<北海道新聞>
原発から出る「核のごみ」の処分について、政府が22日、閣議決定した新しい基本方針で、道内の市町村が候補地になることはないのか―。専門家から「根釧海岸地域」が処分場の適地とされた釧路市や、かつて関連施設を誘致し現在国内で唯一処分技術の研究が行われている宗谷管内幌延町があるだけに、地元住民は今後の国の動きを注視している。
「地元が合意しない限り処分場は建設できない。国がどんな進め方をしようと、地元の首長がノーと言える環境を住民が守り続ける」。釧路市で昨年4月に発足した市民団体「核のゴミはいらないアクション」の川原智道共同代表(55)は、きっぱりと話した。
釧路市周辺は2012年、一部の火山学者から国内3カ所の処分適地の一つと名指しされた。危機感を抱いた川原さんらは署名などを通じて反対活動を展開している。
一方、幌延町と核のごみの関わりは1980年代にさかのぼる。町は交付金や経済効果を目当てに核のごみの貯蔵施設などを誘致したものの、道や周辺市町村の反対で頓挫した。しかし、その後も町内や別の市町村で誘致の動きはくすぶる。
幌延の地元住民でつくる「核廃棄物施設誘致に反対する道北連絡協議会」の東道(あずまおさむ)代表委員(64)は、基本方針で国が今後示すとした科学的有望地について、「ガスや地下水の多い幌延が選ばれることはあり得ないが、政治的判断で押しつけられる可能性はある」と警戒を崩さない。
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