貧困大国アメリカという本があります。著者は堤未果さん、岩波書店から出版されています。其の本を読んでいて感じたこと。
オバマ大統領は民主党出身の大統領、黒人ということもあり、アメリカの歴史を変える、変えた大統領。だから、彼が提起している主要政策は、民主的な少しは民主的な政策かと思いきや、そんなことはない。そのことが企業代表者である日本経済新聞が「話題となっている医療保険改革法案」の実態について論評することはとても興味があります。オバマ、ロムニーともにアメリカ大手企業、多国籍企業の巨額の献金を受けており、たいした差はない。そういわれれば、そうか?と思えないではないのですが。そのくらい、アメリカ政権、アメリカ民主党、共和党議員は金の力で買収され、がんじがらめにされているのだと。そのことが、この本の中に詳しく書かれています。
その中で、特に、考えてしまったことがあります。それは、安倍、自民党議員、民主党の隠れ自民党員のような議員が主張する農業の効率化、大規模化、輸出できる農業、農業への企業の進出などです。堤さんの本の1、2章に出てくるのはアメリカ農業の大規模化の過程で何が起きているのか。そして、その農業従事者、小規模一次産業を支配する巨大資本、企業、それらを買い叩くウオルマート(年商50兆円弱)、巨大小売業などの実態が書かれています。その中で、従来の牧歌的なアメリカ農業者、酪農家、養鶏家などは壊滅し、コストダウン、大規模化、安心安全業務の軽視、無視、下請け企業の買い叩きなどの実態が紹介されています。
今回の安倍、自民党政権がいう「食べる農業ではなく、稼げる農業」「輸出する農業、国際競争力のある農業」「農業、漁業への企業進出の容認」は何をモデルとしているのか。また、その結果、何が日本経済、農業にもたらされるのかを考えました。
一つ目に、安倍、自民党政権が自分の頭で考えたことではないことは分かります。では、誰が、何をモデルとして彼らに進言しているかです。今までの事例で見れば、あきらかにそれはアメリカの事例であり、アメリカかぶれした御用経済学者ということになります。そうであれば、彼らが提起していることを日本で実行すれば、アメリカ型の農業、酪農に行き着くはずです。
二つ目は、企業の一次産業への参入、経済特区などで風穴を開けようとしていることの意味です。このことは、アメリカ型農業、酪農支配に行き着くことは容易に想像できます。そのための制度上の変更(法律の変更)が必要です。また、複雑に入り組む権利などを調整するために国、県、市町村の役割を区分し、一気に従来のしきたりを破壊し、新規参入を進める可能性があります。その錦の御旗がーー農業の活性化、後継者対策、輸出できる大規模農業の創設などが考えられます。実際に、参入する企業経営者(仮想:自分を)として考えれば非常によく分かります。まず、農地を企業が大規模に集約化する。そのために現在の法律上の規制を解除する=参入をさせる。その上で、資本(自前資金と金融資本)を大規模に投入する。そのときに、既存農業従事者、酪農家を雇用する。その雇用に当たってはその賃金を出来る限りやすく設定する。その理由は現在も、将来もこのままでは生活が成り立たないので、賃金労働者として開放することが農業従事者を救うことにもなるではないか。(企業側の言い分、それを政治が後押しする)稲作に限れば、種子は遺伝子組み換え種子を使い、雑草はモンサントなどの除草剤を大量に投与する。地力が衰えるのを補うために化学肥料を大量に投入する。種まき、刈り取りはすべて機械化する。田んぼの仕切りは取り外す。これらを手始めに行います。そのことで現在の米の価格は10キロ3000円前後の販売価格ですが、その○○%の安さを実現します。その結果、中小零細農家は悲鳴を上げて、農作をやめるか、彼ら企業の労働者にならざるを得ません。これらができれば10年以内に日本農業は5社以内の企業にすべて集約化されると思います。輸出価格、輸出米と国内販売米の2つに大きく分かれると思います。
いままのままでは、ほうっておいても過疎化が進行し、耕作放棄地が増えることは目に見えているからです。消費者は安い米が買えるので歓迎します。その後に来ること、農業従事者の生活などは関心もありませんし、自らの低収入、生活苦から見れば農業従事者のことを思う、考えるなどは余裕がありません。
以上が架空の話です。
このくらいのことはすぐに日本でも起こりそうなことです。自分は、大量生産、大量消費、安ければよいとする消費態度を改めることが必要と思います。生産者が再生産できる購入価格(適正価格)を実現しようと生産者、消費者が連帯して運動することが必要です。もう1つは農漁業への企業進出を許さないことが必要です。規制緩和とは弱者、中小零細企業の切捨てと同じことです。大企業が支配し、地域を荒廃させ、労働者を使い捨てするような産業が中心、増加すれば、本当に日本はアメリカより悪い国になります。アメリカはそれでも自給自足ができる国ですが、日本はそうは行きません。
<アメリカの予算不成立と政府機関閉鎖>
■オバマケアは保守的改革
まず「患者保護並びに医療費負担適正化法(ACA、通称オバマケア)」は、反対者が言うようなものではまったくない。現実には、既存の市場主義にもとづく米国の医療保険システムに比較的控えめな改革を加えただけだ。共和党の政治家もよく分かっているように、オバマケアの仕組みは、ワシントンDCに本拠を置く保守派の有力ロビー団体、ヘリテージ財団の1993年の報告書からそのまま借用したものだ。今日、ヘリテージ財団はACA批判の急先鋒(せんぽう)となっている。
また、これも共和党の政治家ならよく分かっていることだが、ACAは2012年の大統領選で共和党の候補者となったミット・ロムニー氏がマサチューセッツ知事時代に実行した医療制度改革より、さらに保守的だ。オバマケアで提供される医療保険は、補助金の対象となるものとそうでないものを含めて、すべて民間の保険会社が提供する。パブリック・オプション(公的保険)は存在しない。本質的にACAは、保守的改革の勝利なのである。
共和党がACAに反発している原因は、それによって米国政府が肥大化するためだと思われがちだが、それも正しくない。米国の医療保険の半分以上は、既に米国政府が直接提供している。高齢者向けのメディケア、貧困層向けのメディケイド、そして米軍に在籍した経験がある人すべてを対象とする退役軍人向けの給付だ。
このように米国の医療制度の半分以上は、本質的にカナダや英国の国民健康保険と変わらない。だが共和党にはこうした制度を廃止する意向は一切ない。2010年にACAが可決されたとき、オバマ大統領がメディケイドの対象を単純に65歳以下の全国民に広げなかったことに、大統領支持者の多くが失望した。
オバマケアはその代わりに、既存の民間保険制度により多くの国民が加入できるように補助金を出す予定だ。その結果、米国にいる4800万人の無保険者の多くが保険に入れることを期待したい。だが共和党が大きな政府を恐れているのであれば、医療保険制度を攻撃対象に選ぶのは間違いだ。
最後に、オバマケアを阻止しようという共和党の試みは、政治的メリット(少なくとも支持率を高めるという一般的な意味において)をもたらさないだろう。ACAは比較的不人気で、支持しない国民は多い。だが国民の大多数は、オバマケア関連予算の打ち切りと米国の債務上限引き上げ問題を結びつけるという共和党の試みを支持していない。
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