先週に引き続き、職場近所の進来軒へ。
毎週水曜日は20%OFFってことで、すごいお客さんの数。さすがに行列こそしないが、比較的広い店内は満員状態が続く。
今回来た目的は、新メニューと書いてある【冷やし坦々めん】を食べること。ネットサーフィンをしてもこれで検索にひっかかることはない。ゆえに、まだあまり知られていないように思われる。
最も古いラーメンを提供している進来軒が、今最もトレンディーな冷やし坦々めん。なんてミスマッチなんでしょう。もっと今風の言葉で言えば「冷やし和え麺」。まぜまぜして食べるラーメンなのだ。
キンキンに冷やした麺に、チンゲン菜を盛り付ける。調味油をたらして、その上にフライパンで炒めたひき肉を味付けして和えたもの(ソース)を上から覆いかぶすようにして乗っける。まさに冷やし坦々麺だ。
王者の如く、それほど味付けはきつくない。ゴマや香辛料の香りがプーンとたちのぼる。麺とソースをからめてまぜまぜすると色鮮やかな和え麺になる。これがまた食べやすいし、ひき肉の味が思いっきり効いていて、旨みに溢れている。量もそれほどではないので、あっさり瞬時に食べ終わってしまう感覚に襲われた。チンゲン菜はほどよい箸休めになる。麺は中細でつるつるしこしこ。保存料など一切使用しない安全な麺を使用しているとのこと。
僕は基本的にはあまり坦々麺が好きではない。これは好みの問題であるが、ここの坦々めんは心から美味しかった。最近坦々麺の専門店も出つつある。まあ、おそらく坦々麺ブームっていうのは来ないとは思うが、それでもじわりじわりとラーメン界に忍び寄りつつある。
進来軒も、新たな味作りをしっかりしているということだ。おじちゃんたちの目を見ていると、本当にギラギラしているし、輝いている。きっと「使命感」みたいなものもあるんだろう。時代が変わり、味もどんどん進化していく。それはそれでとても素晴らしいことであるが、こうやって守るべきものがあり、それをしっかり受け継ぎ、そして、さらなる味へと追求する。こういうお店は本当にすごいと思う。新しいお店や若いお店は、そういう意味での「守るもの」がないぶん、いろんな味を試すことができる。だが、逆に言えば、守るべきものがないということでもあるのだ。基盤といってもいいかもしれない。基盤がないがゆえにその道の途中で迷い、躊躇い、道を外してしまうこともないとはいえない。基盤があるということは、多少の変化はあっても、ぶれないっていうことだ。
もちろん他のお店が進来軒のようになる必要もなければ、なれるはずもない。だが、こういうお店から学ぶものはたくさんあると思う。新しいお店ばかりに行く人は是非こういうレトロな味、古風な味、原点となる味をしっかり理解してほしいと願う。
*憶測の域を出ないが、「ラーメン原理主義」を厳しく批判する石神さんも実はこういう古風なラーメンをたくさん食べてきたんだと思う。そして、その度にがっかりしたり失望したりしてきたんだと思う。彼は長い間ずっと数多くのラーメンを食べ続けてきた。僕なんかじゃ分かりかねるほどの困難や葛藤があったことだろう。だけど、だからこそ、「ラーメン原理主義」を批判できるんだと思う。食べ極めてきた人だからこそ、「ラーメン原理主義」を唱える人を嫌悪するのだろう。僕はまだまだ勉強中の身。こういう古き良きラーメンをしっかり食べて、僕なりに古風でレトロなラーメンについての見解を深めていきたいと思う。