「不公平や格差助長を許す税制の現状から正すべきだ。」
「税とは、所得が多い人ほど多く払うのが大原則だ。それを富の再分配に充てる。だが、富裕層の方が税が軽いのでは、これ以上の矛盾はない。富を築くのに、税で成り立つ社会インフラを利用したことを忘れてもらっては困る。」
「幸運な1%として生まれた人間は、残りの99%の人間のことを考える義務がある」-バフェット氏の言葉。
租税回避地、国が存在すること自身が政治的矛盾であり、問題です。そのような腐敗堕落した地域、国が司法の名をかたって、法的な正当性を主張させること自身を告発しなければなりません。社会的公正、正義を否定するような社会的常識があるのかが問われているのではないかと思います。
<東京新聞社説>腐敗防止会議 1%は99%のために
税逃れの実態を暴露したパナマ文書をきっかけに租税回避対策の議論が盛り上がる。英国での腐敗防止サミットは先進国の責任が重く問われた。不公平や格差助長を許す税制の現状から正すべきだ。
先週、ロンドンで汚職や不正の根絶を目指して開かれた腐敗防止サミットには約四十カ国の政府や国際機関、民間組織が参加した。
英領ケイマン諸島など租税回避地の小国にはペーパー会社の設立者情報を開示するよう求めた。逆に小国側からは英米などが不正対策を進めるべきだとの意見が出たが、こうした大国の強欲資本主義こそが問題の本質である。
パナマ文書で明らかになったのは、欧米の大手銀行や法律事務所が指南役となり、富裕層の資産隠しや不動産、金融商品への投資の手助けをしてきた実態だ。英国では、ベストセラー本の「ハリー・ポッター」映画版に出演したエマ・ワトソンさんが租税回避地を利用し、ロンドン市内の高級住宅を購入していた。スター女優の登場に衝撃も走ったが、ロンドンは今、不動産が高騰し市民の手が届かないバブル状態だ。金融立国を目指す英国が旧領や王室属領の回避地を経由した資金流入を奨励しているためだ。
米国は国外の租税回避地たたきを強めている。だが、国内にデラウェア州などの租税回避地を抱え、大企業の六割以上が本社を置く。明らかに二重基準である。
加えて米国や日本は富裕層への税金が優しい。富裕層の収入は株式の配当や売却益などの金融所得が中心だが、それらにかかる税率は15~20%と低いからだ。中堅サラリーマンの給与にかかる所得税の税率と同じ程度なのだ。
米国の著名投資家にして篤志家のウォーレン・バフェット氏が「自分にかかる税率が秘書の所得税率より低いのはおかしい」と二〇一一年に富裕層増税を主張したのは有名だ。オバマ大統領は富裕層の最低税率を30%にする「バフェット・ルール」を提案したが富裕層支持が多い共和党の反発で実現していない。
税とは、所得が多い人ほど多く払うのが大原則だ。それを富の再分配に充てる。だが、富裕層の方が税が軽いのでは、これ以上の矛盾はない。富を築くのに、税で成り立つ社会インフラを利用したことを忘れてもらっては困る。
「幸運な1%として生まれた人間は、残りの99%の人間のことを考える義務がある」-バフェット氏の言葉をかみしめてほしい。
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