核兵器があるから抑止力となり、平和が維持できるとする保有国、また、核兵器の製造、保持を狙う政治家たち。本当に核兵器がそのような武器となっているのかを考えなければなりません。
戦争とは何でもアリ。だから、殺人兵器としての威力を無限大に拡大したい。権力者、軍国主義者はそう考えるのかもしれません。人類史上2発の核兵器投下が広島、長崎に行われました。その惨禍は日本人であればだれでもが知っていることです。また、その日本で2011年三月福島第一原発4基が冷却不能、核燃料の溶融、空中への核物質の飛散が発生しました。
広島、長崎では戦後70年たつ今でも原爆症に苦しむ患者、死者が後を絶ちません。また、福島県では10万人を超える地域住民が避難生活をよぎなくされています。これだけの被害を与える核兵器,核物質を保持し、自国が他国を威圧し、優位に立てるのであればよしとする政治、軍事思想とは人類が共存できるのでしょうか。愚かなことです。
東南アジア諸国連合が紛争を武力によって解決せずに、話し合いによって解決するーーこの理念に基づき、政治経済連携を強めていることはすごいことです。このような現実政治を動かす地域、勢力が世界で多数派となり、主人公となる社会を作らなければと考えます。武力で紛争を解決することができるしたらISの台頭、中東におけるイスラエルとアラブ諸国の対立はなぜ解決しないのでしょうか。
<毎日新聞社説>NPT会議決裂 核軍縮の漂流を憂える
ほぼ1カ月に及んだマラソン会議が実りなく終わった。約190カ国の全会一致を原則とする核拡散防止条約(NPT)再検討会議は合意事項をまとめ切れなかった。5年に1度の会議が決裂し、世界は危険な水域へ漂流しているように見える。実に憂うべきことである。
何かと対立が目立った今回の会議で、決裂の直接的な原因になったのは「イスラエルの核」だった。同国が大量の核爆弾を保有するのは公然の秘密であり、前回の再検討会議では2012年に中東非核化に関する国際会議を開くことで合意した。
ところがイスラエルや米国の反対で会議は開かれず、怒ったアラブ諸国などの抗議を受けて、今回は国連事務総長が来年3月1日までに国際会議を招集することで合意が図られた。これにイスラエルと同盟関係にある米国や英国などが強く反対し、合意が不可能になったわけだ。
イスラエルの核兵器は「150発以上」(カーター元米大統領)とも言われ、同国に対抗して核兵器を持とうとする動きもある。米英がイスラエルの立場のみに配慮するなら不公平感が募り、中東はさらに不安定化しよう。米国はもっと大局的に考えるべきだったのではないか。
今回の会議では核兵器を「持つ国」と「持たざる国」の対立がさらに強まった。NPTは米英仏中露の核兵器保有を認める一方、5カ国に誠実な核軍縮を求めている。だが、条約発効から45年が過ぎても核軍縮の歩みはのろい。「持たざる国」の間で法的枠組み(核兵器禁止条約)を求める声が強まるのも無理はない。
これに対し米国などは「段階的な削減」が最善として禁止条約に反対し、草案に「核兵器の非人道性」を書き込むことにも「持つ国」は抵抗した。前回会議で米国はオバマ大統領が「核兵器のない世界」でノーベル平和賞を受賞したこともあり、草案取りまとめに積極的だったが、今回は及び腰の姿勢が目立った。
また、世界の指導者らに広島、長崎訪問を呼びかけた日本の提案は中国の反対に遭い、広島と長崎の地名削除を含めた大幅修正を余儀なくされた。「唯一の被爆国」の提案に、歴史認識の観点から待ったがかかったことは、今後の核廃絶運動に影響を与えずにはおくまい。
核兵器をめぐる状況は悪化の一途である。NPT脱退を宣言した北朝鮮は核弾頭小型化を実現したと主張し、NPTに参加しないインド、パキスタンの急速な核軍拡も伝えられる。会議の決裂は初めてではないが、NPT加盟国の足並みの乱れは極めて危険だ。核管理体制を立て直すためには、「持つ国」とりわけ米国の自覚と努力が不可欠である。
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