Dr.keiの研究室2-Contemplation of the B.L.U.E-

沈黙することと逃げること。

(スケッチのみ)

最近、すごく苦しい事件があった。胸がムカムカする事件だ。

特急電車での女性暴行事件

この事件の内容を読んで、すごく気持ちが悪くなった。何もしなかった乗客が悪いとかそういう次元の問題じゃなくて。。。

≪自分だったら、状況を読み取れたか≫
≪自分がそこにいたら、女性の身の危険に気付けたか?≫
≪もし気づいた時、どういう行動が起こせたか?≫

多分、明らかに≪暴行≫が確認できたならば、何かしらするだろう。後ろから突っ込むなり、他の乗客の人と一緒に取り押さえにいったり、車掌さんを呼んで捕まえたり。。。だけど、もし特急の中で、このやり取りがこっそり行われていて、ただ二人の男女が通り過ぎただけだったとしたら・・・

多分、【ああ、なんかのカップルが痴話ゲンカでもしたんだろーな】くらいにしか思わないんじゃないかって思うのだ。男の威圧的な態度にびびりながら、泣きながらついていく女性っていうのは、街で何度も見ている。それに、いちいち干渉したりはしない。。。(明らかに異常があったら、そりゃ何らかの介入はするけど)

自分だったら、気付けたか。。このことばかりがアタマのなかでまわっていた。

あと、自分だったらどうするか。

かつて、ボクも何度か数人の怖そうな人たちに囲まれたことがある。地元でのこと。16歳くらいのときかな。そのとき、その連中は10人くらいはいたかな。真夜中。誰もいない。要求は、「有り金全部出せ」、と。財布の中には、たしか3万円くらい入っていた。バイトで稼いだ貴重なお金だ。あげるわけにはいかない。

そこでボクは、どうやってこの場を去るか、ということを考えた。どう考えても、10人相手に1人で立ち向かう度胸なんてない。たとえ対抗したとしても、すぐにボコボコにやられるだけだろう。

ボクは、その時に、わずかな逃げ道があることに気付いた。一人明らかに弱そうなやつがいた。そいつを突破できたら、逃げられる、そう考えた。で、ボクは飛び掛るようにそいつをめがけて突進した。予想通り、そいつはびびって右側によけた。そして、10人の壁を越えて、逃げに逃げた。・・その10人組は結局ボクを追うことはなく、無事難を逃れることができた。

今回の事件で、被害にあった女性にどうこう言うつもりもなければ、客が悪い!というつもりもない。ただ、どこかに逃げ道、逃れるタイミングはあったのではないか、と思うのだ。特急の通路だったら、二人が並んで歩くことはできないはず。もし犯人が前にいたら、後ろに逃げ出せばいい。そして、叫べばいい。また、もし犯人が後ろにいるなら、猛烈に前にダッシュすればいい。ナイフをつけつけられていたらどうする??もしそうだとしたら、他の人間がその異常さに気付くであろう。

思うに、その女性が恐怖のあまりに凍り付いてしまったと思うのだ。おそらく、相当怖そうな人間だったんだと思う。20歳くらいの女性にとっては、鬼以上の怖さ・恐怖があったことだろう。身体は震え、心臓はドキドキして、身ぶるいし、身の毛のよだつ瞬間であったことだろう。よほどケンカなれしていない限り(あるいは格闘技などでもやっていない限り)、男性でも怖いと思う。

その時、どうするか。恐怖に打ちのめされて相手の要求に黙って従うか、相手の要求を何らかの仕方で拒否し、逃げるか、どちらかであろう。相手に飛び掛ることも可能だが、相手が明らかに自分より強い相手だとどうにもこうにもならないだろう。とすると、沈黙し泣き寝入りするか、逃げるかのどちらかしかない。

絶対的に強い相手ににらまれた時、どのようにして自分の身を守るか。

一番陥ってはいけないのは、沈黙してしまうこと、そして、相手の要求を聞き入れてしまうことではないだろうか。相手が明らかに不当な要求をしてきたとき、相手にひるんで要求を引き受けると、相手はさらに不当な要求をしてくることだろう。相手は【話の分かる人間】ではないはず。【いつか分かってくれる】とは思ってはならないだろう。

好きの反対が嫌いでないように、勝ちの反対は負けではないように思う。負けを認めて、どう対応するかを考えること、即時に判断して行動することしかないと思うのだ。ほとんどの人は、自分より強そうな相手を見ればひるんでしまうものだ。その強い相手に戦いを挑むことが、勇気ある行動なのではないはず。負ける戦に戦いを挑むことも否定はしないが、ただだまって沈黙することは否定したい。

明らかに自分の力の及ばない敵に目をつけられたとき、どのようにして自分の身を守るか。これはとても大きく、そして重要な問題のような気がしてならない。。今回の事件は、現代人の盲点をつく深い事件だったように思えてならない。

PS.
あと、何か事件っぽいことが起こっているときに誰も助けてくれないっていうのは何も日本人だけに限らない。かつて、ボクがドイツに居た時のこと。ある夜、イタリアの女性と仲良く街を歩いていたら、突然ガラの悪そうなドイツ人の若者たちがボクとイタリアの女性に近づいてきて、からんできた。2mくらいある巨体のドイツ人にからまれて、かなりやばかった。通行人は結構いたけど、誰も助けてはくれない。何とか難を逃れたあと、数人の善良なドイツ人たちが話しかけてくれた。「大丈夫か。変なヤツもいるから気をつけろよ」・・だって。見てたなら、助けろよ~!!と思った。。ドイツでも状況は同じ、といったところか。。。

コメント一覧

ぽむ
こんばんは
http://blank-out-bbox.269g.net/
こんばんは、そしてお久しぶりです。

この事件、仕事場で知って鳥肌たちました。

私もkeiさんと同じように、もしそういったことに遭遇していたら「気づけたか」「動けたか」と、考えて、答えが出せませんでした。
もし、数人組で「テレビ(の撮影)です」とか言われたら、納得してしまうんじゃないかとか。

身の危険というと私は数年前に電車の中で酔っ払った男性に絡まれたくらいです。ボックス席に座れて身動き取れなかったって言うのもありますけど、周りは冷ややかでしたね。結局は「電車の中で、ここはそういうお店じゃないし、私は店員ではありません」といって逃げることができましたけれど、そういうまでものすごく勇気がいりました。巻き込まれるのがいやだったんでしょう。むしろ「絡まれるような隙のある人が悪い」とでも言うようなかんじで。

きっと、あの事件でおなじ車両に乗っていた人は気分がきっと重いままで過ごすことになるんじゃないかな。「何であの時動けなかったんだろ」って。

とっさのことに出会うと、動けなくなったり、声が出なかったりするのは男性も女性も同じだけど。
とっさのときに少しでも、動ける人でありたいですね。
みつば
はじめまして。
いつもブログ拝見させていただいている者です。
(バンドネタの情報を特に…(^_^;))

さて、私もこの事件には苛立ちました。
なぜ助けてあげられなかったのか…
女性は「助けて」と声を出したつもりだったが
声になってなかったと…
普段は『私は大丈夫』と思っている女性も多いと思いますが
咄嗟には怖さで声にならないものです。
力では男性には敵わないのですから尚更です。
最近は、この件だけではなく見て見ぬ振りをする人が多いと思います。
お年寄りが困ってても助けないし、子供が悪いことしても
黙ってるし… 大人がしっかりしないとダメですね。(-_-;)

nadeshiko
むかむか
http://nadeshiko-blog.269g.net/
大勢に囲まれた時は逃げるが勝ち。
でも、もしナイフを突きつけられていたら。。。女性の立場にたって考えてみました。

やっぱりまずは無抵抗になってしまうかな。そういう人って顔がいっちゃってますから、ほんと何するかわからないし。

でもなあ、女性からすれば犯人も勿論許せないけど助けてくれなかった周りの乗客のほうがもっと許せなかったでしょう。
「声を出した途端、ナイフで殺されるかも!」と思ったら、へたに逃げるわけにも声をあげるわけにもいかなかったと思います。だから泣いてついていったというのは精一杯の他者へのアピールだったはず。

せめて、誰かが小声でも
「だいじょうぶですか?」って声をかけて
女性の見開かれた目の中にある恐怖を感じ取れば車掌に通報しにいくぐらいはできたのでは???
犯人にも腹が立ちますけど、周りに腹立ちます。ものすごい込んでる社内で身動きがとれないような状態だったらまだしも、こういう車両ってそういう満員電車状態じゃないはずですよね。

nadeshikoも海外でいっちゃってる若者に囲まれ死ぬかと思ったことありますし、その時誰も助けに来てくれなかったのでケイさんの言ってる気持ちよくわかります。

しっかりしろよ!!!と周りの乗客に言いたいですね。
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