3ヶ月振りに東日本大震災の被災地宮城県に入った。津波被害としては最大の被災県である。農林水産省が衛星写真などを基に分析した津波で海水につかった農地は、青森県79ha、岩手県1838ha、宮城県1万5002ha、福島県5923haと宮城県の被害面積が圧倒的に多く宮城県農地の11%にも及ぶ。海水とヘドロをかぶった農地の復旧はなかなか厄介だ。3ヶ月前の名取市周辺は大きなガレキで埋め尽くされていたが、重機で取り除けるものは一部を除いて、おおむね片付いていた。細かいゴミ類は手作業で拾っている。その農家の姿が痛々しく農業と自然との闘いは、今始まった事ではないが用排施設の破壊も併せて、農業再建は厳しい道のりだ。
広大な農地には雑草が茂っていた。種のこぼれる前にと除草剤が散布され、雑草は赤茶色になり痛々しい。海水に浸かった農地は当然塩分が残る。海水の塩分濃度はおよそ3%。農地の塩分濃度が0.4%を超えると稲の生育には確実に障害が出る事が分かっている。0.1%程度でもなんらかの障害はあるだろうと言われているが、名取市の視察地点の圃場は約0.3%位で、ヘドロの堆積が2㎝位と説明があった。ヘドロを取り除いて除塩作業が農地復活には欠かせない。除塩作業は水で洗い流す方法を繰り返す必要があるが、揚水機や用水路の復旧が先になる。ヘドロ除去も大変だ。面積が広大である事も含め、農業再建は厳しい前途だ。
山形県職員8人が災害派遣で、その再建にあたっている。取りあえずは来年の3月までとのこと。水産業も含めて津波の恐ろしさは、まだ癒えていない。