“さるかに合戦”  臼蔵 と 蜂助・栗坊 の呟き

震災や原発の情報が少なくなりつつあることを感じながら被災地東北から自分達が思っていることを発信していきます。

JR北海道

2013年09月25日 10時59分16秒 | 臼蔵の呟き

毎週、JR北海道の脱線事故、火災、安全軽視の事案がマスコミで報道がされています。本当に異常事態です。安全第一の公共交通機関が、どうなってしまったのかといいたいくらい深刻な事態になっています。北海道の大手企業といえば、北海道電力(原発を持つ地域独占企業)、JR北海道(国鉄の民営会社)、北連(北海道の農協連合体)、北洋銀行(北海道拓殖銀行に代わって北海道での金融機関一番手)北海道経済、地域に大きな影響を与える企業の代表です。中でも、公共交通機関であるJR北海道は、地域の足として非常に重要な位置にある企業です。北海道には私鉄がないので、都市間、青森県などと結ぶ交通網としてはJR北海道がないと物流、道民が移動できない実態があります。物流では、大型フェリーが発達しているのである程度カバーできますが、道内の都市間はフェリーでは機能しません。

北海道は、札幌圏以外は過疎化が進み、全域の地域商店街が経営的に困難、山間部は限界集落などに悩まされています。札幌から少し離れた石狩市は札幌市に近い地域(ベットタウン)は、札幌市からの移住者で人口が増えていますが、旧石狩地域は廃墟、地域商店街はシャッター通りになっています。したがって、JR北海道のような公共交通機関が機能しなくなる、赤字だから廃止、廃線となるなどは自治体、地域住民にとっては死活問題となるような生活問題です。冬は、積雪で自動車が使えない地域も出てきますので、道内の都市間移動にとって、JRは欠かせない交通手段です。

全国紙も社説で書くくらい深刻な事態です。表面的に現れている問題は、報道されているような問題だと思います。しかし、今までも書いてきたようにことの本質は国鉄を分割、民営化したところまで遡る政治的な問題であると思います。当時の自民党政権(悪名高い中曽根:原発の導入提案者でもある)が国鉄労働者の労働運動を敵視し、弾圧するために、国鉄自体を分割、民営化したことに大きな問題があったのだと思います。その結果、日本の労働運動の中心、機関車的な役割を果たしてきた国労、動労が解体され、労働運動の衰退、労働者の権利剥奪、賃金の抑制、非正規労働者の歯止めのない拡大が構造的に作り出されてきたのだと思います。

マスコミも、政府もそのことには全く触れていません。彼らは、国鉄に使った税金、赤字路線の維持義務がなくなったことで「清々した」と感じているのかも知れません。また、国鉄を分割民営化することで国有資産を売却し、民営化することで企業利益を保証したことになります。東日本、西日本、東海道などは利益を生み出し順風満帆かもしれませんが、そのしわ寄せを地方自治体、住民が受けているわけです。NHKの朝ドラでもそのことが報じられています。東日本の地域でも赤字路線は廃線、地域自治体に移行させ(押し付け)自らは黒字路線のみを保持しました。したがって、多くのJR各社が経営的に黒字化し、株主配当が出来るのは弱者切捨て、地方切捨ての結果として当たり前のことです。

JR北海道の事故が続発するのは、地域分割会社としての営業エリアの狭さ、そのことから来る経営的な困難さが要因と思います。企業経営者に問題があることは確かですが、誰がやっても黒字にはならない鉄道会社だと思います。黒字化するためには、労働者の賃金の切り下げ、人員の削減、過疎地域の路線廃止を行えば、そこそこの損益になるかもしれません。日本航空で稲盛氏がやったことを再現させるのでしょうか。そんなことは経営者としての能力でも何でもありません。その結果、地域の過疎化がさらに進み、限界集落ではなく、人間が住めない地域が急激に増えるはずです。また、道内企業の賃金は抑制され、地域経済はさらに沈滞化すると考えられます。農産物、水産物などの物流にも大きな影響を与えるはずです。食料自給率はさらに低下します。日本から北海道を切り離すような話になります。北方領土問題などどころではなくなります。

<社説>

JR北海道が、補修が必要なレール97カ所を放置していたことが発覚した。うち49カ所は乗客を乗せた客車が走行する本線だった。乗客の命や安全を何と心得ているのか。特定の担当者や部署の怠慢に責任を押しつけるわけにはいかない。JR北海道の組織的な欠陥と見るべきだ。現状では公共交通を担う鉄道事業者としての資格に欠ける。そう指摘せざるを得ない。

 発端は、19日に起きた貨物列車の脱線事故だった。レール幅の補修が放置されていたことを機に、レール異常の点検を20日から始めた。そして保線管理の責任者は21日に記者会見し、脱線現場を含め9カ所のレール補修の放置があったと公表した。ただし、いずれも通過列車の少ない駅構内の副本線だった。その際、「本線は本社と保線現場でダブルチェックしている。新たな点検は必要ない」との見解を示したが、国土交通省の指示で緊急点検して今回の事態が判明した。

 22日になって野島誠社長が会見し、「手が回らず補修を後回しにして失念したようだ」と放置の理由を語ったが、あいまいな説明に終始した。2日連続で釈明に追われた経緯も含め、組織としてあまりにお粗末だ。多くの乗客を日々乗せている責任感や真剣さも伝わってこない。体制の抜本的な改革と、安全意識の徹底が必要だ。

 異なる目でチェックを繰り返すのが、安全を第一とする公共交通機関の鉄則だ。だが、本社と現場との連携が不十分で、鉄則が守られていなかった可能性が高い。また、補修の放置が特定の部署に集中しているとの指摘も出ている。 ならば、何がその原因なのか。マニュアルなどの不備で全社的な統一基準の下で管理がされていなかったのか。チームワークや意思の疎通を含めた組織の風通しに理由がある(その通りです。)のか。徹底的な検証が求められる。

 24日も根室線の普通列車で白煙騒ぎがあった。現在、国交省が特別保安監査に入っている。運輸安全委員会も貨物列車の脱線事故を調査中だ。国交省はこうした作業を通じてJR北海道に徹底的にメスを入れ、解体的な出直しを促すべきだ。

 菅義偉官房長官は24日、「極めて悪質性がある。組織の体質的な問題だ」と述べた。JR会社法で国交相はJR北海道の事業認可権を持ち、社長人事は閣議了解事項になっている。政府も、国交省を通じ安全の徹底に目を光らせるべきだ。

 安全の根幹に関わる今回のケースはJR各社にとってもイメージダウンだ(面子やイメージの問題ではない)。既にJR東日本が技術支援をしているが、グループとして安全を支える方策を検討したらどうか


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