子供心を忘れてしまった大人

広島の中3の子が、やってもいない万引きの濡れ衣を着せられて自殺してしまった事件がありましたね。

なんで「やってない」と言えないのか、と言う大人は、彼がまだ15歳の子供に過ぎないということを忘れていませんか？

そりゃ大人だったら、自己主張できるでしょう。

子供だと、やってませんって言えないこともあります。

15歳ではっきりと自己主張できる子の方が少ないと思います。

優等生やおとなしいタイプの子供だった人なら、わかると思うんだけどなぁ。

私の妹は、中学生の頃盗みの濡れ衣を着せられ、先生に問い詰められたとき、言葉が詰まってなかなか出てこなかったと言っていました。

そしてそのまま犯人にされてしまうことは少なくないです。

幸い疑いは晴れたらしいですが……。

私も、そういうことあります。

しかも高3ですよ！

当時は一部のアホな生徒によるジャージ泥棒が流行っていました。

忘れたか何だかで自分のジャージを持って来なかった生徒が、ロッカーに入っている他の生徒のジャージを勝手に持って行ってしまうのです。

私はある日、きちんとロッカーにジャージを入れていた……はずでした。

授業が始まるので、先生が入ってきました。

黒板の下に、チョークの粉まみれになった真っ白のジャージを発見してつまみ上げました。

「こまち、って書いてありますよ」

私は、信じられなくて心臓がドクンと鳴りました。

血の気が引きました。

教壇まで歩いてジャージを受け取りましたが、意味がわからないし、ジャージ泥棒の仕業だと後から気付いたので、自分そんなだらしないことしてない！と屈辱でいっぱいで

「あ…あ…」

ってなりました。

言葉が出てこないのですよ。

こういう経験、ないですか？

18で何も言えなかったのに、15なんてなおさら。

いや、言えるだろ！って迷いもなく言える人は、それはあなたが大人だからです。

今なら私も言えますよ。

「え、私ジャージをロッカーに入れておきましたけど、勝手に取り出して粉まみれにしたの誰ですか？

使ったら洗濯して、ありがとうって手渡しするのが筋でしょ！

その前に許可取ってよ！

こんなことした人は同じことされて平気なのか！？」

って。

当時の屈辱は今もはっきりと覚えています。

なんであの場で何も言えなかったのだろう、と考えることもあります。

こういう事件に巻き込まれたことのない大人はわからないのかな？
　　
だったら、想像力を働かせて下さい。

子供の世界は狭いから何とかなる、大丈夫だろう、で片付けないで。

狭いかもしれないけれどその世界が彼らにとってはすべてで、必死にもがいているのです。

日本ってどんどん生きづらくなっていると思います。

今の大人たちの子供時代より、大変な時代です。

時代はどんどん変わっていっています。