Nonsection Radical

撮影と本の空間

不具合の具合

2011年05月13日 | Weblog
自分でも品質管理をしているので日々不具合との出会いと対策、別れ(笑)に心乱されているのですが、原発の事故情報を見ていると、専門分野は違ってはいるけれど、不具合に対する対策について、常に顧客にクレームをつけられている身として、多少考える事もあるのですよ。
不具合というのは起きてから対策を考えるのですけど、起きた状況、原因、対策と考えていき、次から不具合を発生させないように「机上の空論」を述べるのが不具合対策であります。
対策を立てるために原因を突き止めて、どのような状況で起きたかを推測し、対策を立てるのですけど、まず状況判断をしっかりしないとダメなわけです。
調べるにつれて、非常にまずい状況が見えて来たりする事の多いのですけど、そういう場合に最初にそれを隠してごまかそうとすると、結局あとでバレてしまい大変そのあとにイイワケに困ってしまう事が多々あるのです。
だから最初から隠し事はしないで、最終的な建設的提案でなんとか挽回してしまおうとすることが、途中かなり批判を浴びても「逃げおせる」(笑)正しい方法だと思うのです。
そういう点で、今回の事故の報道を見ていると、どうも対応がうまくない。
最初に事故を小さく見せようとするあまり、次から次へと出てくる不具合情報に、最初に言ったのは何だったの?と、いつまでたっても対策が見えてこない堂々巡りが起こっている。
たぶん事故が起きた時には、状況も原因も対策もわかっているはずなんですね。
そういうことは、だいたい何でもわかるのです。
わかるから簡単というわけではない。
困難な状況だとわかれば、ついそれを曖昧にしたくなるのです。
曖昧にするのとウソを言うのとは違います。
ウソは言いません。
ウソは言いませんが、本当の事は曖昧にするのですね。
なぜなら曖昧にしないと、今まで言って来た事がウソだと、あるいはいい加減な事だとバレてしまうからです。
原発事故で言えば、これまで反対派が言っているような事は起こりもしないし、たとえ起きたとしても何重にも保護された安全装備によって事故は回避され、圧力容器が壊れるとか、格納容器が壊れるとかして放射性物質が外部にまき散らされる事など起きるはずもないのだと、説明してきたわけです。
ところが地震がきたら、実は反対派が言っていた通りになってしまった。
それは現場にいればすぐにわかるわけです。
言った通りになったのなら、反対派の言うように原発を廃止しなければならない。
それをなんとか阻止したいと思ったところから、不具合対策の失敗が始まったのですね。
事故当初から、反対派の人たちが言った通りに事態は進行し、対策も言った通りにするしかなかった。
でも、その通りにしてしまうと、思うつぼですから、しない。(苦笑)
でも、最終的には言った通りの事をしている。
だいたい事故対応策など誰でも考える事は同じなんですから。
効果のある方法となるとましてや同じになる。
ただしあくまでも費用対効果が問題になる。
コストに合わない対策を提案してもダメなんです。
それじゃあ最初からやらない方がイイ。
アメリカの言うような半径80キロ圏内退避などすれば、住民は安全であったかもしれないが、あとから面倒な事になる恐れもある。
それより放射能は目に見えないので、あとの祭りにしてしまえば、証拠は残らない。
そういうわけで、初期の放射線値などわかりませんね。
だから住民は何ともしようがない。
これはウソを言ったわけでなく、曖昧にした結果でしょう。
そうやって、今後もどんどん都合の悪い事は曖昧にして、ウヤムヤにしていこうとするでしょう。
そういうものです、不具合対策とは。
ましてや東北の人は人がイイ(笑)。
都会でアレコレ言うヤツはアカだし(苦笑)。
そんなふうに不具合対策はすすんでいるんだなあと思っているのですが、まあ同業としては(苦笑)、不具合の具合がホントは知りたいのですよね。
コメント (3)
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