国道47号線沿いに流れる最上川の庄内・内陸の境界あたりに「最上川さみだれ大堰」がある。これは最上川の安定した水位を維持し農業用水の安定供給のため国営事業として平成元年に着工し、平成7年に完成したものである。
ゲートは国内最大級のラバーダムで、全長209.5mの水門はゴムで出来ている。空気の注入で起伏を調整しダムの高さをコントロールして一定の水位を保つ仕組みである。ダムが最高位の時でも魚が通れるよう魚道が両岸にあり、水中の魚が見れる施設もある。
庄内平野に約3万9千ヘクタールの水田がある。米の主産地として国民の食糧を支えた歴史がある。特に、夏の「ヤマセ」は無く、安定した食糧供給基地として貴重な存在であった。しかし、河川がぜい弱で水不足が常で水争いが絶えなかった。
そこで政治が動いた。最上川の安定した水資源の活用である。昭和40年代に国営最上川下流右岸事業などで最上川から直接取水する基幹的な施設が整備さた。草薙頭首工から水利トンネルを通って最上川右岸6千haに水が供給され水争いは消えた。
しかし、昭和48年、59年、60年の渇水で水位が下がり最上川を仮締切堤で急場をしのいだことから「最上川さみだれ大堰」が造られる原点となった。
この歴史に触れる度に、政治の原点を知る気持ちになる。