「将来の技術開発を担保にして処分場を決めるほど、政府と国民の信頼関係はない。閣議決定は問題と言わざるを得ない。」問題の本質、考え方が逆転しています。原発を再稼働したい。原子力発電所で大もうけをしたい。だから、核廃棄物である使用済み燃料の再処理と最終処分場を作りたい。
反対に考えれば、原子力発電を止めれば、使用済み燃料、廃棄物は発生しない。そうすれば、最終処分場も不要ということになります。そうすれば、今まで発生した廃棄物を処理することに課題が限定され、集中できます。そのために政府が最大限の努力を行うこと。地域住民にカネの力で、処分場を迫ることが不当であることは明らかです。
<信濃毎日社説>核ごみ処分地 押し付けになりかねない
沖縄の基地問題のように「唯一の解決策」と、一方的に押し付けるのだろうか。
原発から出る核のごみ、高レベル放射性廃棄物の最終処分地である。政府がきのう、新しい基本方針を閣議決定した。火山や活断層を避けた「科学的有望地」を政府が提示し、受け入れを「申し入れる」という。
これまで自治体の応募に頼っていた処分地の選定は、安全性の懸念から全く進んでいない。
使用済み燃料を再処理した後に残る核のごみは行き場がなく、使用済み燃料も、原発のプールなどに約1万7千トン貯蔵されている。今夏以降、原発の再稼働が進む見通しで、さらに増えていく。
基本方針には、再稼働への理解を得るために、処分地の選定を進めたい政府の思惑が見える。
「国は受け入れ地域の持続的発展を支援する」とも盛り込まれた。多額の補償金や補助金で「有望地」の民意を、受け入れへと誘導する狙いなのだろう。
既に存在している核のごみは、処分しなくてはならない。ただ、その方法を決める前に、やるべきことがある。
安全なエネルギーを求める国民の意向は、はっきりしている。原発をいつまで使い、核のごみの総量が最終的にどの程度になるのか。まずはそれを明確に国民に示し、理解を求めることだ。
東京電力福島第1原発事故で失われた政府と国民の信頼関係は、回復できていない。その上、核のごみがどこまで増えるか分からない状況では、最終処分の議論はできない。
安全性に対する議論を深めることも重要だ。
最終処分では、強い放射線を出す核のごみを地下300メートルより深い地層の岩盤に埋め、数万~10万年にわたり隔離する。
国内の科学者でつくる日本学術会議は、2010年から核のごみ処分について議論し、長期にわたる地層処分の安全性を科学的に判断するには、現状では限界があるとの認識に至った。
4月には、国民的合意ができるまで核のごみを暫定保管することを提言した。
政府の新たな基本方針では、処分場の閉鎖までは廃棄物を搬出可能な状態にして、将来の政策変更や技術開発に応じられるようにするとしている。
将来の技術開発を担保にして処分場を決めるほど、政府と国民の信頼関係はない。閣議決定は問題と言わざるを得ない。
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