事故調書 真相解明を
東京電力福島第1原発事故をめぐり、政府の事故調査・検証委員会が現場の指揮を執った吉田昌郎(まさお)元所長から当時の状況を聴いた「吉田調書」の全容が判明した。
政府事故調が聴取した関係者は約770人に上り、2012年7月にまとめられた報告書に反映されたが、公開はされていない。
吉田調書は、複数の原子炉が炉心溶融する前例のない事態に直面し、決死の収拾作業に当たった責任者の決断や心情を伝える極めて重要な資料だ。
政府は吉田調書を皮切りに、本人の同意の得られたものから順次公表する方針を示した。事故には依然未解明の部分が多く、むしろ遅すぎた決定である。
全面的に公開し、事故原因の究明に役立てなければならない。
吉田氏は、水素爆発などの事故対応で、いたらなかった点を率直に反省している。
一方、政府が東電の第1原発撤退を疑った問題については、撤退を強く否定した。当時の菅直人首相ら首相官邸や本店からの指示が現場への理解を欠き、対応に苦慮したことがうかがえる。
11年3月15日、所員の9割が第2原発に退避したことに関し、一部で「所長命令に反して撤退」と報じられたが、吉田氏は命令違反との認識を示していない。
結果的に、第2原発への退避は正しいとの見解も述べている。
退避の判断は、原発事故をめぐる本質的な問題を突きつけている。第1原発の危機時の対応は事実上、吉田氏を含む所員の使命感に委ねられた形だ。
万一の場合、民間企業である電力会社の社員に、死を賭した業務遂行を命じることが可能だろうか。政府と電力会社は、こうした事態を「想定外」としてきた。
これを不問に付したまま、原発を動かしていいのか。
重大事故は起こり得るとの認識に立てば、緊急時に残留する人員の確保という重大な決断に向き合わなければならない。
吉田調書は、記憶が不確かな点やあいまいな部分も含まれている。他の関係者の証言と突き合わせて詳細に検証する必要がある。
政府事故調だけでなく、政府は国会事故調査委員会が収集した資料の公開も検討するべきだ。これらの記録は公共財であり、海外の関心も高い。二つの事故調は調査の継続を求めていた。事故はいまだ収束せず、原因究明も途上にあることを忘れてはならない。