Dr.keiの研究室2-Contemplation of the B.L.U.E-

ラーメン店が倒産しないために、今できることは何か?!

今日ですが、、、

「今、ラーメン店の倒産が急増している」、というニュースが出ました。

今、このニュースが話題になっています。


2024年ラーメン店倒産が72件で過去最多を大幅更新 豚肉・背脂など原材料費高騰も価格転嫁が進まない状況続く

去年1年間で「ラーメン店」の倒産が急増し、過去最多を更新したことが分かりました。

帝国データバンクの調べによりますと、去年1年間に倒産した「ラーメン店」は(負債1000万円以上かつ法的整理)72件で、前の年の53件と比べて3割以上(19件)も急増し、過去最多を大幅に更新しました。

倒産の主な原因は、豚肉や背脂、麺やのりなど幅広い品目で原材料費が高騰したことで、去年10月までの原材料の平均価格は1割以上増加したということです。

一方、ラーメンの価格は全国平均で700円を下回り価格転嫁が進んでいるとは言えない状況が続いていて、帝国データバンクは「1杯あたり1000円を超えると客足が遠のくといわれるほど『適正価格』の形成が難しい」と指摘しています。その上で、「コストの増加分を価格に転嫁できない中小店を中心に、2025年も倒産増加のトレンドが続く可能性がある」と分析しています。

引用元はこちら


ラーメンを愛する人間としては、この記事は見過ごせないなと思いました。

この数年、ありとあらゆる「物価」が上がり、また「円安」も進み、本当になにもかもが高くなっています。

これまでと同じようなやり方では、どうにもならない、ということがあちこちで起こっています。

この記事は、きっと「ラーメン」という分かりやすいテーマなので、書いたものだと思います。

ラーメン店に限らず、飲食店全体がかなり厳しい状況に立たされていると思います。

でも、それを踏まえても、きっと「ラーメン店の倒産・廃業」はかなり突出しているんだとも思います。

そこで、僕なりの提案というか、提言を示しておきたいと思います。

この提案は、突如思いついたものではなく、数年前から折に触れて言ってきたことです。

このままでは、本当に(僕にとって大切な)ラーメン屋さんがなくなってしまう。

それだけはやっぱり嫌だ、、、

ラーメン屋さんにはちゃんと儲けてもらいたいし、ラーメンを出し続けてもらいたい。

その一心で、書いてみます。


提案➀クオリティーダウン

まず、スープのクオリティーを下げる前提で動くことです。

端的に言えば、90年代頃のクオリティーに戻すことです。

これまで、この30年くらい、ずっと「原材料」を増やし続けてきました。

乱暴に言えば、どんどん入れる材料を増やし続けた結果が「今」だと思います。

濃厚系やG系みたいに、度を超えたスープを作るお店が増え過ぎました。

「没落先進国」となった日本は、これまでと同じような生活水準にはもう戻りません。まず、これを認めることだと思います。

そして、材料をできるだけ使わないこと、つまり、可能な限りコストカットすることが早急に求められます。

提案➁使える安価の調味料はどんどん使う

化学調味料を含め、使える調味料はどんどん使うことです。

化学調味料を悪く言っていた時代もありましたが、それはもう通じないと思った方がよいと思います。

化学調味料はガンガン使っていいんです(これは昔からの僕の提案です)。

「安くて美味しい」の代名詞がラーメンでしたが、そのラーメンを支えてきたのが化学調味料です。

ざっくり言えば、そんなに出汁感の強くないスープでも、化学調味料をどっと入れれば、そこそこ美味しくなります。

煮干しや昆布や鰹節や鯖節の量は可能な限り減らして、そして、塩や胡椒や唐辛子や化学調味料で味を強くする。

化学調味料の価格も上がってはいますが、天然素材(天然出汁)ほどは上昇していない(と思われます)。

スープの出汁感が弱まっても、味が濃ければ、そこそこ食べられるものです(その「そこそこ」でもういいんです)。

提案➂廃材を探せ

どんな時代にあっても、「廃材」はあります。

なので、廃棄される食材を見つけ、確保することが重要となります。

(ホルモンの語源は「放る(捨てる)もん」から来ているという話に重なります)

ラーメンはもともと「廃材」、つまり「不要なもの」を使って作る食べ物でした。

今の時代においても、「捨てられるもの」「放られるもの」はあるはずなんです。

その捨てられるものを独自に見つけて、それを調達すれば、コストカットも可能となります。

戦後間もない頃、日本が戦後の混乱期に「ラーメン」が広まっていったことを思い出したいところです。

ラーメンは、戦後、焼け野原で、とても貧しい時代に輝き始めた食べ物だ、という原点に立ち返るべきだと僕は思います。

ありとあらゆるものの物価が上がる中でも、その上昇が激しい食材と、そうでない食材は必ずあると思います。

いかに人が見向きしない食材を見つけ、それを確保するか。

それもまた、これからのラーメン店に求められることではないでしょうか?!

提案➃油+塩+化調

あえて、言い切りたいと思います。

そこそこの油分と、それなりのしょっぱさと、化学調味料の旨さがあれば、それだけで「うまいラーメン」になるんです。

古いラーメン屋さん(昭和時代のラーメンを出すお店)の寸胴を見ると、ホントにすかすかというとあれですけど、わりと(かなり)みすぼらしい感じになっていたりします。

大きめの寸胴の中に、鶏ガラがわずかにしか入っていない、というスープストックだってあります。

それがダメ、なんじゃなくて、それでいいじゃん、ってことなんです。

この数年、たとえば「家系ラーメン」なんかがYouTUbeに登場して、とんでもないガラの量を寸胴に入れる風景がつぎつぎにアップされています。ああいうラーメンがあることを否定はしませんが、これからの時代、あれが未来永劫続くとは思えません。

ラーメンは薄利多売の商売ですし、もともとは屋台文化でもありました。

言い方はあれですが、貧しい時代の貧しい料理の一つだったはずなんです。

その時代(昭和20年~30年代)に、人々がラーメン(中華そば、支那そば、南京そば)にハマったのは、安くて、そして、そこそこファットで、それなりにしょっぱくて、味が強かったからだったと思われます。

なので、「塩」と「油(脂)」と「化学調味料」をうまく駆使することが求められているように思います。

提案➄質素、簡素、遊び心

僕は、権威のあるラーメン本の受賞店にはそんなに興味がありません。

ミシュラン掲載店だということに、1mmの価値も感じていません。

(フランス人が食通だという迷信も全く信じていません)

そんな敷居の高いお店のラーメンなんて、ぶっちゃけなくていいんです(というと怒られそうですが…💦)。

古びた老舗の無名の食堂の、なんてことない昔ながらの中華そばで、感動できる体質というかなんというか。

そんな古びた昔ながらの中華そばであっても、「これはすごい!」というラーメンに出会えたりもするんです。

そういうお店のラーメンを(たぶんどのフリークさんやラヲタさんより)食べている身からすると、「もっと質素で簡素で、でも、どこか遊び心のあるラーメン」を作ることはまだまだできるでしょう?!って言いたいんです。

そういうラーメンを作る技術もまた、あるはずなんです。

遊び心については、100%無料ですからね👆

遊び心は、想像力、創造力、既成概念にとらわれない自由な心、であります。

家系や二郎系といった「飽食時代に生まれた、度を超えたいきすぎたラーメン」の時代は、もう終わりなんです。

もう日本は、豊かな国でもリッチな国でも贅沢な国でもないんです。

精神的なだけでなく、物質的にも貧しい国に成り下がっていっているんです。

それを回避する術はもうなくて、「もう時すでに遅し」なんです。政治的にも経済的にも文化的にも、どこをどうとっても、もうすべてが「手遅れ」なんです。沈没寸前の国、ではなく、沈没した国なんです。

でも、それは絶望ではないんです。

むしろ、坂口安吾さんの『堕落論』ではないですが、落ちるところまで落ちて、そして、這い上がろう、という精神なんです。

「人間は生き、人間は堕ちる。そのこと以外の中に人間を救う便利な近道はない」(堕落論より)

ラーメンも、2020年くらいまで上り調子でした。

ずっと発展してきました。

でも、日本という国の衰退と合わせるかたちで、ラーメンも堕ちるんです。

これまで生きてきたラーメンは、もう不可能なんです。

この認識から再出発することを、僕らはやっていかなければならないんです。

***

と、思ったままに、つれづれなるままに語ってみました。

きっと一部のラーメン店主さんやラヲタさんたちには、「なんだ、その暴論は?!」って思われるだろうなと思います。

僕だってもちろん、超こだわりの、高級食材をふんだんに使ったラーメン、好きですよ(食べに行くかどうかは別にして)。

大量の煮干しや鰹節を投入したラーメンに感動だってします。

でも、、、

そういう考え方が、今を生きるラーメン店主さんたちを苦しめているんじゃないか?って思うんです。

言い方はまたまたあれですけど、「たかがラーメン」なんです(もちろん次に「されどラーメン」が来ますよ)。

たかがラーメンなのだから、そんなにカッコつけなくていいんです。

90年代後半から2010年代までは、カッコつけることができる業界ではありました。

でも、それも今は昔のこと。

2020年代、日本がどんどん没落していく中、10年代と同じことをやろうと思っても無理があるんです。

食料自給力も恐ろしく低く、輸入に頼るしかなく、国内の競争力も堕ちまくり、少子高齢化がますます加速し、人々の健全な活力も消えてなくなり、資源という資源もない、どうにもこうにもならない「朽ち果てた国」で、贅沢なラーメンなんて、もう無理な話、ムリゲーなんです。

一部で大成功したお店が売り上げを伸ばす一方で、日々、苦しみあえぐ無数のお店が存在しているんですね。

そういうお店を応援したい、それが僕のホンネのホンネです。

倒産しないために、廃業にしないために、今やれることをどんどんやっていってほしいと願います。

上の提案は、ある種の「極論」ではあります。

一番大事なのは、「これまでの常識を捨てて、自分の頭で考えて、実行する」ということです。

2年前の常識は、今の非常識なんです。

今の非常識は、未来の常識にもなるんです。

人間の文化や文明というのは、そうやって「進化」し続けてきたんだと思います。

激しく社会環境が変化する中、一番その変化に適用できたお店だけが生き残っていく、というのもまた真実だと思います。

 

僕も引き続き、ラーメン店を応援し続けていきたいと思います。

すべてのラーメン店に愛を込めて。

PS

この記事の一番上の写真は、僕が家で作ったラーメンです。

安い鶏肉と玉ねぎとネギと生卵のみ。

スープは市販のもので、麺も市販のもの。

それでも、結構美味しそうに見えません?!

これに油を足して、塩分強めて、化学調味料を加えると、かなりジャンクで中毒性のある味に変わるんですよ👆

コメント一覧

sehensucht
>Unknown さんへ
>興味深く拝読させて頂きました。... への返信

Unknownさん

コメントありがとうございます! たしかに、このところ、濃厚系をやめて、竹岡系やブラック系に転向?するお店もちらほらありますね。

やむを得ない理由かもしれませんが、そこは、チャンスと捉えたいなと思います。お店ひとつひとつが、「どうしたら、今の時代にベストなラーメンがつくれるか」を考え、そして、実行していく。たぶん、戦後間もない頃の店主さんは、いっぱい考えたと思うんです。今よりもずっとはるかに貧しい時代に、「どうしたら、いいんだろう」って、あれこれ考えたり、人に聞いたりして、屋台や闇市でラーメンを作っていたんだと思います。(そこにラーメンの本質もあるんじゃないかなって)

意識の高い高級志向のラーメン屋さんはこれからも残り続けるでしょうね。飯田商店やFeeLのようなお店には、いまでも人が殺到していますからね。それを目指すのも自由だと思います。

ただ、「もうどうにもならない」「売り上げがでない」「店をやっていけない」と苦しんでいるお店は、一度、ラーメンの歴史の原点に立ち返ってもいいのでは?、と思うのです。そういう意味で、「昭和並のシンプル(そうは見えないよう具材や油などで個性を演出w)な店」という表現はすごく素敵だと思います!!

大事なのは、いつの時代も、お店の近所の人が「またあのお店のラーメン、食いに行くかー」って気軽に思ってくれることだと思うんですよね。
Unknown
興味深く拝読させて頂きました。
濃厚だったりこだわりだったりの個性的なお店が、竹岡式醤油ラーメンへ転換している事例がいくつも出てきていますね。
積極的な選択の結果の転換ではなく、追い込まれてしまってのことだとしたら、やはり悲しい…。

これからはインバウンド向けの高級志向(外国人観光客にとっては普通…?)なお店と、昭和並のシンプル(そうは見えないよう具材や油などで個性を演出w)な店に二極化でしょうかね?
sehensucht
>shilul さんへ
>こんにちは。ラーメンへの熱い思いをとても興味深く読ませて頂きました。昨今の物価高... への返信

shilulさん

コメントありがとうございます。そうですね。個人店の店主さんをホントに応援したいですね。

資本がある企業しか生き残れないなんて、そんなの「ラーメン」じゃないよなって、今、思いました。

もともとは、闇市や屋台から始まったのが、ラーメン文化だったりします。そこを守ることも大事な気がします。
shilul
こんにちは。ラーメンへの熱い思いをとても興味深く読ませて頂きました。昨今の物価高騰で、ラーメン企業しか生き残れ無い状態になるのではないかと、私も危惧しました。
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