紛争を武力衝突、戦争で解決しない。そのぎりぎりの調停、話し合いが一定の停戦状態を作り出す可能性が出ています。フランスにけるテロ事件、シリア・イラクにおけるイスラム国のテロ事件などに隠れてウクライナにおける武力衝突は、重大な危機にひんしています。相手が核兵器を大量に保有するロシアであることから、この武力衝突は非常に危険な紛争となっています。
そもそも、この武力衝突はロシアによるクリミア半島、共和国併合をロシア政府が行ったことから引き起こされました。第二次大戦後、中東におけるイスラエル建国、周辺国の武力衝突を除けば、領土の割譲という点で、他に類を見ない武力衝突となっています。核兵器保有国、国連常任理事国ロシアによる領土割譲は、あってはならない侵略行為であり、国連も、国際社会も認めることのできない蛮行です。このようなことを許せば、大国による他国への軍事進攻、領土割譲は何でもアリとなり、第二次大戦後の国際秩序は破壊されることとなります。
この他国による他国の侵略、領土割譲を中止させ、解決するためにも、ウクライナ東部での武力衝突を中止し、停戦を何としても実現しなければなりません。そして、アメリカ・EU対ロシアの代理戦争に発展することを回避しなければなりません。
<北海道新聞社説>ウクライナ停戦 ロシアは合意順守せよ
今度こそ和平を成し遂げなければならない。
ウクライナ東部で戦闘を続けていたウクライナ軍と親ロシア派勢力が、きょうから停戦に入る。
ウクライナとロシア、ドイツ、フランスの4首脳がベラルーシで会談し、共同宣言を発表した。当事者双方も合意文書に署名した。
会談は16時間にも及んだ。不調に終われば紛争は泥沼化するところだっただけに、ドイツ、フランスの仲介努力を評価したい。
両者は昨年9月に停戦合意したが履行手順などで対立、今年に入って戦闘は激化した。紛争開始以来、死者は5千人を超えている。 停戦を確実に実現させることが最優先課題だ。親ロ派を支援しているロシアは合意を順守すべきだ。プーチン大統領の責任は重い。
合意では、重火器を停戦ラインから引き離して緩衝地帯を設け、欧州安保協力機構(OSCE)が停戦を監視する。
懸念されるのは停戦合意の実効性だ。前回の合意でも停戦監視や兵器の撤収などがうたわれたが、親ロ派は戦闘をやめなかった。
ロシアは軍隊をウクライナ東部に展開し、親ロ派への武器供与も行っていると指摘されている。
親ロ派は最近、支配地域を拡大させ、今回の協議では東部に「特別な地位」を認める法律をつくることも決まった。ウクライナのポロシェンコ大統領にとって苦渋の決断だろう。力ずくで有利な状況をつくるロシアの手法は不当だ。親ロ派を通じてウクライナへの影響力確保を狙っているのなら到底認められない。
ロシアが再び不誠実な対応を取れば、欧米は対ロ制裁を強化する構えだ。悪化しているロシア経済にとって、さらに打撃になる。
オバマ米政権はウクライナへの武器供与を検討しているが、実行されれば、米ロの代理戦争の色彩を強めるだけだ。停戦維持に向けてこそ、米国が先頭に立つべきである。
ウクライナ経済は破綻寸前だ。再建のためにも政府は東部住民との融和に努力してもらいたい。
ドイツのメルケル首相は会談後、「幻想は抱いていない。やらなければならないことは、たくさんある」と述べた。多くの課題が横たわっているのは間違いない。国際社会の協力が必要だ。
北方領土交渉を円滑に進めていくにはウクライナ情勢を安定化させる必要がある。日本はロシアに対して、国際秩序を守るよう強く働きかけていくべきだ。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます